主従の間に芽生えてしまった歯止めの効かない愛情は光をも割断する 作:てりのとりやき
冬が終わろうとしていた。
ローロ・ワンの視界には既に色がなく、嗅覚には無だけがあり、味覚は空気の味さえ感じられない零点まで落ちた。
春の訪れを、少女は外界の何一つから感じ取れないでいる。
それでも、体の節々をすり抜けていく風の柔らかさだけは明確に触れられたから──ああ、もうすぐ春が来るのだろうな、と。
ぼんやりと。そう思い、これからの未来に思いをはせていた時。
「──すべて、終わったみたいね」
女は、唐突に姿を現した。
艶を纏う鮮やかな黒髪。理知で象られた長いまつ毛。宝石のような黒の瞳。なめらかな肌理をした白い肌。狂いのない目鼻立ちと線の細さ。凄絶に美しい、痩せた女──。
「メフトさま。どうやってここに……」
声音に、困惑が乗っていた。当然だった。
何せメフトは唐突に……本当に瞬時に出現したのだ。
ローロ・ワンが願いによって光速の80%まで加速してみせたとしても、『移動』という概念の範疇にある。それさえ適用されないような、特異な現象。
まるで、2点間に存在する距離という概念を、無効化したような──。
「【自由転移】。終末魔法第二展開“
「──」
十数歩先に立つメフトの言葉は淡々としていた。情動のない答えに、その内容にローロは衝撃を受ける。
【自由転移】。座標間移動魔法……?
なんだそれは。
そんなものを使えるなんて聞いていない。聞いたことがない。教えてもらっては、ない……。
「メフトさまは、その」
思わず口を開いてから、言葉に窮した。言っていいものか躊躇ってしまう。
しかしそんな身振りに対するメフトの視線が、あまりにも。あまりにも冷え切っていて。
隔絶した距離感には、……どうしてだろう。
何故、『恐れ』という言葉が思い浮かぶのか──。
「……能力を私達にも隠していたのですか?」
「ええ」
困惑しきった質問にも、女はあっけからんと肯定した。
メフトの態度をどう受け止めればいいのか、思考がひっきりなしに回り始める。
座標間移動魔法──それはつまり、超光速の実現だ。そんな力があるなら、マギアニクス・ファウストとの戦闘はもっと有利に進められたのではないか。それこそ、メルツェル妨害魔法の圏外へ一瞬で移動して、【自由転移】を併用した攻性魔法を連発するとか……座標間移動魔法があるというだけで戦略は無数に広がったはずだ。
先ほどまでメフトの支援が頭から抜け落ちていたのも、彼女が惑星と衛星の間にある宙域に居たからだ。物理的な距離の遠さから選択肢からも除外していただけだ。
なのに。
どうして今になって。
まるで──まるでメフトは、今の状況を待ち望んでいたかのようで。
「──え?」
少女の体が、今度こそ硬直した。自分が思い立った思考の帰結に、小さな、だけど秒を追うごとに膨らみ続ける疑念に、恐れを覚えてしまった。
……見た。
女を。世界を支配していた真の魔王を。その出で立ちを。
非現実的なまでに美しい、この世のものとは思えないほど精緻な顔立ち。人形じみた黒い瞳の奥にローロ・ワンは視た。
──果てしなく深い、メフトという女の闇。
「メフトさまは、何を、考えているのですか」
「【
質問に応えているようで、答えていない言葉。
「終末魔法最終第五展開、“
噛み合わない歯車を見ているような違和感が胸に広がる。
「……何を考えているのか、ね。それはきっとこういう言葉になるわ」
心臓の鼓動が、重くなる。
「私が今ある宇宙を破壊する。
──皆殺し、すべて消し去る。
そして私が魔法のない宇宙として創り直す。
──皆蘇り、すべて元に戻すの」
…………言葉の意味が、ローロ・ワンにはよくわからない。
困惑。
呆然。
ただただ、硬直。
少女の思考はこの時間違いなく凍り付いていた。
全ての戦いが終わったのだ。
もう、これ以上戦う必要は、ないはずなのだ。
「何もかも……作り直すのですか?」
「ええ」
「何もかも……一度、壊れるのですか?」
「そうよ」
「……いつ、から。決めていたのですか」
だというのに、どうしてあなたはそんなにも悲壮な覚悟で表情を固めてしまっているのだろう。
「二年前。あなたを愛した瞬間に」
「ティアレスさまも、アルも、……生きていたらどうしたのですか」
「そうね。そのためにはマギアも、ティアレスも、アルも、私を阻む障害になったでしょう。……必要な犠牲だったとは思わない。どのみち私は全員相手をするつもりでいた」
わからない。
わからない。
わからない。
二年前。確かに通じ合ったと思えた心のかたちが、メフトという女が、今は何一つ分からない……!
「なぜ…………そんなことを、するのですか」
「……どうか思い浮かべてみてほしい」
メフトが、女が、その手を静かに握りしめる。
硬く──重く。
皮膚を食い破るほどの震えが走る拳に、彼女が抱えた激情の全てが込められている気がした。
……。
なぜ、教えてくれなかったのだろう。
「魔力など無い世界さえあれば。
──きっと何かが違ったのよ」
その、激情の在り処を。
背負っているものの重さを。
「魔法がなくてもいい世界さえあれば。
──悪意が凶器に直結する事もなかった」
……私の主君はいつもそう。
「アル・ルールは疑う余地のない愛情を許された。
──愛することはきっと簡単にできた」
一人で抱えて、背負って、苦しいはずなのに。
痛苦、辛苦を、何もかも両腕で抱きとめて。零さずに。
「ティアレス・ティアラ・ホルルは壮健に人生を歩めた!
──彼女が小さな喜びばかりを噛みしめる必要もなかった……!」
ボロボロの体で、後悔と罪さえだから捨てきれない。
「マギステルシア・ファウストには真なる救済を!!
──きっと、もっと幸せになれるのだから!」
果てのない祈りで願いを硬くする。
独りで世界を救うために、世界を独りで壊そうとして。
「マギアニクス・ファウストに人としての結末を!!!!
──せめて。せめて終わり方だけでも幸福をッ!」
──ああ、そうか。
何故こうまで全てを吐露するのか。
泣きそうな顔で、必死になって前を向くその理由。
「ローロ・ワンに在るべきはずだった遍く選択肢!!!!
あなたを世界の全てに認めさせるためにッ!!!!」
私が愛した人は、強いようで、脆いから。
私と同じだから。
共に道を行きたいと──そう、希うのか。
◇
「ただ────────ただ、一度でいい」
そう言いたげに、悲しみに暮れた顔だった。
「選ぶ事も許されなかったあなたに、選択の機会を。
まっさらな世界を──与えたいだけなのよ……」
◇
そうして。
メフトが、手を差し出した。
「ローロ・ワンを一人の人間として存在させてあげたい……あなたに、本当の意味で世界を与えたいの」
──世界の全てを与えられると言っている。
──この手を取ってほしいと祈っている。
ローロ・ワンの言葉を、選択を、そのようにしてメフトは待ち続けた。
「…………………………………………………………………………………………」
……………………何を。
何を、言おう。
何を伝えれば。
「…………この世界が……この……世界、を……」
言葉を、形にしてから気付く。
胸の内から熾り続ける熱量があることを。
「痛くて。悲しいことも多いけれど。転べば擦りむいて、戦争……、憎しみも殺意も止めどない。辛い別れが……、巻き戻せるなら……やり直せるなら……」
俯いて、手を胸に。
心臓の鼓動は今も確かに音を刻む。ここにいると微かな主張を繰り返す。
この、鼓動を──私がローロ・ワンとして生きていることを、望む人がいる。
「次はうまくいく。次こそは、今回はだめでも、なんて──」
痛みしかない人生を生きていく他なかった騎士がいる。
愛を植え付けられ、それでも愛を貫き通した魔法使いがいる。
憎しみに全てを。本当に何もかも投げ打ってしまった母親がいる。
彼女たちの悲しみ。
怒り。
絶望も。
……すべて、抱えて行くと決めた。
全てを、背負って顔を上げるのだと誓った。
「私を想ってくれたたくさんの人々がいます。その人達にもその人達を想う人々がいるのです。願いと祈りが誰かの願いと祈りに、道になります。私は、そんな道の上を歩いているのです──きっとメフトさまも」
ああ、そうとも。
確かにメフトの選択は魅力的だ。世界を一度壊したとしても、作り直した先に過去も現在も未来もすべて理想の世界が出来上がるのなら。誰一人として悲しみも苦しみも痛みもない世界になる
だがローロ・ワンは、もう分かっていた。
『次』のために『今』を無価値にしてしまうような選択を、したくないのだと。
それは、決定的な一つの意志。
彼女とは違う道を歩むことへの確かな覚悟だった。
「メフトさま。私はあなたと共に歩く今日を、今日に至るまでの『かつて』があるからこそ乗り越えられる
これから先、痛みばかりかもしれない。
これまでの選択をいつか悔いる時が来るのかもしれない。
それでもローロ・ワンには忘れてはならない過去がある。
──だから、前を見る。
──だから、胸を張る。
──だから、声に力を漲らせる。
「私、ローロ・ワンは。
喪失を背負い。
それでも変わらない願いと祈りを欠かさず抱えて。
これまで通り……ここから続く『先』へ行きます」
……そうとも、『だから』という言葉こそがローロ・ワンの根本にあるものだった。
常にローロ・ワンの行動には理由があったのだから。意味を持ち、そこには明確な意志を掲げていたのだから。それはひとえに、ローロ・ワンという存在が、過去から続く現在を、その連続性を守り続けてきたからに他ならないのだ。
故に。
私は、転がり落ちていた剣を持ち。
「メフトさまに世界破壊の……大量虐殺の罪など背負わせません」
今も。
だからこそと反駁する──。
「あなたを、私が止めます」
確かな想いを以て、愛した主君へと剣を向けた。
その行為に躊躇いはない。
ローロ・ワンにはもう譲れないものがあるのだから。
──そして、唐突に。
「……ねえローロ。一つだけ教えて?」
メフトは愛した少女から剣の切っ先を突きつけられても、柔らかな口調をしていた。
暖かな眼差しのまま──愛情の溶けた瞳が尋ねる。
「あなたにとっての『より良い未来』って、なーに?」
「過去と現在を重ね合わせ、それでも未来を信じて歩みゆく――」
ローロ・ワンは己が歩み続けた19年という月日に誓って即答した。
「より良い未来へ辿り着くための、『今ここにある全て』です」
……言葉に、メフトは口を噤む。
応えを待つ間、こちらから言葉を重ねることはしなかった。
静かな時が流れていく。極めて穏やかな時間が。
冬の終わりを告げる風が流離う。やはりもうすぐ春が来るのだろう。
突き抜けるような
「ローロ。あなたにはもう、答えがあるのね」
やがて────くすっ、と。
メフトは呆れたように小さく笑った。
ため息混じりに伸ばした手を下ろし、腰に当て、笑い目のまま口を開く。
「分かってた。きっとあなたは止めるって」
「わかっているから、越えなければならないのです」
潤む黒い瞳の中に、強烈な熱量で打ち鍛えた決意を宿す少女がいた。
「であれば……私達は」
淡紫の瞳が見せる苛烈な輝きの内には、泣きそうになりながらも気丈に笑おうとする、不出来な女の表情があった。
「何をすべきかは、もう」
二人の表情に三年間のすべてが映る。
二人の距離はかけ離れている。
二人の視線は混ざり合う。
二人の想いは相容れない。
二人は愛し合い、
それでも、
畑を耕していた。
生きようとしていた。その日も、これまでと同じように。
それしか許されていないと思っていたから。
それだけが私の縁だから。
【なぜ憎むのか】
【なぜ歌うと思う】
【祈りの理由は何……?】
──出会った時、私はあなたを見ていなかった。
馬車に乗っていた。
古い城の塀を前にして、ここから夢を始めるんだと思った。
どんな人なんだろうって考えた。
女王様。
これが私の女王様。
【憎悪の空は果てしない】
【歌うための道は遠い】
【祈りの壁は、ただ高い】
──出会った時、運命になれたらいいと願った。
◇
憎悪でしか語れない過去があった。
失敗しかなかった時間があった。
私は、向けられた殺意に応じるまま壊そうとした。
憎むことは当たり前だった。
けれどあなたは目いっぱいに両腕を広げ、私の前に立った。
【答えなどない】
【ただ歩む道が違うだけ】
──私はあなたによって友をもう一度得た。
憎悪だけが過去だなんて悲しいと思った。
気付けば私はあなたの前に立ちはだかった。
どれだけの次善であろうと、最悪よりは清々しい。
必死の言葉。
共に落ち行く決意。
あなたは矛を収め、私は私の力で未来を決められる時間を知る。
【答えを私は知っている】
【ただ進みたい道が違うだけ】
──私はあなたによって夢の形を得た。
◇
贖罪からやり直そうと思った。
もう一度。
もう一度……正しいことを。
間違えたくないからと恐れて。
だけど、あなたは強かったから。
【間違いをそれでも噛み砕いてあなたは行く】
──私はあなたに導かれていた。
夢の形が定まった。
思い描く未来が色づいた。
道は、だけど、途絶えていた。
力が欲しい。
力が、欲しい!
【間違いをあなたはきっといつまでも背負う】
──私はあなたと並びたかった。
◇
あなたは選び、あなたは進み続けた。
自らの歩む場所こそが正道だと。
手を取り合えたらどれだけ幸福だろう。
でも、見据える先。
あなたの背中は果てしなく遠い。
未来に生きるあなたを前に、私は過去を背負い続けると決めた。
だから私は──あなたを愛しているから、
「あなたを越えるわ。ローロ・ワン」
あなたは悔い、あなたは泣き続けた。
今もきっと泣いている。
拭ってあげられたらどれだけ幸福だろう。
だけど、見定める先。
あなたの姿は遥かに微かだ。
過去に代償を支払い続けるあなたを前に、私は未来を提示すべきだと確信した。
だから私は──あなたを愛しているから、
「メフトさま。あなたに勝ちます」
◇
全生を奮え。
侮りを捨てろ。
対峙するは最強の“騎士”。
ありとあらゆる可能性に満ちた新たな神!
「【
【
【
【
【
【
私達は足を止め、振り返り、そうして今度こそ前を向いて歩きだす。
得難い過去をもう一度掴み直そう。
「【六つの季節は呪いと巡り、地獄に春が来る】
【──六呪を華に咲き誇れ世界黄金樹】」
呪いを……それでもあなたと歌うわ、メルツェル。
「【
躊躇うな。
臆するな。
立ちはだかるのは究極の“魔法使い”。
全宇宙の頂点に立つ根源の神!
「【
【
【
【
【
私達は躊躇わず歩み続けよう。
夕暮れのその先へ。
沈みゆく星の果てに地平線の更に奥に。
「【“答え”は五つに絞られた】
【──完全な解明を存在の階層構造と共に】」
愛を──私が祈るよ、マギステルシア、母さん。
「【
◇
神域到達魔法が同時に起動し、無限量の魔力が世界へと拡散する。
拡張され続けた自我は宇宙という入れ物の限界点にまで膨らみ、その極点として宇宙最大規模構造にまで至った。
◇
宇宙という深淵に、突如として黄金の
それは全てを破滅に導く絶色の痣だ。
至高にして純粋。
究極のエネルギー……。
万物の理論その完成体……!!!!
幅5億光年。
縦42億光年。
横93億光年。
宇宙を横断する黄金の十字架。
第一神域到達魔法、【
それは全きを撃ち照らす金なる死光。
世の終焉を担う
銀河フィラメントを足場としてメフトは宇宙に立つ。
身に纏うは暗黒物質のドレス。
銀河団で塗った爪のマニキュアは自らを宇宙の王と見定めた決意の黒。
彼女が片腕を持ち上げれば、ボイド空間に黒よりも黒き力場が漏出する。
それは直径23億光年はあるだろう『統一された力』。
かの魔王が用意する、無慈悲な虚色の鉄槌──。
◇
【全ては今この時の為にある、運命でしたか?】
【だとしても……選んだのは私達だった】
◇
黄金で満ち満ちたかつての暗黒に、突如として銀紫の
それは凡そ遍く虚数の具現。
暗黒を震わせる、恐ろしき銀の約定が廻り続ける。
紫色をした光は自らを狂ったように叫び続ける。
徹底した倫理と崩壊した自己。
それは矛盾する相克の中で、故に歌っている。
──
──
──
直径59億光年の銀紫なる円環。
第三神域到達魔法、【
それは死とさえ羽撃く銀紫の反光。
時と空間の進行を担う
全身を輝かせる白銀の瞬きは白色矮星数千個を素材とした鎧。
超巨大質量ブラックホールで編まれたブーツは確かな実体として、ローロを大クェーサー群の上に立たせる。
少女は、光翼にも似た剣をまるで鞘から引き抜くかのように虚空から引きずり出した。それはあまねく銀河さえ束ね得る超巨大質量ブラックホールによって解き放たれた質量の噴出。事象歪曲を叶えるほどに極限まで圧縮された、稀有なまでに純粋な質量であり、その一条の輝きは全長126億光年にも及ぶ。
それは、かの騎士が用意する、宇宙すら割断する無双の剣──。
【ここが到達点。ここが終局よ、ローロ。ここから世界は一度逆向きに進み直し、もう一度あるべき姿を取り戻す】
【……】
【私は必ず望んだ世界を手にするわ。邪魔をするのなら……あなたであっても容赦はしない】
両者は、全知全能に限りなく近い領域で、見た。
宇宙という果なき深淵の中で。
打ち勝つべき者を。
【私にとってメフトさまは、光そのものでした。あなたがどのような立場であっても、相容れない想いを抱えることになっても、それでも私はあなたを愛しています】
1921年2月12日14時55分57秒。
【それでも、私にも、守りたい世界ができました。……
1921年2月12日14時55分58秒。
【そのために必要だというなら、私はメフトさまと戦います】
1921年2月12日14時55分59秒。
1921年2月12日14時56分00秒。
【……できるのならやってみせなさい】
1921年2月12日14時56分01秒──そして。
【欲しい世界があるの】
【忘れられない思い出があります】
時間ではなかった。
時間が二人の間に横たわる空間を解決することはない。
【失いたくない明日があります】
【望む昨日に手を伸ばしてみたいのよ】
空間ではなかった。
空間が二人の願った質量の在り方を紐解くことはない。
【願ってもやまない時間があるわ】
【壊れることなどない空間があるのです】
質量ではなかった。
質量が二人の形を歪めるほどの熱量にはなれない。
【ローロ】
【メフトさま】
熱量ではなかった。
熱量が二人の抱えた愛情を変質させることはできない。
【私はもう……光を断ち切ることができる】
愛情は──恐らく、愛だけが。
愛するがゆえの闘争が、今、ここにはある。
【私がきっときっと光を超えてみせます】
時空は澱み、
次元は破断し……。
【終末魔法第二被展開体“
【終末魔法第四被展開体“
宇宙は黄金と銀紫の光によって新たなる季節を迎える。
ローロは願った。
時と空間の進行と、その果てに存在する終わりある宇宙の閉幕。
メフトは選んだ。
世の終焉。その先に創り上げる終わりなき新たな宇宙の開幕。
相対し、道を違えた。
睨み合い。だけど愛していた。
決意と覚悟が二人に激昂を選択させる。
【──あなたを、愛している!】
【だからこそ!! 絶対に負けられない──!】
1921年2月12日14時56分02秒。
その時、二つの神が、宇宙の行く末を望む方向へと進めようとした。
<五章 完>