それではどうぞ。
『いたぞ!Fクラスだ!』
『最下位クラスめ!覚悟!』
『負けるな皆!突き進めぇー!』
『最下位舐めんなぁー!』
そんな声が廊下から聞こえてくる。
ついに試召戦争が始まった。独特のピリピリした雰囲気が何とも言えない。いやぁ、楽しみだなぁ。早く戦いたい。自分の力を試したい。だけど――――――
「補給試験畜生!」
「佑野君、試験中は私語は謹んでください」
「…………はい」
現在、俺と夏樹と遊星と姫路は補給試験を受けている。俺、遊星、夏樹は転校生なので点数がないから。姫路は途中退席で点数がないから、という理由だ。それにしても全教科補給はさすがに多すぎる。一応昨日のうちに2教科だけは済ませたが、残りは8教科。単純に考えて8時間。どう考えても今日中に出番はない。鬱だ。
「点p動くなよ……」
ちなみに今は数学を受けている。正直全くわからない。逃げ出したいが、先生がいるのでそれは無理だ。
そんなことを考えながらテストを解いていて、数学が終わったところで校内放送が入った。
『船越先生、船越先生』
「遊星。船越先生ってあの監督の先生だよな?」
「うん。そうだよ」
「これ、須川の声ね」
「言われてみればそうですね」
『吉井明久くんが体育館裏で待っています』
「「「「…………え?」」」」
『生徒と教師の垣根を越えた男と女の大切な話があるそうです。至急体育館裏までお越し下さい』
「すいません皆さん。少し用ができたので席を外します」
そう言って目にも止まらぬ速さで教室から出ていく船越先生。
「「「「…………」」」」
無言で顔を見合わせる俺たち。ま、まあ、明久もあんなの気にしないだろう『須川ぁぁーー!』……聞かんかったことにしよ。
ガラッ「次のテストを始めますので席についてください」
「「「は~い」」」
「3人とも酷くないですか!?」
「姫路……人の死を見てたら戦争には勝てないぞ……?」
「もっと非情にならなくちゃいけないんだよ……?」
「そうよ。吉井は死んだの。諦めなさい」
「まだ死んでませんからっ!」
『まだ』ということは死んでしまうと思っているのだろうか。俺は思ってるけどね!
~1時間後~
「「終わった~!」」
4教科目の英語も終えて、机に突っ伏す俺と遊星。
「さすがに疲れるわね」
「そうですね」
夏樹と姫路もさすがに疲れたようだ。2人を横目に前を向くと、明久が教室に入ってきた。
「……おい。顔が凄いことになってるぞ。ムンクの叫びみてぇ」
「hahaha……。何を言っているんだい春真。僕はこんなにenergischじゃないか」
「相当キテるなお前」
「あっきー、後ろから何かヤバいオーラ出てる」
「吉井くん。目に光沢が無いわよ……」
これが俗に言うレ○プ目って奴か……。船越先生……恐ろしや……。
そんな俺たちの言葉が聞こえていないのか、教卓の前にいる監督の先生のもとに向かう明久。
「先生、僕もテストを受けます……」
「は、はぁ……。どうぞ」
「「「「俺(ぼく)(私)もお願いします」」」」
明久のことはひとまず放っておこう。今はテストの方が先だ。
~放課後・2―F~
俺たちはテストも終わり、教室で待機をしているように命じられた。
「いいかお前ら!下校中の生徒に紛れて近づけ!個々ではなく、多人数で勝負を仕掛けろ!」
『おおーー!』
「坂本、俺たちは?」
「待機だ」
「そ、そんな!なんてご無体なことを、申し上げ奉るで候!」
「何語よ、それ……」
「ともかく、お前たちの実力はギリギリまで明かしたくないからな。Dクラス戦はお前たちは出さない」
「え~」
「えーじゃない」
「う~」
「行くぞお前ら!Dクラスを打ち取るぞ!」
『おおーー!』
オーマイガー。無視されてしまったよ。
そのまま坂本の合図で廊下を駆けていくFクラスの野郎ども。
「は……佑野君っ」
「ん?どうした姫路?」
「いってきますっ」
「…………」
「ハル、真顔怖い」
やべぇよ。可愛いよ。理性総動員だよ。上目遣いで胸の前で小さくガッツポースとか、ヤバカワ!
「佑野君?」
「……ハッ!ああ、いってらっしゃい」
「はいっ」
嬉しそうに笑って身を翻し、戦場に向かう姫路。その後ろ姿を手を振って送り出す俺。……あれ?絵づら逆じゃね?
「春真。気持ち悪いわよ……」
「そうか?」
「若干引くほどかな」
「マジか」
『Dクラス討ち取ったり!』
「帰るか?」
「そうね……」
「することもないしね」
そう言って俺たちは教室を後にした。