プロローグ:お年寄りには敬意をはらえ
桜が咲き誇り、草木が芽生え始める季節。俺たちは文月学園への坂道を登っていた。
「遠くねぇか?」
俺の名前は
「まだ出発して10分も経ってないよ?」
俺の隣で学生鞄を背負うように持っているちっこいのは
「でも、この上り坂は少しきついわね」
俺たちの少し後方でそんなことをつぶやく女子は
「だよなぁ。毎日こんなところを通ると思うと、転校したくなるよなぁ」
「転校してきたばっかでしょうが」
「ぼくらはもう着いて行かないからね」
「ツッコミ冴えすぎだろ2人とも。もう春なのに冷たいねぇ」
「なんなのよ、そのテンションの高さ……」
「転校初日だからって浮かれすぎだよ」
そんなたわいもない会話をしていると、坂を登りきり、文月学園が見えてきた。
よく見ると、校門を少し過ぎた所に誰かいる。この時間に生徒はいないだろうから教師だろう。その人は俺たちが校門を抜けたあたりでこちらに気づき、話しかけてきた。
「ん?見ない顔だが……。もしかして、お前らが転校生3人か?」
「あ、は…はい……」
夏樹がしどろもどろになりながら答える。
無理も無いと思う。なんだこの人。2メートルはありそうな巨体に筋骨粒々の体躯。しかも強面。本当に教師か?グリーンベレーの少佐じゃないのか?
「そうか。俺は
「何ですか、この封筒?」
「学園の見取り図と学生証、それとその他諸事情が書かれたプリント類だ」
「わざわざどうもです」
「それと、学園長が呼んでいたぞ。見取り図を使って学園長室に行ってこい」
「「「ありがとうございます」」」
このことを言うためにここにいるのか?もしかして、見かけによらずいい人なんじゃ?
そんなことを考えながら、俺たちは学園長室に向かった。
☆
「わー、妖怪だー」
「失礼でしょ!」
「アンタ、転校早々いい度胸じゃないか……」
いや、正直なのは良いことじゃ、ってじいさんに教わったぞ?
俺たちがいるのは学園長室。で、今目の前にいるのは妖k―――もとい文月学園学園長にして『試験召喚システム』の開発者
「で?なんか用ですか?」
「ぼくらのクラスのことですか?」
「何でそんな横柄なのよあんたたち……。すいません学園長」
「ああ、あんたは良いよ。謝らなくても。そっちの2人は問題だがね」
「そんな!この品行方正容姿端麗な俺のどこが問題だって言うんですか!?」
「そんな発言をしている時点で問題児決定だね」
全く。やっぱり妖怪に人間の美的センスは分からないらしい。
「話を戻すよ。ここに呼んだのは、アンタたちのクラスのこと。それと、渡し物があるからだよ」
「え!金一封とか!?」
「ちょっと春真黙ってて」
「さすがに金一封は無理だけどね、代わりにコイツをやるよ」
そう言って学園長は机の中から金、銀、黒の腕輪を取り出した。
「これは試召戦争で役に立つ。1人1つ持ってきな」
「どうする?」
「ジャンケンで勝った順に金、銀、黒っていうのはどう?」
「そうね。それなら公平だし」
「んじゃ、ジャンケン」
「「「ポンッ」」」
俺…パー 夏樹…チョキ 遊星…パー
「それじゃ、私が金ね」
「なぁ、俺たちが夏樹にジャンケンで勝ったことあるか?」
「無い……ねぇ」
「き、気を取り直して!ジャンケン」
「「ポンッ」」
俺…チョキ 遊星…グー
「ぼくが銀だね」
「なぜだぁぁ!」
2回連続一発負けとか、ジャンケン弱すぎだろ俺。
「決まったかい?」
「はい」
「なら、早速アンタらはクラスに行ってもらうよ。アンタらはFクラスだからね」
「何でFクラスなんですか?」
「面白いからに決まってるじゃないか」
「生徒を何だと思ってんだアンタ!?」
「それと、これは腕輪の説明書さね」
「聞けよ!」
「ありがとうございます」
「時間も無いからさっさと行きな」
「はい。失礼しました」
「おい!まだ言いたいことがあるんだよ!引きずるな遊星!離せぇぇ!」