TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する   作:六畳仙人(ハーメルン)

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古代文明の戦闘母艦

 

 

「状況はどうなっている!?」

 

 未知の現象——"次元震"によるエネルギーの奔流の直撃を受けたムスペル帝国艦隊。

 

 その艦隊旗艦"グラズヘイム"の艦橋で皇太子シグムンドは、すぐ様事態を把握しようと務めた。

 

「艦隊から被害報告多数!現在航行可能なのは、"グラズヘイム"と"ヴァーラスギャルヴ"のみです!」

 

「なんだと!?」

 

 "次元震"のエネルギーの奔流が艦隊にもたらした被害は甚大なものだった。

 

 多数の艦艇が撃墜、あるいは航行不能状態に陥り、艦隊としては完全に機能不全に陥ってしまっていた。

 

「クソ!また異常事態か!それで原因は?」

 

「おそらく、突如として出現した未知の艦艇によるものかと……」

 

 シグムンドは無人鎧兵器暴走、信頼していたシグルドの敗北次ぐ新たな厄介事を引き起こした存在……艦橋に映し出された未知の艦影——フリッカの乗る"フリングホルニ"を睨みつける。

 

「おのれ……だが、所詮は五百メートル級の母艦に過ぎない。"グラズヘイム"の砲撃機構は無事なのだな?」

 

「は、はい!異常ありません!」

 

「ならば、今すぐあの艦を砲撃しろ!」

 

 皇太子シグムンド。

 異常事態に次ぐ異常事態についに堪忍袋の尾が切れる。

 

 シグムンドは、自身の乗る超超弩級戦艦"グラズヘイム"の()()()を"フリングホルニ"へと向けさせた。

 

「焼き払え!」

 

 シグムンドの命により、"グラズヘイム"から"フリングホルニ"へと砲撃の雨が浴びせられる。

 

「やったか!」

 

 降り注いだ砲撃が着弾し、眩い閃光と共に轟音を轟かせた。

 

 その光景を見たシグムンドは、敵艦を間違いなく木っ端微塵に破壊できたと確信する。

 

 ところが——

 

「……敵艦、未だ健在です」

 

「バカな!?」

 

 フリッカとリンダ姫の乗る"フリングホルニ"は全くの無傷だった。

 

 "フリングホルニ"は透明な膜のようなものに覆われており、"グラズヘイム"の砲撃は全て無効化されていたのだ。

 

「ありえない……超超弩級戦艦("グラズヘイム")の火力が通じないなど……」

 

 "グラズヘイム"の火力に自信を持っていたシグムンドは、その火力が通じない敵艦の姿にただ茫然とするしかなかった。

 

『攻撃は無駄ですぞ、シグムンド殿下』

 

 その時、シグムンドに対して"ヴァーラスギャルヴ"のアウルゲルミル公爵から通信が入った。

 

『あの艦は()()()()で覆われています。ゆえに通常の攻撃は一切通用しませんぞ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 惑星制圧用航宙戦闘母艦"フリングホルニ"。

 この艦は、古代アースガルズ文明末期——古代アースガルズ人達がこの星を捨てて宇宙の彼方に旅立つ直前に量産した播種船、あるいは移民船だ。

 

 つまり、古代アースガルズ文明の遺産としては最新鋭のものといえる。

 

 全長はおよそ五百メートル。

 だが、艦内空間を大幅に拡張しており、艦載量は全長五千メートルの艦艇と同等のものとなっている。

 

 とてつもない積載量だ。

 

『次元断層障壁展開成功。敵艦からの砲撃の無効化に成功しました』

 

 加えて、搭載している装備も非常に高性能。

 

 複数の『星系の炉心(アースガルズドライブ)』や、次元跳躍装置、星間航行エンジン……

 

 そして、()()()()()()

 

 次元断層を防御に転用するという古代アースガルズ文明産のイカれた性能の防御装置。

 

 まさに絶対防御と言っても過言ではないぶっ壊れ性能の障壁(バリア)だ。

 

「あー、敵が無駄撃ちしてるの眺めるの気持ちいー!」

 

 安心安全の次元を隔てる障壁。

 当然、通常の砲撃なんかで突破できるはずがない。

 

 流石は姫様の御力だ(目逸らし)。

 

「スルト。基地施設の接収はどうなってる?」

 

『もう間も無く完了します』

 

「ふむ……少し時間あるなら、ついでに攻撃武装のお試しもやっておこうかな。艦首主砲用意」

 

『かしこまりました。エネルギー装填開始。対時空、対次元、対概念防御貫通術式構築完了……艦首主砲発射準備完了致しました』

 

「目標、敵艦隊旗艦"グラズヘイム"……撃て」

 

 "フリングホルニ"の艦首に搭載されている巨大な主砲。

 

 通常時は格納されているその主砲を露出させ、ムスペル帝国軍の巨大な戦艦に対してぶっ放す。

 

『敵艦大破。次弾で確実に仕留められます』

 

「次弾エネルギー装填」

 

 主砲の威力は凄まじかった。主砲から放たれた極光は、二千メートルを超える超巨大戦艦の頑強な防御壁を紙切れのように貫通し、巨大なキノコ雲を立ち昇らせる大爆発を引き起こした。

 

 なんと圧倒的な火力……!!流石は姫様の御力だ(目逸らし)。

 

 ……さて、こうして吹っ切れたように私の起動権を使いまくった以上、そろそろカモフラージュの一手を打っておく必要がある。

 

「それではお願いします、リンダ姫殿下」

 

 私は、姫様に対して頭を下げてお願いをする。

 

 これから起動権を誤魔化す一手を行うためだ。

 

 私は、姫様と約束を交わした。

 私はこの国のために力を使う。

 代わりに、私の起動権は秘匿し、私の力=姫様の力として矢面には姫様が立つ。

 

 ちょっとだけ心苦しいけれど、王族の権威とかを考えると姫様の力だったことにした方が姫様としても色々と都合がいいらしい。

 

 なので、私は遠慮なく姫様の言葉に甘えることにした。

 

「……いよいよですね。では、後は私に任せてくださいフリッカ」

 

 姫様は、私と違ってちゃんと覚悟ガンギマリだった。

 

 やはり、王族()王族(血だけのパチモン)の違いなのだろう。

 

 高位の起動権がもたらす重圧をあっさりと受け入れてみせた。

 

『——ミズガル王国第一王女、リンダ・ミズガルの名の下にムスペル帝国軍に対して告げます』

 

 これから行う勧告で、今までに起きた(私が起こした)奇跡のような出来事は、全部姫様の御力だったことを宣言するのだ。

 

 戦場の敵艦隊に対して"フリングホルニ"からの通信が繋がる。

 

 間も無くケルムト基地施設の収容も終わる。それに、敵艦隊を圧倒している今が絶好の機会だ。

 

『今すぐ軍を退きなさい』

 

 姫様の力強い言葉が、ムスペル帝国艦隊に対して響き渡る。

 

 流石は姫様だ。凄いカリスマを感じる。そして、やっぱり可愛い。

 

『さもなくば——』

 

「"スルト"。撤退する気配がなかったらタイミングよく敵艦撃沈してね」

 

『かしこまりました』

 

 凛々しい姫様の姿に見惚れつつ、私はスルトへも指示を出す。

 

 退くならそれでよし。

 

 退かないなら主砲で殲滅だ。

 

 まあ、たぶん帝国軍は退かないだろう。

 

 その時は、帝国艦隊旗艦"グラズヘイム"を——皇太子の乗る旗艦を爆散させて姫様を祝福する花火にしてやるのだ。

 

 

『私、リンダ・ミズガルは……覚醒したレベル九の起動権の力を——』

 

 

「主砲発射準備。目標、敵旗艦"グラズヘイム"」

 

 

『ムスペル帝国軍に対して行使します……!!』

 

 

 




ちょっとムスペル帝国軍が可哀想になって来たので、次回はムスペル帝国のターンです。
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