pixivでも投稿している「未知を駆ける福音」です。
いくつかを統合しているため、サブタイトルは変えています。
投稿主はダンまち俄であるため、おかしなところがあるかもしれませんが、ご了承ください。
旅神の過ち / 静寂の怒り
これは何の変哲もないオラリオで起きた、未知が起こす騒動の話。
様々な依頼をオラリオ都市内外から出され、他探索系ファミリアよりも都市外に出ることが多いヘルメスファミリア主神ヘルメスはニヤケ面を、団長アスフィは頭痛を抑えた表情を見せ、冒険者都市オラリオにあるコロッセオにいた。
「ヘルメス様、今更ですが本当にやるのですか?もう少し詳しく調査してからでも遅くはないと思いますが」
「何を言うのさアスフィ!今この手には俺も知らない
そう今ヘルメスの手には透明なオーブ、アーティファクトがある。それをこんな場所(人払いが済んだコロッセオ内かつ監視要員のガネーシャファミリア団長シャクティ他団員がいる)で発動実験することにアスフィは苦言を呈しているのだ。常識的に考えるのであれば往来でないとはいえ、アーティファクトなど古代の産物は大抵が絶大の効果の反面大きな代償を支払い必要のある碌な代物ではない物を発動するなど正気の沙汰ではない。されど「未知」を大好物と公言する神々にはどこ吹く風である。
「と言ってもアスフィも分かっているだろう?このアーティファクトで早々危険が起きないってことをさ」
ヘルメスのこの返答に予想通りとはいえアスフィも返答に困った。と言うのはそもそもこのオーブは大量の魔力を代償に召喚を行うアーティファクトなのだが、発見されオラリオでヘルメスの手に渡る頃には既に魔力が充填されいつでも発動可能状態だったのだ。これではいつどこで「何」が召喚されるのかわからないため現在に至るというわけだ。
しかも簡単な調査(当時の手記等)でこれがモンスターは対象外となっていると判明しているため、念のための監視要員数名でギルドからも許可が出ていたりする。
アスフィも既にお膳立てられたこの状況で、自分の主神が中止することは無いと分かっているため、軽い未知故にワクワク顔のヘルメスを軽く小突く程度で召喚に移らせる。監視要員として来ているシャクティ他ガネーシャファミリア面々も今回の依頼で危険はないと予想しているためいつもより緊張感がないように感じる。
「それじゃいくよ」
ヘルメスが右手に持っていたオーブを簡易的に用意した台に乗せ、手記で判明している詠唱を唱えていく。するとオーブに込められた魔力が次第にあふれ出し一つの魔法陣を展開する。
バチッ!!
ジッ、ジジッ??!!
「「「っ?!」」」
「総員、厳戒態勢ッ!」
「「はい!」」
「ヘルメス様こちらにッ!」
問題なく行われた詠唱、途中まで問題なく展開されていた魔法陣と魔力、それが突然乱れたかと思えば先保都とは比べ物にならない挙動を起こす。慌ててシャクティ他監視していたガネーシャファミリア団員達はすぐに動けるよう身構え、アスフィもヘルメスを背に隠し警戒に当たる。しかし下界の子どもが警戒に意識を割いている中神たるヘルメスは別のことに驚愕し思考していた。
(馬鹿な、さっきの魔力の乱れ
そう先ほどのおかしな挙動時に起きた魔力の乱れには
これより起きるは未知のアーティファクトで起こす召喚ではない。
完全に未知の召喚だ!
__オラリオ 某所__
忙しなく店を駆け回る美女とそれを追いかける美少女がいた。二人とも万人が美しいと断言できる美貌であり、このオラリオで知らぬ者はいないほど有名なのだが、話しかける者はいない。
それは美女が忙しない様子であるのも理由だが、単純に「恐ろしい」のだ。
「○○っ!それほど急がずとも○○は大丈夫だ!」
「何が大丈夫なものか小娘っ!○○が倒れたのだ!急いで看病の準備をしなくてはッ!!」
この様子、普通の者であれば恐ろしいとはいえただ事ではないと野次馬根性よろしくまわりでざわつく程度はしていただろう。しかし、現在周囲でそのようなざわめきはない。
何故か?
単純にこの光景はいつものことだからだ。○○はよく体調を崩し、○○がその看病のための備蓄が切れるとこうして忙しなく様々な店を巡る。これが最近のオラリオでの日常風景と化している。実際、○○がディアンケヒトファミリアを頼るレベルのものであればこの光景は見えないし、それ以上の症状なら○○と良く交流している冒険者たちが同じように忙しなく動いていることだろう。
故に今、○○一人が忙しなく動いている程度なら○○は軽く体調を崩した程度だろうと多くの者が予想できているのだ。
この日常風景の一つが繰り広げている中忙しなく動いていた○○の足元に黒い魔法陣が展開される。
「「ッ?!」」
「な、なんだこの魔法陣はっ!○○!」
「チッ、動けん!なんだこれーー」
「!○○っ!!」
一瞬で現れた魔法陣は○○を拘束し即時○○と共に姿を消した。
場所は戻り
__オラリオコロッセオ内__
迸った魔力は次第に収まり、魔法陣も召喚が完了したからか召喚時の光だけを残し消える。
その光すら収まり出した周囲では未だ警戒するアスフィたち。
「いったい何が、ッ?!」
「どうした、アスフィ?…ッ?!」
「馬鹿な、なぜ…?!」
光が収まり視界に映った召喚されたものに三人は驚愕の声を出した。
_身に纏うは漆黒のロングドレス_
_髪は銀を思わせる灰色_
目が覚めるほどの美女、されどその顔は憤怒に満ち常に閉じているオッドアイの瞳には恐ろしい程の怒りが込められている。
7年前、あの地獄を知っている三人だからこそ感じる驚愕。
しかしそれも当然だろう、三人の目の前にはかつて三大クエストの一角を打倒した英雄でありながら、7年前
【静寂】アルフィアがいるのだから。
「ここはオラリオのコロッセオか?」
アルフィアが周囲の状況を確認するためあたりを見ている中アスフィが口を開く。
「【静寂】のアルフィア?!なz「黙れ」ッ」
しかしそれはアルフィアの一言で黙らされる。当の本人は自分のいる場所を確認し、こんなくだらないことに巻き込んだであろう元凶に視線と殺気をぶつける。
「さて忙しい私をこのようなつまらないことにいきなり巻き込んだのは貴様か、クソ神?」
「えっ?!俺が悪いの?!」
「よし分かった、殺す」
アルフィアにとってふざけた返答を返したヘルメスにアルフィアが制裁を加えに行く。しかしそれを許すアスフィたちではない。
「待ちなさい!ヘルメス様には手を出させませんっ。ヘルメス様今のうちに!」
「【静寂】のアルフィア、何故貴様が今この場にいるのかはわからんが、おとなしく投降してもらおう!」
アスフィとシャクティは正面を、他は背後に回り戦闘態勢に入り、ヘルメスの逃走時間を稼ごうとする。Level5・4が一人、他が3以下の状況、常であれば非常に有利な状況だが、アルフィアはどこ吹く風である。
「ほう邪魔をするか雑音共」
それも当たり前、
Level10なのだから。
「【
絶望の鐘の音は轟音となりコロッセオ、否オラリオ全土に響く。
__【ロキ・ファミリア】ホーム『黄昏の館』__
オラリオ現最大派閥の拠点では今日も多くの冒険者が各々の日常を謳歌していた。それは主神ロキも同じであり、昼間から酒を嗜みながら【勇者】フィン、【九魔姫】リヴェリア、【重傑】ガレス他幹部で次回以降の遠征等の話を行っていた。しかし、それは数分前の話であり現在ホーム内では少しざわついていた。理由は数分前に起こった轟音であり、原因究明に団員達は動いていた。そこに門番をしていた団員の一人が報告に来た。
「し、失礼します。ロキ様!」
「なんや、さっきの轟音のことか?」
「?慌てているようだが、何か別の緊急か?」
オラリオ内とはいえ前触れなしの轟音であるため門番の突然の登場は、原因についての報告かとその場にいた幹部全員が顔を向ける。ファミリア内で「ママ」の異名が定着しつつあるリヴェリアも目を向けるが、門番の様子から緊急かつ別件の可能性を見出す。
「は、申し訳ありません。ですが、今門の方でヘルメス様が…」
「ヘルメスゥ?あいつ今日確かどっかの遺跡から出た物試す言うてなかったか?」
「はい、そのヘルメス様が救援依頼を!」
「!救援だと?!ギルドも通さないということはその実験で何か、いやまさか先の轟音もそれか!」
「とりあえず詳しいことを聞こうか。皆今回の会議は一時中断だ。君ヘルメスの所まで案内してくれ」
「は!」
ロキ達も今日ヘルメスが何か実験をしているということは知っていたが、まさかギルドも通せないほどの緊急事態とは想定しておらず、フィンは一時会議の中断を行いロキ達と共に事態の確認に急いだ。
ヘルメスが案内された応接室に向かったフィンたちの目に映ったのは珍しくひどく汗をかき慌てた様子のヘルメスだった。さすがにロキ達もただ事ではないことを察知しヘルメスに事情を聴く。
しかし、ヘルメスからもたらされた内容はフィンたちにとってとても信じられるようなものではなかった。
「馬鹿な【静寂】だと?!あいつは【アストレア・ファミリア】によって倒されたと聞いたぞ!」
「まさか【静寂】が生きていたとは…。聞くが神ヘルメス、あなたが召喚した人物は本当にあの【静寂】だったのですか?」
話を聞いて真っ先に口を開いたのはリヴェリアだった。彼女にとって【静寂】とは7年という月日が経とうが未だ超えられていない人物であり、他にも苦い思い出が多く今この場にいる誰よりも印象が強かった。
フィンも神ヘルメスがこのようなおかしなことをふざけて言うとは思えず、先の轟音も併せて信憑性はあると考えていた。しかし、話題に出た人物が7年前確かに死んだとされた人物であり、仮に生きていたとしても【アストレア・ファミリア】が【静寂】に勝てた
「わからない」
「「「は?」」」
しかし当の本人から返ってきた言葉は何とも言えない情けないものだった。
「いや待てや自分!おどれが召喚したんやろうが、それでわからないってどういうこっちゃ?!」
「いや本当にわからないんだって!俺だってアストレアの子たちが嘘をついたとは思ってないし、確かに【静寂】はあの時死んだはずだ。でも召喚で現れたあれは間違いなく【静寂】本人だ」
「ならなんで言葉濁したんや?!」
「あのアーティファクトは生きた人物や物の召喚具なんだよ!」
そう、ヘルメスがその目で見たのは確かに在りし日の【静寂】のアルフィアであり、その体から放たれている覇気は心なしか当時の物以上にさえ感じた。少なくとも偽物とは到底思えず、しかも使用していたアーティファクトからしてわざわざ【静寂】の姿を模倣した「何か」が召喚されるとは考えられない。しかしおかしいのは召喚対象に「死者」は含まれない。つまり
「死者」であるはずの【静寂】が生きている。しかし【静寂】は確実と言って良いほど死亡しているはず。
という大きな矛盾が起きているのだ。
これにはいくつもの修羅場を経験した【ロキ・ファミリア】幹部といえ、混乱せざる負えないものだった。
「とりあえず、彼女が【静寂】であろうが、それを模倣した何かであろうが放置はできないね。ベートは急いでコロッセオの確認に急いでくれ、もし彼女が【静寂】であればあの轟音からして無事では済まない!他は手分けして仮称【静寂】の発見と拘束に当たってくれ!常に警戒を怠らないようにしろ!」
「「「「了解!」」」」
_______
件の【静寂】は早急に雑音を掃除し、クソ神の姿が消えていることに苛立ちを覚えながらも本来の用事を済まし急いで○○の看病に行かねばならないため、「後で潰す」と決意しながらも買い物を再開していた。
「すまない店主、滋養に良い食べ物をいくつか見繕ってくれ」
「毎度!ってあんた見かけない顔だね。最近この都市に来たのかい?」
「は?これでもずいぶん昔からここにいるが?」
「ありゃ、それはすまなかったね。あんたみたいな美人なら覚えているはずだが…」
「?」
このようなやり取りを数回繰り返し、不思議に思いながらもアルフィアは予定した品を買い揃え帰路に就いた。
(しかし先ほどのあの反応は一体…。いつもは話しかけてこない連中でさえ話しかけてきて鬱陶しかったが…)
_______
リヴェリア達がそれぞれ聞き込みを行っていると奇妙な話が多くあった。曰く
(ドレスを身に纏った美しい灰の髪を持つ美女が○○の通りで買い物をしていた)
(人通りが多いというのにその美女は目を閉じて、誰にもぶつからず歩いていた)
(見たことのない美女故セクハラしようと近づいた者が多くいたが、近づいたと思った瞬間には例外なく倒れていた)
(見たことのない美女だが、彼女曰く昔からこのオラリオにいるらしい)
(しかし誰も彼女のことを知らない)
等々、場合によってはホラー物の話に出てきそうな内容ばかりだ。しかしよく聞けば聞くほど、彼女の特徴と合致していた。一部違和感はあれど容姿は間違いないだろう。
「あ、あのリヴェリア様?今探している、その、【静寂】というのは?」
捜索のため一緒に付いてきていたレフィーヤが我慢出来ずに質問する。他にも付いてきていたティオナも同じような表情をしている。
「あぁお前たちは知らなかったか。アイズは知っているだろうが、【静寂】というのは7年前の大抗争で死んだとある冒険者の異名だ」
住民の聞き込みをする程、彼女が生きているように思え、レフィーヤの質問にも率直なものしか返せないリヴェリア。
「も、申し訳ありません。しかし、あの、何故リヴェリア様はそのような厳しいお顔をされているので?」
「ん?ああ、すまない。少し強張っていたか。あいつには苦い思いでしかなくてな…」
「「え、リヴェリア(様)が?」」
「ああ、魔法士としては今の私よりも上でな、当時奴は24の若さで死んだがそれでもLevel7という化け物だった」
「「Level7?!」」
「…もしかしてあの怖い人?」
「…アイズ、まさか今の今まで忘れていたのか?」
「…わすれてないよ」
レフィーヤとティオナはその若さですでに現都市最強と同等という規格外さに驚愕し、アイズが今の今まで忘れていた事実に頭を痛くするリヴェリア。
「詳しいことはまた別の機会に話そう。今は追跡しているものが本当に奴かどうかの確認が先だ」
そう言い切り、聞き込みをしながら彼女が通ったという道を辿っていくと
リヴェリアたちはそこにまるで茫然と佇んでいるような美女を見つけた。
漆黒のロングドレスに、灰色の髪、立ち姿だけからも溢れる覇気。最早リヴェリアたち、7年前の地獄を最前線で戦い生き残った者達の記憶にしか残らない在りし日の最凶が一人【静寂】のアルフィアがそこにいた。
「まさか本当に貴様がいるとは思わなかったぞ【静寂】のアルフィア!」
_______
現在、アルフィアは怒りに満ちていた。先ほどクソ神に抱いたものとは比べ物にならない憤怒をその身に宿した。
看病のため、急ぎ品を買い揃え○○が待っている教会に戻ろうと足を向ければ、教会がある位置に○○の気配がなく探れば少し離れた場所で感知した。それだけなら○○を良く構う雌共が看病ついでに構い倒す目的で連れて行ったと考えた。実際教会に着くまでは荷物を急ぎ置いて向かい、いつものように「嫁の作法」を教え○○の看病をしようと考えていた。
しかし教会、否「元」教会に着いたアルフィアは持っていた買い物袋を落とし、無様にも数秒呆然としていた。
何故ならオラリオに来てからアルフィアと○○が過ごし、そして大事な妹との思い出の場所だった教会が
見るも無残に「ぶっ壊れていた」から…
アルフィアにとっておよそ十数分前まで顕在していた教会の残骸を見たアルフィアは憤怒と共に冷静に思考を回転させる。
(私が出てからそれほど時間は経っていないはず…。一体どこの愚か者が?いや、破壊から相当の時間が経っている…、先のクソ神の仕業でいくらか時間が飛んだか?まさか、今離れている○○のこの気配は!?)
アルフィアの手持ちの情報で考えられることを複数想定し、最悪の可能性に行き着いた、その時
「まさか本当に貴様がいるとは思わなかったぞ【静寂】のアルフィア!」
「ぁあ"?」
今回はここまでです。
俄であるためキャラの口調・性格が定まっていないかもですが、ご了承ください。ご指摘・ご感想あればコメントして頂くと幸いです。