死滅回遊攻略の為、それぞれが担当の結界へと赴き突入しようとしていた頃。
アリスとヒナが担当するD.U.第1
そんな
『おい栗村!こっちはずっと合図待ってんだぞ!』
「え、えっと…そうは言われても、来ないからどうしようも…」
『はあ?お前口答えする気か?あんま舐めてんとぶっ殺すぞ!』
「うぅ…」
横暴な態度の通話相手である協力者に肩身を狭くする少女は、いつになったらこんな日々が終わるのかという不安を紛らわすようにアイスボックスからチョコミントアイスを取り出すと1口舐め取るのだった。
D.U.第1
コガネからの確認に答えたアリス達は目の前に立ちはだかる黒い円柱に見える
「まず、警戒すべきはマルクトが現世に蘇らせたっていう名も無き神々ね」
「アリス達の目標の蒼森ミネもそうでしたよね!…で、それの何が危ないのでしょうか?」
「…それこそKeyと同じ太古の存在、私達と同じような倫理観には期待できないでしょうね。当時がどんな魑魅魍魎特異体が跋扈する世界だったのかは詳しくは分からないけれど、もしかしたらマルクトと契約して復活した連中の中には戦うこと、戦って死ぬことを目的としたような奴もいるかもしれないってことよ」
「バトルジャンキーというやつですね。ゲームでもたまに登場します!…ムツキのように、人の命を奪うことをなんとも思わない人も、です」
”死”というものは本来キヴォトスの民にとっては遠い概念だが、近年頻発する特異現象、活発化する特異体、悪意を振り撒くアウトロー。
それらが次々と人の命を、生徒の命を奪い取って今や死は身近なものになっている。
ではKeyが存在していたような太古はどうだったのか。
今の秩序は長い時の積み重ねで作り上げられた安寧であり、名も無き神々の時代にそんなものがあったのかは疑わしい。
少なくともKeyが一切鏖殺の限りを尽くしていた時代だというのは確かなのだ。
「今私達が標的にしてる”尾刃カンナ”だってそんな名も無き神々の転身かもしれないし、警戒するに越したことはないわ。蒼森ミネ然り交渉が出来る相手じゃないことを前提に、後は夜に活性化するでしょう特異体にも注意するわよ」
「そういえばマルクトが解き放った特異体達も
「コガネを見るに特異体は基本的に
そんな話をしていたアリスとヒナは、そこで
外からは黒い結界の壁に阻まれ内部の様子を確認することも出来ず、その状態で踏み込むことには相応の不安を伴うが…アリスはダンジョンに入る前のようにワクワクしたように表情を輝かせ、それを見てヒナも安心したように微笑む。
2人は1歩足を踏み出し、それぞれ結界へと手を伸ばした。
「では、行きましょう!」
「ええ」
そうして2人の手が結界に触れて────
「───へ?」
一瞬の視界の暗転、次にはそれが戻ると、アリスは1人空に放り出され自由落下を始めていた。
落下する速度はぐんぐんと加速し、地面との距離が次第に近付いていく。
「ちょ、ええ!?バトロワゲームって言っても、そこまで再現するんですか!?ヒナは!?」
高層ビルよりも遥かに高い上空に放り出されるという突然の事態に、そして同時に結界に触れた筈なのにヒナの姿が見えないことに混乱するアリス。
アリスは知らなかったが、死滅回遊の
アリスが出現した空中のポイントはその1つであるが…当然
(どうしましょう…神秘による身体強化だけで落下に耐えられるでしょうか?それとも、レールガンの反動で落下の勢いを減衰する?これだけ速度が乗ってて、それだけの反動で減衰は足りるでしょうか…む?あれは…)
どうやって着地しようかと考えていたアリスだったが、その時少し離れた位置に見える高層ビルの屋上に誘導灯を持った少女がいることに気が付く。
何事かとそれを注視しようとしたアリスは少女が誘導灯を振ったのを目にして───直後、その腹に遠方からロケットのように飛来した生徒の頭が突き刺さり、そのままアリスは生徒の突進に押されて真横に持って行かれ、ビル2つをぶち抜いて吹っ飛ばされた。
「ぐうっ…!」
(転送直後に攻撃を受けるこの感じ…リスキル、というかスポーンキルですか!スポーン地点を予め張っていたとなると、結界に入った時に転送される位置は固定されている?となるとヒナの方も心配ですね…)
アリスの推測通り、襲撃者の正体は数日死滅回遊を生き残り環境に慣れ始めた
しかし並の生徒ならミンチになるような凄まじい威力の突進を受けたアリスは、最終的にどこかのビルの外壁を突き破って室内に転がるが目立ったダメージは受けていなかった。
それを見た襲撃者…背中にブースターを搭載したジェットパックを背負っていたヘルメットを被る生徒は、アリスの耐久性に驚きつつも慣れたように端末を起動する。
「仕留め損ねた!頼んだぞ相棒…って、うぇ!?」
「光よ───!」
壊れたビルの外壁から身を乗り出したアリスは滞空するジェットパックの生徒に向けてレールガンを放つ。
放出された極大のエネルギーの塊に飲み込まれジェットパックの生徒は墜落し、思っていたよりもあっさりとダウンした様子にアリスは拍子抜けするも、あの手慣れたリスキルの手口にそれなりに死滅回遊の情報を持っているのではないかと推測して落下地点に向かおうとする。
が、そこに新たな
「オラァ!人の相棒に何してんだお前ぇ!」
「っ!ザコキャラの口調!」
「誰がザコキャラの口調だもう一度言ってみろゴラァ!」
なんとなく最近聞いた覚えのあるテンプレ的な台詞につい口が滑ったアリスに、襲撃者…プロペラのついたヘルメットを被りホバリングしている生徒は激昂した。
「羽場さんが出てきたってことは…羽生さんはやられたの…?相手の女の子は…あれ、あの子って…」
そんなアリス達の様子を双眼鏡で眺めていた合図役の少女は、状況を把握しかねて目を凝らしていると、何かに気付いたように目を見開いた。
「アリスちゃん…?」
───
アリスがそんなスポーン常連の生徒達から襲撃を受けていた頃、別地点に転送されていたヒナはと言うと…
「ぐはぁ!?うぐっ…ひ、酷いじゃない…!」
「先にそっちが襲ってきたんでしょ。自業自得よ」
同じく
お腹を抑えて蹲る少女は恨みがましくヒナを睨みつけるが、逆にヒナに冷たい視線で見下ろされ小さく悲鳴を漏らす。
少女から戦意が引いたのを見てヒナは肩を竦め、近くに出していた鵺を空に放って周囲の様子を探らせるが、確認できる範囲にはアリスの姿はないようで少なくとも2km以上の距離が離れているだろうと結論を出した。
(いや、目指す場所は決まってる。情報収集を進めていけばアリスと同じ場所に…尾刃カンナに辿り着くはず…なら私は私に出来ることを、ね)
「貴方、尾刃カンナっていう人は知ってるかしら?」
「な、何よ!人のお腹殴っておいて質問しようだなんて図々しい…」
「答えなさい」
「ごめんなさい謝るからその振り上げた腕しまって…尾刃カンナって、ヴァルキューレの公安局長でしょ?現場指揮とかでよく前線に駆り出されてるらしいのに知らないとか本気?」
「ヴァルキューレの…?ああ、そういえばそんな名前だったかしら…ついこの間までヴァルキューレと直接連携を取るようなことがほとんどなかったから調べてなかったわ。失態ね」
「で、その口ぶりからするに尾刃カンナのこと探してるんでしょ?どうしよっかな〜、知りたいなら相応の頼み方があるわよね?」
「…」
「ごめんって、教えるからもう殴らないで…」
調子に乗り始めた少女にヒナは無言で拳を振り上げ、先程のボディブローが余程聞いたのか顔を青ざめさせて少女は頭を下げた。
しかし、ヒナとしてはこの少女に対する情は無いに等しく…もしもし教えられた情報が嘘だったのならば生かす理由もなくなると殺すことも視野に入れていた。
本当の事だったのならば恩義として受け取って見逃しても良いという程度の話だ。
(ごめんなさい、アリス。私は…あなたとは違うわ。私自身で100
そんな暗い内心を悟られないように無表情を貫きながら、ヒナは情報を引き出す為にへたり込んでいた少女の手を引いて立ち上がらせる。
「さっさと案内しなさいチビ」
「誰がチビよ!私には”クルミ”って立派な名前があるんだから!」
───
「光よ───!」
「クソッ、このガキがぁ!」
一方、襲撃者であるプロペラヘルメットの生徒こと、羽場と交戦していたアリスは身体能力とレールガンによって押せ押せの攻めに回っていた。
しかし、羽場もまたその立ち回りでアリスに食い下がっている。
レールガンから放たれた極大のエネルギーの塊に対して頭のヘルメットの方を正面に向けて受けることでダメージを防ぎ、投石もまたプロペラで弾いてガードしている。
跳躍したアリスに身体を捕まれビルの外壁に叩き付けられてもプロペラヘルメットの方から接触することで着地するなど、その動きにはそれなりのセンスが見て取れる。
「調子に、乗んじゃねぇ!」
アリスが構えたレールガンの側面を蹴って射線を外した羽場はその隙に空中に飛び上がると、アリスからの攻撃が来る前にマシンガンを打ち下ろして銃弾の雨を降り注がせた。
それをアリスはレールガンを盾にして凌ぐと、羽場の秘儀に対して考察を進める。
(先程の生徒、アリスごとビルを貫通する強度がありながらレールガンの1発程度で落ちていました。あのジェットパックは一見普通のアイテムに見えましたが、よく観察するとヘルメットから流れてた頭髪がジェットパックの中に繋がっていた…つまり髪が秘儀の起点になっている可能性が高いですね。それに加えてあの生徒のプロペラもよく見れば頭髪が組まれているように見える。ということは…)
神秘における”契約”とは、対価を払うことで返礼を得るこの世界の摂理のようなもの。
それはあらゆる場面で応用が効き、アリスはジェットパックの生徒こと、羽生やこの羽場は『秘儀の基軸となる頭部の強度を上げる代わりに、頭部から離れた身体の部位の強度が落ちる』という契約を自身に課していると見抜いた。
目の前の羽場の場合はその契約によって底上げされた頭部、及び頭髪の強度は鉄筋コンクリートすら紙のように引き裂く程で、再度アリスに向かって突っ込んで来るとプロペラをアリスに向け、じりじりと近付いてアリスをビルの通路の行き止まりへと追い詰めた。
「スムージーにしてやんよぉ!」
「すみません、絵面がちょっと面白過ぎます…ブフッ…」
「なに笑ってんだ!?」
頭の方を横に向けじりじりと迫ってくる様に思わず吹き出したアリスだが、まともにあれに巻き込まれればダメージは避けられないとどう対応するか頭を悩ませる。
回避するだけならば背後の壁を破壊してそこから外に逃げれば良いが、そうして逃げ回っても遠距離から撃っていてはまた頭部を盾にして攻撃を防がれ撃破に余計な時間を浪費してしまうだろう。
「時間はかけられない、逃げ回っている暇も惜しい…となれば、こういう時はゴリ押しに限ります!」
「何ぃ!?」
少しづつ迫ってくる羽場にアリスは軽く助走を付けて駆け寄ると…レールガンを置いて全身を使った拳の振りでプロペラの中心を打ち抜いた。
接触した瞬間若干アリスの拳の表面が切られるが、それが深いものになる前に腕力で押し返して羽場の体勢を崩し、プロペラが先程の殴りで折れたところに腹を蹴り上げたことで羽場は血を吐くと共に白目を向いてダウンする。
「…あっ!尾刃カンナのことについて話を聞くの忘れてました!どうしましょう…起きるまで待つのも時間が…」
余力を持って勝利を収めたアリスだったが、貴重な情報源をダウンさせてしまったことに若干後悔する。
トドメに入れた蹴りも相当強く打ち込んでしまい、目を覚ますとなれば数時間は待つ必要があるだろう。
アリスがそれを待つかそれとも他の
「カンナさんって人の事探してるんだよね?アリスちゃん」
「…?誰ですか…?」
「えっと、その…覚えて、ないよね」
「…すみません。残念ながら…アリスになんの用ですか?」
相手の素性が分からず警戒を見せるアリスに、少女…アイリは少し傷付いたような表情を浮かべるがはにかむように笑い、警戒を解こうとアリスが覚えているようなエピソードを話し出す。
「その、私が前にミレニアムにスイーツ巡りしようと遊びに行った時、不良の人達に絡まれてたらアリスちゃんが助けてくれたんだ。その後一緒にスイーツ食べに行ったよね?」
「…あぁ!思い出しました!チョコミントアイスの事を熱心に説明してきた生徒でしたか!それにしても、何故アリスの名前を?あの時アリスは名前を名乗っていたでしょうか…?」
「うん、一人称でたくさん」
「あー…そうですね、はい…」
この期に及んで一人称で身バレする危険を突き付けられて少しショックを受けたアリスだったが、気持ちを切り替えてアイリに死滅回遊について知っていることを聞くことにした。
「アイリはここで何を?」
「あのね、さっきアリスちゃん達が戦ってた人達なんだけど…あの人達に協力するように手伝わされてたんだ。怖くて逆らえなかったけど…私も、きっとそのうちあの人達に殺されてたと思う。だから…またアリスちゃんには助けて貰っちゃったね」
「それは…大変でしたね。その、アイリ。知っていたらでよろしいのですが、尾刃カンナという
「あ…その人だったら───セントラルパークにいるよ」
同刻、ヒナもまたとっちめた
「へえ、SRT所属だったのね。丁度去年廃校になったって聞いたけど」
「前連邦生徒会長が行方不明になったからって武力を持て余したって、酷いわよね!?せっかくキヴォトスの為に訓練してきた私達はどうすればいいってのよ」
「キヴォトスの為に、ね。そんな貴方がどうして積極的に戦ってるのよ」
「…そんなの決まってるでしょ、殺らなきゃ殺られる、ただそれだけよ」
何か裏のあるような…言い訳のようなクルミの言葉に引っ掛かりを覚えるヒナだったが、それを確信することは出来ず今考えても仕方がないと道の交差点の真ん中にまで歩くと、本題を切り出した。
「…じゃあ、本題だけど。尾刃カンナはどこにいるの?」
「フンッ、そいつだったら───ウェストパークにいるわよ」
D.U.第1
その一室に様々な銃や弾丸、各種副武装や手榴弾等の装具を広げ点検していた少女は、自分達がいる方向に近付いてくる気配を感じ取って頭から生えた狐の耳をピンと立てた。
「…次の獲物が来たようだな。さあ、狩りの時間だ」
アリスはアイリと共に行動し、目的である尾刃カンナが潜伏していると思われるD.U.セントラルパークへと向かっていた。
アイリによると直接尾刃カンナに会ったことはないそうだが、アリスを襲撃した2人組の内、プロペラヘルメットの生徒こと羽場は尾刃カンナが拠点としていた『D.U.芸術場』という場所に乗り込んだ際に返り討ちに遭い命からがら逃げ出してきたらしい。
と、その説明を受けていた時アリスはアイリの表情に葛藤のようなものがあるのを感じた。
「…どうしましたか?」
「え…?えっと…その、言っちゃったって、思って…」
「言っちゃった、とは?」
「アリスちゃん、そこに行くんでしょ?そのカンナさんって人、たくさん殺してるんだよね?だから、これで私が教えたからアリスちゃんがその人に殺されたらって…」
「…なんですか、そんなことだったんですね」
「…?」
アイリの言葉にアリスは少しの間目を閉じると、今度はパチリと目を開いたかと思えばアイリの背中をバシバシと叩いた。
「うわぁ…!?な、何…?」
「安心してください、アイリ!アリスはもう負けませんから!殺されたりなんてしませんし、少なくとも今は死ぬつもりなんてありません!ですからアイリも、初心者狩りなんて新規のユーザーを困らせるようなことはもうしないでくださいね!」
「…!う、うん!」
アリスの力強い言葉に、アイリはあの時助けられた時の事を思い出し…まるで勇者のようなあの姿を目にして、再び目を輝かせた。
それからアイリの案内の元進んだアリスは、目的のD.U.芸術場の前で安全の為にアイリと別れ、1人建物の中へと踏み込んだ。
中は広々とした作りで、最近建てられたのか内装もピカピカ、特に荒れた様子も見られなかった。
途中ロビーで内部のマップを見つけたアリスは建物内にあるホールに目をつける。
芸術場というのも美術館や博物館等のそれとは違い、オーケストラやミュージカル等を行うための劇場に近い建物。
それらを行うホールはこの建物の中でもとりわけ広く…そしてアリスとしてもその方向から洗練された神秘の気配をうっすらと察知していたのだ。
通路を進んでホールのある部屋へと続く大きな扉を開いたアリスの目に入ったのは────ステージの上に置かれた水で満たされた浴槽、そこに制服姿のまま半身を沈める女性の姿だった。
「…えっと、その…どういう状況ですか…?」
「ん…来客か。いや、最近色々どうでも良くなってやってはいけないと思っていたことにチャレンジしているんだ。ストレス解消になるかもと思ってな。貴様は服を着て風呂に入ったことはあるか?」
「いえ…」
「だろうな。思っていたより気持ちがいいぞ。そうだ…私は初等部の頃は水泳の授業が好きだったんだ」
「それは分かります」
アリスが来たことに気が付いた犬のような耳を持つ金髪の哀愁漂う女性…アリス達の標的である”尾刃カンナ”はアリスに気さくに話しかけると、浴槽から出て激しく身体を振って水を飛ばし、上着を脱いで雑巾のように水気を絞る。
一連の状況に理解が及ばないアリスは半ば思考を停止させて適当に答えていたが、上着を横に投げつけられたこと気を取り直した。
「あの、尾刃カンナ…で合っていますよね?お願いがあって会いに来たのですが…!」
「待て。私は泣く子も黙る公安局長だ。”狂犬”の2つ名は聞いたことがあるだろう?私と取引きしたいということは司法取引か?なんなら1度取調室に来るか?」
「え?いや、ちが…」
「冗談だ。今の私は少しおかしいからあまり真に受けない方がいい」
カンナの掴みどころのない雰囲気とその貫禄に気圧されペースが乱されるアリスだったが、しかしその態度や話の内容からして尾刃カンナが名も無き神々の転身ではない、マルクトによって秘儀が開花した生徒の1人であることを察し、交渉の余地がある相手だと判断した。
そこで目的を果たす為に1度深呼吸をして落ち着くと、改めて本題から伝える。
「アリスは、この今行われている死滅回遊というゲームを攻略する為に
「そうか、断る」
「…それも冗談だったりは、しませんよね…」
「まあな。私はこの死滅回遊に可能性を感じているんだ。確かにあの
「それはどういう…」
「時に法は無力だ。だが死滅回遊はどうだ?私に与えられた
「っ!」
最もな理由を語りながらシャツの裾を絞ったカンナは秘儀を発動させ、手元に出現させた
それが戦闘態勢だと気付いたアリスもまたレールガンを構え、相対する。
「では、アリスも言い方を改めさせていただきます…100点を使わさせてもらいます!尾刃カンナ!」
「ふん…気に入らない奴を殺したことはあるか?思っていたより、気持ちがいいぞ」
アリスが尾刃カンナと接触している頃、クルミに案内されたアパートでヒナは
「尾刃カンナ?公安局長か。だが残念ながらここに彼女はいない。お前は騙されたんだ」
「…」
ヒナの目の前に現れたのは、黒髪に狐の耳を生やした少女。
少女はアサルトライフルを初めとして様々な装備をしているようで、その佇まいや雰囲気からも歴戦の猛者だということが一目で分かる。
そして明らかに自分を誘い込んで罠にはめたクルミをヒナは睨みつけるが、先程の怯えはどこへやら、虎の威を借る狐のようにクルミはクスクスと笑っている。
「そんな顔してもぜんっぜん怖くないわよ!あんたがユキノに勝てるわけないんだから!」
「FOX3、作戦遂行中だ。私のことはFOX1と呼べ…ともかく。我らの正義の為、お前にはその礎になってもらおう」
───
「黙りなさい」
「!」
空気をヒリつかせる殺気を向けてくるユキノに、ヒナは怯むことなく無駄に時間を食わされた怒りで殺気を返すと、掌印を結んで玉犬『渾』を呼び出し、背負っていたマシンガンに手をかけた。
「時間の無駄なのよ」
配役
甘井…アイリ
レジィ…ユキノ
麗美…クルミ