TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する   作:六畳仙人(ハーメルン)

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"最強"との邂逅

 

 

 

 ムスペル帝国正規軍第一、第二連合艦隊総旗艦"グラズヘイム"。

 

 その巨大な戦艦の艦橋では、突如戦場で起きた異常事態を知らせる警報とその事態に騒然としている軍人達の切迫した声が溢れ返っていた。

 

「何が起きた!?」

 

 ただ事ではない様子。

 シグムンドはすぐさま艦橋にいた部下に事態の説明を求めた。

 

「そ、それが……」

 

 最早勝利は目前だったはず。

 シグムンドは既にミズガル王国軍を壊滅させ、二人の姫の身柄の確保も間も無く完了すると考えていた。

 

 実際、その予想は正しかった。余程のことが——奇跡でも起きない限り戦況が覆ることはない。

 

 しかし、その余程のことが、ミズガル王国軍にとっての奇跡が起きてしまった。

 

無人鎧兵器(ヴァルキューレ)が……投入した二百機の内、およそ百八十機が突如暴走しました!無人鎧兵器達は、現在正常だった二十機を破壊し我が軍の有人鎧兵器に対して攻撃を開始しています!」

 

 報告した部下の言葉を聞き、シグムンドは驚愕した。

 

 全ては計画通りに終わるはずだった。

 

 しかし、たった一人のミズガル王国軍にいた古代アースガルズ王家の末裔の一言が奇跡を起こした。

 

 古代アースガルズ王家の末裔、フリッカ・アグナル・アースガルズ。

 

 彼女の持つ最高位の起動権、"王権"はスルト本体を通じて無人鎧兵器の起動権と命令を書き換えムスペル帝国軍へと牙を向かせた。

 

 百八十機の無人鎧兵器達は、最早ムスペル帝国軍に仕える戦力ではなくなってしまったのだ。

 

「……馬鹿な」

 

「無人鎧兵器による被害甚大!包囲網が崩れます!」

 

 今回の作戦は慎重を期した。

 

 フルングニル伯爵の事故があったこともあり、投入した無人鎧兵器は全て念入りに点検し、シグムンドが古代文明の遺産である旗艦グラズヘイムと同時に再起動するという徹底した備えを講じていた。

 

 それなのに、無人鎧兵器達は暴走した。

 

 作戦が破綻してしまった。

 

「暴走原因不明!こちら側からの通信も一切受け付けません!」

 

「まさか……!?」

 

 事態を把握し動揺しながらも、シグムンドは考察をめぐらせる。そして、明晰な頭脳は、僅かだが可能性のある一つの仮説を導き出した。

 

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 そう仮定したのだ。

 

「そう考えるべきなのか。いや、もし、この仮説が正しかったら今後無人鎧兵器が使用できなくなる。そうなれば、物量という優位性の一つを失いかねない……」

 

 シグムンドは頭を悩ませた。

 辻褄は合う。しかし、そうなると戦術に大きな変更が必要になる。

 結局、その明晰な頭脳をもってしても、流石に今回の事態だけで正解に辿り着くことは出来ず、答えを出すことはできなかった。

 

 それでも、事態があまり良くない方向に向かっていることは察した。

 

「……この事態に関わっている可能性が高いのは、やはり、リンダ・ミズガルだ。彼女の身柄を確保できれば何かわかるはずだ。頼んだぞシグルド」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵の五百機もの鎧兵器による包囲網が完全に崩壊する。

 

 これで、分断されていた私達残存部隊と旗艦ベルゲルミルとの間に道が開いた。

 

『何があったか知らんがチャンスだ!全員ベルゲルミルに最速で向かえ!』

 

『了解!』

 

 隊長からの興奮した声の通信が入ると同時に、私も機体のスラスターを噴かせて一気に加速に入る。

 

 ムスペル帝国軍によるこちらへの攻撃はない。

 

 無人鎧兵器の暴走によってムスペル帝国軍は同士討ちによる大混乱に陥っている。

 

 自分でやったことだけど、めちゃくちゃファインプレーだ。

 

 おかげであっさりと包囲網を突破することができた。

 

『旗艦ベルゲルミルを確認。襲撃している敵強襲部隊を排除せよ!』

 

 とはいえ、本番はここからだ。

 

 包囲網に加わっていたムスペル帝国軍はもうこちらに手出しをする余裕はない。

 

 だが、ベルゲルミルを襲っていた帝国の強襲部隊がまだ残っている。

 

 姫様達を救出するためには、この敵の精鋭と思われる強襲部隊を倒す必要がある。

 

 すると、元ムスペル帝国の人間だったヘグニ中尉から通信が入った。

 

『注意しろよ〜、強襲部隊の奴等、帝国第二皇子直属の騎士団だぜ……!』

 

『何!?』

 

『それって……』

 

 敵機体の紋章を見て気づいたヘグニ中尉の言葉を聞いて、部隊のみんなに動揺が広がる。

 

 無理もない。

 

 ムスペル帝国第二皇子の騎士団は精鋭として有名な部隊だ。

 

 特に、その騎士団を率いるムスペル帝国第二皇子シグルド・ムスペルヘイム。

 

 戦場で数々の伝説を残しているこの皇子は、鎧兵器操縦者達から畏敬の念を込めて一つの威名が付けられている。

 "帝国最強の鎧兵器操縦者"。

 

 つまり、世界最強の軍事国家で一番強い男が今回戦う敵にいるということだ。

 

『敵鎧兵器編隊接近。数およそ二十五』

 

「来たか」

 

 敵の強襲部隊が一斉にこちらへと向かって来た。

 

 攻撃目標を一時的にベルゲルミルから、包囲網を突破して来た私達第七鎧兵器部隊へと変更したようだ。

 

『敵編隊に特殊型鎧兵器を確認』

 

 その鎧兵器編隊の先頭には、赤く染められた一際大きく特殊な姿をした鎧兵器がいた。

 

『機体識別……可変式星間戦闘鎧兵器"グラム"です』

 

「ということは、あの特殊型の赤い機体に乗っているのが……」

 

 帝国最強の鎧兵器操縦者、シグルド・ムスペルヘイム……!!

 

 そして、さらに事態が動く。

 

『旗艦ベルゲルミルから離脱する機体を確認。機体の紋章からミズガル王国所有のものと思われます。また、機体内部からは、フリッカ様が気にかけていたリンダ・ミズガルの生命反応が確認できました』

 

 いよいよ、姫の身を巡って事態が大きく動き出した。

 

 

 

 

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