ブルア廻戦   作:天翼project

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今回は原作229〜231話までの範囲でお送りします


人外魔境D.U.決戦─参─

 

小鳥遊ホシノ、3度目の神秘解放にして遂にKeyの『アトラ・ハシース』を終了させる。

だが、これまでのKeyの対応に疑問を抱いていたその時にどこかで鳴った錆びたバブルを回転させたような音に気付くことも無く、ホシノのヘイローに小さくヒビが入るという異変が起こっていた。

 

なんにせよ、初手に放った多くの支援と強化を受けた『暁』ですら致命的なダメージを負っていないKeyにまともな有効打を与える為にはホシノは領域で勝つしかない。

故に───

 

 

 

「「───神秘解放」」

 

 

再び互いに神秘を解放し、領域を展開する。

ホシノは先程と同じように領域の結界を縮小することで外殻の強度を高め、Keyは領域の必中効果範囲を極限まで絞ることで外殻を破壊するための威力を上げた。

次また領域を3分維持できるとして、ホシノはそれまでの間にKeyが領域を維持できなくなる程にダメージを与えなければいけない。

 

(…にしても、同時か。Keyの秘儀の回復が想像以上に早い…いや、私が恐怖で焼き切れた秘儀を回復したのを真似たの?なんて学習能力…でも、いくらKeyでも『アイ・オブ・ホルス』の必中効果を数秒でも受ければ強制的に戦闘不能。そうすれば…私が勝つ!)

 

領域によって構築された架空の地面を抉る勢いで踏み込んだホシノは、突進の速度を乗せた拳をKeyの顔面に叩き込もうと振り抜く。

それをマシンガンの銃身で受け止めるKeyだったが、あまりの打撃の重みに衝撃を受け流し切れず軽く後方に吹き飛ばされ、ホシノはさらに加速すると吹き飛んだKeyの背後に回り込んだ。

その移動を目で追っていたKeyは吹き飛ばされた勢いを利用して器用に空中で体勢を変えて回り込んだホシノに飛び蹴りを入れようとするが、身体の前面が地面に着きそうな程に姿勢を低くすると、真上を通過しようとしたKeyの腹を蹴り上げた。

 

上に飛ばされたKeyは真下にマシンガンを乱射して弾丸の雨を降り注がせるが、ホシノは盾の端を掴むと団扇のように薙ぎ払って風圧だけで迫る弾幕を跳ね返した。

跳ね返された弾丸を浴び、次いでに風圧にも煽られて空高くまで吹き飛ばされたKeyにホシノはショットガンの銃口を向けるとその銃口を赤く輝かせる。

 

 

「『宵』」

 

解き放たれた破壊のエネルギーがKeyを撃ち抜く。

身体を丸くするような体勢でそれを受けたKeyはホシノの領域のシンボルとして空間を直上から見下ろす巨大な目を足場に、着地と共に曲げた足を伸ばす勢いでそれを蹴ってバネが反発するように、まるで流星のような速度で直下のホシノへと襲いかかる。

 

その圧倒的な速さの突撃を盾で受け止めたホシノは、受け止めた衝撃で地面に埋まった足を引き抜きながら盾の上に乗るKeyを振り落とし、盾の側面でKeyへと殴りかかる。

ホシノの秘儀によって再生を利用した”不変”を与えられ破壊不可となった盾はそれそのものが無敵の盾であると共に強力な鈍器となり、それを振り回すホシノの膂力によってさらに凶悪性が増して打ち付けられたKeyの側頭部から血飛沫が舞った。

 

「っ…!」

「いい、加減…!」

 

受けた傷を神秘で回復するKeyだが、その隙を見逃さずホシノはシールドバッシュでKeyを吹き飛ばすとそれを追って跳躍し、追い付きざまに拳を振り下ろしてKeyの腹へと叩き込む。

それによってKeyは地面に叩きつけられて────

 

 

 

────『アトラ・ハシース』と『アイ・オブ・ホルス』が同時に崩壊した。

 

 

「領域の中で戦うならおじさんの方が上みたいだね?」

「…ほざいてなさい」

「うへ〜、そんなつれないこと言わないで…よ!」

 

再び互いに秘儀が焼き切れ、屋外での戦闘へと移り変わる。

瓦礫を巻き上げながら地面を滑るようにしてKeyに迫ったホシノは、語尾を強めたのと同時にKeyを殴り飛ばしてショットガンを放つ。

背後にあった廃墟の壁に背中を打ち付けた直後に追撃の弾丸を受けたKeyは壁を突き破って廃墟の中を転がり、起き上がって反撃しようとするも目の前に転がったそれを見て一瞬硬直した。

 

(閃光弾(スタングレネード)!)

 

「これでもおじさんってば老獪でね!」

 

眼前で閃光弾が弾け、Keyは咄嗟に目を腕で覆ってそれを凌ぐもののその隙に廃墟の中に突入したホシノは壊れた壁から露出した鉄筋をねじ切ってもぎ取ると、螺旋状に尖った先端をKeyの左肩へと突き刺す。

反撃しようとするも関節を固定するような絶妙な位置に刺されていたことで対応が遅れ、代わりに右手でホシノを掴もうとするがその前に顔面を殴り飛ばされて後ずさった。

 

「老獪、ですか…なら、本当の時の重みというものをを知りなさい!」

「!」

 

Keyは左肩に刺された鉄筋を引き抜くと足を振り上げ…自分の足元にかかとを落として地面を砕き、衝撃が伝搬して廃墟は崩壊、一帯の地面が捲り上げられる。

まるで地中から爆発でも起こったかのような衝撃に瓦礫と共に真上にふっと飛ばされたホシノは、同時に舞い上がった土煙の奥に注意を払い…巻き上がった瓦礫を足場に跳ねて移動してきたKeyの蹴りを盾で弾いた。

 

弾かれたKeyはまた別の瓦礫に足をかけると、それを蹴ってさらに別の瓦礫に飛び移り、それを目にも止まらぬ速度で数度繰り返すと先程の蹴りを防いだ反動で地上に落ちたホシノの背後に着地する。

 

ホシノはそれに反応して振り向くが───気付けばKeyはホシノの正面に移動しており、咄嗟にホシノは前に目を向けようとするもKeyが拳による乱打を繰り出してそれを盾で防ぐことも出来ずモロに受けたホシノは上半身を大きく逸らし…戻す勢いでKeyへと強烈な頭突きを叩き込んだ。

 

「ぐっ…!」

「おじさん頭カチカチの石頭だから痛いでしょ?」

 

ホシノが怯んだKeyを蹴り飛ばし、先程Keyが巻き上げた瓦礫が全て落ちる頃。

逆に言えばその僅かな時間の間にあれだけの駆け引きが行われる戦闘速度の中、互いに恐怖による焼き切れた秘儀の回復が終わりそれぞれ掌印を結んだ。

 

 

「───神秘解放」

「────神秘解放」

 

 

ホシノは5度目の、Keyは3度目の神秘解放による領域の展開。

先程同様、同時に行われたように見えたそれだが…Keyはホシノの頭突きによって負った頭部の損傷を秘儀と並行して恐怖で回復していたが為にホシノよりもコンマ1秒秘儀の回復が遅れ、それは神秘解放の遅れにも繋がる。

0.01秒にも満たない時間ではあるがホシノの領域の必中効果が先に発動し…それを受けたKeyの動きが明らかに鈍ったのをホシノは見逃さない。

 

(食らったね…『アイ・オブ・ホルス』を!)

 

キレを欠いた格闘術、ホシノの怒涛の攻めを捌き切れない対応力、傍から見れば瞬間移動にも見えるホシノの速度を捉えられない瞬発力。

ほんの一瞬『アイ・オブ・ホルス』の必中効果を浴びただけであからさまにコンディションがガタ落ちした今のKeyではホシノを相手取るのは手に余り…防戦一方の末、神秘解放から2分40秒後。

遂にその拮抗が崩れる。

 

「これで、終わりだよ!」

「っ!」

 

Keyの苦し紛れのマシンガンによる掃射を盾で防ぎながら肉薄したホシノはマシンガンを蹴り上げてKeyの手から取り落とさせ、大きく振りかぶった腕をKeyの胸へと突き刺した。

それによって受けたダメージでKeyは領域を維持できなくなり…『アトラ・ハシース』が崩壊する。

 

Keyに、『アイ・オブ・ホルス』の必中効果である天上の目によって強制的に本能を刺激され、内側から高まる文字通りの”恐怖”によって全身を硬直させた。

蛇に睨まれたカエルの如く身動きの取れないKeyに、ホシノはようやく手に入れた圧倒的な優位性という千載一遇のチャンスを逃すまいとヒナの奪還を目指した。

 

(最低でも心臓、肺と肝臓を破壊して古聖堂の時のアリスちゃんよりも確実に死に近付ける!Keyの自我を沈める!今なら…救える!)

 

ヒナごと殺してでもKeyを打ち倒すつもりでいたホシノだが、この状況ならばヒナを救ってKeyのみを封じるという全てを救える選択肢が浮上したことで方針を切り替えた。

故に確実にKeyを行動不能にするために肉体に更なるダメージを与えようとして────

 

 

 

 

 

 

『───布留部由良由良』

 

 

 

 

「!?」

 

Keyの足元、その影から伸びた刃をホシノは咄嗟に宙返りで避ける。

そしてホシノの前に立ち塞がるように影の中から姿を現したのは、狼のような耳を生やす銀髪の少女。

青い瞳は瞳孔がそれぞれ白と黒に分かれたオッドアイになっていて、頭上には特徴的な舵輪のようなヘイローが浮いている。

見た目だけなら年若く可愛げのある少女だが、十種の式神でも異質なそれの異界での呼び名は『死の神(アヌビス)

抗いようのない招来、冥府への案内人。

 

 

───”八握剣 異戒神将 死路虚”

 

(死路虚…!?このタイミングで…こんな時のために事前に出現する条件を設定してたの?いや、なんにせよ『アイ・オブ・ホルス』に適応する前に一撃で破壊する!)

 

「虚式───」

 

残った文献から死路虚の性質を知っているホシノは、最速で死路虚を屠る為に領域からの環境効果によるバフを受けつつ死路虚にショットガンを向け、その銃口に紫色の光を輝かせた。

そもそも『アイ・オブ・ホルス』の内側で呼び出したところで死路虚もその必中効果を受けて動けない筈だと踏んだホシノだったが…予想に反して、死路虚は何事もないかのように持っていた銃を剣に変形させると、それを地面へと突き刺し───そこを起点に、『アイ・オブ・ホルス』の結界が崩壊した。

それはつまり…

 

(なんで…死路虚が、既に私の領域に適応してる…!)

 

「…随分と驚いているようですね」

 

『アイ・オブ・ホルス』の崩壊と共にその必中効果が終了し、硬直から逃れたKeyは先程ホシノに貫かれた胸を恐怖で治癒しながら薄ら笑いを浮かべた。

ホシノに死路虚の手札は割れている、故にKeyはデカグラマトンとの戦いで死路虚の適応を自ら肩代わりすることで練習を行い、そして今回はさらに適応を肩代わりする対象を変更することでホシノに気付かれないように死路虚の適応を進めていた。

 

ホシノの5度の神秘解放、Keyの領域と相殺し合う必中効果。

Keyが自らの領域の必中効果に相殺するよう命令したのは、”自分以外の全て”であり…()()への必中効果は相殺していない。

()()は5度に渡って『アイ・オブ・ホルス』を受け続け、適応を肩代わりした。

適応を肩代わりしていたのは───

 

(有り得ない…最初の0.01秒の間に適応を?ヘイローの回転どころか死路虚が顕現したのはその後なのに…Keyが適応の肩代わり?いや…)

「まさか、委員長ちゃんのヘイローか!」

 

Keyは、自らの内側に沈めたヒナのヘイローに適応を肩代わりさせていた。

その事実を知ったホシノは冷や汗を垂らし、それを見たKeyは底意地の悪い笑みを浮かべる。

 

「何か、言いたそうな顔ですね?」

「…そうだね、卑怯者って罵ってやりたいところだけど今更そんなの気にする君じゃないだろうし…ここは1つ、思ったより必死こいてくれたんだねって煽ってみようかな」

「貴女程ではありませんがね…まあ貴女の領域でのみ発動する必中効果『アイ・オブ・ホルス』…正直なところ厄介だとは思っていました。まずは貴女からその手札を消しておきたかったのですよ」

 

Keyは顕現させた死路虚を一度自身の影に沈め、代わりに死路虚のヘイローを自らの頭上に置く…Key自身のヘイローの上に死路虚のヘイローが浮かぶという不思議な状態…ことで死路虚を破壊されることを防ぎつつ適応を肩代わり出来るようにした。

 

領域内でKeyは展延を使わない間十種影法術でヒナに適応を肩代わりさせていた為に領域に付与した以外の秘儀を使えなかった訳だが…『アイ・オブ・ホルス』に適応された以上最早ホシノに打つ手は無いかと思われた。

だがホシノ自身はそうは思っていないようで…

 

「肩代わりしたのはあくまで”適応の過程”であって”結果”じゃないでしょ?Key、君や委員長ちゃんのヘイロー自体が適応した訳じゃない。私がまた神秘を解放したら、君は死路虚…あの見た目なら死路虚ちゃん?初めて見たら可愛くてびっくりしちゃったよ。まあ死路虚ちゃんを出さざるを得ないでしょ?次は…一撃で破壊するよ」

 

死路虚さえ破壊出来ればもうKeyに『アイ・オブ・ホルス』に対抗出来る手段が無くなると、ホシノは掌印を結び神秘を解放しようとする。

しかしそれを見たKeyは口角を上げ───ホシノのヘイローに亀裂が走り、神秘を解放しようとしていたホシノは血を吐き出して地面に膝を着いた。

 

「…?」

「貴女はもう神秘を解放できません。恐怖による焼き切れた秘儀の回復とは、随分と無理をしましたね。肉体や消費した神秘は秘儀による再生で取り戻せるとしても…秘儀を回復する為に秘儀の焼き切れに関係のあるヘイローの中で直接神秘を反転させ恐怖を生み出し続けるなどという芸当を続ければ、当然ヘイローそのものに負荷がかかります。そして如何に『ウジャトの目』といえど、ヘイローの損耗までは再生出来ないようですね」

「…」

 

本来一度行うだけでも死にかけるような無茶を4回…今神秘を解放しようと秘儀を回復させたのも合わせれば5回、ヘイローに多大な負荷を与えたことになる。

秘儀の回復のために同じ手法を取ってヘイローに負荷を掛けたのはKeyも同様だが、5回神秘解放を行ったホシノに対して最初の2回を破り領域を維持し続けたKeyはこの回復を行った回数が少なく、ホシノに比べてヘイローの耐久値には余裕があった。

 

「もどかしいでしょうね、肉体や神秘には余裕があってもヘイローに限界が来てしまうとは。さて、その状態で無理に神秘を解放しようとすればその際の負荷で今度こそヘイローが壊れるか、出来たとしても私の領域に対抗出来るだけの出力は出せないでしょうね。そして次私は、領域を結界で閉じます。逃げ場などありません。後は貴女をじっくりと解体しながらその”不変”に適応するとしましょう」

 

地面に膝を着くホシノを見下ろすように目の前に立ったKeyは、勝ち誇った笑みで掌印を結んだ。

 

 

「さようなら、最強。私が居ない時代に生まれただけの、凡婦───神秘解放

 

 

Keyが神秘を解放し、『アトラ・ハシース』のシンボルである円環状の中心に塔のようなものが浮かんだ構造体が出現して───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───直後、『アトラ・ハシース』は必中効果を発動させることも無く構造体は崩壊し、Keyのヘイローに亀裂が走った。

 

「っ…!?」

 

困惑するKeyの目から、鼻から、耳から、口から…だらだらと血が流れ落ちて顔を赤く染める。

 

Keyが『アイ・オブ・ホルス』から必中効果を受けた時間は延べ10秒にも満たない。

それでも必中効果が与えた”恐怖”はKeyのヘイローにも神秘解放が困難となるほどの負荷を与えていた。

以前アルが『アイ・オブ・ホルス』を受けた時に後遺症が残らなかったように、本来この領域そのものにヘイローへダメージを与える効果はない。

だが秘儀の回復の為にヘイローで直接神秘を反転させ、その負荷で脆くなった所に楔を打ち込まれた形でこの状態となったのだ。

 

「あっはは!やっぱり効いてんじゃん!」

「ぐっ…!」

 

敗色濃厚だった先程までの空気から一転、ホシノはこれ幸いと立ち上がりながらKeyを蹴り飛ばすと、普段絶対しない程に感情を顕にして叫んだ。

後退したKeyは顔の血を拭い取ると面白いと言わんばかりに獰猛に笑い、対してホシノは後方を旋回して戦場を監視しているシュンが放った烏を一瞥すると、親指を烏の方に指して笑みを浮かべた。

 

「可愛い後輩達に頼りにされてるからね…まだまだカッコつけさせてもらうよ!」

「そうですか…なら、せいぜい格好の良い死に様を晒しなさい!」

 

一瞬で距離を詰めたKeyがホシノの顔面を殴りつけ、それを受けたホシノは大きく仰け反るが…直ぐさま上体を戻し反撃の拳をKeyの顔面に叩き込んで殴り飛ばす。

互いに全力をぶつけ合う死闘、今までに感じたことの無い拮抗した戦闘に、生まれて初めて出会うようなただ壊れにくい玩具ではない…自分を殺し得る”敵”の存在にどこか充足感を覚えたKeyは、ホシノの打撃から感じた痛みを心地よく思いながら踏みとどまり、自身の影から()()を引っ張り出した。

 

「っ!それは…」

「懐かしいですね…使うのは何時ぶりでしょうか」

 

 

───超古代遺物『スーパーノヴァ』

 

 

アリスのレールガンにも似た、それよりもさらに巨大な大型の大砲のような銃。

デカグラマトンに勝利の対価として在り処を得たそれは、かつてKeyが名も無き神々の時代に武器として用いたKeyにとっての片割れのような武装。

 

Keyの…元々小柄なヒナの身長の倍近くあるそれを軽々と扱うKeyは、スーパーノヴァの砲身に青白い光を輝かせ、砲口をホシノに向けた。

そして放たれたのは、極太の青白いレーザー。

身体を横に傾けてそれを避けたホシノの背後でレーザーが駆け抜けた土地が丸ごと焼き払われ、爆発が連鎖していくのが見える。

 

「やっばいね…でも!」

「む…!」

 

スーパーノヴァを放った直後の硬直を狙って接近したホシノは、すれ違いざまにKeyの胸ぐらを掴むとスーパーノヴァごとKeyを引っ張ってその先にあったビルの外壁にKeyを背中から叩きつけ、その状態で外壁を駆け上がりKeyを引きずり回した。

瓦礫が、窓ガラスが散らばる中ホシノは引きずるKeyを振り回してビルの中へと叩き込み、反対側の外にまで貫通していくKeyにショットガンを放って撃墜する。

 

地上に落ちたKeyは再びスーパーノヴァを構えると下から上に薙ぎ払うようにレーザーを放ち、ビルを縦に両断した。

真っ二つに引き裂かれたビルは断面から炎上し…炎の中から盾を構えながら飛び出したホシノは崩れ落ちる瓦礫の1つを盾で弾いてKeyへと飛ばして牽制し、Keyがスーパーノヴァの砲身でそれを振り払った所に目の前に着地すると足払いをかけてKeyの身体を一瞬浮かせ、そこに至近距離のショットガンを放って吹き飛ばす。

吹き飛ばされたKeyはスーパーノヴァの砲身を地面に突き刺すことで静止するが、追いかけてきたホシノが拳を振るい…地面を叩いて地盤を割った。

 

「小癪な」

「器用って言って欲しいね」

 

砕けた大地は深く割れ、地殻変動が起こったと思ってしまうように沈んでいく街の中ホシノはKeyの頭の上にぴょんと跳んで足をかけると、地盤沈下によって出来た穴の底へとKeyを蹴り落とした。

ホシノ自身はKeyを蹴った反動で穴の外側まで脱出すると、Keyがやっていたように適当なビルを掴み、建物全体に神秘を流して補強することでビルを根元から引っこ抜いて持ち上げ、それを穴の底へと叩き込む。

 

穴の底の方で激しい崩壊音と共に土煙が舞い上がり…間欠泉の如く穴の底から噴き出した青白いレーザーが直上の全てを飲み込んで消し飛ばした。

レーザーから生じた熱にと光に苦い顔をするホシノに、Keyは穴の底から飛び上がってきたのと同時にスーパーノヴァを発射、銃身を動かしてレーザーを振り乱し一帯を根こそぎ焼き払う。

 

炎と煙が上がる地上に着地したKeyはスーパーノヴァをチャージし…周囲の物音に耳をすませて集中力を研ぎ澄ませる。

 

 

「…こっち」

「うげっ!?」

 

 

Keyの周りを竜巻のように高速で駆け回るホシノがどこから仕掛けてくるのか、それを音と気配、空気の揺れから察知したKeyは炎の中から飛び出してきたホシノの拳を受け止めると、手のひらでのガードの上からホシノの顔面を殴り飛ばす。

吹っ飛んで行ったホシノはその先にあった信号機に手をかけて巧みに勢いを殺し、ぐるんと回って軋む信号機の上に乗っかった。

 

「っとと…ふぅ」

(死路虚ちゃんを顕現化する布留の言とあのヘイローが意味するのは完全な循環と調和…適応は攻撃を受けた後にあのヘイローが回転することによって発動してる…ね)

 

 

───ガコンッ

 

 

Keyの頭上で舵輪のようなヘイローが回転する。

 

(展延で私にダメージを通してた時は死路虚ちゃんのヘイローが黒くなってた…その間は適応が中断されてるんだろうね。展延自体は神秘を解放するよりヘイローへの負担が少ないのかな?)

 

(死路虚のヘイローを出してからは適応されることを避けて『宵』を使ってきませんね。それではジリ貧でしょうに)

 

ホシノが乗っていた信号機が赤から青に切り替わる。

それを合図にホシノは信号機が壊れる程の踏み込みでKeyへと突貫し、懐に潜り込んで腰に組み付いた。

Keyはホシノの背中に何度も拳を振り下ろして引き離そうとするが、頬を膨らませて痛みを堪えたホシノはその状態でKeyを持ち上げると華麗なジャーマンスープレックスを決める。

 

頭から地面に突き刺さったKeyはスーパーノヴァを振り回してホシノを弾き飛ばすと、頭を引き抜いて再度向かってくるホシノにスーパーノヴァを発射した。

放たれたレーザーはホシノを飲み込むが、ホシノはそれを不変に任せてゴリ押しで突破しスーパーノヴァの砲身を下から蹴り上げることで跳ね上げ、体勢が崩れたKeyの鳩尾に強烈なストーレートを叩き込んだ。

 

「ぐふっ…クックッ、やってくれるじゃないですか!」

「うおおっ!?」

 

流石に堪えたらしいKeyだが、目を輝かせるとホシノの横腹を蹴り飛ばして距離を離し、離れたところで再びスーパーノヴァを発射してホシノを吹き飛ばす。

直線上の建造物が地面ごと抉られて根こそぎ消滅する中、一直線に抉られた地面の上に寝転がるホシノは起き上がって頭を搔くと、死路虚の適応について分析を進めた。

 

(さっきヘイローが回っていたにも関わらず死路虚ちゃんを出してこない…『アイ・オブ・ホルス』には5回でやっと適応を終えてたところを見るに、規格外に強力な秘儀が相手だと適応に相応の時間を有するのかな?一応『宵』は使ってないけど…今Keyが行ってるのは”不変”の元となる『ウジャトの目』の”再生”への適応。となると…)

「4回ぐらいかな?死路虚ちゃんが私の『ウジャトの目』の”再生”に適応が完了するのはトータル4回…さっきの1回転で残り3回?」

「まあおおよそそのくらいでしょうね。つまりそれが貴女のそのへらへらした態度が消えるまでのカウントダウンということです」

「へらへらしてるのはお互い様でしょ?3カウントなんて待たずにぶっ飛ばしてあげるよ」

 

満面の笑みでKeyを煽り返すホシノは、『アイ・オブ・ホルス』での撃破が困難になった以上ヒナの救出を二の次にしなくては行けなくなったことを念頭に置きつつ、今はとにかくKeyに打ち勝つことを意識してより闘志という激情を昂らせる。

 

最強同士の戦いは、これより最終局面へと移行した。

 





小ネタ
乙骨枠がシロコで魔虚羅枠がクロコだった世界線

(顔立ち、ヘイロー、武器、美人、高い背、たわわな胸、ミステリアスな雰囲気のクロコを見て)
シロコ「あれは…私?」
アリス「なんでそんな自分に自信があるんですかシロコ先輩!」
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