インフィニット・ネオス(パイロット版) 作:まゆはちブラック
そして、ウルトラセブン
異なる2つの作品が融合する、ハイスピードSFロマン!
──日本、
兵器としてはオーバーテクノロジーである
未来を担う若き女性たちが
「みなさん、揃ってますねー。それでは、
黒板の前に黒縁眼鏡をかけた小柄な女性教師が柔らかい物腰で声をかける。
容姿は生徒たちとそれほど変わらず、サイズが合っていないのかダボっとしており、本人の顔の幼さもあって、より幼く見える。
ただ、小柄な容姿に反して胸は大きく膨らんでおり、危険な魅力を醸し出している。
「私はこのクラスで副担任を務めます、
真耶はダジャレを交えて自己紹介をするが、全員、変な緊張感が包まれて、笑い声どころか反応すら返ってこない。
緊張をほぐすどころか逆効果になってしまっている。
「……じゃ、じゃあ、自己紹介を前から1人ずつお願いします……」
羞恥で顔が赤く染まった真耶はオロオロしながら自己紹介へと話を切り替える。
生徒たちは緊張しながらも出席番号順に自己紹介していく。始めはぎこちなさが目立ったが、次々繰り返していくうちに緊張感も解けていった。
「
「はっ、はいっ!?」
真耶に呼ばれ、名前を呼ばれた生徒は裏返った声ながらも低い声で返事して立ち上がる。
男性みたいな低い声ではあるが、当然だろう。
『
衝撃の事態から世間では瞬く間に動き、『世界初の
「えーと……織斑 一夏です。よろしくお願いします……」
一夏は周囲から向けられる興味の視線が気になりながらも、自己紹介をする。
自分の周りは女性だらけなので否応なしに緊張するものだ。
周囲の「まだか、まだか」と知的好奇心溢れる視線を感じながらも、何を話そうかとしばらく頭を悩ませた末に決まった第一声は────
「以上ですっ!」
強制終了だった。
がたたっと周囲から肩透かしの音が聞こえる。思わず椅子からずっこける女性生徒もいた。
一夏が呆けていると、その頭を後ろから叩く者が。
パァンと子気味よい音が響く。
「いっ!?」
──痛い。
いきなり何すんだ、と一夏は痛む後頭部を抑えながら涙目で振り向くと、黒スーツとタイトスカートに身を包み、スラリとした長身を持つ女性が出席簿片手に立っていた。
「げぇっ!?
彼女を見て驚く一夏だったが、質問を言い切る前に再度出席簿で頭を叩かれる。
織斑 千冬。苗字からお察しの読者の方もいるだろうが、彼女は織斑 一夏の姉で世界中にいる
「”げぇっ”とは何だ。それにここでは織斑先生と呼べ」
悶絶している一夏に淡々と告げると、織斑 千冬は真耶に代わって黒板の前に立つ。
「諸君、私が織斑 千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育て上げるのが仕事だ。私や山田先生の言うことはよく聴き、よく理解しろ。できない者にはできるまで指導してやる。逆らってもいいが、私たちの言うことは聞け。いいな?」
千冬はさながら軍隊の教官のような物言いで挨拶をする。
強気な姿勢に誰かしら反発するであろうが、ここでは違った。
『キャー―――!!』
教室では先程までの緊張はどこへやら。クラスの女性生徒は一斉に黄色い声で沸き上がる。
「ずっとファンでした!」
「私、お姉さまに憧れてこの学園に来ました!」
「あの千冬さまにご指導いただけるなんて光栄です!」
「嬉しくて頭燃えそうです!」
憧れの存在を目の当たりにして、思い思いに歓喜の声を漏らす女性生徒たち。
まるで推しのアイドルのイベントにきたファンのようである。
大喝采とは、まさにこのことを指すだろう。
そんな彼女らを前にして、千冬は呆れてため息を吐く。
「……毎年毎年、こうも騒がれると困るんだが……。どうして、私の受け持つクラスにはこうも馬鹿者ばかりなんだ?」
「きゃあぁぁーーー!!お姉さま!もっと叱ってー!罵ってー!」
「でも時には優しくして!」
「そして、つけあがらないようにジープで轢いて~~っ!!」
頭が痛い、とがっくりと肩を下ろす千冬に反して、クラスの女性生徒は更に声が沸き立つ。
彼女の1つ1つの所作が芸術品のように見えるのであろう。
静寂だった教室は熱狂巻き立つライブ会場へと変わっていた。
「やれやれ……幸先不安だが、責任もって面倒を見よう。次」
長く続いた声援も止み、千冬は次の生徒に自己紹介をするように促す。
「
立ち上がった生徒──元気は明朗快活に自己紹介をする。
そう、一夏だけでなく、この学園にはもう1人の男性操縦者がいたのだ。
周囲のプレッシャーに臆せず大きな声で話す元気に女性生徒だけでなく、一夏も一目置いた。
しかし、当の元気はまだ話し足りないのか話し続ける。
「ええっと!あと、好きな歌手は『よきに』で、好きな季節は秋で、好きな映画は『怪鳥バードン』!あと──」
「くどいっ!」
なおも自己紹介を続ける元気に耐えかねた千冬は出席簿を投擲する。
ゴスッと元気の額に命中させると、出席簿はブーメランのように千冬の手元に戻る。
額をゴシゴシ擦って、痛みを和らげようとする元気に千冬は言う。
「有り余る明るさと臆しない勇気はお前の長所だが、歯止めが効かないのは関心せんな」
「だからって投げなくていいじゃないですか~」
「それは自己責任だ」
涙目で訴える元気の言い分に耳も貸さず、千冬は切り返す。
この男、神楽 元気は名前の通り元気が良いのだが、いかんせん踏ん切りがつかない子供っぽさがある。千冬が妨害しなければそのまま喋り続けてただろう。
元気はぷぅと頬を膨らませながらも大人しく座る。
一難去って、また一難。
ひと段落ついたところで次の生徒が自己紹介をしようとしたとき────
ドォォォーーーンッ!!!
突然、強烈な衝撃音と共に地響きが走る。
窓が割れ、机は大きく揺らぎ、悲鳴が上がる。
しばらく続いた不安と困惑が渦巻く地響きが静まった後、生徒たちは割れた窓からグラウンドに煙が立っているのが見えた。
グラウンドにはぽっかりと大きな穴が開いていた。直径にして20メートルほどの大きな穴だ。
──隕石か、墜落機か?
そう思っていた矢先、穴の底から緑色の球体が浮かび上がったと思うと、閃光を発した。
「きゃあっ!」
「な、なに!?」
眩しい光に驚いた一同は悲鳴を上げる。
華々しい生活の幕開け、花の入学式かと思って浮かれていたら訳もわからない物体を前にした混乱するのは当然だ。
怪光が止み、困惑する一同が恐る恐る目を開くと、大きな丸い緑色の目が眼前に映った。
それだけではない。身長60メートルほどの巨体に白い甲殻類のような皮膚に黒い体、カニのようなハサミ状の三本の爪。
それはまさしく、宇宙からの侵略者だった。
「私はYY星系から来た、ザム星人だ。お前たち、地球人が持つ兵器──『インフィニット・ストラトス』を我々に寄越せ」
「”断る”、と言ったらどうする?」
「我々、ザム星の科学を持って、この星を侵略させてもらう」
「何だよそれ!?」
千冬の問いにザム星人は忽然とした態度で応える。
まるで生殺与奪権はこちらが握っているのだぞという上からの物言いに一夏は理解できなかった。
緊迫感詰まる状況に千冬はこちらを見下ろすザム星人の丸い目玉を睨みつける。
「随分、自信があるのだな……。お前が攻略できるほど、地球人は甘くないぞ」
「ハッハッハッ……」
────かかってくるのなら迎え撃ってやる。
自信に満ち溢れた態度で不敵に笑う。
校内に響き渡る低く不気味な声が周囲の人間を威圧する。
「あ、自衛隊だ!」
そうこうしていると、女性生徒がザム星人後方の空から6つの小さな光が空を切る音とともに迫ってきていることに気付いた。
その正体は
黒のアンダースーツの上に緑色の装甲を身に着けたその機体は露出度がありつつも身の丈以上の銃器を構えており、重圧な雰囲気を放っていた。
「攻撃、開始!」
侵略者を迎え撃つため、自衛隊隊長の合図とともに攻撃が開始される。
航空機用ミサイル、歩兵用ロケットランチャーが空を切り、ライフルの嵐が激しくうなる。
計6機の総攻撃にザム星人の身体から次々と火花が散る。
「ハッハッハッ……」
だが、ザム星人には全く効いてはおらず、むしろこの程度かと嘲笑っていた。
胸の発光体を光らせると、緑色の光線を小隊に向けて放った。
ドォォーーーンッ!!
唐突に放たれた光線に対処できるはずなく、1機のラファール・リヴァイヴが直撃する。
ラファール・リヴァイヴは燃え盛る炎と煙と共に近くの海へと不時着すると、強烈な爆発音を轟かせた。
その後も自衛隊は敵討ちを含めて、ザム星人を攻め続けるが、地球の科学力を超えたそれには敵わず、次々と撃墜していき、2分後には全滅した。
「自衛隊が……」
「全滅……」
目の前の状況に絶句する一同。
希望の光である自衛隊小隊が駆け付けたと思いきや、なすすべなく全滅させられてしまった……。
希望から絶望まで叩き落された衝撃は全員に動揺と恐怖を与え、女性生徒の中には涙を流す者までいた。
「ハッハッハッ……」
そんな彼女らなどお構いなく、ザム星人は緑色の目で校舎を捉えると、歩み始める。
ズシン、ズシンと大地を踏み鳴らし、校舎へと近付く。生徒たちにとっては、それは死へのカウントダウンそのものだった。
「……マズイッ!」
危機を感じた
急いで階段を駆け下りると、男性用トイレへ入る。
トイレの中は誰もいない。学園には男性生徒は元気と一夏以外いないので当然、ましてや非常時にトイレに隠れる人間などいないだろう。
元気は隙間に手を通し、胸元からカプセル状のアイテムを取り出す。
それは縦長の青色クリスタルが中央に位置し、上下の先端が尖った黄色のクリスタルでできた奇妙で不可思議な形状をしていた。
元気はカプセル───エストレーラーを右手に握ると、力いっぱい叫ぶ。
「ウルトラマン・ネオ――――スッ!!!」
掛け声と同時にエストレーラーを掲げると、元気は眩い光に包まれ、赤い球体へと変化する。
赤い球体はトイレの小窓から外へ出ると、校舎へと向かうザム星人を吹き飛ばした。
「グォオッ!?」
胸元から火花を散らしたザム星人は驚きの声を漏らすと、怯みながら後ずさる。
校舎にいる生徒たちは突如現れた赤い球体に「何だ何だ」と不安と動揺の声を口々に出していると、赤い球体が霧のように消え、巨大な人影が現れた。
球体から出てきた人影にザム星人と生徒たちは驚いた。
赤い球体から現れた人影の正体は銀色の巨人だった。
右手を突き上げ、左腕を肩に水平になるように曲げた姿勢をした銀色の巨人の胸元には青く光るカラータイマー、額には同じ輝きを持つクリスタル──ブロウスポット。
銀色の体表には、火星の赤い大地を彷彿とさせる赤いラインが走り、丸い乳白色の瞳と薄っすらと微笑んでいる口元は菩薩を彷彿とさせる。
これこそ、地球の大ピンチに神楽 元気がM78星雲の宇宙人と一心同体となり、変身した奇跡のニューヒーロー!『ウルトラマンネオス』!!
「ゥウウウ……!」
「シャアッ!!」
警戒して唸り声をあげるザム星人にネオスは腰を低く構えると、その場を駆け出す。
助走をつけたネオスは鋼鉄をも砕くその拳でザム星人の頭部に攻撃、殴り飛ばす。
大きく怯んだ隙に間髪入れず、緑色の目に蹴りを入れると、優れた身体能力を活かした蹴りのラッシュを叩きこむ。
「ヘァアァッ!」
「グォオォッ!?」
そして、雷鳴の如く素早いチョップ──ウルトラ・サンダーチョップを1発、2発と東部に繰り出す。
活力溢れる猛攻にザム星人は大きく吹き飛ぶ。
背中から倒れた衝撃はグラウンドを揺らす。
「……ウォォー!!ウォォーー!!」
───これでは敵わない。
そう判断したザム星人は起き上がると、天に向かって「出てこい」と叫ぶ。
すると、次の瞬間、青い光が宇宙から飛来すると、勢いよく海に着水する。
「ッ!」
ザッパァーーンと激しい水しぶきが舞い、ネオスが身構える中、巨大な影が姿を現す。
首長竜のようなフォルムに鉱石のような皮膚を持つ、胸元にはマグマのように燃えるクリスタルが灯っている。
ザム星人が使役する宇宙怪獣──ドレンゲランである。
「ギャヒィィーーーッ!!」
ドレンゲランは標的のネオスを視線に捉えると、金切り音に似た不気味な咆哮をあげる。
長い首を左右にしならせると、口から火炎を発射する。
「ヘァアァッ!!」
ネオスは右手をかざし、青い円形状の光の盾──ウルトラ・ライト・バリアーを展開する。
ごうごうと燃える火炎を防いだが、ネオスはドレンゲランに気を取られていた。
その隙をザム星人は逃さず、胸元から緑色の破壊光線を発射すると、ネオスの胸元に直撃した。
「ウゥアァッ!?」
「ハッハッハッ……」
火花を散らしたネオスは苦悶の声を漏らすと、両膝をつく。
苦しむ様に満足げに笑うザム星人はネオスの首を絞めるよう、ドレンゲランに命ずる。
ドレンゲランはプログラムを打ち込まれた機械のように正確に従うと、自身の長い尻尾をネオスに伸ばし、その首を絞める。
グギギ…と首が締め上げる音と共に圧迫感がネオスを苦しめる。
「ゥウウ……!ヘァアァッ……!」
何とか逃れようと詰まった声をあげながらもがくネオスだが、そうはさせないとザム星人の緑色の破壊光線が妨害に入る。
身体にぶつかる緑色の破壊光線に、締められる首……。援護もない2対1の不利な状況に追い込まれてしまった。
絶体絶命の状況に背中に悪寒が走る。そんな感触が強靭な肉体を持つネオスに焦燥感を生む。
「ハッハッハッ……」
「ギャヒィィーーーッ!!」
ザム星人とドレンゲランの勝ち誇った不気味な声がより大きく響く。
恐怖が生んだ空気か、それともネオスが死にかけているのか。誰にもわからないが、氷のように冷たく閉ざされた雰囲気が漂っている。
───このままでは!
心の奥から溢れる危機感にネオスは諦めず、粘り続ける。
そんな絶体絶命のとき──
ザシュッ!
「ギャヒィィーーーッ!!?」
宇宙から巨大な銀色のブーメランが回転しながら飛来すると、ネオスの首を拘束していたドレンゲランの尻尾を切断した。
切断された尻尾から伝わる痛みにドレンゲランは悲鳴をあげながらジタバタと怯む。
その拍子にネオスは拘束から解放される。
「!?」
───一体、何事だ!?
ザム星人が驚く間もなく、空から炎を纏った巨大な赤い人影がザム星人の隣を横切る。
体制を崩したザム星人が倒れると、降り立った巨人は赤い炎を消すと、ブーメランを頭部に収納し、全貌を露にする。
赤い身体に走る白いライン、西洋の甲冑を思わせるプロテクターと銀色の頭部。
頭部には宇宙ブーメラン──ヴェルザードが身体の一部のように収められている。
もう1つの奇跡!ウルトラマンネオスの相棒、『ウルトラセブン
「デゥワァッ!!」
セブン
ヴェルザードを頭部に戻したセブン
ザム星人は胸元から緑色の破壊光線を発射する。
妨害攻撃に対し、セブン
赤い足が轟音を鳴らし、ザム星人を吹き飛ばす。
「ウァァア……!」
コロリと頭から地面に倒れるザム星人。
着地したセブン
「フンッ!!」
相棒を援護すべく、両人差し指をくっつけて銃のような構えを取ると、指先から赤い光弾──フィンガーダーツを発射する。
連射する光弾はドレンゲランに確実にダメージを与える。
「ギャヒィィーーーッ!!?」
「ッ!ヘアァッ!!」
ドレンゲランが大きく怯んだ隙にネオスはアクロバティックに大きく一回転して跳躍すると、距離を取る。
ネオスとセブン
両拳を握り締めたネオスは縦にした左腕に右腕を交差させ、両拳を開くと同時に両手を胸の前で
「シャアッ!!」
「デゥワァッ!!」
すると、ネオスの両腕上部から
ウルトラマンネオスの必殺光線『マグニウム光線』、ウルトラセブン
「ギャヒィィーーーッ!!?」
「グゥアァ……!?」
高速で放たれる2つの光線を前にドレンゲランとザム星人は避けられるはずもなく、直撃した。
しばらく照射した後……
ドガァァーーーーンッ!!!
ドレンゲランとザム星人は爆裂四散した。
2人のウルトラマンの活躍によって、脅威に立たされていた
恐怖から解放された彼女たちは2人の巨人に感謝を送る。
「やったー!」
「ありがとう!」
「サイコー!!助かりましたーーー!」
声援を受ける2人のウルトラマン────ウルトラマンネオス、ウルトラセブン
地球を覆う脅威は未だ去ってはいないが、彼らがいればきっと地球を明るくするだろう。
地球人と困難を乗り越え、新しい夜明けを築いていくのは始まったばかりだ。
『インフィニット・ネオス』。
『ウルトラマン』と『インフィニット・ストラトス』────両作品のクロスオーバーを熱望する人々に送る王道のSFキングダム。
心温まるハートが今、熱く燃える!!
◇あとがき◇
ご愛読ありがとうございます。
SFとSFとのクロスオーバー、如何だったでしょうか?
発展した科学力を持つ『インフィニット・ストラトス』の世界観に新時代を感じさせながら懐かしさを醸し出す『ウルトラマンネオス』とのミックス。両作品とも愛する私個人の妄想を文章にて具現化したのが本作品というわけです。
面白かったでしょうか?もし良ければ感想にてお聞かせください。
好評であれば連載したいと思っております。ちなみに連載する際は、オリジナルビデオ版をベースに執筆します。
機会があれば、また皆さまをこの未知なる《アンバランス・ゾーン》にお連れ致します。
またお会いしましょう!
インフィニット・ネオス(仮)を…
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連載してほしい
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連載しないでほしい