インフィニット・ネオス(パイロット版) 作:まゆはちブラック
私たちが住む地球から300万光年離れたM78星雲。その星雲に存在する光の国。ウルトラの星とも言われるこの星は、『ウルトラ族』と呼ばれる光の巨人たちが住んでいる。
優れた身体能力、科学を超えた超能力、あらゆるものを破壊する光線を出せる彼らは、『宇宙警備隊』を結成し、いくつもの星々を護ってきた。
光の国の最大都市であるウルトラの国。光輝くクリスタルによって形成された建造物は地表だけでなく、宙に浮かんでおり、神秘的な雰囲気が漂っている。
都市中心から見下ろすように宙に浮く巨大な塔は『プラズマスパークタワー』と呼ばれ、内部にはウルトラ族のエネルギー源である人工太陽が明るく輝き続いている。
プラズマスパークタワーから少し離れた位置に浮かぶ『宇宙警備隊本部』。多数の菱形で形成された建造物には約100万人の隊員たちが所属しており、宇宙平和維持のため、日々働いている。
その宇宙警備隊本部では、赤いマントを羽織った赤と銀色の巨人が宙を眺めていた。
彼の名は、『ゾフィー』。宇宙警備隊隊長で、数々の功績を立ててきた偉大なる戦士であり、胸にはその証である銀色の点々───『スターマーク』、両肩には宇宙警備隊隊長の証である『ウルトラブレスター』がある。
乳白色の楕円形の目に鉄仮面のような銀色の顔。無表情ながらも口元は菩薩のように穏やかであり、微かに笑っているように見える。胸の中心部には、青く輝く『カラータイマー』が青く灯っている。
均等の整った出で立ちはまさに強者を表している。
遠い空を眺めるゾフィー。しかし、彼の心は常に明るいウルトラの国と反して、影があった。
「”ダークマター”による被害がここまで拡がっているとは……」
楕円形の双眸の先……そこに映るのは緑色の草木が生え、美しい青に包まれた星、地球。太陽系第三惑星で表面の7割が海、3割が陸地の命溢れる星であるが、今、未曾有の危機に陥っていた。
ダークマターとは、宇宙を漂う正体不明の物質である。
その謎は人類の科学力はおろか、それらを凌駕する光の国の科学力をもってしても解明することができない。
太陽系は300万年に一度、ダークマターによって自然や生態系の均衡が崩れ去るという『アンバランス現象』に見舞われる。地球における台風や地震といった自然現象と同じだ。
アンバランス現象は生態系や自然を乱すものの、生物が壊滅するような現象は決して起きないと想定されている。
しかし、現在の地球はその想定を大きく超えている。地球に迫る脅威をゾフィーは感じ取っていた。
「ゾフィー隊長。ただいま参上致しました」
思案するゾフィーの耳に堅実かつ逞しい声が届く。
ゾフィーが振り向くと、そこにはゾフィーとよく似たウルトラ族が立っていた。
この戦士は『ウルトラマンネオス』。宇宙警備隊の中でもエリート集団である『勇士司令部』所属の若きウルトラ戦士だ。
容姿はゾフィーに似てはいるが、額には青緑色に輝くブロウスポットに加え、顔立ちは若さが溢れている。何より、銀色の身体を走る赤い模様が違っており、腰から股の模様はゾフィーが短パンとするのなら、ネオスはVパンツである。
到着の報告を受けたゾフィーはネオスの手を取り、握手を交わす。安堵したのかゾフィーの表情は変わらないものの、柔らかくなったように見える。
「来たか、ネオス。長期任務を終えたばかりの君に要請をかけてすまない」
「いえ、私なら平気です。今回の件は司令官から聞いています。何やら、地球が危ないと……」
「そうだ。今、太陽系の均衡はダークマターによるアンバランス現象で乱れている。怪獣たちや侵略者たちの手によって地球はかつてないほどの危機に陥ろうとしている……そこで、君に地球護衛の任務を与えたい」
「私の力が宇宙平和のお役に立てるのなら、喜んでお引き受け致します。勇士司令部所属・ウルトラマンネオス。地球護衛の任務、承りました」
ゾフィーからの任務にネオスは迷うことなく、承諾する。
何が起きるかわからずとも臆せず立ち向かう、『勇士司令部』の名に恥じない勇気を持ち合わせているのは彼の最大の長所である。
「今回の任務は衛星の長期任務の非ではない……くれぐれも気を付けてほしい。もし、君自身の生命活動に支障をきたす場合、迷わず救援要請をするように」
「はい」
ゾフィーからの助言を受けたネオスは頷くと、その場から駆け出し、両腕を広げて跳躍すると、空を飛んだ。
警備隊本部から離れたネオスはそのまま、光の国の上空を抜け出し、宇宙空間へ飛び出す。
宇宙は闇に閉ざされており、不気味と同時に神秘さを感じさせる。星々の光が点々と灯っており、生命の輝きを感じさせる。
ネオスは一瞬、名残り惜しそうに光の国へ振り向くが、すぐに前を向いて気を引き締めると、全身から眩いばかりのエネルギーを放出する。
すると、次の瞬間、ネオスの身体は赤い光の玉へ包まれた。これはウルトラ族が長距離の宇宙移動する際に使用する宇宙船のようなもので、エネルギー消費を抑えつつ、その星の大気に耐えられることができる。
赤い光の玉となったネオスは地球へと飛んでいく。
「頼んだぞ……若きウルトラ戦士よ」
ゾフィーは遠い宇宙の彼方へ消えていく若き光に健闘を送った。
これから立ちはだかるであろう脅威を打ち破ることを信じて……。
ダークマター漂う、未知の宇宙空間を通過します。
そこは、何が起こっても不思議ではない世界……
その『アンバランス・ゾーン』を、皆さんは、今から体験することになるのです──
◇
4月───地球は春真っ盛りであった。お花見の春、引っ越しの春、入学式の春……新たな出会いと別れを繰り返す季節。
暖かい息吹によって目覚めた動植物たちは溢れんばかりの生命を活発にし、人間も爛漫な季節にのんびりとしていた。
この穏やかな春の季節。桜舞い散る歩道を慌ただしく走る少年がいた。
少年の名は『
汚れのない真っ白な制服に身にまとい、これまた皺のすくない指定靴を履いた足を必死に動かす。
「やべー!目覚まし切るんじゃなかった!」
後悔の念を呟きながら、こげ茶色の髪を揺らし、じんわりと汗を流す神楽。
オレンジ色の瞳を持つ目は大きく見開き、幼さが残る顔は焦燥感が出ていた。
前日に目覚まし時計をかけていたが、早起きをして、まだ余裕があってのでうっかり二度寝してしまった結果、時間ギリギリに起きてしまったというわけだ。
後悔しても時間は戻らない。そう思いながら、神楽は走り続ける。
焦ってはいるものの、通行人や車など、最低限交通ルールを守っている。新しいスタートの幕開けに事故にでもあったりしたら、幸先が悪くなってしまう。
一定のペースの注意を払いながら、先にある角へ向かう。
角を曲がった先には、電車の駅がある。そこから出る電車に乗れば、目的地の学校の最寄り駅に着く。
そんなことを考えながら、いざ角を曲がろうとしたときだった。
ゴゴゴゴゴゴゴ……!
「うわっ!?」
突如、大地が激しい地鳴りと共に揺れる。周囲の建物や草木が揺れ、鳥の群れが飛び立つ。
バランスを崩した神楽は前のめりにすっ転ぶ。転んだ拍子で手の薄皮が切れたが、今は痛がっている場合ではなく、すぐに身を屈める。
地震が数秒……時間にして8秒ほどだろうか。すぐに収まった。
安全と把握した神楽はゆっくりと起き上がる。手には擦り傷が出来ており、じんわりと赤い血が滲んでいる。
こんなことが起きることなど想定しておらず、絆創膏など常備しているはずもない。
神楽は「つー」と痛みを堪えるよう、歯と歯の間から息を出すと、反対の手で拭う。何もしないよりはマシだろう。
「ん?何だ……?」
転んだ拍子に前へ飛んだ通学カバンを拾っていると、周りがざわついているのが気になった。
不思議に思いながら、周囲の視線の先を見上げた神楽は険しい顔を浮かべて呟く。
「怪獣だ……」
「ボォオオオォォ……!」
地を揺らすような雄叫びをあげる巨大生物───怪獣。
怪獣は空想の産物とされていたが、ダークマターの影響によって誕生した新しい生命体である。
世界各地に現れた怪獣たちは常識や既存の兵器を凌駕し、被害を拡大していった。
現在は日常茶飯事のように出現が報道されているが、それでも恐ろしいことには変わらない。怪獣を目の当たりにした人々は一斉に逃げ出す。
パニック状態となった人々とは真逆に、怪獣は腕を振るい、近くのビルから町を破壊し始める。人間が長期間かけて作り上げたものがあっさり崩れ去っていく……まさに怪獣蹂躙である。
「皆さーん!落ち着いてください!」
「慌てず、押さず、こちらへ避難してくださーーい!」
手慣れたもので警察官たちがあっという間に包囲網を形成し、消防隊と連携して避難誘導を開始していた。その間にも怪獣は火を吐き、こちらへ進撃してくる。
学校に行きたいところだが、こんな状況で電車が動くはずもないので、諦めた神楽も流れるように避難しようと踵を返したときだった。
「お願いします!息子を助けてください!」
そんな切羽詰まった声が耳に止まり、進む足を止める。神楽が顔を向けると、そこには男性警察官にすがる誰かの母親の姿があった。
「息子はアパートにいるペットを助けに行くって!」
「お母さん、戻るのは危険です。今、戻ったら、息子さん共々、怪獣の下敷きになりますよ」
「お願いします!!」
狼狽える母親を落ち着かせようとする警察官は困り果てていた。
それも当然だろう。母親が指指したアパートは暴れまわる怪獣の近くにあったのだ。
助けるのが難しい……それが結論だろう。それに警察や消防隊も避難や救助で手一杯の様子で、1人1人の要求に応えるほどの余裕はなかった。
「お願いします!お願いします……!」
母親は目尻からは涙を流し、今にも消えかかりそうな雰囲気を醸し出していた。
無視しようと思えば、出来た。自分の身内でも何でもない、得にもならないのだから。
しかし、我が子のために命を張ろうとする母親の姿。見てもいられない神楽は考えるより、先に行動に出た。
「息子さんはどのアパートに?」
駆け寄った神楽が尋ねると、母親は呆けた顔を浮かべる。関係者でも何でもない人間が割り込んできたから当然の反応だろう。
呆けた母親だったが、すぐに必要な情報を伝える。
「……J地区の3番の4階です」
「わかりました!俺が行きます!」
「あ!君!」
「戻りなさーーーいっ!!」
母親から情報を得た神楽は通学カバンを投げ捨てると、包囲網をくぐって、怪獣が暴れ回る近くのアパートへ走り出す。
制止を呼びかける警察官を振り払い、アパートへ走る走る。
到着した神楽は階段を駆け上がる。膝が胸の前にまで上がるような勢いで急いで駆け上がると、母親の子どもがいる4階の部屋の扉の前についた。
鍵を開けようとしたが、扉は施錠されている。
「おーーい!怪獣が出たぞ!おーーーいっ!!」
『待って!すぐに行く!』
バンバンと扉を激しく叩き、中にいる子どもに呼びかける。
神楽の声に気付いた子どもはしばらくした後、扉からペットを抱えて出てくる。年齢からして、10歳くらいだろうか。
子どもに対し、神楽は険しい顔を浮かべる。
「どうして戻ったりしたんだ」
「ごめんなさい。どうしても、こいつを放っておけなくて……」
軽く叱る神楽に対して、子どもはばつの悪そうな顔をしながら、ペットを撫でる。
ペットは犬だった。犬種はチワワで、大きさからまだ仔犬であることがわかる。
赤い首輪には、油性のマーカーで『じろう』と書かれている。おそらく、この子どもが書いたのだろう。
「うわっ!?」
そんなことを思っていると、また地響きが発生する。パラパラと天井から埃や塵となったコンクリートの欠片が降る。
子どもは恐怖から悲鳴をあげ、チワワを抱えて縮こまる。怪獣がすぐそこまで来ており、ズシン、ズシンと足音が近づいているのが何よりもの証拠だった。
「さあ、ここは危ない!お母さんのところに行こう!」
「うん!」
気を取り直した神楽は呼びかけると、子どもを先頭にしてアパートの階段を駆け下りる。
冷たく硬いコンクリートの足場から伝わる衝撃は結構足に来る。エレベーターを使えるのなら使いたいが、災害時に使用するのは危険だ。
そうしているうちに、アパートの外へと飛び出した。外では、怪獣と兵器『インフィニット・ストラトス』を纏った防衛軍が戦っていた。
『インフィニット・ストラトス』───通称『
「ボォオオオォォ……!」
ドォォーーーンッ!!
怪獣の口から放たれる火球を編隊は避けると、ミサイルを放つ。
直撃したミサイルは怪獣の煤竹色の皮膚を焦がし、火花を散らす。
怪獣は怯むも攻撃の意思はある。ISの編隊は休まず責め立てる。
「ボォオオオォォ……!」
怪獣は再び火球を放つが、ISの機動力の前には床を転がるゴムボールのようなもので、容易く避けられる。
だが、これが不味かった。怪獣が放った先には神楽たちがいるアパートがあった。
火球が直撃したアパートの屋上は崩落し、コンクリートの瓦礫の雨が神楽たちに目掛けて落ちてくる。
「あっ!?危ない!」
「ああっ!?」
いち早く危険を察知した神楽は咄嗟に子どもを突き飛ばす。
その直後、瓦礫群は容赦なく神楽の頭上から降り注ぎ、あっという間に下敷きにした。
一方の子どもは身体を打ち付けながらも無事で、ペットのチワワも元気そうにワンワンと吠えていた。
子どもは痛がりながらも起き上がり、自分もペットが無事だとほっとするのも束の間、目の前で瓦礫の山で生き埋めになっている神楽を見て、顔が真っ青になった。
埃塗れになった神楽の額からは血が出ており、左腕だけは出ているが、1人で抜け出すのは困難な状況だった。
「……あっ!お兄ちゃん!」
「来るな!」
助けようと近寄る子どもを神楽は怒鳴り声に近い声色で制止する。
思わず、ビクッとして怖がる子どもに対し、神楽は険しい顔から一変して苦しいながらも優しい笑顔を浮かべる。
「俺は大丈夫だから………早くお母さんのところへ行ってあげり……」
大丈夫なはずがなかった。身体の大半が埋まっており、何より、コンクリートの鉄芯が足に刺さって動けない。
なので、自分よりもまずは目の前にいる子どもと仔犬を待っている母親のもとへ送り出すのが先決。それが彼のなすべき使命だ。
「うん……!ありがとう!後で助けるから、絶対、死なないでね!」
子どもは頷くと、仔犬を抱えて走り出す。朦朧とした意識の中で、小さくなっていく後ろ姿を見送ると、神楽はふっと笑みを浮かべる。
「………良か…った……っ!」
緊張が途切れた神楽はそう呟くと、安心して意識を手放した。
一方、怪獣は町の被害などお構いなしに暴れ続けていたが、急に動きを止めた。
赤い光の玉が目の前に現れ、眩いほどの光を放ったからだ。
「ボォオオオォォ……!?」
怪獣は悲鳴に似た雄叫びをあげると、自分が掘った穴から地中へと逃げ出した。
1人の少年の命をかけた救出劇と赤い光の降臨。これは何を暗示するのだろうか……。
◇
怪獣が去って、1時間。近くの病院では、多くの死傷者が運ばれていた。
医療関係者は次々と運ばれてくる死傷者への対応に追われ、慌ただしい足音が途絶えなかった。
ある者は負傷者が安心であることに喜び、逆に死傷者の不幸に嘆き悲しむ。混濁とした空気が流れる院内に重症患者である神楽も運ばれた。
発見は怪獣が去って、およそ10分のことだった。彼が助けた子どもの要請を受けて、レスキューチームの手によって助け出された。
まだ息はあったが、意識不明の重体だったので、病院へと緊急搬送された。現在、神楽は手術室にて手術中だ。
「お兄ちゃん……」
「大丈夫よ……大丈夫よ、きっと……!」
手術室の外では、あの親子がいた。神楽が助けた子どもとその母親だ。赤く灯る手術室のランプを不安そうに見つめる我が子を母親は手を握って、宥めていた。
とは言うものの、彼女とて不安だ。神楽が発見されて運ばれたこの数時間。彼の命が風にゆられるロウソクの火のように、消えかかろうとしているのは素人の目にもわかっていた。
───ただ、死んでほしくない。息子の命の恩人にお礼も言わずお別れとは考えたくもないからだ。
やがて、手術室のランプが消灯すると、ゆっくりと扉が開く。仄暗い暗闇の中から、白いシーツをかけられた神楽が運ばれてくる。額には包帯が巻かれており、意識はなく、眠っているように静かだった。
数人の看護師と医師が付き添いに付き、病室へと運ばれていく一部始終を、親子は願うように見守った。
そして、病室へ運ばれた神楽は延命治療が行われた。
左腕に点滴を差し、口には酸素マスク。近くのパソコンには一定のリズムで心電図が映っていた。
そのリズムは時間が経つにつれて弱まっていく……医師たちはあらゆる手を使って、まだ死ぬには早い命を救おうとしていた。
しかし、その努力も虚しく、波を刻んでいた心電図は直線となった。
パソコンに繋がれている心電計から『ピー』と、無機質な音が鳴り響く。
医師は酸素マスクを取って、開きかかっている神楽のまぶたを閉じる。白衣の袖を捲くって、左腕につけている時計に目をやる。
「……午前9時54分。ご臨終です」
医師は残念そうにそう告げると、神楽の遺体に軽く礼をして、部屋を出る。周りにいた看護師たちも医療器具をそそくさと片付け、病室を出て行った。
颯 神楽、15歳。明るく元気で、大宇宙のような大きな勇気を持った少年。
新しい生活を迎える前にその短い生涯を閉じた……。
◇
静かになった病室。真っ白な天井と壁に囲まれた空間の一室のベッドには、顔に白布をかけられた神楽の遺体以外、誰もいなかった。そう、誰も……。
誰もいないそのときだった。眩いほどの光が神楽の遺体の上に降臨した。光は顔にかけられている白布をゆっくりとめくり、血の通っていない真っ白な神楽の顔を露にする。
やがて、光が晴れると、神楽の足元に1人の人間大の宇宙人が立っていた。ゾフィーの使命を受けて地球へとやって来たウルトラマンネオスその人である。ネオスは眠るように横たわる神楽へ見下ろしながら話しかける。
「颯 神楽……。私はM78星雲の宇宙人・ウルトラマンネオス。ダークマターに脅かされている、この地球を護る使命を帯びて、やって来た……。私は自らの危険を顧みず、子どもと仔犬を救った君の勇気を見て、感動した……」
語りながらネオスは思い返す。自身が赤い光の玉の状態で怪獣を追い払っている最中、子どもと仔犬を助けた神楽の勇気ある救出劇を……。その強い意志にネオスは胸を打たれたのだ。
ネオスは語りかけ続ける。
「私は地球上では長時間、この姿を保つことは出来ない………先の戦いでも、追い払うのが精一杯だった。そこで、君の力を借りたい。一心同体となり、この地球のために戦おうではないか……」
ネオスはそう告げると、再び光となり、神楽の停止している心臓目掛けて飛んでいく……。
光と一体化した神楽の心臓はゆっくりと動き出し、やがて、活力溢れる命のリズムを刻みだした。顔にも生気が宿り出す。
次の瞬間、神楽の眩が開いた。大きなオレンジ色の瞳が最初に見たのは、病室の真っ白の天井だった。
「……?俺は一体………あっ!ヤバい!遅刻だ、遅刻!!」
自分が置かれている現状に神楽は困惑したが、近くのタンスに置かれてあるデジタル時計の時刻を見て、真っ青となる。時刻は入学式の時間をとうに過ぎており、10時の時刻に差し掛かろうとしていた。
寝ている場合ではない、と焦り出した神楽の脳内は自分の身に起きたことなど考えている余裕などなく、急いで病衣を脱ぎ、学校の制服へと着替える。
「うげぇ……汚れちゃってるよ、コレ。ま、いいか!怒られるよりマシか!」
汚れた制服を見て、嫌そうに顔を歪める。真っ白だった学生服はススだらけになっており、ズボンの右足に至っては穴が空いており、そこから血痕が付いている。ちなみに彼は気付いていないが、鉄芯によって穴が空いていた右足の箇所は綺麗さっぱり、元通りになっている。
しかし、一張羅はこれしかないので、我慢して袖を通した。
「あの男の子、
「可哀想に……骨を拾ってくれる人もいないなんて……」
「悲しいわ……」
その頃、廊下では神楽が蘇ったとはつゆ知らず、2人の看護師が花を手に、悲しげな表情で歩いて会話をしていた。彼女らの言う通り、神楽は両親を怪獣災害で失っており、今に至るまで児童養護施設で育ってきた。
待ち受けていた新生活の始まりがまさか自分の死となるとは──そう思いながら、看護師たちが神楽のいる病室の扉を開いたときだった。看護師2人の目は丸くなった。
ベッドの隣で死んでいた神楽が平然と立っていたからだ。しかも何事もなかったようにピンピンしており、しまいには制服に着替え、「おいっちに、おいっちに」と膝の屈伸運動をしていた。
何が起きている?わからない。
その自問自答を固まっている看護師たちが延々と脳内で繰り返していると、気付いた神楽はニッコリと笑い
「あ!おはようございます!」
「「ぎゃーーーーーっ!!!」」
と、挨拶すると、看護師たちはドミノ倒しのように綺麗に気絶した。
その光景を前にして、何か悪いことをしたのかな、と神楽は考えたが、すぐに学校のことを思い出すと、気絶している看護師たちを踏まないようにそろりそろりと横を通る。
「病衣、ベッドの上に置いていますね~」
去り際にそう告げると、神楽は学校に向かうべく、病院の廊下を早歩きで歩いていった。
前回の投稿はザックリとした紹介と世界観のお話でしたので、今回は連載していることを想定した1話のプロトタイプです。連載版は色々と変わっていますので、そのまま載せることはありません。アンケート&評価次第で連載します。
よろしければ、高評価、アンケートご協力お願い致します。
後半は15分後に投稿。
インフィニット・ネオス(仮)を…
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連載してほしい
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連載しないでほしい