マイナーVtuberミーコの弱くてニューゲーム 作:下城米雪
:そろそろか。緊張してきた
:今日はどうなる?
:前回マジで草だった
:そんなに負け続けたんか?
:レート2800は魔境だから……
:この短期間でそこに到達してるのがおかしい
:低レート帯での勝率9割とかなのでは?
:お前らマジで詳しいな
:ぽよテトの話全然分からんけどミーコが頑張ってるのは伝わる
ミーコを待つ生徒達は、今宵も仲良く会話していた。
そして、デジタル時計が03:15を示す。瞬間、画面にミーコが現れた。
『やぁ』
:なんかもう草
:やぁwww
:凛々しい
:これは理事長の風格
『……ミーコ、分かっちゃった』
:イケボたすかる
:こういう声も出るのか
:かわいい
:ちょっと待ってくださいまし。ミーコでこの声ならばお兄さまはどうなってしまいますの。それを聴いたわたくしの心臓はどうなってしまいますの!? 妊娠!?
コメント欄はミーコが出した「精一杯の低音ボイス」に盛り上がる。
正直あんまり変わらないのだが、推しから供給を受けると過剰に盛り上がってしまうのがファンという生き物の性質なのだ。
ミーコはスッ、と息を吸う。
『ぽよテトは、会話だったのだにょ……だよ』
:だにょwwww
:これは草
:いつもの理事長で安心する
:かわいい
『……』
ミーコ、沈黙する。表情は変わらない。
しかし一部の生徒達は赤面した姿を幻視した。
:かわいい
:ハッ、ハッ、ハッ、ハッ(過呼吸
『むにゅぅぅぅぅ』
負けボイス。
:かわいい
:今日も寝ちゃう?w
『寝ない!』
:良かった
:やったー!
『ミーコ活舌には負けたけど、生徒諸君には負けてないから』
:かわいい
:毎日いろんな顔が見れてしあわせ
すぅぅぅ。
ミーコは深く呼吸した。
『ぽよテトは、会話だったのだよ』
テイク・ツー。
今度は嚙まなかった彼女は、机の下で拳を握り締めた。
『この攻撃はどうですか。対応できます。それならば、こちらで。見てました。対応できます。これならば。むにゅぅぅぅぅ』
:負けボイス
:結局負けてる?w
『結局負けてます』
:草
:かわいい
:wwwww
:素直www
『でも違う。違うの諸君。聴いて』
:はい
:いいよ
『今までの負けは、ほいっ、えりゃっ、おりゃっ、むにゅぅぅぅぅ! だったの! でも今日は、ほほぅ、ふむふむ、どうぞ、むにゅぅぅぅ……なの!』
:この語彙力なんかクセになる
:かわいい
:かわいいことだけ分かった
:なるほど。つまり、将棋ですわね
『将棋わかんない』
:むにゅぅぅ
:草
:負けてるやつおって草
『むにゃぁ! 違うぅ!』
ミーコ、突然の地団太。
『対話できるようになったミーコを褒めて!』
:偉い!
:ミーコ賢い!
:急成長!
:よっ! 天才猫!
『……えっへっへ』
ミーコは満足した。
『雑談するぞ~!』
:舞ってた!
:昨日ぶつ切りだったからネタが二つに増えちまったよ
:この時間の生徒達、無駄に用意周到で好き
:やったー!
その後、ミーコは生徒達の話を聞いてケラケラ笑った。
――大会まで、残り7日。