TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する 作:六畳仙人(ハーメルン)
「敵艦隊捕捉。駆逐艦十一、戦闘母艦三、弩級戦艦一です」
「次元断層障壁展開。艦首主砲へのエネルギー装填開始」
現在、私は姫様と一緒にドレイク空賊団の討伐に来ている。
投入戦力は"フリングホルニ"一隻。
とはいえ、"フリングホルニ"の中にはケルムト前線基地を収納しているから、実質的には基地一つ分の戦力で来ていることになる。
正直賊相手には過剰戦力だと思う。
「敵旗艦に通信を繋いでください。交渉に応じるなら事を穏便に済ませましょう」
「通信……繋がりました!中央に投影します!」
姫様が交渉のために空賊の旗艦との通信を繋いだ。
まあ、交渉に応じることはないだろう。
『何の用だ?……ほう、これはこれはミズガルのお姫様じゃないか』
投影された映像に現れたのは、意外と清潔感と気品のある髭を生やした男だった。
どこかの国の貴族と言われてもあまり違和感はない容姿をしている。
「ミズガル王国第一王女、リンダ・ミズガルの名において用件を伝えます。輸送船と積んでいた鎧兵器を今すぐ返しなさい」
『そいつはできねえ相談だ。鎧兵器は俺達が有効活用するからな!んで、どうする?』
ただ、口調はかなり粗暴なものだった。
そして、交渉もあっさりと決裂した。
明らかに空賊側はこちらの戦力を舐め腐っている様子だ。
「ならば、実力行使です。力尽くで奪い返します!」
『たかが一隻で何ができるか楽しみだ。安心しな。姫様とその隣の銀髪の騎士様は殺さないでやるからよ!』
空賊の首領が姫様に対して値踏みするような下卑た視線を向ける。
どうせ捕らえた後のことでも考えているのだろう。下衆が。
おまけに、野朗は私の方にも舐め回すような視線を向けて来やがった。
殺す。
「……お願いしますフリッカ」
通信を切った後、下卑た視線に晒されて疲弊した様子の姫様が私に指示を出した。
「お任せください姫様。すぐに賊滅してきます」
姫様とあとついでに私にも下卑た視線を向けたから、空賊は不敬罪で全員即刻死刑に処してやろう。
戦争中に略奪に来る空賊には人権なんてないからね。
『鎧兵器発着口解放、射出口の誘導灯点灯完了。いつでも出撃可能です』
「了解!フリッカ・アース、"ロキ"、出撃します!」
殺意と共に機体を加速させ、凄まじい速度で射出口を直進する。
"ロキ"の乗り心地は申し分ない。
加速もいい感じだ。
この感じだと、出力は"エインヘリヤル"より上だろう。
武装も確認した限り"エインヘリヤル"より高性能だ。
さーて。
それじゃあ、特殊型鎧兵器での初戦闘楽しませてもらおうか。
「情報遮断装甲起動」
さあ、見せてやろう空賊共。
私が乗った特殊型鎧兵器の圧倒的な性能というやつを!
『お望みのままに。これより戦闘を開始します』
蹂躙開始だ。
交渉が決裂すると、空賊達はすぐさま鎧兵器を戦闘母艦から続々と発進させていた。
その数およそ三十機。
かなりの大部隊だ。
「ぐへへ、王国の姫様可愛かったなあ」
その大部隊の中の一人。
空賊の鎧兵器操縦者の男は、鎧兵器の操縦席の中で先程見たリンダ姫とフリッカのことを思い出しながら下卑た笑みを浮かべた。
『俺は隣にいた銀髪の騎士の方が好みだな。あー、あの澄ました顔歪ませてえ〜』
『俺も俺も!よーし、早くあの艦制圧して楽しませてもらおうぜえ!』
「げへへ……」
空賊達は皆、早くも制圧した後のことを考えていた。
敵は戦闘母艦一隻のみ。
おまけに、艦内には美しい姫とその護衛の女騎士という極上の獲物がいる。
自分達で使って楽しむもよし。
奴隷として高値で売り払うもよし。
どちらにせよ、愉しみで仕方のない獲物だ。
「待ってろよリンダ姫様ァ……今、そっちに行くからなあ……!!」
捕らえた後はどうしよう。
まずは、嘗め回すように全身くまなく見て堪能して、それからその肢体を余すことなく——
そんな身の毛がよだつ邪な想像に胸を躍らせて、男は自身の乗る機体を発進させた。
空賊達は皆疑っていなかった。
誰もが皆、今日は間違いなく最高に幸運な日だと——
そう、思っていた。
「うん?戦闘母艦から鎧兵器が出て来たな」
男の索敵レーダーが一機の鎧兵器の接近を伝える。
その鎧兵器は、通常の量産型の鎧兵器とは異なる鎧兵器だった。
まるで白騎士のような清廉さを感じる機体。
その機体が眩く輝く青い魔力の光を放ちながら、凄まじい速さでこちらへと迫って来た。
「……来やがった!」
男は慌てて敵の白い鎧兵器を捕捉し迎撃する。
味方機も続々と白い鎧兵器を撃ち落とすため、全機バラバラに追撃を開始した。
だが、敵の白い鎧兵器の機動力は高く、瞬く間に機体カメラの観測範囲外に出てしまう。
完全に見失ってしまった。
「どこだ……どこに行きやがった……」
慌てて白い鎧兵器の機影を必死に探す。
だが、カメラには全く映らず、レーダーにもまるで反応がない。
「……手柄は独り占めしたかったが仕方ない」
仕方なく、男は一度仲間の空賊達の機体と連携して敵の白い鎧兵器の行方を追うことにした。
「おい、敵鎧兵器の位置を教えてくれ!」
『……』
ところが、通信が全く繋がらない。
味方からの応答もなく、声一つ聞こえてこない。
「……おかしいな。通信が繋がらねえ」
男は原因不明の通信不良に男は訝しんだ。
だが、その時だった。
突如、敵の白い鎧兵器の姿が再び機体カメラからの映像に映し出された。
その姿は、紛れもなく先程見失った機体だった。
「……!今度こそ!!」
男は敵を再び見失わないように細心の注意を払う。
幸いたことに、敵の白い鎧兵器は先程とは違ってあまり速度が出ていない。
おかげで見失う心配がないことに男は安堵する。
そして、悠々と飛び回る敵の白い鎧兵器に焦ることなく照準を合わせると男は思いっきり引き金を引いた。
「堕ちろ!!」
男の鎧兵器が放った弾丸が白い鎧兵器を貫いた。
間違いなく、貫かれ、爆散する様子が機体カメラからの映像として操縦席に写し出される。
その映像を見て、男は敵を撃破したことを確信し、喜びを爆発させて叫んだ。
「よし、こいつは俺の手柄——」
それが、男の最後の言葉になるとは知らずに。
瞬間、男の機体は、他の空賊——
『命中!!……あれ?』
そして、男の機体を爆散させた空賊の機体もまた、他の仲間の機体に撃ち込まれた弾丸によって跡形もなく爆ぜた。
実は、男が撃ち落としたのは敵の白い鎧兵器——"ロキ"ではなかった。
"ロキ"だと誤認した味方の鎧兵器だったのだ。
そして、男の機体を撃ち落とした味方機もまた、男の機体を"ロキ"だと誤認して撃ったのだった。
次々と空賊達の機体が撃墜されていく。
敵の白い鎧兵器と誤認した味方機を撃ち落とし、味方機に白い鎧兵器と誤認され撃ち落とされるという最悪の連鎖が続いた。
空賊艦隊の旗艦の艦橋から、船長のドレイクは惨劇が起きた瞬間を確かに目撃した。
突如、鎧兵器達が味方の機体に向かって発砲し合い自滅していくという理解不能な光景。
空賊の仲間の鎧兵器達は、皆一様に、まるで味方機を敵機のように誤認して執拗に攻撃を続けていた。
そして、三十機もいた鎧兵器達は瞬く間に数を減らしていき、最後に残った一機が突如、虚空から放たれた不可視の魔力砲に貫かれたことによって全滅してしまった。
レーダーにも反応はなかった。
旗艦のカメラには何も映っていなかった。
各種センサーも何の反応も示さなかった。
艦橋から肉眼で視認した限りでも、敵影はなかった。
だが、確実に敵は何らかの攻撃が行われていた。
敵はいつの間にか発進し、いつの間にか戦場に到達し、いつの間にか攻撃を仕掛けていた。
船長のドレイクには、そうとしか考えられなかった。
情報遮断装甲——機体のあらゆる存在情報を世界から完全に遮断することで、目視を含めたあらゆる観測手段を無効化する完全なステルス状態へと至らせる特殊な装甲に守られ隠蔽されている鎧兵器"ロキ"。
その操縦席の中でフリッカは特殊型鎧兵器"ロキ"の素晴らしい性能に対して満足げな笑みを浮かべた。
「鎧兵器の操縦者は、通常、密閉された操縦席の中で鎧兵器のカメラが捉えた映像、各種センサーや索敵レーダーから得られた情報等を頼りに外部の様子や敵の姿を把握している」
今回、フリッカは出撃こそしたものの敵は一機しか直接撃ち落としていない。
なにせ、敵機三十機の内二十九機はロキの能力のせいで味方同士で自滅してしまったからだ。
「じゃあもしも、
特殊型鎧兵器"ロキ"。
その固有能力は『情報操作』。
「一体いつから、君達は操縦席に表示された情報が正確なものだと錯覚していたんだい?」
仮にも姫の騎士が乗る鎧兵器とは思えない凶悪な能力を誇っている。
「流石は古代アースガルズ文明が作り出した謀略兵器だ……惚れ惚れするよ」
もっとも、フリッカはこの能力を相当気に入ったようで……
「さて、そろそろ親玉の首を取りに行こうか。ちなみに迎撃は無駄だよ。だって、カメラに映し出される機影も、各種センサーや索敵レーダーの反応も……それらが示す私の乗る"ロキ"の情報も全て——」
操縦席でゲス顔で嗤っていた。
「
クズ対クズの戦いはより強いクズが勝つ……自然の摂理ですね()
次回は特殊型鎧兵器対特殊型鎧兵器のトンチキ超兵器バトルの予定です。