MUGEN アーカイブ    作:わんたんめん

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八月五日にニコニコ復活だぁ!!
やっぱコメントがたくさんついた動画を見るのが一番だ!!


風気委員長 空崎ヒナ

 

「…………ホシノちゃんは相変わらず?」

 

『すみません、ギリギリまで連絡を取ろうとはしたんですけど…………』

 

「仕方がないさ。彼女にも何か事情があるんだろうね。」

 

でもなぁ、後で彼女に聞かないとダメかなぁ…………なーんか妙な予感がするんだよねぇ。

まぁ、ご本人がいない以上問い詰めるのは後だ。

 

「戦闘中注意してほしいことがあるんだけど、Widerspruch───炎と氷の剣で戦ってる妖精には近寄らないようにね。彼女は味方だけど、その攻撃自体に見境がないから。」

 

「そうしてくれると助かる。ある程度制御は効かせるが、我が氷焔はあまねく全てを巻き込む。即死などしてくれようものなら助力した者として申し訳が立たん。」

 

「ん、わかった。先生の知り合いなら納得。」

 

シロコちゃんの言葉に感心したように軽く鼻を鳴らすとWiderspruchは氷と焔の二振りの剣を生み出し、進軍する風紀委員会たちに突撃していった。

 

「よーし、みんな!寄せ集めだけど張り切っていくよ!!」

 

そう言いながらわたしは景気づけと言わんばかりにWiderspruchが戦っている辺りに大きめの魔法陣を展開し、間欠泉のような勢いで水を噴き上げさせた。

巻き込まれた風紀委員会の子達は大空へとテイクオフしていった。その数ざっと30人程度。

 

『せ、先生!?』

 

Widerspruchごと攻撃したようなわたしに多少の言葉の違いはあれど、全員から目を疑っているかのような反応を受ける。

 

「あー、大丈夫大丈夫。わたしは攻撃の対象選べるから。むしろWiderspruchみたいな見境ないタイプの方が珍しい。」

 

その証拠に結構派手な爆発があったにも関わらずWiderspruchは何事もなかったように暴れ続けている。

 

「もう!ホント先生の攻撃って訳わかんない!!」

 

「それはうちらの界隈じゃ褒め言葉だね。」

 

セリカちゃんの言葉を笑い飛ばしながら魔法陣を展開、風紀委員会に向けてレーザーをお見舞いする。

直撃を受けた者たちは大きく仰け反るが、やはり頭数に差がありすぎるのか弾幕と言って差し支えないレベルの反撃が飛んでくる。

 

「おっと!流石に当たってやるわけにはいかないよ!」

 

それに対し、わたしは即座にワープで射線から逃れ、近場の建物の屋上へ移動する。

目標を見失い、足が止まったところを突っ込んだハルカちゃんが強襲し、それをシロコちゃんのドローンが援護する。

その様子を見ながらわたしはアロナちゃんがハッキングし続けている風紀委員会の通信から次の行動を先読みし、魔法陣を展開して追撃する。

 

「……………通信を把握しながら戦うってだいぶ無法だね。」

 

今まで一対一、もしあったとして二対二がほとんどだったため戦術とかからっきしだったわたしでもアロナちゃんのやっていることがかなり洒落になっていないのを認識するのだった。

 

 

 

「…………他愛無い。やはり戦い慣れはしているようだが、個の実力が問われるこちら側とは相性が悪かったか。」

 

(まぁ、個と言ったが多種多様なタイプがいるのも事実だが…………)

 

燃え盛る炎と凍てついた氷柱が聳り立つ矛盾した戦場の中でWiderspruchは1人佇む。

周囲には倒された風紀委員たちが転がっていた。皆揃って悶えたりはしていることから気絶などはしていないことがわかる。

 

「というか、GMの奴。合図もなしにいきなりこちらごと巻き込む攻撃をするのはやめてもらいたいものなのだがな。いくらダメージがなかったとはいえ驚くものは驚く。」

 

ぼやいているWiderspruchに残っていた風紀委員の集団が彼女に向かって銃弾を撃ち放つ。

Widerspruchは放たれた銃弾を一瞥すると、ひらりと舞うようにそれらを掻い潜り、肉薄したと同時に手にしていた氷の剣を地面に叩きつけ、生み出した氷で氷づけにする。

 

「さてあとは………………ん!?」

 

(この気配……………並の空気ではないな。)

 

感じ取った強者の気配にWiderspruchは険しい表情を見せる。

初めて相見えるキヴォトスの強者。他の者たちなら嬉々として戦いをふっかけに行っただろうが、Widerspruchはそうでは無い。

故郷が滅んだ折に、死というものを酷く恐れるようになった彼女。時間と共に敵対者の死に関しては狼狽することはなくなったが、それでも嫌なものは嫌である。

本気に近い実力を出す必要のある相手だが、幸い今回はそうまでする理由はない。

Widerspruchは余計な戦闘となる前にその場から後退するのだった。

 

 

 

 

 

「ッ…………まだ来る………!!」

 

一団を片付けたと思ったらすぐさま奥の方から新しい集団が投入されてくる。

わたしやWiderspruchは余裕だが、隣にいたカヨコちゃんを始め、生徒たちには疲労の色が見えてきている。

 

「みんなはまだ大丈夫そう?特に便利屋の4人。」

 

「せ、先生!私たちはまだ全然大丈夫だけど、この前のアレは使えないの!?私達に対して使ったヤツよ!!」

 

「使ってもいいけど、こちらとしては闇雲に向こうの被害を増やしたい訳じゃないんだよね。帰ってくれればそれでいいんだ。」

 

アルちゃんの悲鳴に近いお願いにそう返す。

多分全画面攻撃のニライカナイのことなんだろうけど、さっき言った通り、わたしは別に風紀委員会の被害を増やしたい訳じゃない。

 

「にしてはホントに多いね。そんなに行政官とやらの立場って強いの?」

 

「いや、明らかにアコの権限で使える兵力を超えてる。ということはこの襲撃、アコの独断じゃなくて、まさか……」

 

「例の風紀委員長の指示で行動してるってこと?」

 

「…………えっ!?ヒナが来るの!?無理無理無理!?逃げるわよ、早く!!」

 

「別に彼女が来たとは言ってないんだけどなぁ。」

 

アルちゃんたちもまぁまぁ実力はあるうちなんだけどそれでも逃げの一手しか打てない強さの風紀委員長か。これはわたしかWiderspruchが相手取るしかないのかな。

 

『ふふっ、だいぶ手こずらせてくれましたが…………シャーレはともかく周りは底が見え始めたようですね…………』

 

そんなことを思っているとアコちゃんの勝ち誇ったような表情が想像しやすい通信が飛んでくる。

それが砂上の楼閣なのは明白だがどうやって崩したものか。

 

『アコ』

 

『……え?ひ、ひ、ヒナ委員長!?』

 

誰かが通信に入ってきた。初めて聞く声だが、確実にわかったことがある。

今のでどうやら楼閣が崩れ去ったようだ。アコちゃんが慌てふためいたような反応を見せている。

 

(アルちゃん、時間だね。)

 

(ええ、わかったわ!!)

 

突然の風気委員長の登場に辺りはざわつき始めている。

張り詰めていた戦闘の空気が解けたのを見計らい、周囲に聞こえないぐらいまで抑えた声でアルちゃんにそう伝え、この場から去っていく便利屋を見送る。

 

『い、い、委員長がどうしてこんな時間に……?』

 

『アコ、今どこ?』

 

『わ、私ですか? 私は……そ、その……えっと……、ゲヘナ近郊の市内の辺りです! 風紀委員のメンバーとパトロールを……』

 

「ハッハッ、近年稀に見る大嘘吐きっぷりだね。」

 

「やっぱり、行政官の独断行動だったみたいですね……」

 

そうらしい、とノノミちゃんの呟きに応えつつアコちゃんの例の風紀委員長のやりとりを静観していると戦闘から戻ってきたWiderspruchが警戒を滲ませた表情でわたしに耳打ちをしてくる。

 

「気をつけろ。かなりのやり手の気配がすぐそこまで来ている。」

 

「だろうね。本来であれば明らかな侵略行為。上に立つものとして見過ごせないさ。」

 

そう言いながら振り向いた先には1人の小柄な少女が立っていた。

背丈はわたしやホシノちゃんとトントンくらいだが悪魔を模したような翼に、彼女の小さな体躯に似つかわしくないほど重厚な銃。そして禍々しいとも呼べるヘイローと一緒に滲み出る雰囲気はまさに強者のそれだ。

 

「やぁ、君が例の風紀委員長さんかな?」

 

「………ええ、そうよ。私が風紀委員長の空崎ヒナ。挨拶もさせて欲しいところだけど、まずはアコ。この状況、きちんと説明してもらう。」

 

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