飛将、戦禍の轍をゆく   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

今回のサブタイトルに(1)とありますが、いわゆる前編後編のようなものです。話的には繋がっているものとなっています。

では、どうぞ。



学園都市に潜む者(1)

 

「ゲヘナでも姿を見せた謎の人物!関係者の話によると、『持っていた鎌の様なモノを一振りして、残っていた不良を殆ど壊滅させてしまった』との声も挙がっています!」

 

「ふむ……」

 

 

その言葉を聞き、私はテレビの電源を落とす。

 

なんとも、不思議な話です。この際、その恐ろしい身体能力は置いておく事にしましょう。それを言えば、キヴォトスの生徒全体の平均だって私達大人よりもずっと高いのですから。そんな事に触れても、大した結果を得る事は難解でしょう。

 

それよりもです。何故、鎌を……いえ、ハルバートの様な武器を使っているのでしょうか。前提としてこのキヴォトスでは、銃や機銃付きヘリ、ミサイルによる攻撃が一般的。それは、近距離武器の運用がこの世界では非常に非合理的である事を示すのは、言うまでもありません。であるならば、あのような武器を運用しているその姿が不思議に見える事は、至極当然でしょう。

 

何故?何故?私の考えだけでは、このまま思考に溺れてもマトモな結論は導けそうにありません。何せ、私は非合理的な物について思考するのが苦手ですから。恥ずかしながら、先日私の拠点に訪れた先生の非合理的な信条を理解する事は、終ぞ叶わなかったので。きっと、私は苦手なのでしょう。

 

そうとなれば、ゲマトリアの誰かに聞いてみるのが吉でしょうか?マエストロは…彼の芸術にどう抵触するのか分からない事を考えると、容易のは相談しにくいですね。ベアトリーチェは……彼女の脅威になると彼女自身が判断しない限りは興味を示さないでしょうし…。ゴルコンダ辺りならば、何か有益な意見をくれるかもしれませんね。

 

そうと決まれば、今からでも聞きに行ってみましょう。

 

 

「……?そういえば…」

 

 

ふと、考える。

 

この世界(方庭)は、数千の学園都市があると言われていますが……。

 

 

「その割には、数千も学園があるようには思いませんね?」

 

 

我々が認知しているのは、10も無い位と記憶しています。規模の大小がある以上は認知に差が生じるのも不思議ではないのですが、私達が活動してから全くといっていい程に動きを見せない、挙句には存在すら露わにしないというのは、かなり違和感がありますね。

 

……()()()()()()()()()()()()()、とでもいうのでしょうか。

 

……考え過ぎですかね?

 

 

「…いえ、今は彼の者についてが先ですね」

 

 

 

────────

 

 

 

「成程。それで、私の元にと」

 

「えぇ。あの2人には、少々反りが合わないかもしれないと思いましたので」

 

「確かに、2人には少々合わない類いかもしれませんね。…既に当人とコンタクトを取っていたりした際は、また話は別ですが」

 

 

ゲマトリアの本拠点にて見つけたゴルコンダに、先程の話を共有する。学園云々については、まだ伝えるべきでないと思った結果、伝えてはいませんが。この問題については、まだまだ何の裏取りも取れていませんし、この段階で考察・検証する必要もないでしょう。

 

…というよりは、不安定な論拠を基にした考察など、あってないような合理性しか持ち合わせていませんので。それで痛い目を見た者も、少なくないと聞きますしね。

 

それは置いておくとして。

 

 

「ゴルコンダ、貴方は先程の報道を見ました?」

 

「一応は」

 

 

ならば、話が早い。いきなり本題から切り出しても、問題なさそうですね。

 

 

「……あの者について、どう思います?」

 

 

私の一言に、杖を壁にかけて考える素振りを見せる。ここまで考え込んでいる彼を見るのは初めてですね。それ程、難しい問なのでしょうか?或いは、私と同じように疑念を抱いているのでしょうか。

 

そして熟考の末に彼が出した結論とは。

 

 

「奇妙でありながら、どこか強い違和感を感じますね、といったところでしょうか」

 

 

その言葉を言い、彼は一拍置くように言葉を途切れさせた。そして、続ける。

 

 

「あのような者は本来、異端と断じるべきなのでしょう。この世界で生きている以上、どうしてもあのような結論に行く事は考えにくい。ですが……どうも、そうして断言してしまうのも早計な気がして仕方がありません」

 

 

そう言って、言葉を紡ぎ終えた。凡そは私と同意見なのでしょう。違和感がある事は確かで、異端と断じてしまう事は出来るだろうと。しかし、その結論に踏み込めない何かがある。それも、そこそこの重要性を持った何か。解明すべき何かが眠っている。きっと、そう言いたいのでしょう。

 

やはり、彼に聞いて正解でした。マエストロやベアトリーチェは、ここまでの推察を基本しない。なので、このような謎が多い考察が向かない。これであれば、私と既に同段階の結論を出している彼であれば。件の人間についてどう扱うべきかを解明できそうです。

 

そんな事を考え連ねていると、彼が尋ねてきた。

 

 

「……ところで黒服」

 

「…?何です?」

 

「…あれは、()()()()()()()()()()()?」

 

 

……成程!その着眼点は面白い!アレがどこかの生徒である事が確定していなかった為に、その方向からの切り込みは避けるべきと考えていましたが……その方面であった時の為に考察するべきでした。私としたことが。

 

そう問われて、思考を巡らせる。あの形状の武器……私はハルバートに近しいと思っていましたが、もしかしたらそちらではない可能性もありますね。だとすると……。

 

…いえ、先に確認すべき事がありましたね。まずはそちらの確認を済ませる事にしましょう。

 

 

「ゴルコンダ、貴方は彼女がどこかの学園の生徒であるとお考えで?」

 

「恐らくは。あのような常軌を逸した行動をとろうと考えるのは、ヘイロー持ちでしか思い至りませんとも」

 

「それもそうですね。一応他の線も有り得ると思っていたのですが…」

 

「いえ、他の線が確実に消えた訳ではありません。ですので、生徒であるという線はあくまで可能性の1つという認識でいた方が堅実でしょう」

 

 

であるとすれば……可能性を1つずつ考察するのが良さそうですね。

 

…彼女の所属、ですか。一応、主要な学園の生徒一覧を所有してはいるのですが、それに合致する生徒は見受けられなかったですし。そもそも、学園でそのような者がいたりした時は、何らかの目立ったアクションがある訳で。それが無いという事は……。

 

 

「……我々も、ましてやキヴォトスの者のほぼ全てが知らない学園が……?」

 

「…あのシャーレという集団であれば、何か知っている可能性はありますが。が、我々ではどうにも出来そうにはありません」

 

「……であれば」

 

 

そうなのであれば。これ以上にない良い案が浮かぶ。これは良い。何せ、我々が動く必要が殆ど無いやり方です。強いてやる事といえば、ちょっと先生と雑談をするだけ。

 

これ以上に実行し得な案はないでしょう。

 

 

「……ふむ、それはかなり良い案ですね。であれば黒服。貴方がそれを決行する方向でよろしいので?」

 

「えぇ。貴方には引き続き、この件についての調査を行って頂きたく…」

 

「分かりました。個人的に、あの者との接触に興味が湧いてきましたので」

 

 

そうと決まれば、決行の準備をしなくては。ゴルコンダが興味を持つ事は少し想定外でしたが、特に問題はないでしょう。寧ろ、協力的である事は喜ばしい。

 

もし仮説通りに生徒であれば、神秘について新たな段階の研究が出来る可能性もある事です。アビドスの件は惜しいですが、それも最早どうでもよく感じてきました。嗚呼…今から興奮が抑えられないですね。

 

先生?貴方は、どんな選択をするのでしょう?

 

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