主従の間に芽生えてしまった歯止めの効かない愛情は光をも割断する   作:てりのとりやき

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「愛することに運命なんか関係ありません!!」

 

 

 

 

「情動が、単純なんです」

 

 恐らく高次の感情機能の出力を【MOS(マギマ)】が代理していたのだろう。

 複雑な思いはどこにもない。

 強制されているわけではないのだとはっきり分かる。

 だから。

 

「【MOS】を失って、私にはとてもシンプルな愛情だけがここにあるのです」

 

 そっと、首へと当てさせられた手を解く。

 流れるように彼女の頬に手を当てた。柔らかくて滑らかで、肌理の細かい美しさ。いつも綺麗だと思っていた。手に付いていた彼女の血がその白い頬を赤く染め上げることに──どうしてだろう。

 彼女を汚せたことが、今は少しだけ嬉しい。 

 

「ロー、ロ?」

 

 上体を折り曲げる。

 馬乗りになったまま首を寄せる。僅かに尖らせた唇で、──彼女の頬に。

 

「………………ん」

「………………」

 

 柔らかなキスをした。

 一秒もない接触。

 彼女の熱に直に触れ、そう認識した途端に体が熱く燃え上がった。

 きっと首まで赤い。──けど今は気にする必要もない。これからもっと恥ずかしい事をするし、言うのだ。

 顔を上げれば、メフトが呆然と目を見開いていた。

 

「──ろー、ろ、?」

「メフトさまがより良い未来をと願い選んだ過去があったからこそ、その結果として私はあなたを愛する事ができるのです」

 

 だから生まれるべきでなかったなんて、悲しいことを言わないでほしい。

 自らの過去。その全てを知った。

 メフトとマギアという果てしなく強い結びつきに触れた。

 憎悪。諦念。恩讐。悲嘆。望郷。

 何もかもがないまぜになった彼女たちの精神を簡単に解すことはきっと出来ない。 

 それでも、だからとローロが諦める理由はどこにもない。

 

「私には何一つ資格がないのに?」

「誰かを愛することに誰が資格を与えるのですか?」

 

 時間が掛かるというなら構わない。

 

「間違えてばかりだったのよ」

「一度間違えたらその先の全ては失敗なのですか?」

 

 言葉が足らないなら何度でも繰り返す。

 

「私に出来たことは何もなかった」

「後悔を抱えて行くことがそんなにも尊ぶべき行いですか?」

 

 あなたが俯くなら、精一杯に笑って見せよう。

 

「許されないことをしたの。許されるべきじゃない」

「誰が許さないのですか?」

 

 ──いいえ、違いますね。

 

「誰に、赦してほしいのですか?」

「…………誰なのかも……わからない」

 

 だから、だから目を逸らさないでほしい。

 俯き。怯み。臆し。逃げようとしないでほしい。

 ──私はここにいる。

 ここで、あなたの前で、生きている。   

 

「どこにも私の居場所なんかない」

「メフトさまがくれました。私に世界を。夢を。望みを」

「あなたに与えられたものなんか何一つない!!!!」

「私は、メフトさまに恋をしたのです」

「それは……ただ、あなたは強いられていて……!」

 

 女の顔が、表情が、崩れていく。

 歪んだ笑みをつい先ほどまで浮かべていたメフトではない。俯くことも顔を逸らすことも出来ず、剥き出しの感情を曝け出せる彼女が現れる。

 メフトは血まみれの左腕でベッドシーツを強く握りしめた。それは唯一自由の利く片腕に情動の全てを乗せた、必死の抵抗。

 

「マギアが強いた作為の感情でしょう!?」

「愛することに運命なんか関係ありません!!」

「──」

 

 だからローロも全力で彼女にぶつかりに行った。

 今までも、これからもきっと、自身が見定めた道を真っ直ぐに歩き通すことだけをローロ・ワンは愚直にやり通して来たのだから。

 それこそがローロ・ワンがなりたいと夢見た騎士であり、騎士道だったから。

 

「どれだけの悪意でもいい! どれほどの憎しみの結果でもいい! これが作為のものでも! 私はっ、メフトさまと出会えました!」

 

 初めて出会った時、メフトは汗を流して畑を耕していた。生活の糧を得ることを精一杯に行っていた。

 魔法存在である彼女は不死であり不老だというのに。

 どうして野菜を育て、人の営みを……日々の生活を繰り返していたのか。

 今なら、分かる。

 

「夢を叶えて! 守りたい世界を見つけられたのです!」

「あなたから何もかも奪った! 返しようのないものばかりを!!」

「私が全て取り戻してみせます!!!!」

「……!」

 

 人として生きること。

 畑を耕し、実りを得て。

 冬を越すための忍耐を。

 春を謳歌するための努力を! 

 メフトはマギアニクス・ファウストが教え導こうとした人の世界だけは意地でも守り通したかったに違いない。でなければ──失意の底で、消極的に生きる他なかった彼女が人らしくあろうとする理由が思い浮かばないのだ。

 

「必ず帰るのです! 私達の住む城に──あの日々を、私が絶対に取り戻します!」

 

 森にはティアレスがいて、猟の成果と畑で得られた野菜を時折交換して。

 日用品を手入れして、修理して、使い古しを大事に。

 アルと共に料理をする。掃除をする。毎日いい匂いのする布団で眠る。

 みんなで、お風呂に入って。それで……! 

 ローロはあの城での生活が好きだ。大好きだった。

 

「なんで……」

 

 きっとメフトとて同じだ。同じものを抱えている。同じ方向を向いている。

 そうでないと、今の彼女はこんなにも泣きそうな顔を出来ない。

 

「どうして、あなたはそんなにも強いの……?」

 

 分かってる。

 もう知っている。

 ローロ・ワンはメフトという存在を理解してしまった。

 

「前なんか見たくない。だってそこには私の失敗した現実しかない。もういい、嫌、生きていたくなんかない。戦いたくなんかない! お願い……お願いだから……!!」

「…………殺してほしいですか?」

「……うん」

 

 強くて、異質で。

 だけど人として生まれた、人であろうとした。

 ──脆い心。美しさとは裏腹に割れた硝子のように痛みきっている。

 

「消え去りたいんですね。だから苦しんで死にたいから、絞め殺されたいのですね」

 

 ローロの問いに、メフトが頷く。

 後ろ向きにしか歩くことができないメフトは、弱くて、脆くて。

 彼女は、誰にとっても神ではなかったのだ。

 

「メフトさまを罰するかどうかという、先ほどの問いに答えます」

 

 ……唯一の手で、三本の指しかない片手で、ローロはメフトの右手を取った。

 持ち上げ──そのまま、自身の胸に押し当てさせる。

 薄い胸だ。服越しでもきっと心臓の動きが分かる。     

 

「どうですか? ここには何がありますか?」

「熱くて、波打つ大きな脈動……。あなたが、生きてる、証……」

「爆発しそうなくらいなんです。痛くて張り裂けそうで、だけど、触れることが出来て嬉しいから」

 

 ──ローロ・ワンは、メフトという存在を許さない。許せない。

 何故なら許す必要がないからだ。

 

 

 

 

「これは、罪ではありません。

 だからあなたに与えられる罰など何一つないのです」

 

 

 

 

 メフトが、絶句した。

 

「どれだけの過去(しっぱい)も私には喜びで、

 どれほどの未来(にくしみ)も私には救いで、

 どれくらい現在(よりよいとき)が間違いだらけでも」

 

 前提がそもそもメフトとは違うのだ。

 当然だった。何故ならローロはローロ・ワンでしかない。今ここにいるローロは、メフトに罪などないように見える。

 ……心臓の鼓動。

 肺の収縮。

 生を、私はあなたに認められたのだから。

 

「──好きだという思いを、止めるものではなかった」

 

 今、きっと林檎よりも赤い顔をしている。薄らと汗さえ浮かべている。

 けれど心地よい笑顔を浮かべられた。

 笑う事が出来た。

 それは、心の底からメフトに感謝しているからだ。  

 

「…………………………………………どうしようもない人生に納得してきた。過去の傷を癒せない自分が本当に嫌いだった。罰と恥だけが正しいって、確信があった」

 

 救われたくなんかなかったと、メフトは瞳を伏せる。

 小さな静寂。

 瞼の裏で、彼女はきっと過去の全てを見返して。

 

「──あなたが私を見つめるたびに責め立てられている気がした!」

 

 押し上げた眼で見上げた少女に、彼女は吼える。

 

「私はローロにマギアと同じものを見ている。眩しくて、欲しくて、綺麗で──分かってるのに! また同じ選択をする、また同じような失敗をして取り返しのつかない現実に直面する!!」

 

 メフトの黒い瞳は夜空に浮かぶ無限の星々を思わせるほど強く輝いていた。

 恐れ、躊躇い、それでもと。

 

「ローロを、悲しませたくない。……それでも」

 

 願いと祈りを抱えずにはいられないのだと。

 

「背負って……くれるの?」

 

 希望を──見つけてしまったのだと。

 

「手を、伸ばしていいの……!?」

 

 届かないと知って尚、誰もが星空を見上げる。

 無限の瞬き。

 闇を焦がす、宇宙の炎。 

 二人で夜道を並んで歩いた時を思い出す。

 

「メフトさまの手はとっても綺麗で、いつも暖かかった」

 

 あなたはいつもいつも私の手を取ってくれた。

 人と人との交わり方を、その実践を、ひたすら繰り返すように。

 その熱が。

 喜びが。

 どうしようもないほど……愛おしかった。

 

「夜の闇にあってもメフトさまが手を握ってくれるだけで、私はそこに光を見たのです」

「──────」

 

 メフトは黙り、……震え、そして。

 徐々に。少しずつ目端に溜まっていく滴。

 眼前を直視しながら、決して目を逸らすことなく──ついには決壊する。

 

「……。……、……」

 

 彼女は泣き続けた。

 嗚咽もなく。ただ静かに。

 いつまでもただただ、泣いて、泣いて、泣き続けていた。

 

「好きです。大好きです。メフトさま……メフトさま……」

 

 ……救えたとは、思えない。

 これからも時を重ねなければならないのだろう。

 問題は山積みだった。

 何も解決したわけではなかった。

 けれどローロの心にはもう強烈な衝動だけが残されていた。

 シーツを握りしめたまま強張り続けていた女の左手に、自身の手指を絡み合わせる。

 強く。濃く。

 

「ぁ……」

 

 屈んで。

 メフトの目端にそっと口づけを。涙を掬い、舐め、そこからは、もう。 

 

「いや……ですか?」

「嫌じゃ……、ない、の」

「……よかった」

 

 

 

 ◇

 

 

 

 さほど時間は経っていないように思う。

 実際、大して掛かっていなかったのだろう。ぼんやりと見た窓の先は、ようやく陽が落ちきっている。

 夜の始まり。

 明かりも灯していない室内は暗い。けれど目に毒だと思えるほどの白い肌がはっきりと浮かび上がっている。

 

「えっと。泣くほど酷かったですか?」

 

 同じベッドの上で、肩を並べて横になる隣の女へとローロはそう問う。

 気恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら。 

 

「私、その、み……未経験、だったので」

 

 躊躇いがちな言葉を聞いたメフトが、くす、と笑った。

 晴れやかな横顔だった。

 いつまでも泣き続けていることさえ除けば、いつものメフトにしか見えなかった。

 

「そんなこと言うなら私も初めてだったわけだけど」

「肩……痛みますか?」

「もう平気。止血は済んでる」

 

 であれば、どうしてそれほど泣いているのだろう。

 ローロは体を起こしてメフトを見つめる。女の細い首、柔らかな肩、摘めそうなほど華奢な鎖骨──。

 

「……悪い意味で泣いているのではなくてね」

 

 未だに涙をこぼし続けるメフトが、目端を拭う。そして両手をローロの首の上で輪にすると、少女を自身へと抱き寄せた。

 不意にローロは思い出す。

 出会ったばかりの事、ティアレスとの一件が落着した直後の深夜。【MOS】による強制でメフトへと抱きついた時にも同じ思いを抱えた。

 

 

 抱き止めるために回された両腕は、暖かくて。

 女の肢体は細くて。

 だけど細いばかりでない柔らかさを頬に覚えた。

 

 

 甘い花の匂いをローロは感じて、それがメフトの────愛する人の、大好きな匂い。

 

「ただ、嬉しくて」

 

 耳元で囁かれた言葉に全身が強く震える。体の末端、足のつま先から頭のつむじまで何もかも。

 

「……そういえば、まだ答えを聞いていない気がします」

「答え?」

「そのう、先ほどの告白の」

「…………訊きたいの?」

 

 抱かれたままコクコクと頷く。

 そうね……とメフトがしばらく逡巡して、やがて。

 

「あなたのことを、まだマギアのお腹の中にいる頃から知ってた。あなたが【ローロ・ワン】だと知って、私はようやく過去の清算を許される時が来たのだとわかった。これからの人生のすべてをあなたに尽くす。あなたを幸せにするために生きようとした」

 

 去り際のマギアが言った通りだとメフトは呟く。

 

「私は最初、義務としてあなたを愛さなければならなかった」

「……」

 

 ──だけどローロのことを知れば知るほど、そういった責任感とは違うものを抱えていくことになったの。

 

「あなたは真っ直ぐで、ひたむきで……あなたへの罪も間違いも、それでもあなたは愛ひとつで──その圧倒的な光だけで塗り潰そうとしてくれたわ」

 

 躊躇わなくていいんだって。

 間違いなんかじゃなかったって。

 あなたがそう、言ってくれるから──私の肺はまだ呼吸を繰り返す。

 

「だからねローロ。あなたが愛してくれたからじゃ、なくて」

 

 抱擁が解かれる。両肩を掴まれて、ころりと寝返りを打つようにローロは転がされる。

 気付けばメフトが真上に居た。

 『ぺたん』。そんな音でも聞こえそうな軽い音と共に、メフトの腰がローロの腰の上に下ろされる。素肌同士が触れ合うこそばゆさで目を細めながら彼女の体の全てを少女は見た。

 なだらかな下腹。

 うつくしい臍。

 薄らと浮かぶあばら。

 僅かな脂肪の柔らかな肌。

 ──そして、いつ見ても思う。

 蠱惑的なまでに細い腰だと。

 

「ローロ。あなたがあなただから、私は二度とこの手を離さない」

 

 つるりとした艶の濃い黒髪が、流れるように垂れる。その隙間から差し出された手がローロの手指を握り、絡まり、離れようとしなかった。

 言葉に──行動に。ローロは顔が真っ赤になるのを自覚した。

 

「に、二度と、なんですよね…………」

「ええ」

「なら……今からは繋いだままですね?」

「嫌?」

「い……いやじゃないです」

 

 ふーん。そ。よかった。

 言って、メフトが覆い被さる。

 

 

 ◇

 

 

 

「……」

「あ……。……ふふ」

 

 汗と。

 湿気と。

 それぞれの吐息。

 何もかも絡み合う。混ざり合う。

 

「ん……。メフトさま……?」

 

 捏ね合い、触れ合い、噛んで、吸って、舐めて、痕をつけあって。

 感じられる素肌の柔らかさ。

 

「いーえ。なんだか悪いことでもしてるみたいだから」

「メフトさまには、これは悪いことなんですね」

「そーね。どうかしら」

 

 不思議と不快はなく。

 ただただあなたがくれる熱に純粋な心地よさだけが広がっていく。

 

「メフトさま」

「なーに、ローロ?」

 

 頬に当てられた手を、目を細めて受け入れる。

 どんな言葉も愛おしかった。あなたの赤い舌が見えればそれだけで。あなたの湿気混じりの声音が聞けたならそれだけで。

 蕩けそうなほど満たされた顔のローロが、汗の流れる頬を笑みに変えて、そして言う。

 

 

 

 

 

 

 

「私達は私達で幸せになりましょう?」

「──」

 

 

 

 

 

 

 

 具体的にマギアとの会話をすべて話したわけじゃなかった。

 でも、ローロは。

 …………。

 …………………………ねえ、マギア? 

 私達は私達では「幸せ」に近づくことが出来なかった。

 それは私が間違いばかりを選んできたからでしょう。

 そしてあなたが、私を拒むのが遅すぎたからでもあった。

 行き違い。

 ただ追い縋り。

 でも辿り着けなくて。

 最後には理解し合うことをやめてしまった。

 それでも一つだけ、私達が選び取れた絶対的な正解は今ここにあるんだと思う。

 

「……それってローロ、もしかしてプロポーズ?」

 

 ローロ。

 ローロ・ワン。

 

「あっ、え、えと。そういうつもりでは……」

「ふーん? そ。……違うんだ」

 

 あなたが私の光でいてくれようとする。

 ただその事実だけで、私はあなたの光でありたい。

 

「い、いえ! プロポーズ……です!」

 

 目を潤ませて、赤い顔で、だけど彼女があまりにも可憐で真剣な顔をするから。

 私は迷いを捨てることにした。

 

「結婚! しましょう! 私達!」

「……。ローロって本当にすごい」

「あの。答えは……」

「この場合私が妻でいいの? それともローロが私の奥さん? ちょっと難しい問題よね。どう思う?」

「……!」

 

 首を寄せ、腕を絡め、唇を近づける。それだけで少女の吐息が躊躇いがちに、だけどその呼気の柔らかを感じられるほどに触れることが出来る。

 浅くて軽いキス。

 私は一度のつもりだったけど、あなたは嬉しいと言わんばかりに、ぐいぐいと更に三度もしてくれる。

 

「どちらにもなりましょう! 私達は自由です!」

「ふふ。そーね。それがいいわ」

 

 簡単な行いだけで、今なら、分かる。

 マギアニクス・ファウストが恋焦がれた情動の形が。

 

 

 

 肺と心臓の隙間。

 お腹のもっと奥、根っこの部分。

 芯のところが暖かかくなる。

 ローロが喋るたびに、笑うたびに、

 私が何かをしてあなたがそれに応じてくれるだけで。

『ああ、これでいい』。

『この瞬間があればそれだけで』。

 

 ──マギア。今、あなたの言葉の全てが分かるの。

 

 

 

 

 罪だらけで、間違いだらけで、失敗まみれの生き方でも。

 恥に罰を上塗りする今この時であっても、それでもローロと出会えた今は。これだけはきっと……間違いじゃなかった。

 

「ローロ。私と一緒に地獄へ落ちてくれる?」

「メフトさまとならどこだって行けます」

 

 泣いて、それでも私はすっきりと笑う事ができたから。 

 光差す道が続くなら何も恐れることはない。

 過去を見つめながら暗がりに思いを馳せるのはやめよう。

 後ろ向きに道を行くのはもうお終い。

 ────最後に必要だったのは、覚悟だけだった。

 私の未来はこのようにして確定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私達は地獄へ幸福に滑落する。

 生まれることができて、よかった。

 

 

 

<4章 完>

 

 

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