TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する 作:六畳仙人(ハーメルン)
——ミズガル王国制圧作戦を開始せよ!!
皇太子シグムンドの厳かな声が通信で響き渡ると、ムスペル帝国の大艦隊が一斉に移動を開始した。
本国からの増援により戦力の補充が完了したことで、ついに、ムスペル帝国軍がミズガル王国へ向けて再度侵攻に踏み切ったのだ。
帝国十三家門フルングニル伯爵家所有超弩級戦艦"ギムレー"もまた、先陣を切る帝国の再侵攻軍を率いる旗艦として、蒼空を切り裂くように突き進む。
その艦内では、父親をフリッカに殺され、新たにフルングニル家の伯爵となったフェーデ・フルングニルが、冷たい眼差しで部下たちに命令を下していた。
「聞け!我等フルングニル伯爵軍には、皇太子殿下より先陣を切り、ミズガル王国軍の重要拠点ヒルフォート基地を制圧する任務が与えられた。必ずやこの大任を果たし、父を殺したミズガル王国人共に裁きを下してやろう!」
彼等フルングニル家の軍隊の目的は、ミズガル王国の防衛拠点の一つヒルフォート基地の制圧だった。
ヒルフォート基地は、陥落したケルムト基地、フリッカ達が現在拠点としているカルナック基地、そして、フリッカの初陣の地ニューグレンジ基地と並ぶ王国の防衛を担う重要な拠点だ。
ゆえに、侵攻するムスペル帝国軍にとってこの基地の制圧は最優先事項だった、
「私も亡き父から受け継ぎし機体、"ノイ・ティルヴィング"で出る!全軍、攻撃を開始せよ!」
「かしこまりましたフルングニル閣下。艦隊各艦砲撃開始!鎧兵器部隊出撃せよ!」
フェーデ・フルングニルの命令と共に、フルングニル軍が戦力の展開、攻撃準備を開始した。
だが、その時だった。
「……!艦隊後方から迫る高速飛翔体を確認!」
「何だと!?」
一条の赫い流星が突如戦場に乱入した。
「邪魔だ、フルングニル軍……基地の連中はフリッカ・アースを殺す準備運動として俺が一人で片付ける!!」
それは、フルングニル軍にとっても予期せぬ事態。
勿論、乱入して来たのは療養部屋から脱走したシグルドだった。
ムスペル帝国第二皇子シグルド・ムスペルヘイムの独断の乱入。
その事態に基地を防衛するミズガル王国側も味方のフルングニル家側も困惑する。
『な、なんだか知らんがヒルフォート基地は落とさせんぞ!』
「ふん。俺の"ファフニール"の力を見てもそう言えるかな?」
しかし、乱入したシグルドは周りのことなどまるで気にも留めなかった。
シグルドの中にあるのは自身を倒したフリッカへ借りを返すことだけ。
今回の独断での戦闘への乱入も言葉の通りフリッカを確実に倒すべく、新たな機体の力を試すためのものだった。
「炉心出力限界突破開始……
シグルドが新たな機体——"ファフニール"へと命じた。
すると、その命令を合図に、機体に赤い筋が浮かび上がり、それらが血管のように脈打ち始めた。
「いいぞ"ファフニール"……もっと力を見せろ!」
さらに、浮かび上がった赤い筋から眩い赤光が溢れ、赤雷を伴った莫大なエネルギーが湧き上がる。
そして、機体全体が眩く光輝くエネルギーに包まれた。
シグルドの手にした新たな力。
"暴走戦闘鎧兵器ファフニール"の力がついに解き放たれた。
「食い散らかすぞ……"ファフニール"!!」
ファフニールの機体出力が大幅に上昇し、その巨躯から発生した莫大なエネルギーが赤雷と共に周囲に波及する。
ソレは、敵味方問わず、戦場にいた者全員に恐怖の感覚を抱かせるものだった
この日、たった一機の鎧兵器の力によって、王国の重要拠点ヒルフォート基地の王国軍は壊滅した。
「"フリングホルニ"発進準備完了。『星系の炉心』出力上昇……星間航行エンジン始動します!」
「
拠点のカルナック基地から"フリングホルニ"が発進する。
数時間前、突如として王国の重要拠点ヒルフォート基地からの通信が途絶えたからだ。
ついに、ムスペル帝国軍が再侵攻を開始したらしい。
『報告によると、ヒルフォート基地は未知の特殊型の鎧兵器の襲撃を受けたそうです。……気をつけてくださいね、フリッカ』
「分かりました姫様。では、フリッカ・アース出撃します!」
姫様からの御言葉を貰い、次元跳躍移動を終えた"フリングホルニ"から出撃する。
未知の鎧兵器……。
果たして敵は、どれぐらいの強さなのか。
"ロキ"で対応できるのか、あるいは——"スルト"に乗る必要があるのか。それを見極めないといけない。
まだ、少しだけ"スルト"に乗ることを恐れている自分がいる。
"スルト"に乗るということは、星を簡単に滅ぼせる核兵器のスイッチを持っていることを世界中に周知させるようなもの。
やはり、そう簡単に吹っ切れて覚悟を決めることはできなかった。
あんなに姫様にお世話になったのに、とても申し訳ない気持ちで一杯になる。
「それでも私は、姫様とこの国を守るためなら……」
『フリッカ様、敵艦隊を確認しました』
なんて少し考えている間に、ヒルフォート基地の上空に到着した。
操縦席にヒルフォート基地の様子と敵軍の姿が映し出される。
基地の方は酷い有様だ。
主要な基地施設は根こそぎ破壊されていた。
そして、基地の上空には、とても見覚えのある帝国貴族の紋章が刻まれた艦隊が陣取っている。
因縁ある帝国十三家門のフルングニル伯爵家の軍隊だ。
『フリッカ様。ミズガル王国軍に対して敵艦隊から通信が発せられています』
「……繋いで」
敵艦隊からの通信。
おそらく、艦隊を率いる新たなフルングニル伯爵からのものだろう。
どうせ、この後父親と同じように殺すんだ。なら、一応その顔だけは拝んでおこう。
そう思って敵との通信を繋いだ。
『通信映像出します』
そして、通信映像が投影された。
けれど、そこに映っていたのは予想外の人物だった。
『俺はムスペル帝国第二皇子、シグルド・ムスペルヘイムだ!
……は????
その通信には、かつて殺したはずの武力チート野朗——シグルドの姿が五体満足で映っていた。
……これは夢だ。爆散したシグルドが生きているはずがない。
けれど、現実は無情だった。
『お前に敗れた借りを今日こそ返してやろう!今から出撃するから待っておけ!』
相変わらず、生きていて元気そうな声が通信映像から響き渡っている。
「……ねえ、何でアイツ生きてるの!?」
『"グラム"の爆発に巻き込まれたシグルド・ムスペルヘイムの生命反応から後に死亡する確率はおよそ
「そこは死んでおけよ!!」
通信によって判明した、武力チートシグルドのまさかの生存。
それは、これ以上ない最悪の知らせだった。
『敵旗艦から鎧兵器が発艦しました。機体識別……"暴走戦闘鎧兵器ファフニール"です』
"スルト"に乗るか乗らないか。
それを迷っている暇もなく、私は再びあの武力チートのシグルドと戦うことになってしまった。
ちなみに、フリッカは"ロキ"のステルス状態で接近していたので普通なら絶対に気づかれません。
何でシグルドは来ているのわかるんですかね()