TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する 作:六畳仙人(ハーメルン)
新しい拠点カルナック基地に到着して数日。
私は、姫様に連れられ、基地の鎧兵器格納庫に来ていた。
「この機体を私にですか?」
そこには、一機の純白の鎧兵器が佇んでいた。
「鎧兵器"ロキ"。この鎧兵器ならフリッカが"スルト"に乗る日が来るまで貴女の力になってくれるはずです」
それは、私が今まで乗っていた量産機の"エインヘリヤル"より少し大きなミズガル王家の紋章が刻まれた清廉な騎士のような姿をした鎧兵器。
けれど、その性能は凶悪で、清廉さとはかけ離れた固有能力を秘めている。
「これ、王家が所有している機体ですよね?」
「いいのです。貴女は私の騎士ですから」
特殊型の鎧兵器はとても貴重だ。
ミズガル王国にもたった三機しか配備されていない。
特にこの"ロキ"は、軍ではなく王家が所有しているもの。
姫様はそんな貴重な機体を私の専用機にと託してくれた。
「それに、貴女の起動権ならこの鎧兵器の真価を引き出せるはずです。……戦場に出られない私の代わりにどうかこの鎧兵器の力を使って戦ってください」
「……分かりました。必ずこの機体を乗りこなしてみせます」
正直とてもありがたい。
高性能な特殊型鎧兵器なら、もう死んだけどシグルドみたいなヤバい奴と万が一戦闘になっても問題なく戦えるからだ。
まあ、流石に"フェンリル"のような規格外の敵なら逃げるか"スルト"に乗って戦うけども。
……とにかくだ。よろしくね、私の新たな機体。
「"星間謀略戦闘鎧兵器ロキ"。"スルト"に乗るその日まで、君の力を頼らせてもらうよ」
さて、王家所有の鎧兵器を託して頂いたのだ。私からも何か姫様にお返しの贈り物をしないと。
そう思い、私は用意していた物を姫様へと差し出す。
「一つ、私からも姫様に贈り物を……」
私が姫様へと手渡したのは、私の血で作った"血の触媒"。
これからも「姫様の御力」を当てにする私からの精一杯の贈り物だ。
「まあ、これは……」
「私の血で作ったレベル十の"血の触媒"です。きっと姫様の御役に立つと思います」
レベル十と聞いて姫様が驚きの表情を見せた。
まあ無理もない。なにせ前代未聞の力を持つ"血の触媒"だ。
これ一個で頑張れば小国を列強に数えられる大国にまで成長させることだって夢じゃない。
……この"血の触媒"目的で捕まったら、間違いなく生涯カブトガニみたいに血を搾り取られ続けそうだ。
「ありがとうございますフリッカ。その優しさと忠義に感謝します!」
どうやら、私の血の触媒は、姫様にもご満足頂けたようだ。
姫様が嬉しそうな笑みを浮かべる。
姫様の心を浄化してくれる微笑みに私も大満足だ。
そんなことを考えながら姫様の笑顔に癒されていると、突然、基地の指揮官の人達が慌てた様子でやって来た。
「リンダ姫殿下に御報告したいことが……」
「ムスペル帝国軍ですか?」
「いえ、帝国軍ではありません」
何やらムスペル帝国軍に関すること以外で厄介事が起きたらしい。
「……新たに発掘した鎧兵器を輸送していた浮遊輸送船が空賊に襲撃され配備予定の鎧兵器を全て奪われました」
「空賊ですか……」
「はい、世界各国の空や古代遺跡で略奪を繰り返す大空賊、ドレイク空賊団です!」
ふむ……どうやら、賊に輸送船を襲撃されたらしい。
それに、このまま賊を放っておくと、後方の兵站が不味いことになりそうだ。
これは意外と早く"ロキ"の力を試す機会が来たかもしれない。
「スルト、出撃しても問題はない?」
『"ロキ"との接続完了。
よし!いよいよ特殊型鎧兵器での戦闘だ。期待と緊張で胸が高鳴る。
「姫様、ここは私にお任せを!」
私はうきうきで姫様に進言した。
空賊。
それは、勝手に古代文明の遺産の艦を起動して空で暴れまわっている荒くれ者達。
その規模は大小様々だが、名の知れた空賊は国の軍隊でも対処に困る規模の戦力を誇っている。
そして、タチが悪いことに、空賊の中には戦争で滅びた亡国の貴族とその配下達といった高位の起動権を持つ人間が空賊に転身している場合もある。
今回ミズガル王国の輸送艦を襲った大空賊であるドレイク空賊団の船長もまた、訳あって高位の起動権を持つ人間だった。
「船長!今回は鎧兵器が十五体も手に入りましたぜ!戦争のせいで護衛も碌に付いてねえしこりゃガッボリ儲けられそうだぜ!」
空賊団の艦隊旗艦の艦橋では、空賊達が勝鬨の雄叫びをあげていた。
今回襲撃したミズガル王国の輸送船が運んでいた鎧兵器を全て奪うことに成功したからだ。
おまけに、ムスペル帝国との戦争のせいでミズガル王国軍は輸送船の護衛にあまり戦力を配置できておらず、空賊達は殆ど犠牲を払うことなく略奪に成功していた。
「今のところはムスペル帝国相手に持ち堪えているようだが、ミズガル王国もそう長くは保つまい。……俺のいた国と同じようにな」
当然、ドレイク空賊団は戦争の混乱に乗じるつもりでいた。
戦争中は、国は空賊相手に戦力をあまり割くことができない。
特に、ミズガル王国の戦争相手は世界最強の軍事国家ムスペル帝国だ。
ミズガル王国の現状を考えると、頑張っても精々駆逐艦数隻か戦闘母艦一隻を送れるかどうかといったところ。
艦隊規模の戦力を誇るドレイク空賊団ならその程度の戦力を簡単に殲滅できる。
そう考えて、空賊団を率いる船長のドレイクは、わざわざミズガル王国の領空での略奪に来ていた。
滅びゆく国から奪えるだけ奪うために。
「野朗共!戦争に乗じてもう一儲けするぞ!!」
なお、この後には兵站に手を出されて激怒した姫様が、次元断層で守られた戦闘母艦と完全に力を引き出された特殊型鎧兵器と『星系の炉心』を起動した鎧兵器部隊を率いて討伐しにやって来ます……