推しカプ短編集(ヘブンバーンズレッド)   作:黒糖煎餅

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心の在処の続編です。
死ネタ好きだけど書いてて辛かった記憶。



心は、此処に。

茅森さんから、沢山のものを貰いました。

茅森さんがくれる言葉は、蒼井を奮い立たせてくれました。

茅森さんは、蒼井のことを、蒼井以上に気にかけてくれました。

茅森さんは、皆さんと仲良くするきっかけを作ってくれました。

だから、だから…!

 

「誰も死なせない…!」

 

心の内から、湧き立つ願いがありました。

守りたい。死なせたくない。死にたくない。

無事に帰って、皆さんと一緒に笑い合いたい。一緒に遊んだり、食事をしたり…今までの空白を、埋めていきたい。

 

『インビンシブル!』

 

だから、ここで失いたくない。

本当に、最後の力です。こんなちっぽけな私を、こんなに弱虫な私を、待っていてくれた。救ってくれたみなさんを、守るために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぱりん、と、何かが割れる音が聞こえました。

続いて、背中をかける衝撃。ぐるぐると、頭が回るような感覚。

薄ぼんやりとだけ残る視界には、駆けつけてくる茅森さんの姿がありました。

その目には、うっすらと涙が浮かんでいます。

一瞬の逡巡の後、茅森さんはレッドクリムゾンへと立ち向かっていきました。

まともに機能しない鼓膜が、何か、震えを感じています。

敵の攻撃か、誰かの声か。それすら判断がつかない蒼井に、何かを呼びかけてくる人影がいました。

手を握られる感触だけが鮮明で、先ほどまで感じていた痛みが、すっかりと消えたような、そんな感覚。

 

「……!……!」

「…………………!」

 

あぁ、良かった、と、そう思いました。ぼやける視界に映るのは、私が守りたいと願ったみなさんで。

私には守れないと、そう思っていたみなさんで…

触れ合う手のひらの鼓動が、頬に落ちてくる涙の熱が、妙に暖かくて。

 

 

誰かが、私のために泣いてくれる。

誰かが、私に生きて欲しいと願ってくれる。

 

 

 

 

前に、茅森さんが言っていた事を思い出しました。

 

『心ってのは、気持ちと気持ちの重なったところに生まれると思うんだ。蒼井が私を思って、私が蒼井を思って。その気持ちが重なるそこに、心がある。』

 

 

あぁ、そうですね、茅森さん。

私を信じてくれる人がいる。そう思うだけで、蒼井は立ち向かえました。

蒼井に生きていて欲しい人がいる。それだけで、空っぽのこの胸が、こんなに震えるだなんて…

 

 

「ずっと…います…よ…。」

 

この体は死んでしまうのだろうけど…

 

 

 

 

心は此処に、置いて逝けます……

 

 

 

『………………、………………』

 

何を言葉にできたのか、言葉にできるほどの余力もなかったのかわからないまま、私はゆっくりと瞼を閉じました。

もう、何も感じない。

何も聞こえない。

何も、喋れない。

 

そんな世界でなお、指先に感じた、あの温もりだけは、ずっと、残っていました。

 

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