アサルトリリィ Bouquet 本編改変ストーリー   作:ニュゼ

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 この作品は、アニメ『アサルトリリィ Bouquet』のストーリーを改変したものです。ストーリーの進行自体は、おおまかには本編通りなので、アニメを見ていない方は先にそちらを見ることをお勧めします。自由に書いたので、少々変な文章があるかもしれませんが、楽しんでいただけると幸いです。


第一話『手つなぎリリィ』

とある日の午前中、おそらく大抵の生徒は授業を受けているであろう時間帯、茶髪のリリィとともに理事長室に向かっていた。

 

「お連れしました、理事長。」

「うむ。」

「どうぞ、お入りください。」

「…はい。」

 

あまり何も考えずに応答し、理事長室に入る。

 

全体はとても広く、正面にある大きなガラスから見える海はとてもきれいだった。

一方で、その海に出で立つ竜巻のようなもの、ヒュージネストは、海の雰囲気を暗くしているようだった。

 

そんな感じで、窓の外側をボーっと眺めていると、声をかけられる。

 

「君が、立繋共音くんだね?」

「…。」

 

この人が、理事長代理人さん、この百合ヶ丘女学院の管理者。

優しそうでありながら、威厳も持っているすごい人。

 

「…はい。」

「ようこそ、百合ヶ丘女学院へ。」

「よろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

ここ、百合ヶ丘女学院は、ガーデンの中でのトップレベルで強いリリィが集まる場所。

そのリリィの1人に私、立繋共音はなった。

 

スキラー数値が55と低く、百合ヶ丘女学院に入るには少し不安だが、入ったからには全力で頑張るしかない。

 

ところで、何らかの事情があり途中から入学した場合、編入とも転入とも言えないのだが、何といえばいいだろうか。

というのも、私は訳アリで地元から離れて入学しており、かつ1学期が始まってちょっと過ぎたころに入学した。

 

どういう事情があったかは、私自身が記憶喪失で、お母さんも教えてはくれなかったから知らない。

 

入学式はすでに終わっていて、授業も始まっている。

 

本来なら私は即授業を受けるべきなのだが、そこは理事長が何とかしてくれて、1日だけ自由行動ができる日を作ってくれた。

 

百合ヶ丘女学院については、いろいろ調べてはいたため、ある程度把握しているつもりだが、せっかくだし見学することにした。

 

まず授業。

 

さっきも言ったが、今は1学期が始まってちょっと過ぎたころであるため、私はまずそこに追いつく必要がある。

ただ、教科書の最初らへんを見た感じ、百合ヶ丘女学院だからといって特別難しいということはなさそうに感じた。

 

受ける授業は、そもそも1年ということもあり、ほとんど全部決められていたので、選ぶのに苦労はしなかった。

 

次に戦闘。

 

私のスキラー数値は55で、百合ヶ丘女学院の平均と比べるとかなり低い。

加えて、戦闘経験があったとしても、記憶喪失のせいで中等部時代の記憶がなく、実質的に実践経験もない状態だ。

なので、実践演習は最初は見学となるだろう。

 

そして、どこかしらの情報によると、どうやら私には専用のチャームがあり、現在作ってもらっているらしい。

名前はスヴェル、攻防両用の変形可能なチャーム。

専用とはいえ、使いこなせる自信は正直ない。

 

ちなみに、私のレアスキルはまだ不明らしい。

 

次に温泉。

 

学年ごとに入浴時間が決められているが、そこは特に問題はない。

それよりも、途中入学により他のリリィの視線が刺さらないかが心配だ。

 

最後に寮。

私は、途中入学という特例のため、通常は禁止されている1人部屋になった。

おそらく人数がかみ合わず、日にちも経っているため調整もできないという理由だろう。

 

静かなのはいいが、誰か1人ぐらいは親しい人を作りたいとも思ったりはした。

 

部屋は、1人で使うにはもったいないくらい広く、かなりの優遇がなされた部屋だった。

生活用品さえ揃えておけば、しばらくはどうにかなるだろうと感じた。

 

「ふう…見回るのも疲れる…。」

 

寮に戻り、届いていた教科書に目をやる。

 

今日1日の残りは、暇つぶしにずっと教科書を読んでいた。

 

 

 

 

 

ある日、授業が終わった直後、とある生徒が訪ねてきた。

 

「あの、少しよろしいでしょうか?」

「え?……あ、はい。」

 

オレンジ色の短髪とてっぺんにあるアホ毛のある、とても小さいリリィだ。

 

「お名前を伺ってもよろしいですか?」

「え?え、えっと…。」

 

急に名前を聞かれた。

それに手に持ってるメモ帳とペン。

もしかして取材される?

 

「あ、申し遅れました。私、二川二水っていいます。お見かけしない方でしたので、お尋ねしたくて。」

「は、はあ…。」

 

そういえば、この前学園を見回ってた時に、掲示板に週刊リリィ新聞なるものが載せられていた。

 

掲示板に載せられるものは、大抵は学院側のものか、新聞部のものなのだが、週刊リリィ新聞だけは、ある一人の生徒が主筆していると聞いている。

ということは…。

 

「えっと…週刊リリィ新聞の人、ですか?」

「そうですそうです!私、週刊リリィ新聞を主筆している二川二水です!」

 

まさかの2度目の自己紹介。

 

おそらく、途中から入学した私の情報がほしいという感じだろう。

別に話してもいいのだが、この後は確か…。

 

「共音さん。」

「はい。」

「実践演習の見学に行きますよ。」

「はい。すみません。二川さん、また後で話しましょう。」

「え、あ、はい。」

 

二川さんには申し訳ないが、実践演習に参加しなければならないため、その場を去る。

 

 

 

ヒュージ迎撃体制が整っているこの学院では、当番制で生徒がヒュージを見張る。

ただし、実際にヒュージが出現した際に戦うのは、実践経験がある生徒だけ。

それ以外の生徒は、私が今いる場所で見学する。

 

「ここで戦闘を見学してください。終わったら出てもらって結構です。」

「わかりました。」

 

ヒュージの迎撃は基本的に1対多数。

レギオン全員で戦う場合はノインヴェルト戦術で一気に仕留める場合が多い。

 

前衛は戦闘向きのスキル持ちの生徒が戦う、中衛は前衛のサポート、後衛は全体俯瞰と状況把握、といった感じなのかな。

いや、レギオンだと中心人物は中衛に入る気がする…。

となると、司令塔的存在が中衛に来るのだろうか…。

 

そんな感じに悩んでいると。

 

「あのぉ。」

「?」

 

不意に声をかけられ、振り返る。

 

「共音さんも見学側なんですね。」

「えっと、二川さん、でしたよね?」

「そうです。」

 

二川さんもまた、実践経験がないらしい。

 

というより、ちゃっかり名前を覚えられている。

 

「悩んでる様子でしたが、よければ何か教えしましょうか?」

「あ、はい。えっと…。」

 

ちょうどよいと思ったので、教えてもらうことにした。

 

「前衛のAZは、近接的な戦闘が得意なリリィが配置されます。身体能力の高さはもちろん、レアスキルの内容的に前衛に行く場合もあります。中衛のTZは、レギオンであれば、司令塔的存在が配置されます。前衛のサポートというより、全体の状況把握と援助を行うのがこのポジションです。ノインヴェルト戦術のフィニッシュショットをAZの代わりに行う場合もあるので、この位置にいるリリィは臨機応変な対応力が求められます。後衛のBZは、基本的に支援が得意なリリィが配置されます。遠距離射撃はもちろん、余裕のある位置でもあるため、仲間がピンチの時は真価を発揮させる役割も持ちます。」

「…。」

 

二川さんの説明が分かりやすい。

このことを理解して見学してみると、何となく動き方が分かる。

 

「…あ、あれ?共音さん、チャーム持ってないんですか?」

「え?ああ、ちょっと理由があって、まだチャームとの契約を済ましてないんです。」

「そうなんですね。」

 

そういえば、二川さんは何年生だろう?

2年生以上なら、今まで失礼な態度をとってたことになるけど…。

 

「共音さんは何年生の方ですか?」

「え?えっと、一年だけど。」

「そうなんですか!?私と同い年ですね!」

 

(よかった。)

 

そうこう話しているうちに、ヒュージの迎撃が完了した。

 

「それじゃあ、私はこれで失礼しますね!」

「はい。」

「また、お話ししましょう!共音さん!」

 

とても明るい子だと思った。

 

 

 

 

 

「これが、私のチャームですか?」

「はい。これを使って、戦闘に臨んでください。」

「わかりました。」

 

ある日、チャームが届いた。

 

私専用のチャームということで、確かに見たことのない形をしている。

 

剣のような見た目で、持っていても素早く動けるぐらいには軽いし、丈夫そうだ。

 

すでに契約は済ましている。

 

あとは…。

 

「なんだろうこれ…。」

 

実はこの武器は変形するのだが、その見た目は何となく斧のような形だ

元の剣よりもリーチは短く、剣より少し重い。

正直、本当に用途が分からない。

 

「もしかして…これが私専用の理由?」

 

この斧のようなタイプの用途が分かれば、私専用のものが作られた理由も分かるかもしれない。

しかし、今は情報が少ないため、気にしないことにした。

 

 

 

自主練場でチャームを試しに扱ってみた。

 

使い心地はとてもいい。

力が入りやすく、操りやすい。

変形の時間も短いため、うまく使えば強そうだ。

 

「おー!上手く扱えてるようだね!」

「?」

 

さっきまで私1人だけだったが、新たに人が入ってきた。

 

「えっと、誰でしょうか?」

「おおっと、いきなり話しかけてごめんね。私は真島百由、工廠科でマギやチャームの研究をしてる2年生だよ。」

「えっと、失礼しました。真島様。」

 

工廠科、確かマギやチャーム、ヒュージなどの研究をしてるところだ。

第一印象的に、何となく研究者質を感じる。

 

「どうかな。私の作ったチャームは。」

「………え?」

 

『私が作った』…?

 

「あー、説明してなかったけ。そのチャーム、私が作ったんだよね。」

「そ、そうなんですか!?」

 

工廠科…すごい…。

 

「正確には、大急ぎで作るように言われたから、私1人ではないんだけど、いろいろなカスタムを追加してるから、ほとんど私だねえ。」

「か、カスタムって…?」

「ん~…。」

「?」

 

真島様は少し困っている様子だった。

 

(聞いちゃいけなかったかな…?)

 

そう思っていると、真島様は口を開いた。

 

「ほんとは、入学した時に言いたかったんだけど、そのチャームは、あなたのレアスキルとサブスキルに合わせたものなんだよね。」

「私の…?」

 

私にレアスキルもサブスキルもあったんだ…。

スキラー数値55なのに…。

 

「あなたのレアスキルとサブスキルはかなり特殊でね、リリィやヒュージのマギに干渉できるみたいの。」

「マギに干渉…?」

「そう。結論から言うと、あなたのレアスキルは『タクトプロパゲーション』、サブスキルは『ウィズエクスプロイター』、と言っても、このような能力を見るのは私も初めてだから、即席でなづけるならって話だけどね。」

「…。」

 

確かに、聞いたことのないスキル名だ。

でも、今のところ、チャームとの関連が分からない。

 

「チャームとの関連だけど…まずスキルの説明をしないとね。」

 

そして、レアスキルとサブスキルの説明が長々とされた。

 

まず、レアスキルのタクトプロパゲーション。

簡単に説明すると、リリィと手を繋ぐことで、リリィのレアスキルをコピーして使用できるスキル。

しかも、両手で別々のスキルもコピーできるため、組み合わせることもできる。

さらに、1人のリリィに対して両手でつなげば、最大限の力を発揮できる。

かなり強力だが、条件として相手リリィがレアスキルを持っていることと、手を繋ぐ必要があること、それに加えて、発動は一度だけであり、マギ消費量も多いことを踏まえると、コスパはとても悪い。

 

そして、サブスキルのウィズエクスプロイター。

これは、ヒュージの弱体化とマギの吸収を両立したスキル。

マギを吸収する器さえあれば、理論上は無限に吸収できるため、レアスキルでマギが底をついたとしても、このスキルで補給は可能になる。

ただし、チャームを介した接触が必要で、マギの吸収速度をうまく調整できたとしても身体負荷が高く、到底連発して使えるものではない。

ちなみに、ヒュージが持つ負のマギは即座に浄化され、すぐに使用できる。

 

この2つの能力は、とんでもなく高レベルのマギ制御能力を必要とするため、私のスキラー数値で扱うのは本来ほぼ不可能なレベル。

それを可能にするために、専用のチャームが最優先で作られたのだという。

 

さきほど言っていた『カスタム』というのは、このことらしい。

 

正直、裏で私のためにこんな動きがあったなんて知らなかったが、私にもレアスキルが存在するなら、それを活かすべきだとは思った。

 

ただ、そうなった場合、一番のデメリットとなるのが…。

 

「この2つのスキル、どちらも『接触』が条件となってて、接触対象がリリィとヒュージだから、同時併用はまず無理ね。それに、戦闘中にリリィと手を繋ぐなんて、その時に護衛するリリィも含めたら、最低でも2人は必要。使いこなすのは、理論上は可能ってだけで、相当経験が必要だと思うわ。」

「…そうですね…。」

 

戦闘という状況において、リスクが大きすぎること。

どれほど強力でも、使いづらければ躊躇ってしまう。

 

ここで一つ疑問が出てきた。

 

「これだけ不安定要素があるのに、どうして最優先でチャームが作られたんですか?」

 

これだけデメリットが大きいなら、わざわざ最優先にする必要はない気がした。

 

「それは、理事長の強い想いね。あの方は、リリィ第一だから、そのためならなんだってしてくれるような人なのよ。」

「…。」

 

私の入学を許可してくださった理事長。

リリィへの思いやりを直接感じて、私はなおさらチャンスを活かしたいと思った。

 

「このスキル、是非使いこなしてみたいです。」

「…うん。頑張ってね。」

「はい!」

 

そう決意を新たにした。

 

 

 

 

 

「…ふぅ…。」

 

今日はついに初めて、迎撃ラインに立つ。

と言っても、私1人というわけではなく、いろんなリリィが周囲にいる。

 

私は、スキル的にリリィと一緒の方が都合がいいため、BZの位置にいる。

 

ヒュージ迎撃のためにアンテナを張ることはもちろんだが、私の場合はリリィのレアスキルの把握もすべきだ。

レギオンに所属している人しかいないが、これはこれで都合がいい。

 

レギオンについても、なんとなくの情報は仕入れている。

今回は、有名なレギオンであるアールヴヘイムが来ている。

それと、最近結成した一柳隊も来ている。

 

アールヴヘイムはとても強いため、戦っているときは何もしないほうがいいだろう。

 

「アールヴヘイムはこれよりノインヴェルト戦術を仕掛ける!」

 

ノインヴェルト戦術。

かなりのマギを消費するが、その分かなりの高火力だ。

普通のヒュージなら一撃必殺となりうる。

 

だが…。

 

「「「な!?」」」

 

なんとヒュージがノインヴェルト戦術の弾を止めたのだ。

普通はそんなことできないはずなのに。

 

「こんにゃろーーー!!!」

 

アールヴヘイムの一人が、無理やり弾を押し込み、命中させた。

だが、その反動でチャームが壊れてしまった。

 

ノインヴェルト戦術後であることも響き、アールヴヘイムはこれ以上の戦闘は不可能となった。

 

一応は命中したため、これで迎撃は完了………のはずだったが…。

 

(…まだ…動いてる…。)

 

ノインヴェルト戦術をくらってなお、あのヒュージは動いていた。

 

こんなの異例中の異例だ。

 

動こうかと考えたが、先に一柳隊が迎撃を引き継いだ。

 

一柳隊は結成して間もないが、メンバーが個性的すぎると話題で、私も知っているぐらいだった。

メンバー1人1人の実力は本物であるため、ある程度は戦えていた。

 

だが、連携不足は多少なりありそうだった。

 

 

 

「アールヴヘイムは甚大な損害を負いました。」

「リリィが無事なら何よりだ。それより、バックアップは?」

「現在、一柳隊が戦闘を引き継いでいます。」

「一柳隊、か…。結成したばかりじゃったな。」

「はい。実力者は多いですが、レギオンとしてはまだまだでしょう。そしてもう一人…。」

「ふむ…。」

「戦闘には参加していませんが、立繋共音さんがいます。」

「…彼女か…。」

「…どうしますか?」

「…とめる必要はないだろう。私たちも、彼女の実力を知る必要がある。」

「…そうですね。」

 

 

 

状況はあまりよくない方向へ向いている。

 

どうやら、あのヒュージは昔の戦争時にチャームを吸収していたようだ。

名前までは分からないが、一柳隊の1人が急に精神崩壊を起こしたことから、何かしら特殊なものなのだろう。

 

リリィにとって、チャームは必要不可欠なものであるため、チャーム単体となっている状況となると…。

…つまりはそういうことなのだろう。

 

とにかく、私も参戦したいのだが、やはり戦闘中に手を繋いでとは言いづらい。

だからと言って、まだ戦闘技術も未熟なのに、策もない状態で急に突っ込むのはよくない。

 

そう躊躇っていると…。

 

「あれ!?共音さん!!?」

「…え?」

 

私を呼ぶ声が聞こえた。

この声は…。

 

「二川さん。」

「わあ!私のこと覚えててくれたんですね!」

 

後ろから見ていたから気づいてはいたが、二川さんは一柳隊の一員のようだ。

 

「…て、それどころじゃないんです!助けてください!」

「!!」

「今、誰もとどめを刺せない状態で…。ノインヴェルト戦術用の弾を持っていればよかったのですが…。相手のヒュージが思ったより強くて、ゆっくりと押されている状況になってるんです!」

「…。」

「あの、どうか、立繋さんも戦ってください!」

「…それは…。」

 

一瞬躊躇ったが、動かないわけにはいかないとも思った。

 

「分かりました。」

 

二川さんと手を繋いだ。

 

これは…『鷹の目』!

 

「!!」

 

数秒しかみることはできないが、それでも現状把握はできた。

 

ヒュージを四方から囲むことはできてはいるが、全員に疲れが見える。

だが、同時に、ヒュージの方も完璧に対応できているわけではなった。

 

マギを制御できないヒュージは、チャームから放たれるマギに焼かれている様子だった。

 

そして、私が鷹の目を発動した直後に、一柳隊の1人がチャームを取り返した。

それと同時に、一柳隊全員が集まった。

 

ヒュージはチャームを奪われ、硬直しているようだ。

 

チャンスは今しかないと思った。

 

「二川さん、一柳隊の皆さんのレアスキルってわかりますか?」

「え?あ、はい。」

 

 

 

「く…どうすれば…。」

 

戦いが長引き、皆疲労困憊だった。

 

あのヒュージの長い金属の帯は、1つ1つが独立しているかのように動いているため、上手くタイミングが嚙み合わず、隙を作れない。

 

体力を節約していたとしても、状況が動かなければヒュージ側に有利になっていく。

 

この状態では、あのヒュージは倒せないだろう。

 

やはり、援護が来るのを待つしかないのか…。

 

「あの!夢結様!」

「二川さん?って、そちらの方は…。」

「夢結様!この方と手を繋いでください!」

「え?」

「グロピウスさんもお願いします!」

「ん?お、おう。」

 

何処の誰かも分からない人と生徒を繋いだ。

 

(これに何の意味が…。)

 

するとその生徒は、ありえない動きをした。

 

「「「な!?」」」

 

1蹴りでヒュージの元へ向かい、3つの帯が3方向から襲ってきたにも関わらず、身体を翻し、その勢いですべて引き裂いた。

 

速さこそ私たちとあまり変わらないが、チャーム1振りの力があまりにも大きかった。

 

よく見ると、チャームも見たことがなかった。

あれは…斧、だろうか…?

 

そしてそのままヒュージにさらに近づき、マギを一気に放出してヒュージを倒した。

 

この動きは、明らかに私の『ルナティックトランサー』とグロピウスさんの『フェイズトランセンデンス』を同時に発動しているかのようだった。

 

それからすぐして、戻ってきたその生徒は、マギの使い過ぎのせいか、すぐに気絶してしまった。

 

呆気にとられていた私たちに対して、二水さんが声をかけ、皆でその生徒を医務室に運んだ。

そして、後に二水さんからこの生徒のことを知った。

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