前はこんなんじゃなかったのに……。
伏線を張るってことがいかに難しいかわかりました。(ネタバレ?)
~Aクラス前~
「俺はここで暮らせる自信がある」
「ぼくも」
「暮らせはしないけど、快適そうね」
現在、俺たちはAクラス前にいる。
何なんだ、このバカでかい教室は。もはやホテルじゃないか。しかも、中にはリクライニングシートに個人用パソコン。ドリンクバーにお菓子。自慢じゃないが俺の家より豪華だ。
「あの人が担任だよね」
「そうみたいね」
「すっげー美人」
そして担任まで豪華だ。Aクラスの担任は髪の毛を後ろで結っている、知的な眼鏡が特徴的な女教師だった。校門の所で見た------えーっと名前何だっけ?……鉄人でいいや------とは対角にいるような
「そろそろ行きましょ。遅れるわよ」
「そうだな」
「そういえば、この学校ってクラスによって設備が違うらしいよ」
「そうなの?」
「そんなに心配することも無いだろ。Fクラスでも、せいぜい普通の机と椅子だろうからな」
「いや、それがさ……」
~Fクラス前~
「こんな感じです」
「「これは酷い(わね)」」
夏樹と一緒になって嘆く俺。
Fクラスは予想以上に酷いものだった。[2-F]とあるクラスプレートが折れかけの木の板でできているし、廊下側の窓が障子だ。あと、なんかカビ臭い。
「さすがにこれは……」
「教室とは呼べない……ねぇ」
「廃墟だ、廃墟」
まさに廃墟。そうでなかったらボロ家だな。
「これだけ酷いと、クラスの人たちも荒れてるんじゃない?」
「かもしれないね。ここは成績が悪い人たちがくる所だから」
「臆するな!俺についてこい!」
「わー。かっこいいコト言ってるのに冷や汗ダラダラで台無しだー」
「締まらないわねぇ……」
だって不良とか怖いもん。
「ともかく、そんなかっこいいコト言ったハルから入ってよね」
「いいだろう」
「じゃ、よろしくね」
「よしっ!それじゃ、失礼しm『早く座れ、この蛆虫野郎!』何だと!?」
転校早々イジメ!?イジメですか!?
俺に蛆虫野郎とか言ってきたのは、赤い髪をした男子生徒だった。赤い髪を逆立て、野性味あふれる顔と鋭い目をしていた。身長が高く、180はありそうだ。
「っと、スマン。人違いだった」
「ふざけんなこの野郎!人を蛆虫呼ばわりしといて軽すぎんだろコラ!名をなのれ!」
「いつの時代の人間だお前は」
「いいから名のらんかい!」
「
代表。すなわち、このクラスの最高得点者。と言えば聞こえはいいが、Fクラスの代表はそんなに威張れるものではない。
にしても、
「「お前どこかで見たことあるな」」
「あんたたち初対面なんでしょ?」
「そうなんだけどさぁ……」
「絶対見たことあるんだよな……」
どこだっけ?坂本……雄二……?うーむ。
「まあ、それは置いといて、だ。お前らの名前と成績書類を出せ」
「俺は佑野春真だ。書類はこれ」
「私は佐藤夏樹。はい、書類」
「天田遊星だよ~。書類ってこれだよね?」
「ふむ。佑野に佐藤、それと天田か」
「ぼくは遊星だよ」
「こいつのことは名前で呼んでやってくれ」
「わかった」
そう言って書類に目を通し始める坂本。
少し手持ちぶたさになった俺は教室を見回してみる。外観も酷いが、中も酷い。机が卓袱台て、椅子が座布団て、床が畳て。
絶対教育機関じゃないよねこれ。壁もボロボロだし、蜘蛛の巣張ってるし、キノコ(?)生えてるし!?
すると、坂本は途中で渋い顔をした。
「どうした?」
「いや、なんでもない」
また書類に目を通し始める坂本。その時、教室の扉が勢いよく開かれた。
「すいません、ちょっと遅れちゃいましたっ☆」
「早く座れ、この蛆虫野郎!」
「何でっ!?」
どうやら坂本の言う輩が来たらしい。文句を言ってやる。
「おい!お前のせいで俺まで蛆虫呼ばわりさ…れ……。明久?」
「え?アッキー?」
「春真!?遊星!?」
「……久しぶりだな。明久」
ギリッ「春真ぁ!」ドゴッ!
「がっ…!」
歯ぎしりをした明久に殴られた。教室の壁にぶつかり、教室にいた奴らが俺たちに目を向ける。
何で殴られたかって?そんなのわかってるさ。
「何やってんのアンタ!」
「お、おい明久!」
「待って」
「ゆ、遊星!?」
「何で止めるんだ遊星!」
「いいから見てて」
夏樹と坂本を止める遊星をよそに、明久が俺の胸ぐらを掴んでくる。
「春真てめぇ!何で逃げ出したんだよ!」
「逃げたわけじゃねぇ……とは言い切れねぇな」
「心配したんだぞ!僕も――――――姫路さんも!」
「……っ」
「それでのこのこ帰ってきたっての?ふざけんなよ!」
「そう、だな……。すまなかった」
「……過ぎたことを言ってもしょうがないか。僕も、殴ってゴメン」
「いいんだよ。元はといえば、俺たちが悪いわけだし」
「それも含めて、さ。全部許すよ」
「すまないな」
明久が手を出したので、それを掴んで立ち上がる。
……随分と強く殴ってくれたな。
「どういうこと?」
「説明しろ。明久」
「ぼくが説明するよ。ぼくらはね『えーっと、通してもらえますか?』アレ?」
遊星が説明しようとすると、冴えないおじさんが現れた。教師だよな。制服じゃないし、年が違うし。
「あと、席に着いてもらえますか?HRを始めますので」
「ん~。後で話すね」
手で『ゴメン』と表してから座る遊星。それに続いて俺たちも席に着いた。
席は決まってないらしいので、廊下側から3番目、1番後ろの席に遊星。その前に俺、さらに前に夏樹。廊下側1番後ろに雄二、その前に明久。雄二と遊星の間、夏樹の横はモブで、俺のと明久の間は空席。
つまり、
夏 モ モ ┃
┃
俺 空 明 ┃廊
┃下
遊 モ 雄 ┃
┃
―――――――――
壁
こんな感じ。
「えー、私はFクラスの担任になった――――――
先生が黒板(と言えるかどうかもわからないボロ板)に名前を書こうとして、手を止めた。チョークも無いのか、この教室。
「必要なものは極力自分準備するように。不備が出たら申し出てください」
『先生、俺の座布団の綿が少ないです」
「我慢してください」
『先生、窓が割れてて隙間風が寒いんですけど』
「我慢してください」
『先生、俺のちゃぶ台の足が折れてます』
「わかりました。ボンドの申請をしておきます」
なんて酷いんだろうか。不備を申し出たとしても我慢か自分で直せとは。これが最底辺クラスクオリティ。侮ってたぜ……。
「それでは自己紹介をしてもらいましょうか。窓側の人からお願いします」
やっと自己紹介か。……せめて、普通の人が多ければいいんだがな。
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