TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する   作:六畳仙人(ハーメルン)

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反撃の狼煙

 

 

 

「いよいよ帝国の連中が来やがったか」

 

 遠方の空を埋め尽くすムスペル帝国軍の大軍を見て、フリッカも所属している第七鎧兵器部隊隊長のレギンはここが死に場所かと覚悟を決めた。

 

 ムスペル帝国軍に大敗し、かろうじて撤退に成功したミズガル王国軍だったが、その被害は壊滅的なものだった。

 

 艦隊は全滅。唯一残存している旗艦の"ベルゲルミル"もムスペル帝国軍に制圧されて拿捕されてしまった。

 

 投入された百二十機の鎧兵器も既にその大半を喪失。

 僅か三十機でも残っているかどうかといったところだ。

 

 そんな状況で、レギン率いる第七鎧兵器部隊は、どうにかここケルムト前線基地に逃げのびていた。

 

「この基地に逃げてこれた鎧兵器が精々十五機。他の場所にも何機かは逃げられただろうが酷いものだ」

 

 自身の愛機を眺めながら、レギンは戦場でのことを思い出す。

 ムスペル帝国軍の力は凄まじく、艦隊旗艦"ベルゲルミル"を襲撃していたシグルド配下の帝国の精鋭部隊相手に生き残れたのは奇跡に近かった。

 

「……これも、姫殿下の加護のおかげだ。このへんな光輪のようなものが出て機体の性能が上昇していなかったら、俺達は全員あの世行きだっただろう」

 

 数でも機体性能でもレギン達第七鎧兵器部隊は負けていた。

 

 だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、敵の精鋭部隊を壊滅させることに成功したのだ。

 

 フリッカの渡した()()()のおかげだ。

 

「鎧兵器"エインヘリヤル"。古代アースガルズ文明の遺産……やはり謎は多いままだな」

 

 突如として、青い魔力の輝きと共に出力を上昇させた自身の愛機に対してレギンは目を向ける。

 

 これから行く死地でも、果たして、また同じような奇跡を起こしてくれるのか。

 

 そう思いながらレギンは再び機体の操縦席に乗り込んだ。

 

「もう一戦行くか。どうか我等に勝利の加護を」

 

 敵は空を埋め尽くす大艦隊。

 鎧兵器の数も五百機以上はいるだろう。

 

 残存戦力と、基地の防衛機構では対抗は不可能だ。

 

『今回も行けるかヘグニ?』

 

 レギンは部下達へと通信を入れる。

 最初に、前回の精鋭部隊との戦いで一人で敵の三分の二を屠った部隊最強の男、ヘグニ中尉へと繋いだ。

 

『……流石に無理ですねえ。敵、帝国正規軍とアウルゲルミル家の軍隊ですよ。列強国でも瞬殺される戦力ですって』

 

 ヘグニから漏れたのはお手上げの言葉だった。

 

 無理もない。

 

 元ムスペル帝国の人間のヘグニからすると、皇太子の配下の軍隊と公爵家の軍隊が揃っているのは悪魔のような光景だ。

 

 なにせ、列強国の軍隊が束になっても敵わないであろう大戦力だ。

 

 最早、勝ち目のない敵勢としか言いようがない。

 

『そうか……、バルク、基地の非戦闘員の待避は終わったか?』

 

 次に、レギンはバルク中尉に非戦闘員撤退状況を聞いた。

 

 バルクと、もう一人の部下のフギンは非戦闘員の待避を支援していたらからだ。

 

『待避完了済みです。残りは全員玉砕覚悟の者しか残ってないです』

 

『よし、お前はフギンを連れて待避した連中を護衛しに行け』

 

『……!何言ってるんですか隊長!俺だって戦いますよ!』

 

 レギンの命令にバルクが意を唱える。

 だが、レギンがバルクの意見を聞くことはなかった。

 

『バルク。お前とフギンはまだ若く未熟だ。隊長として、これから向かう戦場ではお前達では足手纏いになると判断した』

 

 レギンは淡々と隊長としての判断を伝えた。

 そして、バルクとの通信を切ると、ケルムト前線基地の残存部隊各機に通信を繋げた。

 

『これより、ケルムト基地残存戦力の指揮を暫定的に俺が引き受ける。皆、一秒でも長く生き、一機でも多く敵を撃ち落とせ!』

 

 レギンは最期の命令を告げた。

 

 これから出る戦場は死地としか言いようがない。

 

 おそらく自分も含めて全員が死ぬだろう。

 

『バルク、フギン、お前達は生きろ。そして、ヘグニ、フリッカ……済まなかったな』

 

 レギンは部下達のことを脳裏に浮かべた。

 

 そして、帝国最強のシグルドの追跡という最悪の任務を命令してしまったフリッカ(普通に生きてる)とこれから死地に送ることになるヘグニへと深く詫びた。

 

『……これが、最期の戦いだ。行くぞ!エインヘリヤ——』

 

 

 その時だった。

 フリッカとリンダ姫の乗った"フリングホルニ"が次元跳躍移動(ビフレスト・ジャンプ)によって戦場に乱入したのは。

 

『"次元震"発生』

 

 空が眩い虹色の光に満たされる。

 

 そして——次元の歪曲に伴う膨大なエネルギーの奔流がムスペル帝国の大艦隊へと直撃した。

 

「一体何が……!?」

 

 突然の事態にレギンは困惑する。

 その時、レギンの機体に通信が入った。

 

『あー、あー、聞こえますか()()()?こちらフリッカ・アース少尉……改めましてリンダ・ミズガル姫殿下直属護衛騎士フリッカ・アースです。今上空にある艦は()()()()()で起動した惑星制圧用航宙戦闘母艦"フリングホルニ"……とにかくすっごい優秀な艦です』

 

 その通信は、シグルド相手にもう死んだと思っていたフリッカからのものだった。

 

 いくつか聞き捨てならない言葉が含まれていたが、とりあえずレギンはフリッカの無事を喜ぶ。

 

 すると、フリッカからまた新たな通信が入った。

 

『えー、よく聞いてください隊長。これより、"フリングホルニ"の未整備居住区画に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。なので、そこ、絶対に動かないでくださいね』

 

「なに?それは一体……」

 

 瞬間、"フリングホルニ"から照射された謎の光がケルムト前線基地を照らした。

 

 

 




次回からは、とりあえず「姫様の御力」を連呼して誤魔化す姫様専属護衛騎士フリッカの物語が始まります。
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