TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する   作:六畳仙人(ハーメルン)

35 / 43
強欲な皇帝

 

 

『仔細を報告せよアウルゲルミル』

 

「御意」

 

 ムスペル帝国十三家門筆頭アウルゲルミル公爵家所有超超弩級戦艦"ヴァーラスギャルヴ"。

 

 その艦内の一室には、現在、ムスペル帝国本国にいる帝国の重鎮達が通信機器によってホログラムのように投影され、報告者のアウルゲルミル公爵の話に耳を傾けていた。

 

 そして、アウルゲルミル公爵は投影されたホログラムの中心にいる玉座に座る初老の人物——ムスペル帝国皇帝ヴォルスング・ゲイルロッド・ムスペルヘイムへと報告を始めた。

 

「今回のミズガル王国侵攻に際して、我々の悲願である"王権(ユグドラシルコード)"の継承者と思しき人物が現れました。名は、リンダ・ミズガル……いえ、リンダ・ローズル・ミズガルといった方が正確ですな。ミズガル王国の第一王女にして推定レベル九の起動権を持つ存在です」

 

 アウルゲルミル公爵がリンダ姫のことを報告すると、帝国の重鎮達の間に動揺が広がる。

 

『なんと……』

 

『そんな馬鹿な……』

 

 リンダ姫は今回のミズガル王国侵攻作戦において最優先の確保目標だ。

 

 とはいえ、まさか"王権"を継承しているというのは流石に予想外だった。

 

『ほう、我がゲイルロッド家ではなくローズル家の方に宿ったか』

 

 皇帝ヴォルスングもまたその報告に反応する。

 

「さようです」

 

『ふむ……して、"王権"を継承しているのは間違いないのか?』

 

「可能性は極めて高いかと。既に次元跳躍装置(ビフレスト)の封印を解除していることは確認済みです」

 

『そうか……確かに分家とはいえ()()()()()()()()()()()()()()()という二つの継承条件も満たしている。()()()()()()()()()()()()()()以上充分にありえるな』

 

 アウルゲルミル公爵の報告が終わる。

 

 すると、報告を聞いた皇帝ヴォルスングが座っていた玉座から立ち上がると通信越しに声高らかに宣言した。

 

『継承者の女をなんとしても捕らえよ。最も起動権が高い王家の者に宿る"スルト"の起動の鍵である"王権"の確保は我等の悲願だ。"スルト"の力と"王権"を揃え、我はかつてのアースガルズの栄光を……天上世界を統べる存在への回帰を果たすのだ!』

 

 皇帝から下された命令。

 帝国の重鎮達が、そして、アウルゲルミル公爵もまた頭を下げてその命令を実行に移すことを宣言する。

 

「委細承知。我がアウルゲルミル家の全軍をもって必ずリンダ姫の身柄を確保してみせます」

 

『うむ、期待しているぞアウルゲルミル。既にシグムンドの方には追加の戦力を送っておいた。まずは鍵となる"王権"の確保だ。忌々しいアグナルの連中が隠した"スルト"はまだ見つからんがいずれ必ず手に入れてやる……!!』

 

 こうして、ミズガル王国に再びムスペル帝国の大部隊が投入されることが決まった。

 

 戦争は終わらない。

 強欲な皇帝の命によって戦渦はさらに拡大する羽目になった。

 

 

 

「気がかりなのは、リンダ姫が最初から王権を行使しなかったことだ。力を隠すためには出し渋った可能性もあるが、どうにも引っかかる……」

 

 皇帝との通信を終えたアウルゲルミル公爵は、唯一の気がかりに頭を悩ませる。

 

 それは、リンダ姫が最初から起動権を行使していなかったことだ。

 

 真実はフリッカが力を出し渋っただけなのだが、当然アウルゲルミル公爵はその事実を知る由がない。

 

「まあ、詳しいことは捕えれば自ずとわかるだろう」

 

 結局、アウルゲルミル公爵は答えに辿り着くことはできなかった。

 

「アウルゲルミル様。ミズガル王国についての調査について報告が……」

 

 丁度その時、アウルゲルミル公爵の下へ部下が報告に訪れた。

 

「ほう、何かわかったか」

 

 実は、アウルゲルミル公爵は部下にあることを調べさせていた。

 

 それは、無人鎧兵器(ヴァルキューレ)暴走の件。

 

 場合によってはフリッカの秘密と"スルト"の件が同時にバレてしまう問題だ。

 

 皇太子のシグムンドと同じく、アウルゲルミル公爵は無人鎧兵器の暴走に違和感を抱いていた。

 

 そして、報告によって暴走の原因となったフリッカと"スルト"の真実がついに——

 

「はい、ミズガル王国が所有している特殊型鎧兵器"ロキ"。かの機体の力によって意図的に暴走させられた可能性が高いとの分析結果が出ました!」

 

 

 バレることはなかった。

 

 

 幸いなことにミズガル王国にはフリッカの真実に辿り着くのに大きなノイズとなる要素が存在していた。

 

「なるほど。確かにレベル八以上の起動権を持つリンダ姫ならば特殊型鎧兵器の完全なる起動も可能だな」

 

 それが鎧兵器"ロキ"

 リンダ姫がシグルド達から逃げる時に乗っていたミズガル王家所有の特殊型の鎧兵器。

 

 実は、フリッカの介入がなくてもあの武力チートのシグルドから逃げ切ることができた可能性があるというかなりの性能を秘めた鎧兵器だ。

 

「ですので、ミズガル戦線において無人鎧兵器の使用は極めて危険です」

 

 そして、この"ロキ"の能力なら理論上無人鎧兵器を意図的に暴走させることも可能だった。

 

「……分かった。無人鎧兵器はミズガル戦線以外の戦線に投入せよ。代わりに、各戦線の有人鎧兵器と鎧兵器操縦者達をミズガル戦線に転属させて集めておけ!」

 

「かしこまりました。ただ、対ヴァン神国戦線のみ戦況がよろしくないのでそちら以外の戦力を転属させます」

 

「ヴァン神国か……アースガルズの後継を気取る面倒な国め。必ず奴等より先にスルトの力を確保せねば……」

 

 こうして、幸運にもフリッカは紙一重で誤魔化しに成功し、ムスペル帝国に本格的に目をつけられずに済んだのだった。

 

 

 




ただし、相変わらず復讐目的で十三家門の一角フルングニル家と個人的に武力チートのシグルドには命を狙われています……。

そして、次回からは主人公機が交代します!(まだ"スルト"じゃない)。

量産機のままだと復讐者シグルドで詰みますからね……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。