マイナーVtuberミーコの弱くてニューゲーム 作:下城米雪
午前3時15分。
私は、今日もPTA会議を始めるため、パソコンの前に座っていた。
今日は話したいことが沢山ある。
夢みたいだ。本当に。全部、みんなが応援してくれたおかげだ。
最後は真希さんに負けちゃったけど……。
むにゅぅぅぅぅ、悔しい~!
でも、でも、すごかったよね?
私、みんなの期待に応えられたよね?
……ドキドキする。
怖いけど、でも、きっと大丈夫。
さあ、今日も配信を始めよう。
――視聴者数、5300人。
:やっと来たか。今すぐ死ね
『……あ、え?』
:まじで消えて。
:お前なんかいらない
:空気読めよクソが
:ホタルに謝れホタルに謝れ
:消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ
:お前みたいなやつが勝つとかありえない
:お前の勝利とか求めてねぇよクソが
:クソクソクソクソクソクソ
:顔も見たくない。二度と出てくるな
:存在が不快
:何が逆転だよ。気持ち悪い
:どうせ裏でズルしたんだろ?
:空気読めよ
:ふざけんなよマジで最低の気分だわ
:何調子乗ってんだよ、お前なんか勝者じゃない
:にゃほぉじゃねぇよクソが!
:ホタルに謝れ
:人格最低。ゲームの腕も最低
:ホタルの邪魔しかしないゴミが
:誰もお前を応援してないって気づけよ
:負けた方がよかったのに、ほんとに残念
:お前が勝っても感動ゼロ。むしろ不快
:一生出てくんな。みんな迷惑してる
:ホタルに土下座しろよ、クズが
:なんでこんなやつが勝つのか理解不能
:無価値。お前には何の価値もない
:その勝利、誰も喜んでないんだよ
:お前、性格も顔も全部嫌い
:人生終わってるよな、お前みたいなやつ
:お前なんかいらない
:なんでこんな人間失格が勝つんだよ
:恥を知れ
:負け犬がたまたま勝っただけ。勘違いすんな
:お前の存在自体が不快
:ミーコとか見るだけでムカつく。消えろ
:頼むから消えてくれ
『……え?』
:ブス。この世から消えろ
:お前みたいなやつ、生きてる価値ない
:顔も性格も最悪。全部嫌い
:ほんとに無理。気持ち悪いから消えて
:お前の存在、全員に迷惑なんだよ
:何が耳ぴこぴこだよきっっっっしょ!
:何でこんなブスが勝つんだよ、意味わからん
:マジほんとお前を見るだけで吐きそう
:ブスで性格も最悪。誰もお前の味方いない
:ホタルの方が圧倒的に強い。お前はゴミ
:お前のせいで全部台無し
:ほんとに気分悪い
:このブスが! ホタルに土下座しろよ
:誰もお前なんか望んでない。消えろ
:マジで消えてくれ。みんなお前のこと嫌ってる
:お前がいるだけで雰囲気悪くなるんだよ
:性格悪いし、顔も不細工。最悪だな
:どうせ整形しても無駄なレベルのブス
:本当に気持ち悪い。お前の顔見るだけで吐き気がする
:性格ブス。顔もブス。救いようがない
:お前、ゲームも人生も負けてるよな
:マジでありえない
:ブスが勝っても誰も祝福しないよ
:なんでこんな不細工が勝ったんだよ、意味わかんねえ
:顔も性格も全部ムカつく。消えろ
:ホタルがチャンピオンで、お前はただのゴミ
:なんで存在してるのか理解できない
:お前みたいなやつ見たくない。二度と出てくんな
:消えろ。みんなお前のこと嫌いなんだよ
:無価値な人間が勝つと、こうなるんだな
『……なに、これ』
止まらない。
数千人の暴徒が集まり、次々とミーコを罵倒する。
あの試合を冒涜するようなコメント。
そして、ミーコの人格を否定するようなコメントまである。
もちろん生徒達はミーコの味方をしている。
ブロックしろ。気にするな。お前らが消えろよ。通報した。
しかし、その数があまりにも違う。
:早く消えろよ
:無様な顔受ける
:え、じゃねぇだろうが!
:顔も性格も最悪。マジで不快
:ほんとふざけんなよクソが
:空気読めよ。どう考えてもお前が勝つ場面じゃねぇだろ
:勘違いブス。死ねよ
:ミーコ、気にするな! 俺たちは応援してるぞ!
:なんでこんな奴が勝つんだよ。空気読めよ
:通報しました。こんなコメントするやつこそ消えろ
:お前なんか誰も応援してないんだよ。二度と出てくんな
:存在が迷惑なんだよ。顔も見たくない
:この世から消えろ
:消えろ
:最低最悪のクソ猫
:何がミーコだよ。変な名前
:お前がいなくなればみんな幸せなんだよ
:ぜったいに許さない
:ホタルの邪魔するなよ!
:誰もお前を祝福しないから安心しろ
:みんなミーコを応援してる。頑張れ!
:ホタルに土下座しろよ、クズが!
:お前が勝ったところで誰も喜んでないぞ
:通報した
:どうせズルして勝ったんだろ。こんなの認めない
:顔も性格も全部最悪。誰もお前を好きじゃない
:ホタルを応援してたのに、お前が台無しにした
:お前が生きてるだけで不快。消えろ
:顔も見たくないとか言ってる奴、どっちが最低なんだよ
:もう出てくんなよ、お前みたいなゴミは
:今すぐ消えてくれ
:死ねよ。クソが
ミーコをフォローするコメントもある。
しかし、猛烈な悪意に飲まれて、それすらも誹謗中傷のコメントに見える。
画面上のミーコが動いた。
その手が、ふとミーコの顔に触れる。
驚愕した様子で目を見開いた。
――自らの口元に触れた彼女の手には、血が滲んでいた。
『……はぁ、はぁ、はぁ』
誹謗中傷のコメントが止まらない。
よく見れば、それはバリエーションが少なくて、ほんの一部のヒトが同じようなコメントを連投しているだけと想像できるかもしれない。
ミーコにはブロックする権利がある。
NGワードを設定して、ある程度の鎮静化をはかることもできる。
無視して配信しても良い。
今日はやめるとだけ伝えて時間を置いても良い。
全部、できなかった。
久々に受けた悪意を前に、彼女は無力だった。
『おぇっ』
べちゃっ
嫌な音を残して、配信は終わった。