TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する   作:六畳仙人(ハーメルン)

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陰謀I

 

 

 

「シグムンド殿下、艦隊麾下の鎧兵器部隊の展開が完了致しました!』

 

「よし、後は待つだけだな」

 

 ムスペル帝国正規軍第一、第二連合艦隊総旗艦"グラズヘイム"。

 

 全長およそ二千メートルを超える超巨大戦艦の艦橋にて、ムスペル帝国皇太子シグムンドは"グラズヘイム"の艦長と言葉を交わしていた。

 

「しかし、これほどの戦力を投入するとは、ミズガルの姫にはそこまでの価値があるのですか?」

 

 "グラズヘイム"の艦長の男は疑問に思っていた。

 

 今回のミズガル王国制圧に投入される戦力があまりにも多過ぎたからだ。

 

「あるさ。情報が正しければ、二人の姫の起動権は私よりも僅かにだが上だ」

 

 しかし、艦長の疑問に対して、シグムンドはあっさりと過剰戦力を投入する理由を答えた。

 

「そんな馬鹿な!?」

 

 艦長の男は驚愕した。

 なにせ、シグムンドの起動権はレベル七、この異世界の神話の存在——古代アースガルズ人の起動権に最も近い存在だ。

 

 そのシグムンド以上の起動権を持つ人間がいるなどと、艦長はとても信じられなかった。

 

「私も疑ったさ。だが、事実だ」

 

 レベル七の起動権があれば、古代文明の遺産を七割の力で、さらに軍隊規模での運用を可能にできる。

 

 レベル七の起動権を持つ人間というのは、いわば、とてつもない価値を持つ人的資源だ。

 

 それも、起動権で皇位継承権が決まるムスペル帝国の皇太子の起動権を上回るレベル。

 

 その価値は計り知れない。

 

「ゆえに、二人の姫の身柄は我等ムスペル帝国で抑えておく必要がある」

 

 そう言って、艦橋に投影されている映像に目をやったシグムンドは不敵に微笑んだ。

 

「ミズガルの秘宝……お前達二人は、必ず我々が手に入れてみせる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『鎧兵器全機収容完了。出撃準備整いました!』

 

『全艦発進せよ!これより我等が祖国の地を奪還し、勝利の栄光をリンダ姫とディース姫に捧げるのだ!』

 

 領土奪還を目指して、超弩級浮遊戦艦一隻、鎧兵器を載せる浮遊戦闘母艦四隻、浮遊駆逐艦二十隻からなるミズガル王国浮遊艦隊は前線基地を飛び立った。

 

『ミズガル王国に栄光あれ!』

 

 艦隊旗艦ベルゲルミルからの通信を聞きながら、私は操縦席の中で姫殿下との一時を思い出す。

 

「可愛いかったなあ……」

 

 リンダ・ミズガル姫殿下。

 一瞬目があった異世界のお姫様。

 やっぱりあの可憐さは洗練された一つ一つの所作からくるものなのだろうか。

 

 目に焼きついたお姫様の滑らかな白い肌や、ドレスの上からでも膨らんで見えた柔らかそうな豊かな胸にも確かに目を引かれた。

 

 でも、一番印象的だったのはお姫様と目が合った瞬間のあの不思議な感覚だ。

 

 何故か目が離せなくなる不思議な感覚。

 

 ドクンッ!と血が騒めいて身体が熱くなった。

 

 もしかしたら、あれは恋だったのかもしれない。

 

 きっと、一目見ただけで私は魅了されてしまったんだ。

 

 うん、そうに違いない。

 

 その惹きつけられる魅力によって、ただでさえ美しいお姫様をより優雅に、より綺麗に、人を超えた美の境地へと至らせている。

 

 正直結婚したい。

 

 でも、王族だからたぶん婚約者がいるだろう。

 

 国家にとって王家の血を残すことはいわば定めみたいなもの。ミズガル王国もそれはわかっているはずだ。

 

 ……あんな綺麗なお姫様と結婚出来る人がいるなんて羨ましい……!

 

『うおー!!絶対にムスペル野郎をこの国から追い出してやる!そして、戦果を上げて姫様からの褒美を貰うんだ!』

 

『はしゃぐなフギン。今回の戦いは王族に捧げるものだ。不甲斐ない戦いは許されないぞ』

 

 旗艦からの通信が終わり、今度は部隊からの通信に戻ると、いつもの野郎共のうるさい声が聞こえてくる。

 

 いや、フギンは今日特にうるさいな。

 

 それにレギン隊長も明らかにいつもより気合いが入っている気がする。

 

『そう気を張り過ぎるなよ。今回の戦いには、姫君の加護が付いてるんだ。負けるはずがないさ!』

 

『うおー!勝利をフリッカと姫様に!!』

 

 現在、私達鎧兵器部隊は戦闘母艦の中で待機している。

 

 今までは、こちらの領土に攻めて来ているムスペル帝国軍を基地から発進して迎撃する形だった。

 

 けれど、今回はムスペル帝国の支配領域に侵攻する為、戦闘母艦での移動だ。

 

 戦闘母艦は全長三百〜五百メートルぐらいの前世の世界の空母のような働きをする艦だ。

 

 とにかく大きい。すっごく大きい。

 

「……出撃、まだかなあ」

 

 未だ、ムスペル帝国軍発見の報は出ていない。

 

 でも、そろそろムスペル帝国軍の支配領域に入るから、発艦するのは時間の問題だろう。

 

『ムスペル帝国艦隊発見!総員戦闘準備!』

 

 ほらきた。噂をすればというやつだ。

 

 通信と同時に、呑気に騒いでいた部隊の雰囲気が、一瞬で戦闘時の緊張が走ったものに切り替わる。

 

 いよいよ本格的な開戦だ。

 

『行くぞお前達!祖国の地からムスペル人共を叩き出してやれ!』

 

『イエッサー!!!!!』

 

 戦闘母艦の射出口が開く。

 誘導の光が灯り、鎧兵器の進路を照らす。

 

「フリッカ・アース。"エインヘリヤル"、出ます!」

 

 母艦から戦場に向けて機体を一気に加速させる。

 

 すると、瞬く間に私の乗るエインヘリヤルは戦場となる空へと到達した。

 

 これから、大規模な戦いが始まるだろう。

 

 でも、今の私には可愛い姫殿下の加護がある。

 

 この戦い、絶対に勝ってみせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ひ、被害報告を……!』

 

『第二、第三鎧兵器部隊と通信途絶!第十四、第十五鎧兵器部隊の被害甚大!!』 

 

 次々と撃ち落とされていく鎧兵器。

 

 爆炎と共に地上へと落ちていく空飛ぶ艦の残骸。

 

 戦場となった空は、赤い魔力砲の光が飛び交い惨劇を撒き散らし続けている。

 

 今回の戦いは、私達ミズガル王国軍が圧勝するはずだった。

 

 満を持して揃えた戦力。姫様の力でレベル七の出力まで性能を引き上げられた百二十機の鎧兵器。

 

 ミズガル王国が揃えられる限りの戦力がこの戦いには投入されていた。

 

 対して、ムスペル帝国軍は統率のとれていない足を引っ張り合いばかりしているボンクラ貴族の寄せ集め。

 

 まず負けるはずがないだろうと思われていた。

 

 ところがだ。

 私が母艦から発艦して目にしたのは、こちらの倍以上の戦力で、尚且つ完全に統率がとれているとわかる程に完璧な布陣で待ち受けていたムスペル帝国軍の軍勢だった。

 

「ねえ、一体どうなっているの"スルト"」

 

『どうやら、ミズガル王国軍は嵌められたようですね。此度の敵は帝国貴族軍ではないようです』

 

 ムスペル帝国軍による待ち伏せ。

 それも、いつもの目立ちたがりの貴族達が乗っている大きさやカラーリングがバラバラの鎧兵器達ではない、黒一色に統一されたミズガル王国軍の鎧兵器より少し大きい洗練された鎧兵器達によるもの。

 

『敵はムスペル帝国正規軍です』

 

 同じムスペル帝国の軍隊とは思えない、凄まじい威圧感を放つ軍隊がこちらに砲口を向けて空を覆い尽くしていた。

 

『敵鎧兵器は全て炉心を二つ搭載した改装型の有人鎧兵器"エインヘリヤル"です』

 

「数は?」

 

『……およそ、()()()です』

 

「……はい!?」

 

 その数は、今回ミズガル王国が投入した戦力の三倍以上。

 

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