転生しても物騒な世界なんやが…   作:普段はブルアカ界隈を漂う何か

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ろくに世界観掴みきれないまんま勢いで書いてるのでさすがにそろそろ連続投稿が切れる



ジャンプ+ (物理)

 

 

 この世界は、安全ではない。

 この日本には数十年前から『魔都』と繋がる『(クナド)』が現れ、そこから凶暴な怪物『醜鬼』が現れる『魔都災害』が起きるようになった。醜鬼に通常兵器は通用せず、対抗しうるのは『魔都』で産される『桃』の恩恵を受けた女性のみ。

 そして、日本政府が人類を魔都災害から守るために組織したのが魔都防衛隊――通称、『魔防隊』。一番組から縁起を担いで四を飛ばして十番組までの9つの組に分かれ、魔都に築いた基地で魔都災害が起きないよう見張っている。

 …はっきり言って、ものすごく剣呑な場所だ。隊員たちは基地の中にある寮で暮らしているけれど、それはつまり日常が最前線ということ。

 …息が詰まりそうだ。というか詰まる。不意にそう認識してしまえば。…だって、()()私は隊員だから。魔防隊七番組の――

(いつ)()!」

「っ、はい!」

「門が出現した、出撃するぞ!」

「はい!」

 身が引き締まるような羽前組長の声に、わたしもきっぱりとうなずき返した。

 

 

「っ…迷い込んだ人が!」

 …その門に向かう最中。前に座る(ねい)ちゃんが急に静かになった、と思えばそう伝えてきた。門とはそれなりに離れた場所らしく、別の門が短時間発生していたのかも、とのこと。…前の和倉君の時と同じような事態か。先行した組長と和倉くんが見つけて対処してくれているらしい。じゃあまあ、大丈夫か…そう思っていたら。

「あっ!…あれ?えっ?えぇ!?」

「寧ちゃん?どうしたの?」

「た…倒してます!迷い込んだ、男の人が!」

 倒してる…?そんな。あれは『桃』の恩恵を受けた女性にしか倒せないものじゃ?

「寧ちゃん、ちょっと見せて!」

 信じられないという顔をしている日万凛(ひまり)さんは、けれど今ハンドルを手放せない。朱々(しゅしゅ)ちゃんはちょっと遠くて、たぶん聞いてない。だから、私が寧ちゃんの頬に手を伸ばした。寧ちゃんが能力で見ている視界は、触れた人にも共有される。

 …確かに、近くに門は見えない。言っていた通りに羽前組長と、眷属化した和倉君の姿。その向こうには―――

 

「…っ!?」

 しっかりと視認した相手の姿。私はとっさに、胸に抱きかかえていたテディベアを下ろして…

「えっ?ちょ、慈海!?」

「だ、ダメですまだ戦闘が…!」

 …()()()

 

 

 

 

 

 『小旅行(ラウンドトリップ)』。それが『桃』を食べた私に開花した能力。

 一往復をワンセットとする瞬間移動。往路では生物を連れていけない代わりに移動先の指定は無し。一方の復路では生物を連れて帰れる代わりに帰る場所が指定される。その帰る場所とは、能力を使う前に抱きしめていたものがある場所。つまり、今は戻ろうと思えばあのテディベアがある車両の中に戻れるということ。

 少々ややこしい制限付きで、使い勝手がいいのか悪いのか…いや、今それは置いておこう。

 

「――庭窪(にわくぼ)さん!?」

 飛んだ先は戦場。私は斥候役とは合え非戦闘員だから、こんな危険域まで飛び出すことなんて本来ない。後ろ!と叫ばれてすぐさま伸縮警杖を振り抜けば直撃の感触のあと、怯んだ醜鬼を透き通った直方体が貫くのが視界の端に見えた。

「慈海!?」

 …羽前組長の驚く声が聞こえた。すみません、叱責は甘んじて受けます…!ですから、今は。

「おま…っいや、今の…」

 あの無法地帯と化した仙台で、私を助けてくれたこの人を。

 

 

 

 …ちょっと街中まで遠出。そのつもりだった。そうしたらコガネとかいうのが出てきて、結界(コロニー)というものから出られなくなったことを知った。無惨に切り裂かれた死体をいくつも見て、動転して逃げ惑っていたらすぐそばの建物が崩れはじめて。もう助からないと思った。それでも腕は頭をかばって、もつれるみたいに地面に倒れ込んで…

 …来ない。瓦礫が降り注いでこない?

「立てるか?移動すんで」

 声をかけられて顔を上げると…瓦礫が透明な屋根に防がれた不思議な空間の中で、一対の気だるげな目と目が合った。これが、庭窪さんと出会った経緯。

 

 右も左もわからなかった私に、庭窪さんは今の状況――庭窪さんがプレイヤーとして巻き込まれている事態(ゲーム)について――を教えてくれて、安全な場所を見つけるのに協力してもらえる運びになって。

 …まあ、たぶん2時間くらいしかもたなかったと思うけど。今すぐここから離れんと…!といきなり手を引かれた、その次の瞬間すさまじい暴風に晒されてから記憶がない。

 気がつけばここに来ていて、とにかく二の舞を踏まないように状況はすぐに把握した。…まさか、こっちでも会うことになるなんて。しかも、あの結界を張る術を持ったまま……

 

「…慈海、そいつはお前の知り合いか?」

 っ…覚えず背筋が伸びて、声の方を向けばいつの間にか戦闘を終えたらしい、いつも通りの凛々しい羽前組長……しまった。私としたことが、衝動的で何も考えてなかった…!

「あーまあ、ずっと前の」

「今は慈海に聞いている」

「…はい。ずっと昔の、友人です」

 庭窪さんが答えようとして遮られたけれど、私もそれに合わせることにした。…お互い、さすがに()()なんて突拍子もないことは言えない…と考えるのは同じだったらしい。大丈夫、私…部屋の日記で見たこの稲置(いなおき)慈海の過去と食い違いは起きない。

 

「…そうか」

 羽前組長はそれだけ言ってうつむいた。…ひとまず、周辺の醜鬼は全滅させたらしい。少しの沈黙のあと、

「…ひとまず、寧たちのもとに戻っていてくれ。通常通り、門がなくなり次第帰投する…慈海」

「はい」

「…少しお説教はあるが、後にする」

「…わかりました」

 それはそう…組長と、少し名残惜しさを感じつつ庭窪さんにも頭を下げて…()()

 

 

 

「わっ!」

 再び車両に戻ってみれば、乗っているのは寧ちゃんだけ…こっちはまだ戦闘が続いていた。こっちのが門に近いし、まあそうか。

「い、慈海さん!ご無事でしたか!」

「え?あそっか、ずっと見てらんないよね…うん。只今戻りました。ごめんね、びっくりさせちゃって」

「何かあったんですか?」

「ん…ちょっと、知ってる顔だったから、つい…組長にはあとでお説教だって言われちゃった」

 …寧ちゃんにそう話しながらも、私の頭からはなかなか庭窪さんが離れなかった。

 まさか、また会うことになるとは思わなかった。…また赤の他人に戻った状況ではあるけど……あまりひどい目に遭ってほしくはないと思う。もちろん、これがただの独りよがりなのは…わかってるけど。

 

 

 

 

 

 





・庭窪亨
慈海の回想シーン中もお構いなしに醜鬼をぶっ飛ばしまくってた。気分はもぐら叩き。【急募】緊張感

稲置(いなおき)(いつ)()
というわけでオリ組員はこんな子でした。改めて考えるとあまりにも出張組向きの能力だったけどまあいっか…(気づくの遅)。厳密には目印が必要なので全く知らない場所や無人不毛の地には飛べません。あのサブタイを狙ってたわけではないです。いや本当に。
回想シーン中も正当防衛はやってた。
ところで…なんか変なこと言ってる部分気づいた?


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