それは、輝きに証明されし栄光───
「…取り敢えずこっちの報告はこんなものね」
『そうでしたか…アビドス砂漠にまたビナーが…』
特級神名特異体、ビナーとの攻防を制したアリス達はその後外部との通信を阻害していた砂嵐が晴れたのを確認するとヒナがオペレーションルームのアヤネへと事の次第を報告していた。
一通り現場の状況を伝えたヒナはチラリと目をアリス達の方へとやる。
そこでは、連絡しながらの砂漠の探索中に見つけた謎の巨大な装置の残骸を合流したヒカリとノゾミと共にアリスとカズサが漁っていた。
「う〜ん…一応見てみたけど何が何だかさっぱりなんだけど」
「こういうのはエンジニアの方々とかに見てもらった方が良さそうですね」
「うお〜、高く売れそうな金属で出来てるパーツ見つけた〜」
「良いね良いね!ねぇ、これちょっとくすねても良いかな?」
「こら、駄目ですよー?何が手がかりになるのか分からないんですから」
「え〜、ケチ〜」
「まあまあ、特に手がかりも掴めなそうだったら譲ってもらうか報酬に色つけてもらうよう交渉すればいいだけでしょ」
「カズサまで!?」
「…アビドス砂漠の南東部、枯れたオアシスの廃駅から東に3kmぐらいの地点にヘリをお願い。出来れば大型輸送機も送ってきてくれると助かるわ。役に立つかは分からないけどサンプルだけは沢山あるから、馬鹿共が懐に仕舞う前に早くね」
『は、はい!ハイランダー支部の方にも伝えておきます!』
割と楽しそうに残骸漁りに精を出してる4人のすったもんだしてる様子に肩を竦めながら、ヒナは現在の座標をアヤネに伝えると無線を切りアリス達の方へと戻った。
「で、めぼしい物は見つかった?」
「全然、素人が見るもんじゃないね」
「迎えはいつ頃来るのでしょうか?」
「少しかかりそうだけどまあ今日中には帰れるでしょう。あんたらの方にも連絡入れてくれるってさ」
「そ、ありがとね」
「もうちょっと遊びたいー」
「遊びじゃないのよ…」
「こいつら逞しいな…」
「元気なのは良いことです!」
大分大事に巻き込まれたというのにケロリとした様子の双子に呆れるヒナとカズサに、アリスは苦笑しながはフォローを入れる。
実際神経が図太い人が大物になるのは身近に幾つか例があるものかと各々うへうへ言ってるピンクを思い浮かべると、雑念を振り払って残骸漁りを続ける。
残骸は元々は何か巨大な装置だったというのは素人目で見ても分かるものではあるが、それがどういった役割や機能を備えていたのかは流石に検討が着くものでは無い。
だがそもそもここ…アビドス砂漠の調査に来た理由を考えれば予想できない訳でもなかった。
「ふむ…アンテナみたいなものは見なかった?」
「さっきヒカリがあっちに投げてたよ?」
「くるくる飛んでた〜」
「こいつら殴っていいかしら」
「気持ちは分かる」
「2人共!すぐ回収してきますから、ヒカリとノゾミも下手に触って怪我しないようにしてくださいよ!」
「「は〜い」」
「なんかアリス保護者みたいになってきてない?」
「保護者というかなんというか…色々あって姉力がついたんじゃないかしら」
「姉力とは」
「さあ?」
その後一頻り残骸から適当なパーツや部品、外観から用途が判別できる物をピックアップして回収したアリス達は丁度いい大きさの残骸を椅子やテーブルに代用して即席のキャンプ場を作り、ビナーとの戦いで大破した列車から脱出の際にノゾミとヒカリがしれっと持ち出してきていたという保存食をシェアして休憩を挟むことにした。
「しかしあの騒ぎの中よくきっちり5人分持ってきましたね…」
「パヒャヒャッ、砂漠で遭難してぽっくりなんてよくあることだからね!砂漠に放り出されることが分かったなら多少の食料と水くらい用意しとかないと!そもそもアビドス砂漠を運行する列車は有事の際…もし途中で列車が止まっちゃったりした時に備えて水と食料を大量に積む決まりがあるからね」
「緊急時セットが詰まったバッグがある。転ばぬ先の杖〜」
「公共事業担ってる学園はそういうところしっかりしてるよね」
「仮にも人の命を預かる現場でしょうし」
特異現象でも絡まない限り死という概念が遠いものであるキヴォトスの住人であるからこそ、杜撰にされがちなそういった安全面に配慮しているハイランダー姿勢にヒナとカズサも素直に感心する。
とはいえ列車の運行を妨げるような輩には容赦なく弾丸(勿論神秘の込められていない非殺傷のものだが)を撃ち込んでるのはまた別の話。
そうして迎えを待ちながら雑談をしたりS.C.H.A.L.E側やハイランダー側の任務や現場の様子について花を咲かせていると、食事を終え話が一区切りしたところでここまで薄々と感じていた違和感にようやくアリスが言及することを決意した。
「…それで、どう思いますか?」
「どうって…ねぇ?」
「はあ、面倒臭いわね…」
「「?」」
首を傾げる双子は置いておいて、再び残骸の方へと近づいたアリスは散乱する装置の破片やパーツを見回し、そして残骸の中心へと登った。
そして周囲を指差しながらその場でくるりと一回転すると、次に足元の真下を指差す。
「ここが中心…瓦礫はここから360°全方位に向かって飛び散ってます。となるとどう考えても内側から爆散したということでしょうが…アリス達が見つけた時にはまだ煙が立ってましたよね?これが爆発してからそんなに時間は経ってなかったと思います」
「さっきのアンテナといい、これが例のシグナルの発生源なのだと思うわ。でもそれが私達が来る直前に爆散…いえ、自爆したのかしら。となるとその目的は十中八九…」
「証拠隠滅、かな。私達が近付いたことに気付いたから?それとも…ビナーが誰かに私達のことを伝えて、それを受け取った誰かが破壊したって感じ?」
「…お〜、お姉さん達そんな真面目に考察とか出来るんだ」
「探偵みた〜い」
「茶化さないの」
特に考えず残骸を漁ってたらしい双子に頭痛を感じるものの、それより気にしなければいけないのはこの装置を破壊した何者か。
その何者かは少なくともアリス達を観測しており、証拠、或いは手掛かりを回収されない為に装置の破壊を行った。
そして先程のカズサの考察が当たっているのならば今回の事件の裏にいるのは…
「…特異操術でしょうか?」
「それとはまた違った感じもするけど…マルクトみたいな奴がまた絡んでるとしたら、下手すればミレニアム事変や死滅回遊並の大事よ」
「え〜、また私生死彷徨わないと駄目?」
「洒落にならないわよ。っていうか生死くらいなら私達皆彷徨ってるでしょ」
「実際アリスは一回死にましたしね!」
「…いや、生死彷徨うことネタに出来るお姉さん達も大分神経図太いと思うんだけど…」
「…現場は凄〜い」
新連邦生徒会本部にて。
今回キヴォトスを取り巻いている『正体不明のシグナル』についての各所からの報告を聞いたリオは、眉間に皺を寄せてモニターに表示される残る2つのシグナルの反応を忌々しげに見つめていた。
「アビドス砂漠の調査に向かった3人とその補助のハイランダー生は無事、旧ミレニアム自治区と廃墟の調査に向かった3人も無事…けれど、オデュッセイア領海の氷塊を調査した内砂狼クロコの補助に当たったオデュッセイア生は殉職と…」
「…一応言うけれど、彼女は悪くないわ。特級神名特異体が2体、それも以前確認された個体より更に強化されたものが同時に襲われたのなら、戦闘力の低い補助員を守りきれないのも無理は無い…とはいえ私は後で発破をかけに行くつもりだけど」
「そうしてあげて。心構えが出来てるのと実際に受け入れられるのは別だから、貴女のやかましさに触れるのは良い気分転換になる筈よ」
「それ褒めてないわよね?」
しれっと貶された気がするアオイに半目で睨まれるも、それを無視して受け流したリオはため息を1つ着くと渋々といった雰囲気で席を立った。
「…何処に行くの?」
「残る2つのシグナルの調査をどうするかを、ね」
「アリス達1年生はまだ戻ってきてないしクロコはオデュッセイア支部で休息してから戻るらしいし…先に戻ってきた2年生連中に向かわせるの?彼女達は連勤も乗り気だったけど」
「そうね、2年生…不破レンゲと安守ミノリと錠前サオリにはレッドウィンター自治区の調査に向かってもらって。残るはトリニティ自治区だけど…」
「…当てはあるの?」
「一応ね」
アオイを置いて部屋を出たリオは目的地に足を進めながら、先程聞いた報告を頭の中でまとめていく。
聞いた情報だけでも事態は当初の予測を遥かに上回る厄介さである可能性が高く、万全を期して送った追加の人員ですら犠牲者が出てしまった以上最早出し惜しみは出来ない。
(今回調査に向かった皆が交戦したという特級神名特異体…元よりその特性上複数個体存在し鎮めても自己修復するケセドはともかく、ビナー、コクマー、ゲブラー、ケテルのような強力な神名特異体はこれまで鎮められて以降再び姿を見せることはなく連続性が無いものだと思われていた)
例えば、特級複製特異体であるバルバラ等も鎮められようが時間が経てば復活するが、あれはそもそも複製特異体という区分にある特異体が人々の感情や思念だけでなく畏怖や噂、伝承から発生するものであり、それらを畏れる人間がいる限り現れ続けるという性質に起因する。
しかし神名特異体という区分の特異体は出現数や特異現象捜査部からの知名度の割に発生のメカニズムはこれまで一切判明しておらず、その機械的な外見から過去の遺物が神秘を宿し特異現象へと成り果てたものだという説や、神名特異体であるオートマタを製造するケセドの存在故にそれが鎮座するミレニアムの廃墟に結びつく神秘が由来しているという説があったが…
(今回の個体、ケセド以外はどれも以前観測された個体には無い能力を有し、素の装甲の強度や武装の火力も底上げされていた。神名特異体を製造するケセドでもビナーのような強力な個体を製造する出力は無い。しかもバルバラのようにそのまま再発生するのではなく以前より強化されて…改良…それじゃあ、まるで──────神名特異体を、
リオは、雷に打たれたような衝撃を受けた。
神名特異体は特異現象であり、自然に発生する超常の存在。
その前提を覆す…あれらが
幾度となくキヴォトスに脅威をもたらしてきたあれらを作り出し、けしかけてきた存在がいるのならば。
害意をもってそれを行ってきたものがいるのならば。
その目的は…今回観測された正体不明のシグナルは…そして、この時期を狙った意味は…
「キヴォトスへの、
(…奴らはずっと気を伺っていた…何者かは知らないけれど、Keyとの戦いでキヴォトスが疲弊し、小鳥遊ホシノのような強力な存在が消えるのを待っていた。これまでの神名特異体の活動の目的はおそらく様々な情報やデータの回収?なんにせよこの時の為の事前準備に他ならない。そして、奴らはキヴォトスを攻め落とす算段が着いたから、行動を起こした。観測されたシグナルはその予兆、奴らの準備の最終段階。これが荒唐無稽な考えとは思えない…)
ずっと気付かぬ内に水面下に潜み、侵食し続ける存在がマルクト以外にもいたなどとは夢にも思うまい。
神名特異体はずっと昔から観測され、特異現象としてキヴォトスの日常の1つに組み込まれていた。
だからこそ、気付かなかった。
「…舐めたことしてくれるわね。これ以上は、誰にもキヴォトスを荒らさせはしないわ。彼女に…彼女達に託されたものを、これ以上穢させたりはしない」
正体不明の攻撃者に怒りを燃やしたリオは、考えている内に辿り着いていた目的の場所の扉を開けると、その先にいた人物達へと声を掛けた。
「貴女達…依頼を1つ聞いてくれないかしら?」
トリニティ自治区。
現存する学園の中でも古い歴史を持つトリニティ総合学園の自治区。
由緒ある家系のお嬢様達が暮らすその自治区の景観は優美であり、清掃が行き届いているのか道は清潔に保たれている。
死滅回遊の一件に加え学園内部でのゴタゴタがあったとはいえ人のプライドというものは侮れず、自分達の学園の気品を守るべく凄まじい勢いで復興が進められ見た目だけならば既にどの自治区よりも綺麗だと言えるだろう。
そんなトリニティの特色を表したような道に車を走らせていた監督オペレーター…仲正イチカは自治区の開けた場所に車を止め、外に出ると快晴の空から差し込む日光を浴びようと精一杯に伸びをし、ゆっくりと深呼吸をした。
「…ふぅ。日の光は暖かいし、空気も綺麗で気持ちいいっす。こんな日はのんびりと過ごしたいっすけど───」
「おや、どうしましたハナコさん?先程から機嫌が悪そうですが」
「うふふ、分かってて言っているのでしたら相当意地が悪いですね、ハルナさん。というかその辺りの話は以前した筈ですから分かってない筈が無いと思うのですが?」
「まあ、そんなまさか。ただ珍しく不機嫌を顕にしているハナコさんをここぞとばかりに揶揄いたいだなんて思ってなどおりませんよ?」
「…喧嘩はするなよ。問題を起こしたら刑期が伸びる。私はお前らより短かったんだから巻き添えで伸ばされたら堪らん」
「そんなことを言わず、一緒に殺しあったり仲良くしたり、共に美食を嗜んだ仲ではないですか」
「そうですよ、ツルギさん。一緒に蜜月の時を共にした仲なんですから地獄に落ちる時は一緒です♡」
「…今ここでお前らを潰して私だけで調査に向かった方が早いかもな」
(なんで私がこの人達のお守りしなくちゃいけないんすかー!?)
『あっ、イチカちゃん。リオ会長からトリニティ自治区の調査の人員として協力を要請したアウトロー3人の補助と監視出来る人をつけて欲しいって言われたんだけど、頼んでいいかな?』
『えっ』
『そう?助かるよ〜』
『ちょっ、まだ返事してな…』
『重要事項と調査の子細をまとめた資料は用意しといたから、後はよろしくね〜』
(フブキ先輩後で覚悟してくださいよ…)
雑に厄介事を投げられた経緯を思い出し拳を握って怒りを募らせるイチカだったが、やるからには真面目に取り組むかと早速険悪な雰囲気の特級アウトロー3人に恐る恐る近付いていく。
「あ、あの〜…その辺にしてもらえると助かるんすけど…」
「む…悪い。あんたにまで迷惑をかけるつもりはない」
「これはこれは、失礼しましたわ」
「…そうですね。私達だけならともかく、引率の方まで巻き込むつもりはありません」
「引率て」
案外すんなりと言い争いをやめた3人にほっとしつつも、やっぱり自分引率という扱いなんだ…となんとも言えない気持ちになったイチカは咳払いをして気持ちを切り替えると、フブキが用意してくれた資料に視線を落としてこの後の動きを確認する。
「えー…既に説明はあったかと思うっすけど、皆さんにお願いしたい目標は先日観測された正体不明のシグナルの調査っす。今回トリニティ自治区、その外縁部付近の地下…おそらくカタコンベ内にシグナルの発生源があると推測されているっすけど、他のシグナルの調査に向かった方々からの報告から察するに、シグナル付近には強力な特級神名特異体が存在している可能性が高いっす」
「特級神名特異体…マルクトが使ってたやつみたいなあれか」
「中でも特級に区分される個体は高い演算能力と学習能力を持っていると聞きますね。その他高火力な武装や強靭な装甲が厄介だとその手の情報筋から少々」
「…ハナコさんの知識の収入源は後で根掘り葉掘り聞かせて欲しいところっすけど、まあ今回はシグナルの調査及び、可能ならシグナル付近にいるかもしれない特級神名特異体を鎮めることっすね。今更聞くことじゃ無いと思うっすけど、大丈夫っすか?」
「勿論、問題ありませんわ!少しでも刑期を短くして早々に皆さんと美食旅でもしたいところです」
「常にそれに付き合う気はありませんが…まあクロコさんやその他の方々ともまたお話してみたいですし、気合いを入れるとしましょうか」
「初めからそうしろ…こいつらは、変な奴だが何かあったら私が止めるから心配したくていいぞ」
「はは…」
(あなたも心配の内の1つ、なんて言ったら潰されるっすかね…)
頼り甲斐のある雰囲気こそ出しているが以前、死滅回遊の時の暴れっぷりを報告だけとはいえ聞いているイチカからすればハナコもハルナも、そしてツルギも規格外の破壊力と凶暴さを持った怪物であることに変わりない。
今回のことはあのリオが、ヒマリやホシノ周りで様々な苦難を経験した彼女が決めたからこそ信じているが、もしそれ以前のリオに命令されたことならばまともに取り合うつもりなど無かった程の厄介な連中の引率だ。
(せめてもう1人くらい戦闘力のある…というかそれこそフブキ先輩辺りが着いてきてくれるならもっと安心出来たんすけどね…)
「まあ愚痴っても始まらないっす…それじゃあ、ひとまずはカタコンベに入って目的の方角に進むための迷宮の解読から始めるっすよ。予めトリニティ支部の方からカタコンベの構造変化のパターンと傾向についての資料を貰ってるっすから、それを使って…」
「頭を使う作業なら是非私に任せてください。きっと役に立てると思いますよ?」
「ハナコさん…確かにフブキ先輩からの資料に頭脳派だとは書かれているっすけど…頼めるっすか?」
「ええ勿論、お任せ下さ───」
「なあ、カタコンベどうこうはともかく、目的の位置は分かってるのか?」
「…はい?え、ええ。正確な座標の絞込みは出来てないっすけど、先程も言った通りトリニティ自治区外縁部…方角はおそらく自地区の最西部だと思われるっす。けど、カタコンベを通ってそこに向かうにしても変則的に構造が切り替わる迷宮を攻略しないと目的地には近づけないっすよ?」
「…ああ、その手がありましたわね」
「…なるほど」
「え?」
割り込んできたツルギとの話に、何故か勝手に何か納得した様子のハルナとハナコにイチカは困惑する。
そんなイチカを差し置いて、ツルギは歯を剥き出しにして獰猛に笑みを浮かべ、トリニティ自治区西部の方へと視線を向けた。
「方角が分かってるなら───別に
「…はい?」
そういったツルギはズンズンと重い足音を立ててるかのように感じる気迫と共にイチカへと迫り…そしてイチカを持ち上げその肩に担いだ。
「…へ?」
「あっちで合ってるよな?」
「はい、その方が早そうですしそちらに行きましょうか」
「はぁ、張り切った私が格好悪いじゃないですか」
「あ、あの…一体何を…?」
「決まってるだろ?わざわざ地下なんか通らなくても───天井ぶち抜いて目的地に直接降りた方が、楽だろ!」
「え、ええぇぇぇぇぇぇぇ!?」
ツルギはイチカを抱えたまま身体能力に任せた大跳躍を行い、それに合わせてハルナも同じく跳躍、ハナコは秘儀を使い歪めた空間をトランポリンのようにして跳ね、それに追随した。
突然のことに叫びを上げるイチカを肩に抱えるツルギは目的の位置…自治区の最西部まで行くと、着地する瞬間に脚にめいいっぱいの力を込め────脚力で自治区の大地を踏み崩し、広範囲に渡っての地盤沈下を起こした。
見渡す限り半径100m近くに渡って地盤が崩れ、その下にあるカタコンベが露出する。
幸い自治区の端、それも元々人の生活圏のない草原故に人的被害こそないだろうが…
「は…」
「きひゃひゃひゃひゃ!地下に隠れてる奴がいるなら、隠れる場所全部ぶち壊せばしまいだろぉ!」
「あらあら♡」
「派手にやりますわねツルギさん…やはり飽きなくて良いですわ」
(か、帰りたいんすけど〜!?)