ブルア廻戦   作:天翼project

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端末の機種変をして色々と整理していたら投稿が遅れましたがエピローグです
今後の活動の予定についてはあとがきにて


シン・ペロロジラ エピローグ

 

「私が一番手いっくよ〜☆」

 

キヴォトスに襲来した特級口伝特異体ペロロジラ、その迎撃に当たった特異現象捜査部はペロロジラのD.U.中央区への侵攻を食い止め、切り札として用意された名も無き神々の時代の超古代遺物。

極めて高出力の神秘砲を放つ大砲、仮称『アンタレス』をKeyの器であるアリスの権限を用いて起動しペロロジラに直撃させるものの撃滅には至らず、耐え切ったペロロジラはアリスやリオ達が構える山へと向けて目からの光線で反撃する───が、これを駆け付けたホシノが防ぎ、アリス達を守った。

 

さらにD.U.を離れていた特級を冠する生徒達が次々と現場へと到着し、そうして真っ先に飛び出してペロロジラの頭上までの大跳躍を行った聖園ミカは秘儀を発動。

身体に捻りを加えながら振り下ろした拳は聖園ミカの秘儀である『星の祈り』により莫大な仮想の質量が付与され、そこに神秘による身体強化での凄まじい膂力も合わせてペロロジラの頭頂部を直撃。

 

それによって…べこりと、ペロロジラの身体が潰れた空き缶のように凹んだ。

 

「あっはは!結構ふわふわした感触だね?ぬいぐるみサイズなら寝る時に抱きしめるのに丁度良さそうだったんだけど…まあデザイン気持ち悪いからいっか」

「そう?私は結構可愛いと思うけど…」

 

ペロロジラを殴り付けた反動で近くのビルの屋上まで跳ねて着地したミカの独り言に、いつの間にか追い付いてきたクロコが不思議そうに返す。

そのセンスに思わずクロコを2度見したミカを無視して、凹んだ身体をなんとか戻そうと藻掻いているペロロジラを見据えながらクロコはミカのお洒落に飾り付けられた天使のような翼をツンと触った。

 

「ごめん…今秘儀のストックないんだけど…」

「…はいはい、しょうがないなぁ」

 

クロコの秘儀を知っているミカは渋々自分の翼から羽根を1枚抜き、それをクロコの方へピンと弾く。

ひらりと舞った白い羽根はクロコの近くに開いた黒い穴の中に吸い込まれ…そこから身長高めのクロコすら見下ろす巨躯が姿を現した。

 

クロコと接続された特異体…それの抜け殻をベースとした式神、”プレナパテス(センセイ)”。

クロコは懐から黒く焦げたカードを掲げると、それに神秘を流し込んだ。

 

「お願い、”センセイ”」

 

 

”うん、行こう”

 

 

クロコの呼び掛けに返事をした”センセイ”はその広い背中にクロコを背負うと緩やかな速度で飛行し、ペロロジラへと向かっていく。

そして飛行の速度は徐々に加速し、ようやく身体を元に戻したペロロジラの腹に向けて加速の勢いを乗せたクロコと”センセイ”の拳が突き刺さり───ペロロジラの途方もない巨体が打ち上げられた。

 

クロコの秘儀、”センセイ”は接続の起点である『大人のカード』の力を解放することで、5分間の間無尽蔵の神秘の供給、”センセイ”の完全顕現、そしてコピーしストックした秘儀の使用が行えるようになる。

コピーの条件は秘儀を持つ対象の身体の一部を”センセイ”が取り込むこと。

これは取り込んだ対象の部位が小さくかつ生命活動を行うにあたって重要でない部位であるほどコピーの精度が落ちるが、同意を得た対象がその部位に予め神秘を深く込めたものを取り込んだ場合はその限りでは無い。

ただの羽根1枚だが、ミカがそれに充分な神秘を込めた事で秘儀をコピーしたクロコは本来の『星の祈り』に近い出力を出すことが出来る。

 

秘儀により付与された圧倒的質量に莫大な神秘を持つクロコのパワーにより今まで他の特異現象捜査部の生徒達による総攻撃では小揺るぎすらしなかったペロロジラが後ろに押し飛ばされ、背後に引き連れていたペロロミニオンを下敷きにしながら尻餅を着く。

さらにそこへ追撃を加えるのは───

 

 

「皆が汗水垂らして踏ん張ってくれたからね〜。おじさんもカッコイイとこ見せちゃうよ〜!反転───『』」

 

 

地上をあっという間に走破しペロロジラの正面に飛び上がったホシノは、構えたショットガンの銃口に神秘を反転させた恐怖を流し込まれた秘儀の力を込め…引き金を引く。

 

解き放たれた赤い光はペロロジラの巨体をさらに押しやり、後退させられたペロロジラは憤怒を表すように目に神秘を収束させると、それを滅茶苦茶に放って周囲を薙ぎ払っていく。

熱線によって辺りが次々と破壊されていくも、それらを掻い潜った特級3人はこれ以上のペロロジラによる被害を抑える為に一気に決めにかかった。

 

 

”ビナー”!

 

全部出すよ、”センセイ”

 

虚式───『暁』

 

 

聖園ミカが自身の式神であるビナーをボールのように纏め、途方もない質量を付与して蹴り放つ。

 

砂狼クロコが”センセイ”から供給される無制限の神秘を惜しみなく収束させ、砲として解き放つ。

 

小鳥遊ホシノが自らの秘儀、『ウジャトの目』の順転による再生と反転による破壊の相反する力を掛け合わせて作り上げた、再生による不変の神秘の塊を破壊の力が弾き飛ばすように射出する至高にして崇高の一撃を放つ。

 

 

1つでさえ特級相当の特異体を軽く消し飛ばせる威力。

その畳み掛けるような集中砲火を受けたペロロジラがどうなったか───それは最早、語るまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホシノせんぱ〜い!」

「うへ〜、アリスちゃん元気にしてた〜?」

 

ペロロジラを鎮めた後、軽い調子で片手を上げながら戻ってきたホシノにアリスが涙目で抱き着く。

あれだけの戦力をつぎ込んでなお倒し切れなかったペロロジラという圧倒的に強い特異体。

それが彼女の…彼女達の手にかかれば、事前に『アンタレス』によるアリスの攻撃で大きく消耗していたことを考慮しても一方的に叩き潰せてしまった。

 

アリスの頭を撫でるホシノを見ながら、リオはせめて誰か1人でも最初からいてくれればもっと楽に話が済んだのにと思わずにはいられなかった。

とはいえ、ペロロジラの襲撃により港区からD.U.中央区付近に至るまでの区間が大きな被害を受けたものの、中央区への被害は戦闘の流れ弾が多少飛んだ程度で軽微、人的被害も迅速に避難誘導を行えたお陰で一般人には出ておらず、直接戦場に赴いた特異現象捜査部の生徒達も奇跡的に死者0で済んでいる。

 

インフラへの被害は決して無視できないが、中央区とサンクトゥムタワーさえ現在ならばキヴォトスの住民特有の強かさで再興に時間はそうかからないだろう。

 

「…呼び戻しておいてなんだけど、任務の方は中止したのかしら?」

「ん?あ〜、あれなら大急ぎで片付けて来たよ。時間なさそうだったから回収した遺物はS.C.H.A.L.Eの玄関に雑に置いてきちゃったけど」

「そう…ならそっちに詰めてる監督官に処理させておくわ。それと…助かったわ。ありがとう」

「本当にありがとうございました!やっぱりホシノ先輩は凄いです!」

「うへへ、そう言ってくれると急いで駆け付けた甲斐があるよ〜…まあ、お礼ならおじさんだけじゃなくて…」

 

「その子が例の子?聞いてたより可愛いんだね〜☆」

「ん…初めまして、アリス」

 

「!」

 

少し遅れてやってきたのは、アリスを物珍しそうにしながらも何かを測るような視線を向ける聖園ミカと、イマイチ感情が読み取りにくい無愛想な表情の砂狼クロコ。

無邪気な笑みの裏に思惑を感じさせるミカと全力攻撃を行った後だからか暴力的な神秘を威圧的に吹き荒れさせているクロコに、ついアリスはホシノの服の裾を握りその背後に身を隠してしまう。

結果、

 

「えっ…」

「あ、ごめ…」

 

親戚の子供に怖がられた時のように若干ショックを受けた2人に、気まずくなったホシノがアリスの背中を優しく押した。

 

「ピンクの方が聖園ミカちゃんで、ケモ耳の方が砂狼クロコちゃん。クロコちゃんはレンゲちゃん達と同じS.C.H.A.L.Eの2年生で、ミカちゃんは一応特異現象捜査部で4年間の学業と研修を終えたフリーランスで、2人ともおじさんと同じ特級の資格を持った凄い人なんだよ」

「そ、そうなんですか…えっと、よろしくお願いします!天童アリスです!」

「あ、うん!よろしくね、アリスちゃん!」

「ん…」

ホシノの仲介もあって多少空気の緊張が緩和され、先にミカがアリスにフレンドリーに接して交流を始めた。

確かに胡散臭さはあるが人当たりは良いミカなのでアリスと打ち解けるのにそう時間はかからないだろうと考えたホシノは、その間じっと2人が話しているのを見ているクロコへと話しかける。

 

「クロコちゃん、出張はどうだった?」

「ん…フィーナさんもいい人で、勉強になることも多かった」

「多様な神秘の系統については特異現象捜査部じゃ学べないからねぇ。講義とか訓練で習うのは基本画一化されて効率重視のやつだし…その分実戦的だから現場出る生徒にとっては重要だけど、クロコちゃん程だと持て余しちゃうしね。あと前も言ったけど神秘雑だよ〜」

「ごめんなさい…今抑える」

 

そうホシノに指摘されると、クロコの煮え滾る火山の岩漿を彷彿とさせる神秘が萎んでいき、その身体の中に収まって…それでもまだやや溢れているが、周囲に威圧感を与えない程度にまで沈静化する。

ミカと話しながらもクロコから漏れ出す神秘が気になっていたアリスはそれに安心したように話に戻っており、ホシノも苦笑する。

 

「神秘の操作はまだまだ課題だね〜…レンゲちゃん達とは会ってきた?」

「さっきの特異体倒した後に…ミカさんと負傷者を運んでた時に話した。怪我してたけど、皆無事で良かった」

「そっか」

「あとなんか治療室に崩れてくあの特異体…ペロロジラ?を見て悲しそうに泣いてた子が2人いた」

「そ、そっか…」

 

以前のS.C.H.A.L.E本部と百鬼夜行支部の交流会から百鬼夜行支部の生徒の人となりについて調べたことのあるホシノは件の2人が誰だかうっすらと察するものの、下手に触れればなんとなく後が怖いと鋭敏な勘が冴え渡りその話をスルーする事に決める。

 

「しっかし…この遺物、おじさんも前に1回見たことあるけど、起動できたんだね」

「ん、あれから訳の分からない神秘を感じる…なんというか、質?が違うのかな。リオ部長とヒマリ部長の見解は?」

「どうやら生前のKeyの所有物らしいわ。だからKeyの器である天童アリスの神秘で起動出来たのよ」

「ふうん?Keyのねえ…アリスちゃーん!これ使う時Keyから何かアクションあった?」

 

「それで…はい?ホシノ先輩?Keyですか?そ、そうですね…Keyが表に出てきて少し話しましたけど…Keyが住んでた城?に着いてた兵装の一部だとかなんとか」

「あっ、ホシノちゃん!人が話してる時に割り込んで来るなんてひどーい!」

 

既に楽しそうに話してた2人の会話を中断させたホシノの呼び掛けににミカが文句を言うも、アリスの話を聞いたホシノ、そしてリオは興味深そうに『アンタレス』へを見る。

 

「…まあ、その辺は追々調べてもらえばいいかな」

「またそうやってこっちに投げ出すつもりね…まあ良いけれど。さっちのエンジニアと監督オペレーターも借りるわよ」

「その辺はヒマリ部長と相談してね〜。じゃ、そろそろ帰ろうか、クロコちゃん、アリスちゃん」

「ん」

「は、はい!それではミカ先輩、また!」

「はーい…もうちょっと話したかったけど、しょうがないなぁ…なら私は約束通り久しぶりにトリニティに戻ろうかな…」

「おっ?ミカちゃん、ナギサちゃんと仲直りしたの〜?」

「別に?ただお茶しにいくだけ…いややっぱり2人だけだと気まずいかも…そうだ、ついでに病院に行ってお見舞いしに行けば…」

 

先の予定が憂鬱なのかミカがブツブツ独り言を始め、やれやれと肩を竦めたホシノはクロコとアリスの手を引き、帰路に着く前にもう一度リオの方を振り返る。

 

「リオ部長、何度も言うけどアリスちゃんは良い子だよ。連邦生徒会の連中に良いようにされないようにね」

「…それは私が見定めることよ。余計なお世話だわ」

「そ。ただリオ部長なら正しい判断が出来るって信じてるよ。おじさんも…ヒマリ部長も、きっとね」

「…さっさと行きなさい。私はこれから後始末で忙しいの」

「はいはい」

 

ホシノ、そしてアリスを見たリオはホシノ達に背を向けると、その場から逃げるように現場の指揮に戻って行った。

ホシノもアリスとクロコを連れ、途中で慌ただしく働き回っていたイチカを引っ張りS.C.H.A.L.Eまで車を運転させる。

深夜に行われた戦いは、S.C.H.A.L.Eへと戻る頃にはぼんやりとした朝焼けが遠くの空を薄く照らす。

 

アリスはS.C.H.A.L.Eに戻ると先に搬送されていたという仲間達に会いにクロコと共に廊下を全力で駆け床にヒビをつけ、病室へと扉を蹴破りながら突入。

2人まとめてその場にいたセナに拳骨を落とされた。

 

「うわーん!」

「痛い…」

 

「アリスさんはともかくクロコさんまで何やってるんですか」

「皆が心配で…」

「本当にクロコさんは1年の時からそういう所が変わりませんね…」

 

「ぷぷ、アリス怒られてやんの〜」

「クロコ先輩までねぇ。友達思いの人とは聞いてたけど噂はあながち間違って無さそうね」

 

そんなアリスとクロコをベッドの上からカズサとヒナが揶揄う。

アリスは恨めしそうな目で2人を見るが、元気そうな事に安心したのか口元は綻んでいる。

そしてその2人の反対側では、

 

「ったく、なんだってウチはこんな馬鹿ばっかりなんだ…」

「?レンゲはその枠には入らないのか?」

「あぁ!?」

「デモデモ…ゴホッ、ゲホッ…」

「ん、ミノリにのど飴買ってきたよ」

「タックス…」

 

ベッドに寝転がるレンゲとミノリは良いとして、ペロロはその大きな着ぐるみに巻き付くように毛布に包まっているため傍から見ればシュール極まりない。

なんにせよ全員無事で今回の大騒動を乗り切れたことにアリスとクロコは見合って安堵の微笑みを浮かべる。

 

「…戻る途中にアオイ達も無事だと聞きましたし、本当にハッピーエンドでことを終えられて良かったです…あれ?そういえばユウカ先輩も前線に出てましたよね?」

「あー、あの人も結構戦いで傷付いてた筈なんだけど…」

「対策本部の救急所で少し包帯巻いて処置したら後処理の手伝いしに行ってたわ」

「す、凄いですね…」

「1級にもなる人は大体それくらい出来るよ。アリス達も追いつけるようにね」

「は、はい!」

 

憧れの先輩がそのタフネスを発揮しているという話を聞いて畏敬の念を強めるアリスは、クロコからの激励を受けてさらに強くなりたいという決意を新たにする。

そしてアリスは勿論、ヒナやカズサ、レンゲやミノリやペロロもまた、ミカとクロコ、そしてホシノの圧倒的な強さを見てその実力差を理不尽に思うでもなくいつか追い付き追い越そうという思いを強めていた。

 

そんな皆の意思を黙って話を聞いていたセナが感じ取り、いつかにホシノが「自分に並ぶような後輩を育てたい」と言っていたことを思い出し口元を緩めた。

 

(貴方の後輩は、立派に前を向いていますよ。きっと今回のことも、彼女達の糧になる。そしたら…いつか、貴方の孤独が癒えることを願っています)

 

そう思いながらも自分らしくない感傷だと自嘲したセナは、廊下の窓を見下ろしヒマリと何か話しているらしいホシノを見下ろした。

 

 

 

 

 

「にしても特級口伝特異体…新しい特異現象の形ねぇ。本体が消えてペロロミニオンも全部消えたみたいですけど…噂は噂、人の間で語り継がれる伝承が途絶える事はそうそうありません。きっと時間をかけてまた現れますよ、あれは」

「やはりホシノさんもそう思いますか…トリニティのカタコンベに現れるバルバラやミレニアムの廃墟に現れるケセドのように鎮めても再度復活する特級特異体は例がありますが…あの規模と強さを持つ特異体が周期的に発生するとなれば、今はホシノさん達がいるから良いとしても、いつか抑えが効かなくなるでしょう。そうなれば…どうなると思います?」

「元を断たない限りは、そのうちキヴォトスは滅ぶでしょうね。今回は呆気なく鎮められましたけどハッキリいってペロロジラは他の確認されている特級特異体と比べても強過ぎます。1級でも何人かいれば充分に鎮められる並の特級特異体と比べますとね…」

 

改めて今回の件の詳細、そして特級口伝特異体ペロロジラの正体をヒマリから説明されたホシノは暗い顔で問答に答える。

概ね同じ意見のヒマリもまた嘆息し、嫌そうな表情で車椅子の肘掛けをトントンと指で叩く。

ペロロジラ…というよりモモフレンズは割と歴史あるブランドで、今回の騒動の発端となったペロロジラの噂についてもかなり昔から囁かれてるものだ。

噂はモモフレンズの人気の増加に伴い増え続け、それによってペロロジラが出現するに至るまでの”口伝”の高まりが加速している。

そこへ今回の騒動、これ程大きな事件となれば噂はより加速するだろう。

そうなればペロロジラが出現する周期はより短くなり、そんな事が頻発すればキヴォトスの未来は長くない。

 

「…いっちょモモフレンズと戦争でもしよっか」

「それなりに歴史と力を持つ会社ですしねぇ。無理矢理にでも潰さないとキヴォトスが危ないですし、最悪世間に特異現象について大々的に公表することも視野に入るでしょうか?」

「リオ部長にも頼んで連邦生徒会にも圧力かけて貰うしかないかな〜。これはまた忙しくなるよ〜?」

「主に私と監督オペレーター達が、ですけどね。またアヤネさんの徹夜記録が伸びますよ」

「今回は何徹してたのさ?」

「今日で五徹になるそうです。後始末の仕事量的に10徹はいくでしょうね」

「うへ…」

 

ホシノも多忙かつまともな睡眠時間は少ない方ではあるが、それでも比較にならない程の過労。

おそらくフブキ辺りが聞けばドン引きするだろう。

…それはそれとしてフブキならそんなアヤネを横目に平然と仕事をサボるのだろうが…

 

「…冗談で言ったつもりだけど後々のことを考えると本気でモモフレンズは止めた方が良いのかもね…」

「特にペロロはダメですね。見た目も可愛くありませんし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?どこかでペロロ様が侮辱されてる気がします!」

「何を言ってるんだ貴様は…」

 

一方百鬼夜行支部では。

こちらもこちらで病室に集まり、後方からの援護をメインとしていた為に負傷の少ないヒフミとマコトが他の前線メンバーのお見舞いをしていた。

…そして同じ前線に出て少なくない負傷を負っていた筈のアオイもまたお見舞いする側にしれっと混ざっているが今更気に止める者はいない。

 

「シスターはまた強くなったようね。名も無き神々の時代の超古代遺物…それに触れたシスターはより神秘の扱いと流れを深く掴むことが出来たはず…私も負けていられないわ!」

「知るか!勝手にやっていろ!」

「煩いぞマコト。病室で大声を出すな」

「今の私が悪いのか!?」

「あはは…」

 

アオイがいるとツッコミに回ってしまうマコトに、苦言を呈するアズサと苦笑いするヒフミ。

 

大破したメカペロロジラから脱出した後回収されたアズサは天与宣誓により元よりボロボロの肉体の為、メカペロロジラを操作するという無理も祟って色々と弱っているが…ペロロジラが鎮められた時にヒフミと共に泣く元気があった為マコト達もそこまで重くは見ていない。

或いは心配し過ぎない方がアズサも気に病まなくて済むだろうという気遣いもある。

 

「まったく…なんでウチには馬鹿しかいないのよ…」

「おい私もまとも側だろう?」

「単体だとあんたも充分そっち側よ」

 

アオイに輸送役として連れ回された結果被弾が増えベッドにダウンすることとなったフウカはジト目で他の連中を見回し、抗議するマコトをピシャリと切り捨てて毛布に潜った。

 

「ぐぬぬ…」

「まあそう落ち込まないで、マコト。あなたも女の趣味を良くすればもっと強くなれるわ」

「そんな話はしてなかっただろう!?」

「そうだ。マコトももっとモモフレンズの魅力を知るといい」

「マコト先輩も一緒にペロロ様を推しましょう!」

「ええい!やっぱり嫌いだ貴様らァ!今日こそはこのマコト様の恐ろしさを教えてくれるわ!」

「やる気ね!良いわ相手になってあげる!」

 

安静にするべきな筈の病室で乱闘が発生、マコトの血と弾丸が飛び交い、それらが拍手と共に縦横無尽に入れ替わり、次いでに寝ながらアズサがメカペロロをけしかけ、ヒフミはフウカのベッドの影に隠れ、そのフウカは枕に顔を埋めて耳を塞ぐ。

そんなバカ騒ぎは駆け付けたキキョウとマシロ、カホが止めるまで続いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キヴォトス、某所。

連邦生徒会の内通者よりリークされた特異現象捜査部の情報資料に目を通した梔子ユメは、『特異操術』の支配下にいる特異体と共有した資格情報と合わせて今回の騒動についての詳細を噛み砕く。

 

「私の知らないところでまた新しい体系の特異体がねぇ…ペロロジラはちょっと欲しかったけど、数十年したらまた現れそうだし次の機会があれば狙ってみようかな。はぁ〜あ、ミレニアムで起こす予定だった事変はスケジュールが合わなくなっちゃったし、小鳥遊ホシノも砂狼クロコも聖園ミカも戻って来ちゃったし…計画練り直さないとなぁ」

 

立てていた予定が尽く崩れたことを苦々しく思うも、しかし梔子ユメは同時に愉快だとも感じていた。

やはり自分の考えが思うように行かないのは良い。

自らの手の内で制御の効かない混沌とは素晴らしいものだ。

 

「え〜?小鳥遊ホシノ封印しないの〜?」

「ふんっ、自信満々に計画を語ってた割にグダグダじゃないのよ」

「アル様の時間を取らせてあまつさえ計画すら上手く立てられないなんて…殺します」

「こらハルカ。落ち着きな」

「うぅ…」

 

梔子ユメの独り言を聞いていた彼女の協力者であるアウトロー一味…便利屋68の面々は口々に野次を飛ばすも、それを無視した梔子ユメは端末の電源を切ると新たに特異体を1匹飛ばした。

 

「あの遺物も懐かしかったなぁ…わざわざ回収する程のものでもないけど、お土産にしたら司祭が喜ぶかな?まあそれはまた今度にするとして…天童アリスに会うのはまた今度になりそうだ。残念残念」

 

おどけたようにそう口にする梔子ユメ。

そして飛ばした特異体の姿が見えなくなるまでじっとそれを見つめると、欠伸をしてハンモックに身を投げるのだった。

 

 

 

 

何かのボタンが掛け違い、ここではミレニアムのあの惨劇は起きなかった。

だが、悪意は未だ健在だ。

必ず…同等以上の悲劇は起きる。

 

それでも、良くも悪くも未来は変わるだろう。

 

その先は…今は誰も知らない物語。

 

 

 

 

 

 

───シン・ペロロジラ 完

 




本世界線と本編との違いについて
・起首雷同での事件が起こらなかった(ミドリやユズらゲーム開発部との激突は無し)
・アリス達は交流会の後アズサやヒフミらと交流を深めている
・宵祭りの事件が起こらず、ミレニアム事変も始まらない
・シン・ペロロジラ開始時点でホシノがキヴォトスを一旦離れている等…

本世界線でもアリスとモモイはそのうち出会うと思いますし姉妹認定されると思います。ミドリとユズは生きてるかも?
ホシノもそのうち封印されるし死滅回遊も多分始まる。
ちなみに最後の方にチラッとキキョウ出てきたけどブルア廻戦設定だと弱過ぎて前線に呼ばれていません(原作見返す度に申し訳ないけどキキョウ配役元の真依が弱過ぎない?と扱いに困る。好きなキャラだけど真面目にストーリー練るかギャグ回でもないと出しづらいという小話。同じ理由でマシロも話に入れにくい。というか配役元の影が薄い)




現在休載中の本編につきまして
3月頃からの再開を予定しております
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