TS厄ネタ血統チート転生者、古代文明の遺産の人型超兵器で無双する 作:六畳仙人(ハーメルン)
追って来る武力チートのシグルドが操る無敵に等しい状態の"ファフニール"から六百秒の間、単騎での逃走は限りなく不可能に近い。
「とはいえ、あの無敵化シグルド相手に援軍貰ってもすぐに全滅させられそう……」
一応"フリングホルニ"には『星系の炉心』を起動した"エインヘリヤル"で構成された三十機の鎧兵器部隊が待機している。
無論、搭乗する鎧兵器操縦者達も皆精鋭だ。
とはいえ、今のシグルドが操る暴走し無敵状態の"ファフニール"相手では瞬く間に全滅させられてしまうのは目に見えていた。
「通信繋いで」
仕方なくフリッカは通信を発することを決めた。
『かしこまりました。すぐに"フリングホルニ"へと通信を——』
「いや、そっちじゃないよ」
"スルト"が援軍要請をするのかと思い"フリングホルニ"へと繋ごうした。
しかし、フリッカは援軍要請ではないからと違う方に繋ぐよう指示を出す。
「通信は敵艦隊旗艦——フルングニル伯爵家の戦艦にだよ。色々思うことはあるけど、とりあえず時間稼ぎに使えそうな
フルングニル伯爵家所有超弩級戦艦"ギムレー"。
その艦橋では、シグルドの命令で待機させられていたフェーデ・フルングニルがとても不服そう玉座のような椅子に座っていた。
相手は帝国の第二皇子。
いくら帝国十三家門の伯爵家の当主といえど命令には逆らえない。
結果、父親の仇討ちの機会を失い、フェーデは失意のどん底にいた。
「むう……」
その時、突如通信が入った。
「ミズガル王国軍から通信です」
「……繋げ」
シグルド相手に絶望しての降伏宣言かと思ったフェーデの命令で通信が繋がる。
すると、そこにはミズガル王国の騎士服に身を包んだ銀髪の少女の姿が映し出された。
『やあ、フルングニル家の皆さん。私の名前はフリッカ・アース……君達の先代当主、アロガンツ・フルングニルを殺した張本人だよ』
「フリッカ・アースだと!?」
通信相手の名前にフェーデを含め、フルングニル家の人間達が一斉に反応した。
なにせ、フリッカ・アースという存在は、先代フルングニル伯爵を殺した、フルングニル家が最も殺したいと思っている憎き存在だからだ。
『それにしても、仇が目の前にいるというのにシグルド任せで引き篭もっているなんて、フルングニル家はとんだ腰抜けの集まりのようだ』
さらに、通信越しにフリッカがフルングニル家に対する侮辱とも取れる言葉を吐いた。
『違うと言うなら出て来て戦いなよ。戦場で待っていてあげるから』
フリッカが発したその通信は、完全にフルングニル家の軍隊に対する挑発だった。
「……!!すぐに"ノイ・ティルヴィング"で出撃する!鎧兵器も全機出撃だ!」
フェーデの命令は即座だった。
しかし、その命令に部下の一人が躊躇いを見せる。
「し、しかし、シグルド殿下からは待機していろと……」
「ここまで父上の仇にコケにされて、黙って見ていろと言うのか!」
フリッカの挑発は、フェーデに皇族の命令を無視させるほどフルングニル軍に効果覿面だった。
「"ノイ・ティルヴィング"出撃!憎きフリッカ・アースをこの手で始末してくれる!」
かくして、フリッカとシグルドの一対一の戦いは、フルングニル軍をも巻き込んだ乱戦へと発展した。
そして、乱戦になったことでフリッカが操る"ロキ"の力が最大限に発揮されることになる。
『フルングニル艦隊から鎧兵器が多数発艦しました』
「敵機体への干渉は?」
『既に行っています。"ファフニール"の方を敵機だと誤認するように仕向けています』
帝国十三家門の一角、初陣で戦ったこともあるフルングニル伯爵家の鎧兵器部隊。
かつて、イルザとシュルドを殺された日と同等の戦力がこちらに向かってやって来る。
その中には、今でもはっきり覚えている、憎くてたまらない"ティルヴィング"によく似た機体——"ノイ・ティルヴィング"の姿まで存在していた。
初陣の時と異なるのは、無人鎧兵器が投入されていないことぐらい。
その他は、まるで、初陣の日の軍勢を再現しているかのようだった。
「……」
フルングニル伯爵にイルザとシュルドを殺されたフリッカにとっては、この軍勢を"ロキ"の力を使って利用するのは複雑な気分だった。
「……よし、連中には
それでも、"ファフニール"に乗る武力チートシグルドがヤバ過ぎるので、フルングニル軍を利用するしかないと割り切るしかなかった。
「……"フリングホルニ"へと通信を繋いで」
"ファフニール"と敵を誤認させられたフルングニル軍による同士討ちが始まる。
その隙に、フリッカは今度は"フリングホルニ"へと通信を繋ぐ。
「こちらフリッカ・アース。
「クソ!邪魔をするなフルングニル軍!」
シグルドは、突如待機命令を無視して出撃して来た上にこちらを攻撃してくるフルングニル軍に苛立ちを募らせていた。
"ロキ"の干渉を受けた鎧兵器は、人間で言うと五感全てを乗っ取られているようなもの。
ゆえに、仇討ちに燃えるフルングニル軍は何の疑いもなくシグルドが操る"ファフニール"の方をフリッカが乗る"ロキ"だと機体カメラ等の情報から誤認して撃墜しようとしていた。
「父上の仇ィ!!」
殺された父親の機体と同じ武装『必中魔力砲』を装備している"ノイ・ティルヴィング"。
その特殊型鎧兵器の操縦席の中では、フェーデ・フルングニルがようやく復讐を果たせると、憎しみの籠った目で照準を合わせ引き金を引き続けていた。
『必中魔力砲』は照準を定めた相手に必ず命中する武装だ。
だが、今回は照準相手そのものを誤認させられ、その必中の一撃は全て仇であるフリッカの操る"ロキ"ではなく、本来なら仕えるべき皇族のシグルドが操る"ファフニール"へ向けて放たれていた。
「ちい!こうなったら、一旦全機無力化するまで!」
流石に『必中魔力砲』が鬱陶しいと感じたシグルドは、味方ではあるものの一度フルングニル軍を無力化することを決意する。
このままフルングニル軍の横槍が入り続けては、"ファフニール"の暴走限界時間を迎え、フリッカを倒せないと考えたからだ。
「やるぞ"ファフニール"!!」
かつて、フリッカが五十機の無人型鎧兵器を暴走させることでようやく壊滅させることが出来たフルングニル伯爵家の軍隊。
その強大な戦力相手にシグルドが"ファフニール"単騎で突撃した。
シグルド&"ファフニール"対フルングニル軍特殊型鎧兵器+有人鎧兵器およそ百機(全機"ロキ"のせいで錯乱中)ファイ!
シグルド(武力チート)への恐怖>フルングニル家への憎しみ……になるのは流石だよシグルド……
とはいえこの囮の大軍なら暴走限界時間の六百秒を稼いでくれるでしょう……