MUGEN アーカイブ    作:わんたんめん

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「皇帝」

 

「諏訪子よ!!」

 

ホシノたちとは分かれ、気づけば陽が沈み、ビルの光が夜空を照らしている時間帯。

突然自分の名前を呼びながら虚空から現れた人物に驚くといった反応はしない。なぜなら他ならぬ彼女を呼び出したのは自分自身なのだから。

情熱が形となったような深紅の赤のドレスに身を包んだ高貴な雰囲気を漂わせている彼女の名は『赤セイバー』という。

 

 

「赤セイバー?なんか早くない────まさか!?」

 

「そのまさかだ!件のヘルメット団とやらがセリカの周りを彷徨いておる。襲撃に奔るのも時間の問題だぞ!」

 

(嘘でしょ、こんなピンポイントで!?)

 

わたしが呼び出した赤セイバーにセリカちゃんの様子見を頼んだのはヘルメット団からの報復を予感してのことだった。

アビドスを襲撃しているヘルメット団の規模は素人目で見てもかなり大きい。そんな集団の基地を破壊したとなれば良くも悪くも引き金の軽いキヴォトスの人たちなら復讐に動きそうなのは想像に難くない。

そしてセリカちゃんがバイトしている柴関ラーメンが学校から距離があるというのも理由だった。

もし仮に学校周辺でそういう動きをしても5人揃った対策委員会には勝てない。ならどうするかといえば当然、1人のタイミングを狙う。なんなら救援が見込めない位置にいる人物ならもっと好条件だ。

その条件に当てはまるのがセリカちゃんだった。それを予感して大人のカードを使って呼び出した赤セイバーにお願いしておいたのだが、まさか初日から引っかかるとは思わなかった。

余談だが、ランセレに関してだが何人か頭を抱えたくなるような雰囲気の奴らがいた。できれば選ばれないことを願う。

 

「とにかく行こう!案内できる!?」

 

「うむ!余に任せるがよい!!」

 

赤セイバーの案内で仄かに明るいキヴォトスの上空を駆け抜ける。

少しすると爆発音と一緒に空へと上がる大きな爆煙のようなものが遠くに見えてくる。

 

「あの様子…………出遅れたかっ!?」

 

「キヴォトスの人たちは総じて頑丈だって聞いてはいるけど……………!!」

 

銃弾から果ては戦車の主砲を喰らっても大したケガにならないキヴォトスの人たちだがそれでも不安なものは不安だ。

わたしと赤セイバーは状況を俯瞰するために上がっている爆煙のすぐそばのビルの屋上に移動する。

 

「爆煙を中心に包囲されているな……………セリカという生徒の姿も見えん以上この中にいるのは確実だろう。」

 

赤セイバーの言う通り、ヘルメット団は爆煙を中心に取り囲むようにしている。

ただ、あの爆煙を起こせそうな武器を持った団員が見当たらない。この区画から離れたところにいるのだろうか?

 

「余が雑に突っ込むか?」

 

炎を纏った長身の剣を出しながらそう持ちかけてくる赤セイバー。

彼女もわたしほどではないが耐久はある方だ。何せ回数制限はあるものの体力がなくなっても即時復活するリザレクション持ちだからね。

 

「……………うん、よろしく。わたしはセリカちゃんを助けるよ。」

 

「それで良い。仮に貴様の方が固いからと言って前に出ると言うのなら、このたわけがと罵るところであったぞ。」

 

事実そうであってもわたしはセリカちゃんを助ける義務がある。先生になったのは成り行きだが、だからと言って生徒を守る義務を放棄していいことにはならない。

 

「では先に行く。戦うにしても必ず貴様の生徒の身の安全を確立してからだ。」

 

そう言って赤セイバーはビルの屋上から颯爽と飛び降りていった。

わたしもあとに続くように飛び降り、まだ炎が見え隠れしている煙の中に突っ込んだ。

 

 

「とぉーう!!」

 

「な─────ウワァァァッ!?」

 

突如現れた新手(赤セイバー)にセリカの様子を見にきた団員は一瞬面食らうが、直後振り回すような彼女の剣撃で大きく吹っ飛ばされる。

 

「こ、コイツ、どこから現れた!?」

 

「さぁ、アゲていくぞ!!」

 

剣を構え、そのまま突撃してくる赤セイバーに対し、動揺を隠せない様子で手にしていた銃を向け、トリガーを引く。

乾いた音が辺りにばら撒かれるが、赤セイバーはその場から飛び退くように跳躍することで弾丸の進路から流れる。

 

「た、弾を避け─────」

 

「この程度、余にかかれば朝飯前よ!!」

 

ビルからの明かりがあるとはいえ夜の視界は悪い。それにも関わらず平然と避けてみせた彼女に団員はそのヘルメットの下で大きく目を見開き、その隙をついた剣撃の一閃に意識を刈り取られた。

 

「撃て!!撃ちまくれ!!」

 

「で、でもアイツヘイローないぞ!!当てちまって大丈夫なのか!?」

 

(引き金を引く指は軽いのに殺しに関してはまるで覚悟がないか…………いささかチグハグな印象を受ける連中だな。)

 

 

「セリカちゃん!!大丈夫!?」

 

赤セイバーが暴れている間に爆煙の中に突っ込んで少し見渡すとぐったりとした様子で横たわっているセリカちゃんの姿が目に映る。

見た感じ大した怪我はなさそうだが、肝心のヘイローが消えている。

一瞬背筋が凍る感覚が走ったが、脈などに問題はなかった。どうやら気を失っているだけのようだ。

 

(とりあえず一旦ワープで────ん?)

 

安全な場所に移動しようとしたところで赤セイバーの戦闘の音とは別の風切り音のようなものが聞こえてきた。

 

(なにか降ってくる………まさか砲弾の類!?)

 

しかも方向は赤セイバーの戦っている方向とは正反対…………うん、ごめん!!

 

「赤セイバー、気を付けて!!」

 

「うん?」

 

最低限の警告だけしてわたしはセリカちゃんを抱えたまま近くのビルの屋上にワープする。直後、直下から轟音と共に再び爆煙が立ち上った。

なんかのあー!!!?とかいう叫び声が聞こえたけど、セリカちゃんを優先しろって言ったのはそっちだから気にしない。

 

「な、なになに!?いったぁ………!!」

 

砲弾と思われるものが着弾したときの音と振動で気絶していたセリカちゃんが飛び起きたが、やはりどこか痛めていたのかその箇所を抑えてその場で蹲る。

 

「大丈夫?傷つきはしないものの痛いものは痛いんでしょ?少し休んでて。」

 

「せ、先生………!?なんでアンタがここに……」

 

「詳しい話はあと。今はこの状況をなんとかしないと。あの砲撃について何か心当たりある?」

 

わたしが助けに来たことにセリカちゃんはすごく複雑そうな表情を浮かべていた。うーん、もしかしてこの前のこと気にしてる?

 

「…………高射砲よ。多分使っているのはFlak41改。」

 

「……………アロナちゃん、探せる?」

 

『すでに周囲の通信からある程度は割り出せています。』

 

さすがオーパーツ。仕事が早い。

じゃあぼちぼち行きますか。

 

「あとは任せて。みんなには言ってなかったけど、わたしこれでもだいぶ強いから。」

 

俯いているセリカちゃんの頭を撫でるとセリカちゃんはびっくりしたのか猫みたいな鳴き声をあげた。そのことにわたしは吹き出しそうになりながらもワープでアロナちゃんが割り出してくれたポイントに移動する。

移動先はポイントの真上。上空に出るように調整したが、アロナちゃんはやっぱりとびきり出来るAIだ。眼下には複数人のヘルメット団と共に例の高射砲と思われる兵器があった。

 

「え────」

 

誰かが気づいたようだけどもう遅い。わたしの超必殺技は発動までの短さと範囲がとびきりだからね。

 

月夜見(つくよみ)

 

 

 

 

「な、何よあれ…………」

 

残されたセリカは見えている光景に唖然としていた。

諏訪子がワープした次の瞬間、それほど遠くない場所に周囲のビルを包み込める大きさの蒼白いドームが形成されていた。

夜とはまるで正反対の蒼白の光。セリカには見覚えがないわけではなかった。

 

(あれ、まさか先生がやってるの……!?)

 

諏訪子がワープするたびに体にまとっている光と同じだった。それゆえにセリカはあれが先生の仕業だと察することができた。

 

「ふむ、どうやら天幕が落ちる時間のようだな。」

 

「うぇぇぇぇ!?だ、誰よアンタァ!?先生の知り合い!?」

 

いつのまにか自分の隣にいた知らない人間(赤セイバー)に後退りするレベルで驚くセリカ。

 

「フッフッフッ、いかにもそうではある。そして聞かれたのであれば高らかに、そして華やかに名乗りをあげるのが余であるが…………今回はランセレに選ばれただけの身だ。それにこうも観客がいなければ名乗りあげたところでつまらん。」

 

(つ、つまらんって理由だけで名乗らないってどういう神経してんのよこの人…………)

 

ふいっと、不満そうにしながら顔を背ける赤セイバーの姿にドン引きの表情を向けるセリカ。

 

「余の宝具を使うまでもなかったことは残念だが、ああも雑兵だらけではしょうがあるまい。ではな、余は帰る。諏訪子には帰ったとだけ伝えておくがよい。運が良ければまた会うこともあるだろうな。そのときは余の劇場と共に特別コンサートを楽しんで行くが良い。」

 

それだけ言うと赤セイバーの姿が文字通り消失した。そのことにまた驚かされるセリカだったが、銃声一つ聞こえない静寂の空間になっていたことに気づき、下の様子を見にいった。

 

そこには悉く力無く横たわっているヘルメット団の姿があった。セリカ1人ではどうしようもないほどの戦力差があったにも関わらず、ほとんど2人で制圧しきったことに軽い戦慄に近い感覚を覚える。

 

「あれ?赤セイバーの姿が見えないけどもしかして帰った?」

 

ちょうどそこに同じようにヘルメット団を制圧した諏訪子が戻ってくる。隣には破壊された高射砲もあったが、今のセリカにそれを指摘する思考はない。

諏訪子は赤セイバーがいなくなっていることに首を傾げていたが、セリカはそんな彼女を引き気味のまま出迎える。

 

「…………先生ってさ、一体どういう世界から来たの?」

 

「うーん、バトルジャンキーどもの巣窟かな。でも正直に言わせてもらうとキヴォトスよりは平和だと思うよ?戦うのが好きなだけで悪事とかてんでさらさらだし。」

 

とりあえず帰ろうか、と言われて差し出された諏訪子の手をセリカは疲れた様子で手に取った。

帰って休みたい。ただそれだけがセリカの思考を埋め尽くしていた。

 




素人キャラクター解説コーナー

赤セイバー

ni-san氏製

FATEシリーズでお馴染み赤セイバーことネロ・クラウディウス
筋力・魔力など各種ステータスをいじることで狂最上位まで対応可能(リドミ見た限り)

特徴として彼女のスキルである三度、落陽を迎えてもを再現したリザレクションがある

出場大会(自分が把握している限り)

humi氏主催

新章第4回希望VS絶望
新章第5回希望VS絶望

特に第5回は暴れてた印象が強い。
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