月歌ユキも好き。けど個人的最良カプはかやあおです。
対戦よろしくお願いします。
心の在処
「蒼井はさ、心ってどこにあると思う?」
いちごさんたちと少し打ち解けた頃、蒼井と茅森さんがいつもの場所で談笑している時に、不意に茅森さんがそう言いました。
「…心、ですか?」
思いもよらない問いかけに、蒼井は少し面食らってしまいます。
「そ。心。」
茅森さんはシガレットチョコをぽりぽりと齧りながら、そう言います。
「この、あたりでしょうか。」
胸の辺りを示す蒼井に、
「ふふ。蒼井らしいね。」
と、茅森さんは、笑いながらそう言いました。
「私はさ、心なんて、人の中には無いと思ってる。」
「…」
茅森さんの言葉に、蒼井は言葉を失います。
「誰かと一緒にいたい。大切な人を守りたい。それは感情であって、心じゃ無いと思うんだ。」
「どういうことでしょう?」
「なんて言うのかな…例えば、今さ。こうやって蒼井と話してる。蒼井の目を見て、蒼井のことを考えて。1人っきりならそんなことしないよね。」
「はい。」
「人のことを思う時、何かを考えて、行動しようと思う時。そこに、心が生まれると思うんだ。自分だけしかいない世界じゃ、心なんて生まれない。誰かを想うことも、なにも無いしね。」
「…」
「だから私は、人との繋がりを求めるんだ。鬱陶しがられても、倦厭されても。誰かと繋がっている時だけは、そこに心があると思うから。」
「…なんだか、詩的ですね。」
「これでもバンドのボーカルだからね?」
蒼井に怪訝そうな目を向けた茅森さんは、残ったコーヒーをぐいっとあおります。
「心は誰かと触れ合う時に生まれる。私はそう思ってる。」
「…蒼井には、ちょっと難しいです。」
「そっか。まぁ、私の個人的な気持ちだからねぇ。」
「でも、今、心はここにあるよ。」
茅森さんは、蒼井との間にある空間を指差します。
「はい?」
「蒼井が私の話を聞いて、私の気持ちをきいてくれる。理解を示そうとしてくれる。この、気持ち同士のつながりが心なんじゃ無いか、って私は思うんだ。」
「なるほど…それなら少し、分かりやすいです。気持ちと気持ちの…互いの想いが重なるそこに、心がある…ってことですよね?」
「そう。そんな感じ。」
茅森さんはそう言って微笑みました。
「いちごも、蒼井も。今までは想いが重ならなかっただけでさ。お互いを思う気持ちは、確かにあるんだ。ちゃんと話して、受け止めてあげて。いちごの気持ちを蒼井が受け止めて、理解して、蒼井の気持ちを、いちごたちが知って、受け止めて、理解して…そうすれば、心が繋がる。同じ心を持って、戦いに向くことができる。」
「…はい。」
「なんか、説教くさくなっちゃったけど…」
「いえ。茅森さんは、やっぱり凄いですね。蒼井のほしい言葉をくれます。何かに悩むたびに、何かに迷うたびに、茅森さんは蒼井の進む方向に、手を引っ張ってくれます。」
「そう?なんか恥ずかしいこと言った気がするんだけど。」
「いいえ。とても、大事なことを教わりました。ありがとうございます。」
「よせやい。」
そう言って、茅森さんと蒼井は、ベンチを立ちました。
心の在処。
貴女は私に、私の知らない世界を教えてくれる。
いつか、別れることになってしまっても。
貴女に心を託して逝けたら、どれほど幸せなのでしょう。