MUGEN アーカイブ    作:わんたんめん

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うっひょー、やっぱゆっくり氏のきぼぜつは編集力がダンチだぜぇ

P.S
前話にちょっと付け加えた部分がありますので、そっちの方も見ていただけると幸いです。本当に少しだけですけど。


報告会を経て

 

「タオルよし、サングラスよし、飲み物たくさん……………さて、楽しい遠足の始まり始まり〜」

 

「うへぇ〜先生?あんまりおじさんが言うのもなんだけど砂漠ってだいぶ危険だからね?準備は万端みたいだけど。」

 

パンパカパーン、みたいなのをセルフでつけていると近くにいたホシノちゃんからそう釘を刺されてしまった。

 

「わかってはいるさ。流石に砂漠で干からびたくはないからね。」

 

「………………」

 

何気なく言った言葉だが、それを言った瞬間にどことなーくホシノちゃんの雰囲気が揺らいだ気がした。視線も一瞬泳いだ気もしたし、なんかまずいこと言ったかもしれない。

 

「怪しくなったらすぐに言うよ。いらない心配もかけたくないしね。それでいい?」

 

「……………うん。」

 

さて、ここいらで経緯をおさらいしようか。

風紀委員会との一悶着を終えたわたしたちは状況確認を経てヒナちゃんからのタレコミにあったアビドス砂漠の奥へ向かうこととなった。

まぁ、その状況確認をしようってなった時にも一悶着あったのだが。

 

 

 

 

太陽が真上に上がり始めたお昼前、たまたま学校の前で一緒になったセリカちゃんとアヤネちゃんの2人とともに対策委員会の教室へ向かう。

と言っても2人とは単純に一旦別れただけであり、野暮用で朝から一緒にいたのだが。

その野暮用というのが入院した柴大将の見舞いだ。

一応砲撃そのものは防いだが衝撃とか音で体に不調がでないとは限らないから少し無理を言って彼に入院してもらった。

まぁ、見舞いついでにちょっと柴大将に聞きたいことがあったから居場所をはっきりさせておきたかったというのもあるが。

ちなみに代金は風紀委員会付け。あとで柴大将にもお見舞いに来てくれるらしい。

 

で、聞きたいことと言うのだが、わたしが食べている時に見せた雰囲気だ。

まさかと思って病床の彼に聞いてみたら、やはり柴大将はお店を閉めるつもりだったらしい。

しかも、それは退去勧告というのを出されてしまった上でのことらしい。その相手はもはやここに来てから聞かなかった試しがないカイザーコーポレーションからだそうだ。

その時アヤネちゃんが言っていたが、本来退去通知とか出せる立場にあるのはその自治区の生徒会であるはずらしい。

その時点でわたしは確信していたが、アヤネちゃんたちはその是非を確かめるために土地周りの記録を調べに行くとのことだった。

わたしは少し残って柴大将にまたお店を続けてほしいということを伝えた。それに彼が応えてくれるかわからないが、その決断は彼自身に任せる他はない。

 

あとは…………帰り道偶然便利屋の事務所を見つけて4人に会ったかな。なんか事務所の中でアルちゃんがトランプのカード投げて大惨事になっていたところに鉢合わせたみたいだったけど。

あれどう見てもゴッドワルドのマネしてたよね。

 

「えっと……………なんか空気が張り詰めているような気がするんだけど、気のせい?」

 

で、今に戻ってくると。

調べ物が終わった2人と合流して対策委員会の教室に入るとすでに他の3人が揃っていた。

だけどわたしは教室の扉を開けた瞬間、なんだか気まずそうな雰囲気になっていたことに思わず首を傾げた。

形的にはシロコちゃんがホシノちゃんに詰め寄っているようにも思えたが、わたしたちが入った途端ハッとなったように彼女から距離をとった。

 

「……………まぁいっか。とりあえず一旦みんなで情報の共有したいから座って欲しいかな。」

 

多分前回ホシノちゃんが不自然な寝坊をしたことにシロコちゃんが問い詰めたんだろうなぁ、と思いつつわたしは今は流すことにして先に来ていた3人にそう促した。

 

それはさておき、その状況確認とは、アビドス自治区の土地の所有権の確認だ。

アヤネちゃんとセリカちゃんが確認した結果、やはりアビドスの土地の大部分の所有権がカイザーコーポレーションになっていた。

実際にはカイザーコンストラクションとか書いてあったが、どうせ系列会社だろうし、カイザーコーポレーションと変わらないだろう。

対策委員会のホワイトボードに貼ってあった地図にカイザーの土地になっている範囲を塗りつぶしていくと、彼女たちに残されたのは今本校として使っているこの建物とその周辺というこれっぽちの範囲だけだった。

 

「……………こりゃあ酷い。」

 

思わずそう呟いてしまうくらい凄惨な現実があったが、それに返ってくる声はない。

みんな事を受け止めるので精一杯なのだろう。重々しい雰囲気が教室内を包み込んだ。

 

「んっと?こういう学校の財産みたいをどうにかできるのって生徒会にしか権限がないんだったよね?」

 

「………はい。ですので、生徒会がなくなってからは取引は行われていません。」

 

「そっか、2年前────」

 

「何をやってんのよ、その生徒会のやつらは!!学校の土地を売る?それもカイザーコーポレーションなんかに!?学校の主体は生徒でしょ!?どうしてそんなこと……っ!」

 

とりあえずわたしが進行させるしかなさそうと思いながら会話を進ませるとホシノちゃんが何か知っていそうな雰囲気を出してくれたが、それを指摘するより先にセリカちゃんの怒り爆発に遮られてしまう。

しかし、あんまりよくない爆発の仕方だ。気持ちは理解できなくもないが、矛先がここにはいない、前の生徒会に向いている。

 

「それに関して怒ったり後悔したところで何も変わらないと思うよ。割り切れない思いもいっぱいあると思うけど、今ここにいるわたしたちが見るべきなのはアビドス自治区の大半がカイザーの所有物になっているということ。」

 

悔しい思いとかはいっぱいあると思う。

もう少し早く見つけていればとかたくさんのもしもが思い浮かぶと思う。

だけど結局のところは過去を変えることはできない。神である自分でも無理だし、時間が腐るほどある奴でもせいぜい一分くらいまでしか巻き戻すことはしない。

 

「ただ───どうして当時の生徒会がその決断に至ったのかくらいは考えておいた方がいいかもね。過去の教訓って奴でさ。」

 

そう言いながらわたしは何かを知っている、もしくはわかっていると思われるホシノちゃんに目線を向けた。

 

「……ホシノ先輩、何か知ってるの?」

 

「あ、そうです! ホシノ先輩も、アビドスの生徒会でしたよね?」

 

「え?そ、そうだったの!?」

 

わたしの視線から察したのかシロコちゃんを筆頭に全員の目線がホシノちゃんに向けられる。

 

「それに……最後の生徒会の、副会長だったと聞きました。」

 

「…………せっかくの後輩からの期待だし応えてあげたいところだけど、二年も前のことだし、そもそも私もその辺の生徒会の先輩たちとは、実際に関わりは無くってさー。私が生徒会に入った時には、もう生徒会の人たちはほとんど辞めちゃってたから。」

 

……………ホシノちゃんの一人称がおじさんから普通の女の子がするような『私』になっている。

何か意味があるのだろうが…………想像できるとすれば他ならない彼女の本心、みたいな感じだろうか。

格好つけてない(『』つけてない)手ブラジーンズ先輩*1のような。

 

わたしたちは始まったホシノちゃんの独白とも取れる言葉に耳を傾けた。

彼女が一年生だったころの思い出。彼女とたった2人、アビドス生徒会最後の生徒会長ちゃんとの日々。

ホシノちゃんからはその生徒会長ちゃんのことを校内随一とか無鉄砲とかととにかく酷い言い草で愚痴のようなものが出ていたが、はんめんその言葉尻は楽しげなものだった。

同時に寂しさも見せていたが、それを見る限りその生徒会長ちゃんはもう会えない場所にいってしまったのであろうことは想像に難くない。

 

「ほんっとバカみたいに、なんにも知らないままでさ……」

 

「………………」

 

なんとなく、今の言葉には自虐のような雰囲気も感じた。彼女に何か声がけするべきなのだろうが─────

 

「……ホシノ先輩が責任を感じることじゃない。昔の事情は知らないけど、実際に生徒会が解散になった後……アビドスに対策委員会ができたのは、間違いなくホシノ先輩のおかげ。」

 

わたしの意図を察してくれたわけではないだろうが、シロコちゃんが柔らかな笑みを浮かべながらホシノちゃんに称賛の言葉を送る。

うん、それがいいだろうね。わたしより彼女と共に長く苦労を重ね、時を重ねた君たちの方が言葉は届くだろう。

突然お褒めの言葉を贈られた彼女は珍しく動揺しているのか目を開いたまま立ち尽くしている。

 

「……ホシノ先輩は怠け者だし、色々とはぐらかしてばっかりだけど、大事な瞬間には絶対に誰よりも前に立ってる。」

 

(はぐらかしてか……………)

 

シロコちゃんの言葉に引っかかる感覚を覚えた。だけど、皆シロコちゃんと同じ意見だと言っているような雰囲気を見せる他の4人を見て、わたしはまとめるようにホシノちゃんに語りかける。

 

「まぁ、少なくともこの中で一番の古株である君が諦めなかったからこそ今に繋がっている。そうだとはわたしは思うよ。」

 

「────諦める…………」

 

「うん。ホシノ先輩は色々とダメなところもあるけど、尊敬はしてる。」

 

「…………うへぇ!?」

 

何か思うところがある様子のホシノちゃんだったが、つづけざまにシロコちゃんにダメ扱いされたことに数瞬の間があったあとにショックを受けたような表情に変わった。

 

「ど、どうしたのシロコちゃん!?急にそんな青春っぽい台詞を……!おじさんこういう雰囲気、ちょっと苦手なんだけど!?」

 

「……や、なんとなく、言っておこうかなって思って。」

 

いつもの彼女のイメージとは違う雰囲気に狼狽しているホシノちゃんを一歩引いた位置から見つめる。

表面的には笑顔を浮かべていたと思うが、内心わたしはこの前Widerspruchに言われたことを思い返していた。

…………もし何かあったら止めるだけならどうとでもなると思うが、果たしてそれだけで解決できるのかな。

そうであってほしいけど。

 

そう考えている間に報告会は進み、話題は前からずっと疑問だったカイザーコーポレーションの目的に移った。

 

「おそらく、今回の調査でカイザーコーポレーションの目的がお金じゃなくてアビドスの土地であったことはみんなも察したと思う。」

 

ホワイトボードに貼り付けられた地図のちょうどインクで塗りつぶされた範囲をコンコンと軽く叩く。

みんなから返答はないが、雰囲気は重々しい。

 

「で、どうやって書類上での権利を買い取ったかとすれば、まぁ大方借金の返済のためだろうね。大地は自然のものだけど何にでも価値をつけたがるのは人間の性だからね。」

 

「はい、私もそう思います。土地の売買が行われた記録と借金の総額を照らし合わせてみたところ、既にかなりの借金が膨れ上がった状態でした。」

 

「ただ…………ここの土地、土着神であるわたしからしちゃうとねー……………」

 

「?…………土着神ってなんなの、先生。」

 

「ん?ああ、土着神って言うのはその土地の自然物、例えば大木とか湖とかに宿った精霊で神様の一種さ。そのおかげかどうか、それなりに大地を見る目もあるのかな。」

 

「…………じゃあ先生的に今のアビドスはどうなのよ。」

 

セリカちゃんの質問にわたしは答えを出すのに少し手間取った。

結論を出すのはそう時間はかからなかったが、それを言うべきかどうかで少し判断に窮した。

 

「視る目はあっても値付けに関しては専門外だからなんとも言えない。けど素人目で見ても今のアビドスに高い価値がつくとは思えない。だから仮に売ったとしても返済の足しにはならない。多分、そこをつけ込まれたのかも。」

 

「繰り返し土地を売ってしまう負の循環に……ということでしょうか。」

 

アヤネちゃんの言葉にわたしは頷いた。

実際にやりとりを目の当たりにしたわけではないから断定は出来ないけど、どうせカイザーコーポレーションが唆したのだろう。価値のない土地から少しずつ借金の担保としてまるでヤスリか何かのように削り取っていったのだろう。

法外な利子のこともある。考えられる理由としてはその利子だけでも抑えようとするように仕組まれたか。

 

「何それ、なんかおかしくない? 最初からどうしようもないっていうか……」

 

「そう。で、ここで決定的なのを一つ。金を貸したのもカイザーコーポレーション。」

 

「……………つまり、最初からカイザーはこれが目的で、っていうこと?」

 

「にしてはだいぶ悠長なことしてると思うけどね。何十年もかけて元々広大であったはずのアビドスの土地のほとんどを買い取るなんてさ。」

 

聞いてきたシロコちゃんにそう返すと再び沈黙が会議を支配する。

でも正直そこまでする理由がわからないんだよねぇ。金稼ぎが目的なら市街地エリアだけでも十分だろうし、砂漠化した土地まで購入する意図がわからない。

ただ、ヒナちゃんの情報曰く捨てられた砂漠というエリアでカイザーが何かしているのは確からしい。

………………もしかして本気で宝探しとかしてる?そういうロマンみたいなのがあるのはわかるけどさ。

まぁ、アビドス全域を手にしようとしているのも掘り出したものを第三者から奪われたくないとすれば理由にならなくもない。

 

「何それ!? ただただカイザーコーポレーションのやつらに弄ばれてるだけじゃん!生徒会のやつ、どんだけ────」

 

「はいはいそこまでにしときなよー?」

 

精製した手のひらサイズの氷を服と服の間の背中に落として怒り心頭と言った様子のセリカちゃんを無理やり遮る。

突然の冷気に全身の毛が逆立っているような反応を見せたあとに声にならないような声をあげながら転がる羽目になっていたが。

 

「ちょ、ちょっと先生なにすんのよ!?」

 

「具体的に何を言おうとしたのかは知らないけどこの場にいない人間を罵るのはよくないよ?気持ちはわかるけど、彼女たちが土地を売るという判断をしなければ少なからず借金は今より格段と増えていたことは確実。そもそも悪いのはそういう詐欺まがいのことを吹っかけてきたカイザーだし。」

 

「それはそうだけど!!でも────!!」

 

徐々に涙ぐんだものに変わっていた彼女の声はそこで言葉を詰まらせた。

その様子だけでも悔しさに溢れているは想像に難くない。

 

「悔しいのはわかる。だから、可能性があるのならそれに縋り付いてみるしかないんだろうね。いつまでもやられっぱなしってのは癪でしょ?」

 

わたしの言葉にその場の全員の目線が向けられる。

そしてわたしはヒナちゃんから教えられたカイザーのきな臭いウワサを明かす。

 

「うへー…………捨てられた砂漠って言うと砂漠の奥のあの辺りかぁ…………」

 

「距離はかなりありますが……………」

 

「行くしかないでしょ!!カイザーが何をしてるのか、ここら辺で全部明らかにしてやるんだから!!」

 

アビドス砂漠の奥地でカイザーコーポレーションが何かしているということに心当たりはなさそうな様子だったが、セリカちゃんに触発されるように全員の意見が合致した。

 

さてさて、大方向こうにとっても重要な事柄だろうから何かあれば無視できないはず。

それにこの状況、ほとんど詰みに近いのなら多少の油断くらいはしてくれるだろう。

 

*1
ピートピー氏による七夜志貴を改変元としためだかボックスの球磨川禊

大嘘憑きや却本作りと本編の能力は揃えられているが、なにぶんHPが低い。ほぼワンパンで死ぬ。しかしリザレクション扱いで大嘘憑きを発動させる残機性で見た目以上の耐久性能はある。

ちなみに同じ球磨川禊をモチーフとしたアーカイド氏による最弱先輩もいる

 

手ブラジーンズ先輩のみの説明にさせてもらうが、作者の印象としては却本作りで刺したネジで拘束するとここぞとばかりに動けない相手を煽りまくる。

最終的には大嘘憑きでKO




要所要所の展開は出るけどそこまでストーリーを結んでいくのに苦労するから毎日投稿やってる人半端ねぇなって感じるこの頃
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