MUGEN アーカイブ    作:わんたんめん

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よし、だんだんと荒事の回数が多くなってきたぞ………荒事が多くなるということは、ランセレを回すかどうかを考える回数が増える!!


見えてきたくろまくー(誤字にあらず)

 

「なっ、何これ!? 一体どういうことなのっ!?」

 

セリカちゃんの書類を机に叩きつける音が響く。

 

「まぁ、そうだろうとは思っていたけどさぁ…………」

 

アビドスに戻ってきたわたしたちはすぐに銀行から盗ってきた集金記録の書類の確認作業に移った。

大量の書類の中から目的の記録を探し出すのはそれなりに苦痛な作業だったが、一番最初に見たシャーレの書類の山よりは全然数が少なかったからか、案外早く見つかった。

まぁ、ようやく見つけたからってそれが喜ばしいことに繋がるかは完全に別問題だっだのだが。

 

「現金輸送車の集金記録にはアビドスで788万円集金したと記されてる。私たちの学校に来たあのトラックで間違いない」

 

「えーっとなになにー…………うっわ、時間的に君たちからお金集めたあとすぐにヘルメット団のところに向かってるっぽいね。しかも任務補助金500万だってさ。完全にマッチポンプだよ、これじゃあ。」

 

シロコちゃんの書類を覗き見させてもらうとどうやらあの集金車はアビドスに寄ったあと直行というレベルでヘルメット団にお金を支給しているみたいだ。

そのことにその場にいる全員の表情が険しいものになる。

…………ってあれ?便利屋の子達は依頼があったからヘルメット団を無力化したとか言っていたけど、それがカイザーローンないしはコーポレーションからの依頼だったとするといまいち辻褄が合わないような……………

てっきり成果が出せないから切り捨てられたって思っていたけど…………アルちゃんもしかしなくてもやらかしてる?

 

(……………まぁ、別にそれは彼女たちの問題だ。何か直接助力を求められない限りは下手な詮索は止しておこう。)

 

「やっぱりカイザーローン、いや大企業の系列とはいえ一銀行が勝手に動かせるお金の量じゃなさそうだから実質本社のコーポレーションがアビドスを潰そうとしているんだろうね。」

 

「ど、どういうことでしょう!?理解できません!学校が破産したら、貸し付けたお金も回収できないでしょうに……どうしてそのようなことを……?」

 

動揺しているノノミちゃんの言葉にうんうんと頷く。

そうなんだよね。前からカイザーコーポレーションが黒幕かなとは思っていたけどその時から相手がそうするだけの理由がわからないんだよねぇ。

金を貸すってことは金を貸した側は借りた側に少なくとも貸した金と同額、もしくはそれ以上の収入が得られることを確認しないとただお金を道端に捨てたようなものだ………っていうのは前にも言ったけ?

 

「多分…………カイザーの狙いはお金じゃない。もっと別の何かだとは思うんだけど、何か知らない?」

 

「うーん……………先生が知っていたかどうかはわからないけど、ウチって結構な回数で校舎のお引越しをしてたんだ。もしかしたら昔の資料に何か手掛かりがあったかもだけど………引越しのゴタゴタで無くしてるのも多いから。」

 

この中で一番の年長者であるホシノちゃんに聞いてみたが残念ながら手掛かりとなり得るものは極めて少なそうだ。

ただ、無くしているもの、と言った時のホシノちゃんの表情はどこかもの寂しげなものを浮かべているように見えた。

 

「相手がわかりやすくなったとだけ事態が好転したとポジティブに考えるしかないか。」

 

そうは言ってみるも周りのシロコちゃんたちはおろか、わたし自身でさえそうポジティブに出来ている気がしなかった。

うーん、どこかで向こうから攻めてきてくれないかなー。そうしたらこっちだって強く出られるんだけどなぁ。

 

 

 

 

「みなさん、色々とありがとうございました。」

 

あらかた書類を見終わり、後はここまで付き合ってくれたヒフミちゃんを見送るだけとなった。

気づけば日は傾き始めており、オレンジ色に染まった太陽がゴーストタウンとなった街を照らす。

 

「成り行きもあったとはいえこっちの事情に巻き込んでしまってごめんね。」

 

「あはは…………気にしないでください。偶然もありましたが、こうしてアビドスのみなさんの実情を知る事ができたので。」

 

手元のコピーした集金記録にヒフミちゃんは目を落としながらそう言ってくれる。

そうだね、まずは知ってもらうことは大事だ。多分、アビドスの現状をしている人はだいぶ少ない。たまたま一緒にいたハスミちゃんとユウカちゃんでさえ調べないとそれが把握できないくらいには認知度は低い。

だからまずは知ってもらわないと。子供から搾取するような酷い大人がいるってことを。

 

「戻ったら、この事実をティーパーティーに報告します!」

 

「……………ん?君ってトリニティの生徒会に報告できるような近い立場の子なの?」

 

「え?近いだなんてそんな、ただ生徒会長………ナギサ様に懇意にしてもらってるだけですよ。」

 

「スゥー………………ヒフミちゃん、一旦そこに正座。」

 

「はい?」

 

「正座」

 

「アッハイ」

 

わたしの有無を言わさない雰囲気にお嬢さまらしく綺麗な姿勢でその場で正座をするヒフミちゃん。砂のせいで感触は良くないだろうが我慢してもらおう。

 

「君、確かブラックマーケットに来たのってそのペロロ様とやらの限定ぬいぐるみを手に入れるために来たって言っていたよね?」

 

「ヒャ、ヒャイ……………」

 

詰問を始めるわたしの雰囲気に当てられたのか上擦った声を挙げるヒフミちゃん。本来ならそこでやめてもいいが今回は少しお灸を据える必要がある。

 

「君のそのキャラクターに対する熱意は理解しているつもりだよ。だけどねぇ、君自身標的にされたでしょ?身代金狙いのチンピラにさ。もしそれで捕まって、仲良くしているそのナギサ様に心配かけさせるのはどうなの。しかも他にも色々仕事があるであろう立場の人間に。」

 

「あ、あうう…………で、でも私にとってペロロ様は────」

 

「それはわかってるから。だから行くにしても1人ではやめておきなさいって話さ。せめて同じ嗜好の友達を見つけるか、最悪わたしが付き添ってあげるから。まぁ、わたしの場合は手が空いてたらっていう前提がつくけど。」

 

「え!?いいんですか!?」

 

「なんならわたしはワープ能力持ち。いざとなったらそこからの緊急離脱もできるよ。」

 

「よろしくお願いします!!」

 

わたしがそう言い出してから数泊すらも置かない即決に近いレベルで頭を下げるヒフミちゃん。思ったより決断が早かった。

これには流石のわたしも少し面を食らった顔を浮かべざるをえない。

 

「まぁ、ヒフミちゃんみたいないいところのお嬢さまがほっつき歩くには正直危険がいっぱいだからねえ。それはそれとしてヒフミちゃんの決意を蔑ろにするようで申し訳ないんだけど、多分ティーパーティーはアビドスの現状を知ってはいると思うよ。」

 

「は、はい!?」

 

「あー……………多少シャーレの権限使ったとはいえわたしでも君たちの現状知れたからそういう話もあり得るのかな。」

 

「そ、そんなぁ!!知ってるのに、みなさんのことを………」

 

まぁ、5人だけの学校助けたとしてもそれに見合うリターンが得られるとは考えづらい。ましてやアビドスを付け狙う連中の黒幕がカイザーコーポレーションだとすればもっと顕著だろう。

正直静観決め込んだ方が巻き込まれずに済むって話だ。

 

「ヒフミちゃんの気持ちはありがたいけど、そっちに知らせたところで、これといった打開策が出るわけじゃないし、かえって私たちがパニくることになりそうな気がするんだよねー」

 

「仮にしてくれるとしても絶対に出せる人員は少ないだろうし、バレないようにっていう前提だろうね。」

 

「それにその少ない人員で来てくれたとしても今のアビドスは廃校寸前。向こうからしてみれば人数は少ないだろうけどトリニティやゲヘナのようなマンモス校からのアクションをコントロールできる力がないんだよー。言ってる意味、わかるよね?」

 

「……サポートするという名目で悪さをされても、それを阻止できないってことですよね。……そうですね、その可能性もなくはありません。あうう……政治って難しいです。」

 

「でも……ホシノ先輩、悲観的に考え過ぎなのではないでしょうか? 本当に助けてくれるかもしれませんし……」

 

「うへ、私は他人の好意を素直に受け取れない、汚れたおじさんになっちゃってねー。『万が一』ってことをスルーしたから、アビドスはこの有様になっちゃったんだよー」

 

万が一、ね。ノノミちゃんにそう返したホシノちゃんの言葉だったが、そこには経験から来る重みがありありと含まれていた。

本当に、何を見てきたのだか……………

そう思うわたしだったが、その後はヒフミちゃんとまた再会することを約束しながら彼女を最寄りの駅まで見送った。

そのうち彼女の学校であるトリニティにも足を運ぶこともあるだろう。その時は彼女に世話になろう。

 

 

 

 

 

「さて、今日は何をしようか。」

 

銀行強盗の次の日、わたしは貸してくれた家の中で暇を持て余していた。

今日が自由登校日というのもあるが、それに重なり、珍しく今日は特にこれといってやらなければならないこともなく、皆思い思いの日を過ごすことらしい。

 

「せっかくだし、市街地の方でも行ってみるかな。あんまり散策したことなかったし。」

 

そう思い立って市街地へ足を運ぶ。

砂漠化の影響で過疎化の激しいアビドス自治区だが、中心部に程近いこの市街地は流石に人が集まるのか人の往来はある方だ。

それでもこの前のブラックマーケットと比べてしまうとだいぶ疎らなのは否めないが。

 

「ん?ああ、シャーレの先生か。」

 

「大将、まだ朝も早い方なのに精が出るね。」

 

気づけばセリカちゃんのバイト先である柴関ラーメンまで来ていた。ちょうど開店するところだったのか入り口に暖簾をかけている大将と目が合った。

 

「いつでもお客さんが来ても大丈夫なようにしているだけさ。」

 

「なるほど?それじゃあせっかく来たのだから食べていこうかな。」

 

大将の言葉に乗っかるようだが、彼はそれに嫌な顔を微塵も感じさせない様子で出迎えてくれた。

 

「二度目だけど、全く飽きを感じさせない美味しさ。大将の腕には惚れ惚れするね。」

 

「伊達に長いこと麺を作り続けていねぇさ。2回来たくらいで飽きられちゃあ名折れってもんだ。」

 

「じゃあ、また来ないとだね。」

 

何気ない言葉だった。少なくともわたしにとっては。ただ、わたしのその言葉を聞いた瞬間、大将の視線が少しだけ、気落ちするように下を向いた気がした。

気まずそうにする様子。まるで次なんかはない、そう言っているように。

 

「大将─────」

 

わたしが聞こうとした時、お店の入り口が開けられる音が響く。

 

「いらっしゃい!おお、アビドスさんのとこのお友達か、好きに座ってくれ。」

 

「どもどもー。あれ?先生じゃん。」

 

間が悪かったか、なんて考えていると聞き覚えのある人間の声がかかる。

ああ、お友達ってそういうことか、と振り向いてみると入り口には便利屋68の4人がいた。

 

「こんなところで会うなんて奇遇───何したのアルちゃん。」

 

とりあえず挨拶をしようとしたら何やら憔悴しているようにやつれてる状態のアルちゃんが見えた。

聞いてみるとやっぱりお金に困窮しているらしい。

まぁ、カイザーコーポレーションっていう大企業からの依頼だし、その分報酬を当てにしていた側面も強いのだろう。わたしがその希望をへし折ってしまったが。

一応この前半ば押し付けたように大量のお金が入ったバッグを渡したが、こだわりの強いアルちゃんのことだ。

なんらかの理由でお金に手をつけてないことも考えられる。

 

「────はっ!?先生っ!?その、この前の────」

 

どうやら今の今まで考えに没頭していたのか目の前にわたしがいることに目を白黒させながら言葉を選んでいるように口をパクパクさせる。

 

そんな彼女にわたしは軽く笑みを浮かべながら一本だけ立てた人差し指を唇に当て、小さく囁いた。

 

「ッ………!!」

 

その瞬間、アルちゃんの目が大きく見開き、驚きと興奮が入り混じったような表情でこちらを見つめる。

まぁ、大将だからそんなことはないと思うけど聞かれるのは困る話だからね。

それを確認するかのように片目だけウインクをしてやると、アルちゃんは音が鳴りそうなスピードで首を上下させてくれる。瞳までかがやかせているその様はまるで子犬か何かのようだ。

 

「すっかり元気になっちゃった。」

 

「それは何より。せっかくだし、今回のお代もつけといてあげるよ。」

 

「え、いいの?先生ってば太っ腹〜」

 

「まだここに来てから日が浅いからね。少しでも交友関係を広げておきたいのさ。君たちにお願いすることもあるかもだから。」

 

クフフ、と笑みを浮かべるムツキちゃんにそう言いながらわたしは便利屋の4人分の代金を大将に手渡す。

 

「────一番良いのをお願い。」

 

「フッ…………お安い御用だ。」

 

「か、かっこいい…………!!」

 

「先生、社長が調子に乗るからそれ以上はやめて。」

 

そんなこんなで大将が出してくれたラーメンを食べ始める便利屋の面々。

途中アルちゃんが何かハッとなった顔を見せたと思ったら物思いに耽る様子を見せた。

特に他の3人は何も言わなかったから便利屋の間ではいつものことなのかと思ったが、出されたものを前にして箸を止めるのは失礼なんじゃない、と言ったら慌てた様子で箸を進めた。

うーん、やっぱり根はいい子だねぇ。悪いことに憧れるのも往来の根の良さからくる反動かね。

 

「ん?」

 

先に食べ終わっていたわたしが何か重たいものが降ってくるような音に気づいた瞬間、大地を揺らすような轟音と爆煙がラーメン屋を包み込んだ。

 




そういえばタイトルのあれ、元ネタ的には東方なんだけど知ってる人どれくらいいるのかしら…………
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