TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する   作:六畳仙人(ハーメルン)

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帝国貴族の頂点

 

 

 

 アウルゲルミル公爵家所有超超弩級戦艦"ヴァーラスギャルヴ"。

 

 その鎧兵器格納庫。

 

「我が愛機"フェンリル"の仕上がりはどうなっている?」

 

 艦の主であるアウルゲルミル公爵は、今か今かと起動を待ち望む、一機の禍々しい姿をした鎧兵器の操縦席の中にいた。

 

 鎧兵器"フェンリル"。

 アウルゲルミル家が所有する最上位の特殊型鎧兵器。

 

 次元断層障壁に守られた"フリングホルニ"に対抗するべく、アウルゲルミル公爵はこの強大な力を誇る鎧兵器を起動しようとしていた。

 

『問題ありません。いつでも出撃可能です』

 

「ご苦労。では、射出口を開け」

 

『かしこまりました。ご武運を、アウルゲルミル様』

 

 通信を受けた配下の者によって艦外への射出口が開き、鎧兵器の進路を導くように光が灯る。

 

「起動せよ"フェンリル"」

 

 アウルゲルミル公爵が起動権を行使する。

 同時に、公爵の指に輝く紅玉の指輪が眩い光を放った。

 

()()()()()()()()()()()。我に大いなる力を!」

 

 その紅玉は、アウルゲルミル家の血族の者みが使用できる特殊な"血の触媒"だ。

 

 その秘められたる力は()()()()

 

 純血の古代アースガルズ人が持つ起動権と同等の値だ。

 

『レベル八の起動権を確認。『星系の炉心(アースガルズドライブ)』起動。"自己適応進化機構搭載鎧兵器フェンリル"、起動します』

 

 起動条件を満たしたことで、鎧兵器"フェンリル"が起動する。

 

 まるで怪物が目覚めたかのように、その赤いカメラアイに光が宿った。

 

「出撃」

 

 機体から赤と青の入り混じる赤紫色の禍々しい魔力の輝きを放ち、スラスターが轟音を轟かせる。

 

 そして、重力を制御した"フェンリル"は艦外へと通じる射出口を凄まじい速さで突き進み、獲物のいる戦場に向けて飛翔した。

 

「リンダ・ミズガルは確かに"王権"を継承する条件を満たしている可能性が高い。だが、妙だ。あれほどの覚悟ある女傑ならば、最初から起動権を惜しみなく使うはず……」

 

 操縦席でアウルゲルミル公爵は、捕獲目標のリンダ姫について考えを巡らせる。

 

「……確かめさせてもらおう。そして、我がアウルゲルミル家の悲願……かつてのアースガルズの栄華を取り戻すため、必ず我が手中に収めようぞ」

 

 アウルゲルミル公爵は知見が深く、かなり鋭い洞察力も持っていた。

 

 結果、アウルゲルミル公爵はミズガル王国側の起動権の真相に早くも着実に近づきつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 一方、"フリングホルニ"の主砲の直撃を受け大破している"グラズヘイム"の艦橋では、リンダ姫からの撤退勧告にシグムンドが激怒していた。

 

「撤退しないならこの旗艦を撃墜するだと!ここまで来て撤退など受け入れられるものか……!!」

 

「しかし殿下。敵艦の主砲が再び直撃すれば"グラズヘイム"は確実に撃墜されます。既にリンダ姫に次ぐ起動権を持つディース姫は確保しておりますのでここは賢明な判断を……」

 

「くっ……」

 

 常勝無敗のムスペル帝国の皇太子であるシグムンドとしては、そう簡単に退くわけにはいかない。

 

 なにせ、敵の艦にはムスペル帝国が追い求めていた高位の起動権を持つ存在——リンダ・ミズガルがいるのだ。

 

 逃す獲物としてはあまりにも大きすぎる。

 

 だが、シグムンドの部下が上申したようにこのままでは"グラズヘイム"もろとも撃墜されてしまうのも事実だ。

 

 加えて、次元断層で守られた敵艦を相手に打てる手立ても全くない。

 

 非常に判断に苦心する事態だった。

 

「撤退か……いや、いっそ、こうなったら、私も"ヘイムダル"で出る。そして、この手で直接——」

 

「な、何言ってるんですか殿下!?乗るならせめて殿下だけでもお逃げください!」

 

 そして、明晰な頭脳を持つシグムンドも、異常事態に次ぐ異常事態に脳が疲れたのか、ついに血迷い始めていた。

 

 自らも鎧兵器に乗りに行こうとしたシグムンドを部下達が慌てて止める。

 

 だが、そうやってぐだぐだとして判断がまとまらない内に勧告の撤退期限のリミットは刻々と近づいていた。

 

「……!敵艦のエネルギー反応増大!このままでは——」

 

 撤退の意思なし。

 そう判断したフリッカが"フリングホルニ"の主砲へのエネルギーの装填を開始する。

 

 だが、突如その主砲射線上に一機の鎧兵器が割り込んだ。

 

「この反応は……アウルゲルミル家の"フェンリル"です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『フリッカ様。主砲射線上に敵鎧兵器の反応を探知しました』

 

「ふーん。まあ、まとめて薙ぎ払えばいいだけでしょ」

 

 ムスペル帝国軍に撤退する気配はない。

 

 とりあえず射線上の敵機も巻き込む威嚇射撃でもして最後通牒を突きつけよう。

 

『いえ。このままでは間違いなく主砲は防がれます』

 

「そんなに強い鎧兵器なの?」

 

 思った以上に敵機が強力な機体だったようだ。

 

 "フリングホルニ"の主砲を防げる程の鎧兵器。

 

 確か、特殊型の鎧兵器の中には防御に優れた鎧兵器も存在しているらしい。

 

 おそらく、今回の射線上の敵機は防御特化の機体なんだろう。

 

『はい。現有戦力では、"スルト"本体以外では対処不可能です』

 

「……うん?」

 

 ところが、"スルト"から告げられたのは予想を遥かに上回る深刻な言葉だった。

 

『敵は"自己適応進化機構搭載鎧兵器フェンリル"。この特殊型の鎧兵器は、あらゆる事象を解析、学習し、適応、模倣、再現を繰り返すことで無限に進化する鎧兵器です。そして、既に"フリングホルニ"の主砲と次元断層障壁は適応されています』

 

「……つまり?」

 

『"スルト"本体による迎撃、あるいは戦略的撤退以外取れる手段がありません』

 

「…………え???」

 

 

 

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