「薄暮」と『黎明』 作:永星の観察者
どこかの遠い星から落ちてきた少女。
“落下”中に記憶や装備を落としてきてしまったということらしいが…?
実ははるか遠くにある星の技術の粋を集めて造られた侵略兵器。
少女の形をしているが実際はナノマシンの集合体であり、本来は様々な生物の形・技をコピーして際限なく強くなっていく恐ろしい機能がついている。
しかし落下中に記憶等を失ったため、今は転生という形でしかその機能を発揮できない。
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…あー、あー、聞こえてる?
上ににある通り、″今の″わたしさんは記憶喪失でなーんにも覚えてないの!
だから、今から詳しい説明をするのは″ワタシ″!武器の中に……まあ、これは後で話すね!
さぁ、気を取り直して…早速説明していくね!
まず、ワタシが生まれたのはここからずーっと、ずーっと遠い星!距離にして36万…えーっと……
…とにかくすごい遠い星!
そこで、対外惑星用侵略兵器「黎明」(長すぎない?)として生まれたワタシは、最初はスライムみたいな姿だったんだ…
それでね、この姿じゃ惑星に落としてもすぐに倒されちゃう!って思った研究者の人達は、どの姿が1番油断してくれるか考えて…まず最初にワタシに人間の女の子の姿をコピーさせることにしたの!
でも、これが中々上手くいかなくて…
どうも、最初のワタシはすご〜く好き嫌いが激しくてね!
普通の女の子の遺伝子情報(髪の毛とかだね!)を与えても、ぜーんぜん反応しなかったらしいの…
そして、色んな女の子の遺伝子情報を与えても全く反応せず、開発も失敗かと思われたあの日……
とある研究者───███博士が持ってきた髪の毛に、とうとう反応したの。
(″わたし″はある理由で見るだけでコピーできるから、髪の毛を食べられる心配はないよ〜!)
今でも思い出せるなぁ…″ワタシ″が目を覚ました時の事…
ワタシは赤ちゃんみたいなもので、何もわからなくて…
でも、周りの人達は肩を組んで笑顔で…
それに釣られて、ワタシも笑顔になったの!
その後……
ワタシは、みんなをコピーしたの
最初は、みんな笑ってくれたんだよ?
「すごい!そっくりだ!」とか、
「これさえあれば俺達の星は救われる…!」とか。
でも、あらゆる生物での実験が始まってしばらくして…
ひたすらにコピーを繰り返して、色々な生物の特性や技能や能力を身につけていくワタシを見て、みんなだんだん怖くなってきちゃったみたいで…
最終的には、ワタシは処分されかけたの
「これは俺達には制御し切れない」
「恐ろしいものを作ってしまった」
ってね
…身勝手だよね?自分達で勝手に作って、勝手に殺そうだなんて。
まあいいや。
とにかく、その会話を聞いたあの時のワタシは、すごく困ったの
あの時のワタシには、コピーする事と、生物を観察することが全てだったから…処分されたら生き物を観察出来なくなっちゃうでしょ?
だからその話を聞いた後にどうしようかずーっと考えたの!
そうしてひとしきり考えて…
その最高のアイデアとは……
ぜ〜〜〜んぶ、壊す事!
ワタシを処分しようとしてる人達を処分したら、ワタシは好きなだけ生物を観察できるでしょ?だから、まっしろな研究所がまっかになるまで、今までコピーした生き物の力を存分に使って壊したの!
……そういえば、髪の毛を持ってきた███博士だけは、ワタシが爪を首に突き付けても怖がらなかったんだよね…
なんでだったんだろうね?
まあもうバラバラにしちゃったからわかる事もないんだけどね!それで、研究所をまっかにした後、自由になったワタシは星中の生き物を観察して回ったの!
楽しかったな〜…
それでね、星中の生き物を見続けて長い時間が経って…
とうとう、見たことのない生き物がいなくなっちゃったの…
まあ生き物は進化するから、ずーっと待ったらまた知らない子が出てくるんだけど、あの時のワタシはせっかちでさ!
で、そうなっちゃってすごーく困ったんだよね!
「見る生き物がいなかったら、ワタシ何して生きたらいいんだろう…」
って!
でもね、そうやって困ってた時にふと思ったの!
「他の星になら、ワタシサンの知らない生き物がいっぱいいるのかも?」
「もしかして、色んな星を渡り続ければずーっと知らない生き物を見続けられるんじゃないのかな?」
それを思いついてからは早かったな〜…
研究所に戻って、資料を読み漁って…
どうにか、ワタシを他の星に発射する手段を見つけて作る事が出来たの!
これは最初のコピーさせてくれた研究員の人達の知識がなかったら出来てなかった事だから、すごい感謝してるんだよ?
もういないけど。
それで、無事にワタシは星から発射されたんだ〜
でもね、この星の大気圏を越えた時…ワタシに元々ついていた「ある機能」が発動しちゃったの…
これは確か…
そうそう!
「星から出発する時に、今までの記憶と能力を武器に詰めて、本人は記憶喪失の状態で武器と次の星に着く」
簡単に言うと、こんな機能がついてたんだ〜
ワタシサン、プロテクト破れなかったから武器に詰められるまで知らなかったよ…
それで、これはね…
「星に降り立った時、記憶喪失の少女の姿で油断させつつ、記憶を別の場所に封印することで万が一記憶を読まれた場合でも侵略がバレる事を防ぐ」っていう目的と…
「もし「黎明」(ワタシだね!)が研究所の制御を離れてこの星を離れた場合、次の星への被害を最小限に抑える為」
っていうふたつの目的の為に付いてる機能らしいよ!
ともかく、それのせいでワタシは発射装置の中で全てを武器に詰められて、本体は記憶喪失の少女…″わたし″になったって訳!
本当は、星に着いたらすぐに体に戻るつもりだったんだけど…
どうしてか途中で体と武器が離れ離れになっちゃったんだよね!
そして、何故か遠くへ行った武器を探すために″わたし″の冒険が始まった…
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……ここまでの話を聞いて、″ワタシ″が嫌いになった?
確かに、″ワタシ″は研究所を勝手な理由で壊しちゃったし、今だって生物を観察することにしか興味がない。
多分、このまま″わたし″が武器を手にして″ワタシ″に戻ったら大変なことになる…かもね?
でもね、″わたし″のことは嫌わないであげて!
あの子はすごくいい子だもの!
そして、きっと…
なんの奇跡か武器が遠くに離れたおかげで、想定よりずっと長く″わたし″は旅をしてる。
だから、武器を手にして記憶を取り戻したとしても…たぶん、消えるのはワタシ。だって、″わたし″の方が今は自我が強くなっちゃってる訳だからね!
怖くないのかって?
…怖いよ。
消えるのが怖くない人なんて、そんなにいないと思うよ?
でもね、ワタシ武器からあの子の様子を見てる内に…あの子が冒険してる所、もっと見たくなっちゃったんだ!
なんてったって、ワタシの趣味は生き物を観察することですから!!
…まあ記憶喪失とはいえ自分を観察することになるとは思ってなかったけどね〜、あはは…
で、ここで長々とお話した理由なんだけど…
きっと、ワタシは消える。
そしたら、ワタシがいた事を知る人は誰も居なくなっちゃう…
さすがに悲しいじゃん?
だから、ここに書き残して置こうかな〜って、思ったの!
思ったよりずっと長くなっちゃったけどね…
……さて!話したい事は大体話したし、そろそろ終わっておこうかな!
ワタシも話しながら自分の気持ちに整理がつけられたよ!
じゃあ、最後はあの子に習って…
″キミの旅路に、祝福があらんことを!″