TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する 作:六畳仙人(ハーメルン)
フリッカの操る"ロキ"が、六十四機の"ドラウプニル"の複製体による攻撃に襲われる。
だが、フリッカは『
「ほう、中々の腕前じゃねえか」
"ドラウプニル"本体に乗るドレイクは、フリッカの技量に関心した。
王国の姫に特殊型の鎧兵器を任されているだけのことはある。そう素直にフリッカの操縦者としての腕を認めた。
「だがなあ!一人で頑張ったところで結局数に押し潰されて終わりなんだよお!」
"ドラウプニル"の攻撃が激しさを増す。
本体も参戦し、計六十五機の鎧兵器による集中攻撃は流石のフリッカでも対処に苦労する。
「俺のいた国がそうだった。特殊型鎧兵器も一機しかなく、軍隊の数も少なかった力無き少国だった祖国は帝国の大軍に瞬く間に滅ぼされた!」
"ドラウプニル"の数の暴力に押され始めたフリッカの"ロキ"の姿を見ながら、ドレイクは咆哮する。
「俺一人の力では抗うことすらできなかった。"ドラウプニル"の物量なんて比にならない何百もの無人鎧兵器、おまけに一騎当千の力を持つ特殊型鎧兵器を複数も投入されて簡単に蹂躙されたのさ!」
かつて、ドレイクは貴族だった。
"ウトガルド"という名の小さな国で優秀な鎧兵器操縦者として活躍していた。
けれど、その国はムスペル帝国に侵略され、滅ぼされた。
彼の祖国の名は、地図から完全に消されてしまっていた。
「帝国に滅ぼされた国がどうなるか知ってるか?帝国の属領になるんだ。そして、国を裏切り滅亡の手助けをした連中にのみ少しだけ美味い汁を吸わせ、残りの起動権を持つ人間は本国へと連れて行き、起動権を持たない人間は隷属させられ死ぬまで富国強兵の為にひたすら奉仕させられる!」
この世界ではありふれた悲劇の話だ。
力無き国が大国の圧倒的な力に踏み潰され蹂躙されることは、この世界ではよくあること。
古代文明の遺産のおかげで無駄に技術だけ異常に発達し、倫理観や道徳観念の発展がまるで追いついていないこの世界での残酷な現実だ。
「そうして、荒廃した大地で僅かに生まれる果実を根こそぎ奪われるためだけに生かされ続ける地獄が待っているんだ!お前達の国、ミズガル王国も間も無くそうなる!」
国を滅ぼされ、空賊に身をやつした日のことがフラッシュバックしたのか、ドレイクは突如狂気的に笑いだした。
「だからよお……その前に俺が少しばかり奪っても何の問題もないよなあ!特に、帝国の奴等が欲しがりそうなおたくの姫様を手に入れたら連中への嫌がらせもできて清々するってもんだ!」
堕ちた男の操る機体"ドラウプニル"。
かつて、国を守るために授かった力をドレイクは奪うために行使する。
なぜなら、もう守る国もなく、守るために力を使うことももう二度とできないのだから。
「トドメぇ!」
その"ドラウプニル"複製体六十四機。そして、本体の計六十五機が一斉に"ロキ"に向かって狙いを定める。
「覚えておけ。この世界はなあ、
「お断りだね」
瞬間、全六十四機の複製体の内三十機に
「……!何しやがった!」
何が起きたか分からずに、ドレイクは困惑する。
『
「情報遮断型誘導追尾弾……目視やレーダーでの観測不可の極超音速必中兵器。これが最初からあったらシグルド相手でも苦戦しなかっただろうなあ」
その攻撃は、ロキが搭載していた三十発の不可視の誘導追尾弾によるものだった。
ドレイクが困惑するのも無理はない。
何せ、見ることも探知することも不可能なこの兵器は、余程の超感覚でもない限り着弾するまで感知できない兵器なのだから。
「さて、物量差を圧倒的な力で覆して、あのクソ髭野朗にはたっぷり絶望をプレゼントしてあげよう」
複製体の数が一気に半分近くに減少する。
だが、フリッカは無論容赦しない。
「同じく観測不可能な二十四機の情
"エインヘリヤル"に搭載されている倍の数の計二十四機の
端末型攻撃武装はただでさえ脅威的な兵器だ。
縦横無尽に空を飛び回り、全方位から理不尽な攻撃を仕掛けてくる。
それが、レーダーにも映らず、機体カメラでも捉えてられず、砲撃した瞬間に閃光が煌めくまで位置を把握できない完全ステルス状態で運用されたら一体どうなるだろうか。
答えは簡単だ。
超常的な感覚で完全ステルスの二十四機の位置を把握し続けるか、あるいは放たれた瞬間の煌めきに咄嗟に反応し、光速で迫る砲撃を反射で避けなければ即死するクソギミック兵器と化すのだ。
"ドラウプニル"の複製体が、次々と虚空から放たれた魔力砲に撃ち抜かれ爆散していく。
"ドラウプニル"本体や、複製体に乗っているドレイクは優秀な鎧兵器操縦者だ。
だが流石に完全ステルスの二十四機のビット兵器に対応するのは無理だった。
なにせ、虚空で光が輝くと同時に複製体が爆発するのだ。
回避しようにも回避の仕方などわかるはずがない。
加えて砲撃の威力も圧巻だ。
フリッカが乗っているせいで"ロキ"の出力は大幅に上がっている。
なので、"ロキ"の砲撃を防御するなら次元断層障壁でも持って来ない限り貫通されてしまう。
展開した出力不足の防御壁は、薄い紙切れのように軽々と貫かれた。
特殊型鎧兵器同士の戦いは、いわばクソゲーの押し付け合いだ。
シグルドのような存在に操縦技術で覆される例外の場合もあるが、殆どの場合はその兵器が持つ固有の力による理不尽さが上回った方が勝利する。
そういう意味では、今回の戦いはフリッカと"ロキ"の方が圧倒的に理不尽さでは格上だった。
「馬鹿な……複製体が全滅などと……」
"ドラウプニル"の複製体が全滅した。
六十四機という圧倒的な数の暴力が、ステルスチートによって蹂躙された結果だった。
「はい、私の勝ち」
最後に、フリッカは"ドラウプニル"本体を捕獲するために"ドラウプニル"の四肢を削ぎ落とす。
そして、"ドラウプニル"本体に乗るドレイクへと通信を繋いだ。
「悪いね。私には力があるんだ。物量差を覆せる力がね」
フリッカは戦いの勝者として、ドレイクの論理を破綻させたことを宣言した。
散々煽られたことに対する、ちょっとした意趣返しだった。
「……だから、私は何も奪われないよ。
それは、戦闘中にドレイクが語った話を聞いて改めて思ったことだった。
これから戦うムスペル帝国軍との戦いでは、今回以上に質でも量でも圧倒されることになる。
それでも守るために戦いに勝利することをフリッカは誓う。
もう何も失いたくない。
何一つ奪われたくない。
例え"スルト"に乗ってでも。
例え黄昏の日が訪れるとしても……
国を滅ぼされたドレイクの話を聞いて、フリッカの中で"スルト"に乗る必要があるという思いがいっそう高まった。
「……俺の負けだ。どうやら俺の力では、お前達からは何一つ奪えないようだ」
その通信を聞いて、ドレイクはミズガル王国側へと降伏した。
今回の話書いてたら、なんかいつの間にか髭のおっさんの尊厳が破壊されてた……