ブルア廻戦   作:天翼project

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今回は原作158話と160話でお送りします
159話は進行の問題によって別の話へとスライドさせていただきます


結界

 

「まさか…本当にホシノ先輩が封印されたなんて…」

 

死滅回遊攻略の為の戦力を集めるために特異現象捜査部3年、秤アツコを説得しに来たアリスとヒナ、そして途中で合流したペロロ。

アリスの奮闘やアツコの友人であるノドカのサポートもあって、何とか協力を漕ぎ着けたアツコは小鳥遊ホシノが封印されたという話を聞いて当然の驚愕を見せていた。

 

「ああ、それとヒマリ部長も死んだ。連邦生徒会の手引きでな」

「「「「!」」」」

 

「ペロロ先輩…」

「黙っていて悪かった。だが大丈夫だ、アリスも気にするな。お前のせいというわけでもなく完全に別件だからな」

「だったらいいとはなりませんよ。だってヒマリ部長はペロロ先輩の…」

「それも含めて、大丈夫だ。心配してくれてありがとう」

 

さらに、続くペロロからの報告に初耳だったアリス達も動揺する。

ペロロ本人はもうそれを受け入れているように平然と言っていたが特にアツコやノドカの方は直ぐに飲み込むのは難しいようで、アツコはフードを目元まで深く被ると元気なく俯いた。

 

「そう…さっちゃんがそう言うなら私からは何も言わないよ。それにしても世話になった人が尽く…こんなに凹んだのはさっちゃんが初めてのバイトで給料踏み倒されて帰ってきた時以来だよ」

「その話はやめてくれ」

 

「…今は、死滅回遊の方の話をしましょう。キヴォトス全域を襲っているあのクソゲー、その攻略に手を貸してくれるのよね?」

「うん、良いよ。但し事が済んだらそっちも私に協力すること。これはあくまで取引なんだから」

「分かりました!これからよろしくお願いします!」

「じゃあ次は秤先輩に行ってもらう結界(コロニー)だけど───」

 

気持ちを切り替えて話をまとめ、アリスとアツコは握手を交わして契約を結ぶ。

そこで次は各々の突入する結界(コロニー)についてをヒナが話そうとしたが…その時、鐘のような音が大音量で一帯に響き渡った。

 

同時に、一同の中心に小さな虫のような式神が姿を現す。

 

泳者(プレイヤー)によって死滅回遊に新たな総則(ルール)が追加されました!』

 

「これって…」

「確か”コガネ”だったかしら。死滅回遊の泳者(プレイヤー)の案内を行う式神ってクズノハ様が言ってたわよね」

「ですが、総則(ルール)が追加されたということは100点を使って追加した筈ですよね?ということは、もうそんなに殺している人が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリス達にその知らせが伝えられる少し前。

結界(コロニー)の1つにて、とある泳者(プレイヤー)が他の泳者(プレイヤー)を殺害していた。

 

殺害された泳者(プレイヤー)は胴体に風穴が開いており背後の壁にまで何かが穿たれたように亀裂が走っている。

そんな泳者(プレイヤー)の死体を見下ろす女性は、パリッ、と音を立てて持っていた2丁のサブマシンガンを繋ぐ鎖に帯電させていた電荷を解除し、つまらなそうに死体に背を向けた。

そんな女性に憑いていたコガネは騒がしく報告する。

 

『5(ポイント)が追加されました!』

「うるせぇ、殺したんだから当たり前だ。どいつもこいつも貧弱過ぎんだろ…これなら連邦生徒会の連中を相手にしてた方が幾分マシだった。小鳥遊ホシノは結局会えないまま封印されちまうしよ…」

 

その凄惨な現場を作り上げた、中等部にも見紛う小柄な女性は苛立ちに頭を掻き空を見上げる。

一帯は結界(コロニー)によって覆われて外界と隔絶されており、女性の感知出来る範囲には他に特段強力な神秘や気配は感じられない。

そのことに女性は舌打ちすると小さく呟いた。

 

「話が違うぞ。何処にいんだよ、Key…!」

 

『現在(ポイント)が200(ポイント)に達しています。100(ポイント)を消費して総則(ルール)を追加しますか?』

「あ?そうだな…死滅回遊に参加してる全員の名前と今いる結界(コロニー)、強さの基準として(ポイント)もか…いや、総則(ルール)追加に使ったら減っちまうか。なら今持ってる(ポイント)総則(ルール)を追加した回数を開示しろ」

 

 

───泳者(プレイヤー)、美甘ネル (現在指名手配中、アウトローとして特級に区分)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総則(ルール)9、泳者(プレイヤー)は他各泳者(プレイヤー)の名前、滞留結界(コロニー)、所持(ポイント)総則(ルール)の追加回数を参照出来る、が追加されました!』

 

コガネからの報告にアリス達は息を飲む。

情報を知られることは死滅回遊に参加している泳者(プレイヤー)達にとってはそれなりのリスクを伴っているだろうが…小鳥遊ホシノの封印を解く為の鍵となる秘儀を持つ”蒼森ミネ”を探したいアリス達にとっては願ってもない総則(ルール)だ。

 

と、報告を終えたコガネはパタパタと羽を動かしてアリスの目の前にまで移動した。

 

『俺はコガネ!泳者(プレイヤー)と死滅回遊を繋ぐ窓口さ!』

「つまりゲーム序盤のサポートキャラですね!ナビ〇とかアロ〇みたいな!」

「なんか色々アウトな気がするからその話やめなさいアリス。ていうか貴方さっきとキャラ違くない?」

『さっきのは死滅回遊からのアナウンス!今は泳者(プレイヤー)、天童アリス個人に憑いてる窓口として喋ってるぜ!』

「おお!」

 

「いや、ちょっと待ちなさい」

 

割とフランクな喋り方をするコガネにアリスは目を輝かせて興味津々といった様子で会話していたが…話の中に不審点を見つけたヒナがその会話を遮って待ったを掛けた。

 

「よくよく考えたらなんでアリスがもう泳者(プレイヤー)としてカウントされてるのよ。マルクトに秘儀や遺物を配られた人以外は結界(コロニー)に入って初めて泳者(プレイヤー)になるはずでしょ?」

「それは、確かに…いや、待ってください。あの時マルクトは…」

 

 

 

『天童アリスのように遺物を取り込ませた子は、その遺物に適応して器となれるように───』

 

『私が配った遺物は名も無き神々の時代から私がコツコツ集めてきたもの───』

 

『私が契約していたのは───』

 

 

 

「…Key?Keyが、予めマルクトと契約して遺物に成ったというのですか…?」

「死滅回遊への参加がマルクトとの契約に含まれてる…?でもやっぱりおかしいわ。Keyの機器部品(モジュール)は、アリスの意思で取り込んだでしょう?誰が遺物を取り込むことになるのかも不確かなのに最初からアリスの名前で登録されてるなんて…」

「…」

 

そこまで言ってヒナは口を噤む。

それは、とてつもなく恐ろしい真実があるのではないかと薄々察してしまったからだ。

 

あの時、ミレニアムで特異体が出現した事件、その際にアリスが機器部品(モジュール)を取り込んだこと…それら全てが、初めからマルクトの計画通りだったのではないのかという疑惑が…

 

「…後にしましょう。ならアリス、さっそくコガネに泳者(プレイヤー)の情報を出させてみて」

「は、はい。お願いします!」

『あいよ!』

 

アリスに頼まれコガネはぐっと身体を丸めると、カシャン!と身体を開いて端末のようなモニターを浮かび上がらせた。

そこには死滅回遊に参加していると思われる泳者(プレイヤー)達の情報が記載されていて…ついでに生存しているか否かまで判別できるようになっていた。

 

その中でアリスは総則(ルール)を1度追加している泳者(プレイヤー)を見つける。

 

「この人ですね…美甘ネル?」

「美甘ネルって…2年前にミレニアムにあった特異現象捜査部の支部を追放されたアウトローだね。今は特級に区分されて指名手配されてるはずだよ」

「秤先輩、知ってるんですか?」

 

それまで事の成り行きを見守っていたアツコが話に割り込んだ。

どうやら知っている人物のらしく、曰く任務の度に戦闘の余波によって無駄に被害を広げ、アウトローの捕縛任務を受けても拘束することも無く殺害してしまうという問題行動を多発。

手に余ったミレニアム支部は彼女を追放するが今度は特異現象捜査部の生徒にも襲撃を仕掛けるようになり、アウトロー認定されたとか。

S.C.H.A.L.Eや連邦生徒会も彼女を鎮めることに注力するもその圧倒的な戦闘力によって尽く返り討ちに遭い現在はアウトローとしての特級に区分されるほど危険視されているらしい。

 

「小鳥遊先輩も彼女の制圧に駆り出されたことがあったんだけど、他の身を潜めてるアウトロー連中に比べて活動数が多いはずなのに中々遭遇出来なくて会えずじまいだったんだって」

「へえ〜」

「っていうかコイツ今も100(ポイント)…元々200(ポイント)も持ってたのね…どういう意図の総則(ルール)追加かしら?」

「あ、ここ数日で少なくとも40人は殺してるということですよね?とても気持ちの良い理由とは思えませんが…」

「でも、好都合なことに変わりないわ。泳者(プレイヤー)の情報から蒼森ミネを探しやすくなったのは勿論…上手く行けば私達が他の泳者(プレイヤー)を殺す必要もなくなるんだから」

「?」

「コガネ、(ポイント)が100を超えてる泳者(プレイヤー)をリストアップしてちょうだい」

『ええ〜?俺は天童アリスに憑いてるからなぁ』

「ヒナのお願いも聞いてあげてください!」

 

死滅回遊に無理矢理巻き込まれた者は、死滅回遊から抜け出す為に総則(ルール)の追加を焦るなどでもしなければ…またマルクトと契約して死滅回遊に参加した者も様々は思惑はあるだろうが、皆が皆必ずしも死滅回遊そのものへのモチベーションが高いとは限らない。

つまり現在の美甘ネルのように(ポイント)を持て余している者がいるとすれば、それは100点を持ってても総則(ルール)を追加する気がないということになる。

 

その考えは当たるか否か、アリスの頼みにやれやれといった様子でコガネはモニターに『検索中』の文字を浮かべると、暫くしてモニターには2つの名前が浮かび上がった。

片方は先程も見た美甘ネルの名前。

そしてもう1人…

 

「”尾刃カンナ”…!美甘ネル以外にまだいたのね。これなら総則(ルール)の8を逆手に取れるわ」

総則(ルール)8…19日以内に(ポイント)が変動しなければ秘儀を剥奪されるってやつでしたっけ?」

「ええ、総則(ルール)に『(ポイント)の譲渡を可能にする』って追加すれば、身内同士で(ポイント)を動かし続けてこの総則(ルール)を無視出来るわ」

「おお!裏技みたいですね!流石ヒナです!」

「ついでにもう1つ総則(ルール)を追加したいわね。『100(ポイント)を消費することで死滅回遊から離脱できる』ってところかしら。これは例の永続がどうたらに抵触する可能性はあるけど、非泳者(プレイヤー)を身代わりにするとでも盛り込めば行けるかもしれないわ」

 

ヒナの機転により当面のアリス達の目標が定まることになった。

小鳥遊ホシノを封印する神名結晶の封印を解ける”蒼森ミネ”を探しながら…アリス達は”美甘ネル”と”尾刃カンナ”の(ポイント)の奪取を狙うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね」

 

某日の深夜、某所。

深い眠りから目を覚ました少女は、自分を覗き込む不審者…偽ユメことマルクトと目が合った。

マルクトは開口一番謝罪するが、それに対して覗き込まれている側の少女はと言うと…

 

「…近ごろ世の中は荒れに荒れ、先程のセミナー本部駅の方の騒動も然り連邦生徒会でも何か良くない動きがあるようでミレニアムはてんやわんやだが…今のこの状況は果たして地獄だろうか?大半の者にとってはきっとそうだろう。だが私はこの状況を待ち望み天国…楽園と捉え楽しんでいる者がいるのでは無いかと考えている。まあ私にとっては勿論地獄に変わりないが…しかし、もし例えば君がその”楽しんでいる側”の者だとして、それは本当に楽園と呼べるのだろうか?キヴォトスの七つの古則は知っているかい?あれの5番目もまさに楽園に関する質問だったね。『楽園に至りし者の真実を証明することは出来るのか』、言わば楽園の存在証明のパラドックスだ。君は知見が広そうだし詳しい説明は要らないだろう。私の言わんとすることはわかるのではないだろうか。まあ何はともあれ、死者が出る程の騒ぎになってこの病院の他の患者は皆連れ出され、それでも看護婦達の避難誘導に従わずここに留まる私は相当な変人だと自覚しているのだが、君はどう思うかい?」

「あははっ!面白いね君!初対面の相手にいきなりこんな小難しい長話を説かれたのなんて生まれて初めてだよ。きっとね」

 

少女…セイアの目眩がするような弁舌にマルクトは愉快そうに笑った。

明らかに異常な状況、異質な雰囲気の訪問者。

それらを前にしてもセイアはいつもの調子を崩すこともなく、あくまで淡々とした態度のままでいる。

 

マルクトは一頻り笑い目元を拭うと、改めて本題を切り出した。

 

「ふぅ…さて、その質問に答えたいのは山々だけど忙しくてね。この病院を中心とした半径5〜6kmぐらいの範囲が殺し合いの場になったんだよね」

「ふむ、ここで静かに夢に浸りたい私にとってはなんと傍迷惑な話だろうか」

「だろうね。だからこそ…元々相当数の人間に不利を強制する死滅回遊っていう儀式だからこそ、それを開催する側も相応に手間と釣り合いを取らないといけないんだ。今回の場合は、結界(コロニー)の展開時点で最初から結界(コロニー)内にいる非泳者(プレイヤー)は1度だけ外に出る権利がある。君が望むのなら、目覚めた時には結界(コロニー)の外だよ」

「ふむ…妙な言い方をするね。私は今こうして確かに起きて君と話しているのだと思っていたが…これは夢だったのかい?」

「そうだね───

 

 

 

 

 

 

───ユメが残した幻想、ってところかな」

 

 

 

 

 

 

 

マルクトが差し出した手を取ったセイアは、そこで意識を途切れさせる。

目を閉じて呼びかけにも反応のないセイアの手を引いたマルクトは既に戦場となっている結界(コロニー)内を練り歩き、外へと導いた。

 

「気を付けてね。もう気が早い人達がいるから」

 

遠目には大量のオートマタや神秘により起こされた巨大な発光、建物が崩壊していく様子や空に起きた異常が見え、まさに地獄絵図を体現したかのような光景となっている。

それらの影響からセイアを保護していたマルクトは、ふと思い出したようにセイアに声をかけた。

 

「ああそうだ。忘れるところだったよ…娘と仲良くしてくれてありがとね」

 

 

 

 

 

「…ふむ、夢枕に立たれたというのはこういうことだろうか」

 

意識を取り戻したセイアは、寝間着姿で外に立たされている自分の現状を見て先程見た…記憶に蓋をされたようによく思い出せない朧気なそれが、自分が実際に体験したものだと飲み込んだ。

セイアの周囲には同じようにあの女に連れ出されたと思われる生徒や住民達が困惑している様子で、一様に同じ方向を見ていた。

 

セイアもその方向にに目をやるとそこには、広大な範囲を覆い尽くす黒い柱のような…結界(コロニー)が出現していた。

 

 

───11月1日 06:02 元ミレニアム結界(コロニー)

 

 

「特異現象…というものかな。なるほど、的を得た表現だ。しかし…娘か」

 

先程の現実だったの夢だったのかも分からないあの女との問答。

その内容はほとんど覚えていないが、最後に言われたことだけは妙に記憶に染み付いている。

そしてセイアは、あの女が言った”娘”という人物に嫌に心当たりがあったのだ。

 

「アリス…随分長いこと会いに来ないが、君は今一体どこで何をしているのだろうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって時は時は現在に戻り、アツコが拠点にしていた廃ビル。

アリス達はコガネを使って死滅回遊に参加している泳者(プレイヤー)のリストから蒼森ミネの情報を探していたが…当初の予定とは違い情報どころかその名前を見つけることも出来ずにいた。

 

「う〜ん…何度見返してもいませんね…」

「蒼森ミネというのが本名ではない可能性があるのでは無いか?それならば見落としていてもおかしくはないだろう」

「彼女は秘儀を消滅させる秘儀を持つって話だしその影響でコガネが情報を拾えていない可能性があるわ。或いは彼女に憑いているコガネが鎮められて消滅したとか」

「少なくともD.U.の結界(コロニー)のどちらかにはいるんだよね?姿は分かってるの?」

「クズノハ様は見れば分かるって言ってたわ」

「え〜、本当に大丈夫かな…」

 

口々に話し合い、不確かな情報に一部不安の声が上がるもアツコは当面の方針としてそれぞれが赴く結界を割り振った。

 

アリスとヒナがD.U.第1結界(コロニー)へ、アツコとペロロがD.U.第2結界(コロニー)へ、そしてノドカは結界(コロニー)外で待機し、S.C.H.A.L.Eや特異現象捜査部との連絡を務めるとのこと。

それにペロロが疑問を口にする。

 

「なあアツコ、この割り振りにした根拠はなんだ?」

(ポイント)を見ても記録を見ても1番強い美甘ネルに私が当たるのは当然でしょ?」

「ねえアツコちゃん、私も仲間外れ…」

「ノドカちゃんには色々駆け回って欲しいからね。砂狼ちゃんからの連絡が無い以上結界(コロニー)に入ったら連絡は不可能と判断するべき。全員が結界(コロニー)に入っちゃったらお馬鹿でしょ?」

「それはそうだけど…」

「それと、さっきも言ったように美甘ネルの相手は私がするから、目の良いさっちゃんは蒼森ミネの捜索に集中してね。」

「むう…」

 

その采配にぐうの音も出ず、しかしアツコに恐らく1番重い負担をかけることになると不服そうに唸るペロロ。

それを聞いていたアリスはアツコの仲間思いなその内心を察して微笑ましそうに見守っていたが、それを聞いていた時ふとKeyについての話を思い出してしまう。

 

「あ、そういえばKeyがヒナに何かをしようと企んでいるんでした…結界(コロニー)に入ったらアリスとヒナは別行動した方がいいかもしれません」

「は?うるさいわよ。先輩達3人の役割は動かせないんだから文句言わないで」

「うわーん!心配してあげたのに酷い物言いです!」

「毎回それ言うつもり?時間の無駄だからテキパキ動くわよ」

 

「はいはい、喧嘩しないの」

「仲が良いのか悪いのかどっちかにしろ」

「悪くはないんじゃないかなぁ」

 

若干煽りの混じったアリスのいつもの泣き言にガンをつけるヒナをアツコが仲裁する。

最早保護者のような立ち位置になってきたアツコを見てペロロはなんとも言えない気持ちになりながらも、呆れた声を上げてそれを手伝った。

 

 

 

 

暫くして時間が経ち────11月12日、D.U.12:00

 

それぞれが突入する結界(コロニー)の前に待機し、正午を回ったところで結界(コロニー)に接近した。

そんなアリス達の前にコガネが現れ、最後の確認を行う。

 

『よお!俺はコガネ!この先の結界の中では死滅回遊って殺し合いのゲームの真っ最中だ!一度足を踏み入れればお前も泳者(プレイヤー)!それでもお前は結界(コロニー)に入るのかい!?』

 

意気揚々としたコガネからの確認に、それぞれが強い意志をもって答えた。

 

 

 

 

「ああ」

 

「大丈夫」

 

「問題ないわ」

 

 

 

「行きましょう!」

 

神秘の溟海を渡らんと、結界(コロニー)にまた新たな泳者(プレイヤー)が解き放たれた。




配役
日車…カンナ
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