「それでは、窓際の人からどうぞ」
そう言われ、席を立つ生徒。
その生徒は、茶色の綺麗な目と髪をしていて、整った可愛い顔立ちをしていて―――――男子の制服を着ていた。
(いや、おかしいだろぉ!)
最初から奇天烈な奴かよ!なんで女子が男子の制服着てんだよぉぉ!
もうヤダこの学校!教室ボロボロだし、奇天烈な奴しかいないし、学園長妖怪だし!
「
そう声高々に告げ、席に座る木下。
男か……。良かっ……た?あれが俗に言う『男の娘』か。始めて見た。夏樹が顔を赤くしていたがどうしたのだろうか。そういえば夏樹の知り合いに『木下』って奴がいたらしいがあいつか?後で聞いてみるか。
次に立ち上がったのは、紫色の髪をした小柄な男子だった。目が半目になっているのが特徴的だ。
「…………
そう言ってスッと席に座る土屋。
……それだけ?え、終わり!?無口ってレベルじゃねぇぞ!せめて『よろしく』とか言えよ。
そのあと何人かモブが続き、女生徒が立ち上がった。赤い髪をポニーテールにしており、強気なつり目をしている。
「
帰国子女か。かっこいいな。ニコニコしてるし、目も強気な目というよりも……
「―――吉井明久を殴ることですっ☆」
「うぇぇ!?」
ハンターの目だな。明久がまさに『蛇に睨まれた蛙』みたいになっている。
明久。お前、かなり危険な状況にいたんだな。知らなかったよ。
って、次は明久じゃねぇか。何をぶちかましてくれるんだろうか。明久は立ち上がりコホンと咳払いをして、
「吉井明久ですっ!気軽に『ダーリン』って呼んでくださいねっ」
『『『ダァァリィィーーーン!』』』
野太い声の大合唱を引き起こした。
そういうノリの良さ……俺、大好きだぜ。
「失礼……。忘れてください……」
明久は顔を真っ青にしながら席に着いた。お前のバカは相変わらずだな。安心したよ。
次は俺たちか。俺もぶちかま……そうと思ったけどやめとこう。このクラスじゃ何言われるかわからん。普通でいいや。
最初は夏樹。
「佐藤夏樹です。よろしくお願いします」
『『『可愛いよぉぉーーー!』』』
「…………」ヒキッ
夏樹が自己紹介した途端、クラスの男子ほとんどが発狂しだした。ヤバイ、キモい、ウザイ。三拍子揃ってしまった。夏樹も顔を引きつらせて硬直している。
次、遊星。
「天田遊星で~す。よろしく~」
『『『可愛いよぉぉーーー!』』』
「えっ?」
また野太い合唱。なんで全く同じ反応をするんだこいつら。遊星は男だよ。
ラスト、俺。
「佑野春真です。1年間よろしく」
『なんだ、男か』
『お呼じゃねーんだよ』
『さっさと消えろ』
『というか爆ぜろ』
「こいつら……!」
自己紹介をした途端浴びせられた罵詈雑言。俺だけ反応違いすぎだろ。真面目にウゼェよこいつら。
その後も自己紹介は続き、あとは坂本だけとなった。
「それでは、次の人」ガラッ『すい…ません。遅れちゃいました……』
先生が坂本に自己紹介を促したその時。1人の女子生徒が息を切らしながら教室に入ってきた。
その女子生徒は、長く綺麗なピンク色の髪をしていて、幼さを残した整った顔立ちをしていた。転校してきた俺でもわかる数少ない人物。彼女の名は
「み……姫路」
「佑野君……?」
『何だ?どういうことだ?』
『よもや、あの転校生美形なだけではなく、我々のアイドル姫路嬢と親しい関係なのか?』
『そうなってしまった以上は仕方がない』
『『『我々が裁きを下すしかないな』』』
周囲から視線を感じるが無視。
「佑野……君っ!」
『『『「なぁぁぁぁっ!?」』』』
何か抱きつかれた!何で!?どうして!?訳がわからない!でも、
「悪く…ない……」
柔らかい……。いい匂い……。可愛い……。――――――はっ!殺気!?
首だけを使って周囲を見回すと、Fクラスの野郎どもがどっかの亡霊みたいになっていた。
『知り合い、と言うだけならまだしも』
『かなり親しい仲のご様子』
『ましてや抱きつくなぞ以ての外』
『その身をもって罪を償え』
『『『裁きを受けよっ!』』』
「遊星頼んだ!」
「おっけ~」
いきなり飛びかかってきた亡霊どもを遊星に任せて、姫路に向き直る。
……大きくなったんだな。色々と。
「とりあえず離れてくれ」
「嫌ですっ」
「いや、でもさ……」
「心配したんです」
「…………」
「すごく、心配したんですよ……?」
目から涙をこぼしながら姫路は俺に言ってきた。
返す言葉もない。姫路が言ってることは俺の過去のこと。忘れたくても忘れられない過去のこと。姫路の前から急にいなくなってしまったこと。謝ってどうこうなるものではないことはわかっているが、謝らないとならない。
「すまなかった……」
「……もう、どこにも行かないって約束してくれますか?」
「もちろん」
「じゃあ、許してあげます」
フフッと笑って俺から離れる姫路。不謹慎だが、ちょっと残念。
「こっちも終わったよ」
「ご苦労だったな」
「いやいや、ハルのためだから」
『……話進めませんか?』
福原先生のつぶやきは誰にも聞こえることはなかった。
~閑話休題~
先程の騒動も終わり、今は全員が席についている。……野郎どもがこっちを睨んできているが。
「それでは、坂本君。あなたが最後の1人ですよ。クラス代表ですし、前に出てはどうです?」
「了解です」
スッと立ち上がり、教壇に向かって歩いていく。教壇に辿り着き、口を開いた。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。代表でも坂本でも好きなように呼んでくれ」
「じゃあ、ゴリラで」
「……皆、この教室の有様を見て欲しい」
無視された。酷い。
教室の有様って……廃屋のこと?
「Aクラスは個人エアコンにリクライニングシートらしいが――――不満はないか?」
『『『「大有りじゃあぁっ!」』』』
この時、Fクラスの全員の心が始めてひとつになった。
「そこで、だ。この状況を打開するため……」
坂本はひと呼吸ため、
「試験召喚戦争を仕掛けたいと思う!」
戦争の引き金を引いた。
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