MUGEN アーカイブ    作:わんたんめん

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mono氏の大会が空いてる期間の間に終わっちゃった
いや毎日30分近くの動画を上げてるのえぐいって


大団円とは言い難い───それでも

 

「やあ、カイザー理事。息災かな?」

 

「……………」

 

戦闘が始まってから数刻。こちらと基地を挟み込む形で侵攻するアナザーナインの奮戦やヒフミちゃん、もといトリニティから予定外の援護のおかげもあってわたしを含めたアビドス廃校対策委員会はほとんどダメージを受けずにホシノちゃんが囚われているアビドスの旧本校舎のエリアまで来た。

そしてそこで待ち受けていたのはやはりというべきか、あの図体のデカいカイザー理事が立っていた。

護衛もいるが、数も少ない。精鋭といえば聞こえはいいのだろうが果たして。

ともかくせっかく出会ったのだから気さくに挨拶をしてみたが返答はなかった。

つれないねぇ。

 

「とはいえ前回かなりの被害を出させたはずだけど、これほどの戦力をまだひねり出せたとはね。正直言ってキヴォトスで有数の企業であることを舐めてたよ。」

 

皮肉じみたことを言ってみたが割と忌憚のない本音だ。

前回アビドス市街地に侵攻してきたときに五割くらいの損害を受けたにも関わらず基地にはその時と同じくらい、ないしはそれ以上の戦車、ヘリをはじめとした戦闘車輛そしてオートマタの兵士たちを基地に用意していた。

並大抵の企業じゃそんなことはできないだろう。

とはいえやはりと言うべきか今回は相手が悪かったと思って欲しい。

 

「ホシノ先輩がこの先にいるのはわかっています!そこをどいてください!」

 

ノノミちゃんの言葉を皮切りにアビドスの子たちの銃口が理事に向けられる。

人数は不利だがその程度の障害で歩みを止める彼女たちじゃない。

何よりわたしやアナザーナインがついてる以上、その兆しすら見せるつもりもないが。

 

「さて、どうする?ここまで来られた時点で君の敗北は必至だ。ここいらで諦めてくれるとわたしとしても余計な手出しをしなくて楽なんだけどね。」

 

帽子のつばを抑え、伏せた目で理事を見据える。

この前のビナーとの戦闘でわたしの戦いぶりを目の当たりにしている理事ならわたしがここにいる時点で勝てる要素がないのを理解しているはずだ。

だからさっきのはほとんど降伏勧告に等しい。

 

「…………」

 

「ちょっと!一体なにを───」

 

それでもなお立ち向かってくるのは、無謀かそれとも矜持か。

こちらの警告にも目をくれず、何か装置を作動させる理事。

そしてほどなくして理事のすぐそばに巨大な鉄塊が着弾し、砂漠の砂を大きく巻き上げた。

 

「やれやれ。まぁ、肉体言語は大歓迎さ。」

 

飛んでくる砂塵に視界を奪われながら落ち着くのを待っていると晴れてきた視界の先にブラックマーケットで見かけた二足歩行ロボット、ゴリアテに搭乗した理事が現れる。

 

「我々は何十年も待ったのだ………!!連綿とした綿で首を絞めるように、アビドスから土地を少しずつ買い取ってきたのだ!!」

 

ゴリアテの中からスピーカーを通じて理事の声が響く。

そこには大きな怒りの感情が渦巻いていた。

 

「荒廃した砂漠の利用価値など、例の『宝物』がなければ無価値も同然。しょせん片手で数えられるほどの生徒数しかいない貴様らには手の余るもの。事実どうしようもできなくて多くの生徒が去っていった。だからさっさとほかの生徒会の連中のようにそうすればよかったものを、貴様たちはしつこくしがみつき、借金を返済しようとした!!」

 

「だから我々は徹底的に痛めつけた!にもかかわらず、なぜああまで楽しそうにしていられる!?」

 

どうやらことがうまく運ばなくなった困惑と怒りの感情が入り混じっているようだ。

それが激情となって罵るような言葉が降りかかるがそんなものはどこ吹く風。今の彼女たちの決意が揺らぐことはない。

 

「極めつけはシャーレ、貴様だ!!貴様が来てすべてが狂った!一体なんなんだ、貴様たちは!!貴様がアビドスに来なければ、計画はぁ!!」

 

「んーまぁ…………しょせんその程度、ってことだったんじゃないの?」

 

こちらに向いてきた理事の矛先をナハハと笑い飛ばしてやる。

そうするとあら不思議、理事は怒りのあまりプルプルと体を震わせて人間なら顔を真っ赤にさせているような様子でこちらをにらみつけてくる。

わざと神経を逆なでするような対応をしたのはちょっと理由があった。

わたしは理事が立つ先、砂に埋もれたアビドス旧本校舎───よりもっと向こう。燦々ときらめく太陽と重なった一つの黒点を見た。

 

「そういえば、わたしのいた場所では戦うときにちょうどこんな感じに相手と対面しあってから始めるのがルールなんだけどさ。」

 

唐突な話にその場にいた全員の視線が注がれる。

 

「なんていうのかな、その時に登場演出みたいなのをして仰々しく、そして華々しく、果てにはかっこいいポーズなんかをしながら現れるのがいるわけ。たいていは数秒すれば終わるんだけど一部我が強い連中とかはそれがありえんくらい長い。」

 

「なにが………言いたい?」

 

あまりの唐突な語りにさっきまで怒り心頭だったはずの理事が困惑したようにしている。

まぁ、何が言いたいかというと───

 

「イントロ長すぎ罪だ。悪く思え。」

 

立てた親指を下に向け、地獄に行けのハンドサインを見せた瞬間、理事の遥か後方、太陽と重なった黒点から紅蓮の光が飛び出した。

 

「フレイムパニッシャー!!!」

 

放たれた光は二つ。レーザーと遜色ない速さでそれは着弾し、一発は取り巻きのオートマタを薙ぎ払い、二発目は理事が乗るゴリアテを易々とぶち抜く。

ビームが通った跡には赤熱化して爛れたような軌跡が一瞬の間を置いたあとに巨大な爆発と火柱を生み、辺り一面を焼き尽くした。

 

「ギャーッ!?!?なになに!?一体何事ーーー!?」

 

「はいはい慌てないの。あとわたしの魔法陣の範囲から出ないでね。死にはしないけど死ぬより痛い思いをするからね。」

 

慌てるアルちゃんをなだめつつ、目の前で引き起こされた破壊をいなすように魔法陣を展開する。

猛烈な熱風と炎がわたしたちの周囲を取り囲んだがそれもほどなく収まった。

そこに残ったのは全体が赤熱化した巨大な、半径数十メートルを超えてるだろうクレーターとその中で倒れている理事を始めオートマタの死屍累々な面々だった。

 

「…………なにこれ」

 

「はっはっは地獄地獄!!灼熱地獄も裸足で逃げ出すねぇこれ!!」

 

「先生、流石に先生みたいに笑い飛ばせない。」

 

「どうしてこれで五体満足でいられるんでしょう…………」

 

「カタカタカタカタカタカタ」

 

「やっばー…………普通に人としての領域超えてるでしょー………」

 

「っていうか先生………こんなことして目的の子は平気なの?」

 

「捕まっている子供がいるあたりからは外しているから気にしなくていいわよ。」

 

轟々と燃え盛る炎、砂に埋もれていた廃墟はことごとくがその炎と熱に焼かれ、原型がなくなるレベルで溶け落ちた。

アナザーナインの撃った超必殺技『フレイムパニッシャー』の破壊力に戦々恐々としているところ、カヨコちゃんの懸念もごもっともだが、そこに仕立て人がやってきた。

 

 

「おつかれー何秒もった?」

 

「30秒もあればどうってことないわよ。所詮烏合の衆ね。」

 

流石は高ランク帯での出番が多い彼女だ。

隔離を使わなくても殺傷力*1はある方だ。

 

「そういえば倒した連中からデカグラマトンとかいうのを聞いたんだけど───」

 

「あーあれ?セフィロトの樹ってわかる?もしくは邪法使いのスフィア。あれとおんなじ名前持ってる機械。詳しいことはまだ聞いてないけどとりあえずそれなりな相手だったよ。」

 

「ふーん、少しは倒しがいのありそうなやつはいるのね。」

 

「言っとくけど探し回りに行ったりしないでね?」

 

「しないわよ。あと帰るだけよ。」

 

倒したカイザーのオートマタからデカグラマトンのことを聞いたアナザーナインはわたしの簡単な説明に少し興味がありそうな顔を浮かべた。

一瞬探しに行く気かとヒヤヒヤしたが特にそんな気はないらしい。

そのことに思わず安堵のため息を溢す。

 

「そんなに帰って欲しそうな顔してるなら逆にこのまま留まってあげてもいいのよ?」

 

「だから絶対しでかすのが目に見えてるからやめてってば。まぁ、こっちのお願いに素直に従ってくれたのには正直言ってありがたかったけどさ。」

 

アナザーナインの申し出にげんなりした表情でそう返す。

君を始め好戦的な連中残しているとロクなことにならないのは目に見えているから!!

わたしは囚われているホシノちゃんを迎えに旧本校舎へと足を運ぶ。

とはいえ今の砂漠の地面はアナザーナインの攻撃で赤熱化している。

足元の熱せられた地面を水で冷ましながら入り口への道を使っているとふと足を止める。

 

「…………そういえばさ、向こうに事務系のお仕事できるヤツっていたっけ?」

 

「事務仕事?…………いや、そんなの………?」

 

わたしの唐突な質問に表情を曇らせるアナザーナイン。

そういう顔を浮かべるのが普通だろうね。基本戦ってる方が好きな連中ばかりだし。

 

「誰かいないかなぁ………多分この先書類の山っていう撃破挑戦に忙殺される気がするんだよねぇ。」

 

「大変なのね、シャーレって。とはいえ事務仕事………水魔法の御当主サマか馴染みの農民くらいかしら。前者はともかく後者はやってくれるか怪しいけど。」

 

「あー、あの子たちかぁ…………というか名前出してくれないの?」

 

「『コトワリ』いわくそっちの方が面白いからだそうよ。」

 

またあの子か………ほんとに一つ次元の違うところから見てるなぁ。

思わず苦笑してしまうが、それもあの子の個性だ。とりあえず今は待たせているお姫様の救出が先。

アナザーナインとはそこで別れ、本校舎への内部へと侵入する。

廃校舎となっているはずの施設だったが黒服、というよりゲマトリアによる改装が施されていたのかおおよそ廃墟からは程遠い内装だった。

 

「よし、ハルカちゃん!扉相手限定だけど存分にやっちゃえ!!あとムツキちゃんも爆弾ありったけ!!」

 

「い、いきまぁす!!!」

 

「ええ〜?先生ってばそんなこと言っていいんだ〜?」

 

建物を区分けしている扉を破壊していく。扉にしてはシャッターみたいになっているのかだいぶ硬い方だったが、流石に爆弾の火力の前ではなす術もなさそうだ。

そのままホシノちゃんが囚われているエリアまで進み、他のものより見るからに堅牢そうな分厚い扉の前に辿り着く。

 

「あの扉、結構硬い。銃弾だと時間がかかると思う。」

 

「ど、どうするのよ?先生が使っていいって言ってたからムツキもハルカも気合い入れて破壊しちゃったからもうそろそろこの校舎崩れないかしら!?」

 

「ホシノ先輩はすぐそこだって言うのに…………!!」

 

カヨコちゃんの推察にセリカちゃんがめんどくさそうに表情を歪ませた。

 

「まぁわたしのワープあるから崩落どうこうは気にしないとして────」

 

ポロリと出てしまった言葉にみんなからそこは考えてよ!?みたいな非難が上がったがそれは聞こえないフリをした。

手のひらを真上へ掲げ、冷気を集中させ、最後の扉に向けて生み出した氷柱を叩き込む。

ガラスのような破砕音が響き渡り、先端部分が一瞬のダイヤモンドダストを生み出す。

その砕けた部分の結晶がさらに扉を凍つかせ、残った氷柱が扉に突き刺さったような形状になった。

 

「ぶち飛ばすッ!!!」

 

わたしは飛び上がりながら再び手のひらに冷気を集中させ、氷の斧を作り出す。

思い返すは昔馴染みで付き合いの長いあの強面の巨漢。生成した斧を持つ手を握り直す。今からやるのは所詮アイツの真似事。とてもじゃないが本家本元には遠く及ばないだろうが、それでも!!

 

「わーるどですとろいやー!!!」

 

勢いをつけるために斧の重さに身を任せるように体を一回転。

そしてその勢いを殺さないように突き刺さった氷柱の底面に向かって全力で叩きつけ、氷柱を押し込む形で扉を破壊する。

 

「うへー…………先生たちやっぱやりすぎだよぉ。地響きがこっちまで来てた。ここ結構頑丈そうなのに。」

 

中で囚われていたお姫様が呆れたようなため息を吐きながらクシャッとした疲れた笑顔を見せた。

それにわたしは不適な笑みで返すと斧をぶん投げ、拘束していた装置を破壊する。

どうにも実験施設でもあるらしいからか疲れた顔を見せてはいたが身体的な外傷が彼女にはない。

少し足元が覚束ない様子でゆっくりとこちらを見た。

 

「─────希望は見えたかい?」

 

問いかけるような言葉にホシノちゃんはわたしの後ろから心配そうに見つめる後輩たちを見据え─────

 

 

「うん…………ひとまずは」

 

「あれま、これは手厳しい」

 

まぁ実際借金とかはまだ残ってるし、砂漠化といった根本的なところには手をつけられていない。

そんなこんなだったが、とりあえずわたしの先生としての初めての大仕事を終えるのだった。

 

 

 

*1
よく神ランク帯で使われる用語。ターゲットとなる撃破挑戦キャラには総じて倒すために条件が存在する。その条件をクリアするために文字通りありとあらゆる手段や技術を講じ、それを撃破する対応力のことを指す。ちなみに突き詰めるとほんとにやばい。なんですか!time貫通とかって




mugenを題材にすると一切関わりないキャラ同士でもやろうと思えば関係構築できるのがおもろいよなって感じる
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