どうも、Cross Alcannaです。
久々にハーメルンの小説を読んでいたら、ふと設定が湧き出たので投稿します。他のシリーズについてですが、モチベが湧くまでお待ち頂けると幸いです。
尚、このシリーズも不定期投稿を予定してますので、ご了承下さい。
では、どうぞ。
2024/1/13 誤字報告内容の修正
奇妙な事件簿
「ハハッ!!冷酷な算術使いも、大した事ねぇな!?」
「く…っ!こんな事をして、何をしようってのよ!」
しくじった。
今日はセミナーの備品を買いに行こうと外を歩いていた。この後に予定が控えていた事もあって、普段なら使わないであろう治安のよくない近道を使った。その結果、思いもよらない数の不良生徒を相手取る事に。応戦すること自体は出来たものの、1人で鎮圧しきるのは流石に無理が過ぎた。
そして今、私は不良生徒に拘束されている。それも、かなりの強さで縛られて。手首に跡が付きそうね…。
……後、その通り名みたいなので呼ぶの止めなさいよ!!その名前のせいで、ミレニアムの生徒達の誤解を解くのに一体どれだけの労力をかけたと思ってるのよ!
「ボス!この後はどうしやしょう!?身代金でも要求しますか?」
「いや、しばらくはこのままでいるぞ。今の段階で身代金を要求して、軍規模の増援でも寄越されたらたまったもんじゃない」
「了解です!」
そんな話をしているのが、聞こえてきた。拘束されるまでに、割としっかりダメージを負わされた事もあって、段々意識も朧気になっていた。聞き取れた事と言えば、身代金の要求が云々、くらい。
正直、今すぐにでも意識を手放したい。けれど、そうしてしまえばこの不良達に何をされるか。意識のない間に変な事をされる事を想像するだけで…身の毛がよだつ。
……先生。
声に出そうな寸でで、どうにか抑え込む。先生は今、アビドスにいる筈。そうなると、先生が助けに来る事は、恐らく期待できない。
怖い。不良生徒に暴行を加えられた生徒が死亡した事例も、少ないとはいえど無い訳ではない。私も、そうなる可能性が否めない。その報道を耳にする度、「私は戦えるし、大丈夫ね」と楽観視してきた。
そのツケなのだろうか。
………あぁ、もうダメ。意識が……。
『うわぁぁぁ!?』
「…何事だ?」
「ボス!見慣れないヤツが、仲間を薙ぎ払ってこっちに来てます!」
「…相手は何人だ」
「
そこで、私の意識は暗転した。
────────
「…………」
「止まれ!止まらないなら、命の保証はないぞ!!」
「…………」
「止まらないなら……撃て!」
仲間が一斉に射撃をする。私も、相当の弾丸を浴びせる。相手は、避ける素振りを見せない。いくら弾丸に耐性があるとはいえ、この数の弾を直に受けて無事であるはずが……。
「…………」
「ヒッ!?どういう事だ!」
無傷。とは言えないにしろ、有り得ない程に軽傷。その軽傷具合は、まるで羽虫が身体に止まったかのような反応を見れば、嫌でも理解できてしまう。
「ひ、怯むな!撃て、撃てェ!!」
仲間の1人が、周りを鼓舞するように大声で言う。弱気な思考に陥っていた私も、その一言に目が覚める。そして、撃つ。
どれくらい撃っただろう。何マガジン分を撃ち切っただろう。それでも、目の前のソレは止まる事を知らない。気付けば、仲間の一部が逃げ出していた。
「……愚か」
人が、吹き飛んだ。それを認識して数瞬、私はようやく、それが目の前の怪物が放った一撃だったと認識する。銃撃では、無い。恐らく、手に持っている鎌……のような物を振ったのだろう。
理解した。理解した筈なのに。身体が震えて動かない。こんな一撃を見せられて、逃げないといけないのを自覚している筈なのに。
……震えている、本能が。
「…………」
振られた鎌。それを見て、察した。
私も、同じ様にやられる事を。
────────
「よぅ、アタシの部下を可愛がってくれたみたいじゃねェか?」
「…………」
「…だんまりか?いけすかねぇ奴だ……ナァ!?」
部下が全滅し、残ったのはアタシのみ。終始ほぼ無口を貫こうとし、アタシを射殺さんとばかりの眼差しを向け続ける目の前のヤツが、酷く気に食わない。
だから、啖呵を切って突っ込んだ。アイツの動くであろう場所と、今ソイツが突っ立ってる場所を撃ちながら。
動く奴に、銃は当てづらいだろう。部下は、
「……ほう」
感心したような、そんな一言。
しかし、その次の瞬間には姿が無かった。同時に、焦りが生まれる。
「少しは出来るヤツかと思ったが……しかしその程度か」
後ろから放たれたその言葉は酷く鋭く、そして冷え切っていた。不出来、という確固たる烙印を押されたような、そんな気分に陥る。それが焦りを助長した事は、言うまでもない。
「るっせぇェェ!!」
握る引き金を引きながら、やたらめったらに攻撃。身体が動く限り動き続けて、弾切れを待つ程に撃ち続けて。だが、何一つ届く気配は無い。可能性の1つも感じなかった。
避ける気が、全く感じられない。
全く避けていない訳ではないが、“避けなければ”という意思を一切感じ取れない動きで、雑把に避けるソイツ。銃弾が当たっても、表情1つ変えない。何十、或いは百数十。どれだけ当たろうとも、まるで痛覚が無いかの如く。
そこでアタシは、恐怖を感じた。自分が対峙しているソイツが、自分と同じ人間とは思えなかった。
未知のナニカに出会したような、格が違うナニカと対峙したような。いずれにせよ、勝てないであろう見込みは変わる事は無かった。
「ハァ……ハァ………」
「…………」
息切れる私を、只々無言で見つめるソイツ。今に至るまで、攻撃の1つも仕掛けられる事は無かった。
「こっちはお前をいつでも倒せるんだぞ」という意味なのか、或いは「お前の動きを見せてみろ」という意味なのか。考えて考えて、終ぞ私は結論を出すに至れなかった。
アタシとは別の不良グループが、
息も絶え絶え。それでいて、本能が「立ち向かうな」とでも言わんばかりに身体の震えが止まらない。
「……期待外れだ」
少し先の間合いにいたはずのソイツの声が、本当にすぐ目の前から聞こえた。
それからの記憶は、ない。
────────
─速報です!本日、不良グループの1つが制圧されたようです!周辺には、かなりの損壊の痕が見られたとの事です!
「……あのグループが?」
その速報の言葉を聞いて、耳を疑った。画面に映る映像を見て、目を疑った。早瀬ユウカが襲われたと矢継ぎ早に報道されたが、この際片隅に置いておく。問題は、制圧された不良グループとその現場の凄惨さ。
制圧された不良グループは、私達公安局すら苦戦していたグループの1つ。犯行の計画性や重さ、団員の連携が非常に厄介とされていたグループで、私もそのグループのリーダー格を何度逃がしてしまった事か。
それがどうだろう。リーダー格と思わしき奴が倒されていたと報道。その時に映った現場周辺は、見るも無惨に損害しているではないか。それも、
そうなれば、何か。分からない。
「制圧した人間は現在調査中、か。」
クロノス報道部のニュースを、ここまでマジマジと見聞きしたのはいつぶりだろうか。
遠からず、ここ公安局に調査の依頼が来るかもしれない。その時に細かい検証や考察をすれば良いだろう事は、自覚している。が、どうしても不思議に思えて仕方ない。
ここキヴォトスでは、武力行使の手段として銃を使う事が殆ど。拳……いわゆる素手も無くはないが、銃の方が圧倒的だろう。それに疑問を抱く者は、ほぼ全くいないと記憶している。
だからこそ目立つのが、あの争った痕跡。先生が趣味だといって何回か見せてきたファンタジー漫画、あれに出てくる斬撃の痕。どうも、アレと似ている気がして仕方ない。が、刃物を武器とする人間を、このキヴォトスで見た事は無い。
「……不穏だな」
どうも、変な話だ。