あとここすきのほうもいっぱい入れてくださった人、ありがとうございました!!
いや、気づいたら各話で数百ついてて我びっくり
「おお、これはなかなかの名所ってやつ?」
「ええ、あの雄大なご神木と階下に広がる広大な桜の海の素晴らしいコントラスト…………その二つが一望できるこの展望台はまさにそれです!」
やってきた展望台で見た景色に2人揃って思わず感嘆の声を上げた。
見えたのはご神木と呼ばれる百鬼夜行のシンボルとそれをまるで額縁のように包み込む桜色。
ここにやってきた時にもいい風景を見させてもらったと思っていたが、場所が変わればまた印象が変わるものだ。
そしていい景色を見ているところには欠かせないものがまた一つ。
「んー!!出店で売ってたお饅頭もここで食べるとまた格別!!食のスピードが落ちないや!!」
「このお好み焼きも素晴らしいですねぇ、焼き加減やソースとの絡み具合もちょうどよく───アツッ、ま、まだちょっと食べるのが早かったかな。」
それは美味しい食べ物だ。わたしたちがやってきたのが『百夜ノ春ノ桜花祭』という祭りなのも相まって路地ではたくさんの屋台や出店が並んでいて、
団子を始めとする甘い和菓子やお好み焼きといった軽食がずらりとあった。
それはもういい匂いを立ち上げていたもので何回か買い食いをしたが、やはりいい景色を肴に食べるうまいものはよりその味を引き立てる。
「いやー、こんないいところに案内してくれて、ありがとね。」
「いえいえ!先ほど助けていただいた御恩と比べれば!」
わたしたち2人をここに連れてきたあの狐耳の生徒──久田イズナちゃんは食べ物に舌鼓を打っているこっちの雰囲気に釣られるように朗らかな笑みを浮かべた。
あの露出強な集団から逃げおおせたあと、わたしたちが祭りのことでやってきたことをはなすとさっきの礼と評してこの観光スポットにイズナちゃんが連れてきてくれたのだった。
「にしてもあのご神木は良い咲きっぷりだ。これは一番いいタイミングに来られたのかな?」
「えへへ、ちょうどこの時期に一番綺麗に咲く、百鬼夜行の自慢です!」
ご神木の咲き具合に感嘆の声を上げるとイズナちゃんが花が咲いたような笑顔を浮かべると展望台の柵から飛び出るような勢いで駆け寄り、遥か彼方に見えるご神木を食い入るように見つめた。
「イズナは、ご神木と百鬼夜行の街並みとが同時に見渡せるこの場所が大好きなんです!ここでこうしていると、イズナも夢のためにまだまだ頑張らなきゃって気持ちになります。」
「夢、ですか。いいですね。目的や目標があるということはそれだけで人は成長することができます。ボクもルイスに………大事な人との再会を夢見たから今の自分がある。」
夢があるというイズナに感慨深いものを感じたのかうんうんと頷きながらそう語るマイム。
「なんと………マイム殿は夢を叶えることができたんですね!!」
「ええ、まぁ………世界が味方してくれたというべきでしょうか。ところでイズナさんの夢はなんですか?もしよかったら聞かせてくれても良いでしょうか?」
賞賛の言葉に少し気恥ずかしそうに頬を掻いたマイムが何気なくイズナの夢を聞くと一瞬目を見開いたあとに気まずそうに視線を落とした。
それを見て思わずマイムと顔を見合わせたがあれは不安そうなものを孕んだそれだ。
「もしかしてあまり言いづらいものだった?」
「い、いえ…………その、イ、イズナは忍者になりたいんです。キヴォトスで一番の忍者になるという夢が………その、こんな夢をもってる人なんて今どきいないなんてことはわかっているのですが、でも────」
「忍者か…………なるほど、良いと思うよ?かっこいいもんね。」
「はい、とても素晴らしいものだとボクも思います。憧れという思いは事を起こすための一番の原動力になり得るものですから。その気持ち、大切にしてあげてください。」
「お、応援、してくれるんですか?イズナの夢は普通の生徒が言うものではあまり………」
「そうそう聞くもんではないだろうけど、だからといって君のその夢を嗤ったり否定したりする理由にはならないさ。」
残り少ない饅頭を口に放り込みながら握った拳から親指を立てて片目をウインクさせる。
「やってみせなよ、案外進み始めたらなんとでもなるはずだから。」
「なんだかえらくふわふわと掴みどころのない言葉ですね。かぼちゃ被って反省促しますか?」
「長時間の垂れ流しはきっついから勘弁」
マイムの辛口評価にショックを受けて思わず表情が崩れてしまう。
そんなにダメだったかなぁ…………会って間もない相手なのにそんな断定じみた言葉送るのもどうかなって思ってたんだけど…………
「まぁ、君が抱いた夢は君だけのものだ。好きなだけ目指すのがいいと思うよ。それはその夢を心に抱いた存在にしか資格を得ることはないんだから。」
「ッ────そ、そう言っていただけたのはお二人が初めてです!イズナの夢を応援していただけるなんて…………!!」
「ああ、これは少しばかりおせっかいになるかもしれませんが、偏に忍者といっても様々な形があると思います。イズナさんご自身がどのような忍者になりたいのかをしっかり考えておくといいでしょう。」
「イズナが目指す忍者………ありがとうございます!!まだ色々と失敗も多い身ではありますが、あらためて、イズナは立派な忍者になってみせます!」
マイムの与えたアドバイスにさっきまで見せていた不安そうな表情は影も形もなくなっていた。
うーん、やっぱり今からでも先生変わらない?君の方が適正あるよ。
「これからも、イズナは依頼をこなして──……あっ、ああっ!まずいです!雇い主の依頼を終えていないのを思い出しました!」
「え、君何かのバイトでも引き受けてたの?君の信用に関わると悪いから早く行っておいで。こっちのことは気にしなくていいから。」
「うう………すみません、イズナはこれでお先に失礼します!お二人とはせっかくこのお祭りの時期にお会いしたのでまた一緒に桜花祭を楽しめたらうれしいです!!ではこれにて!!ニンニン!!」
どうやら何かのバイト途中だったっぽいイズナちゃんにそう促してやると軽快な身のこなしで展望台の階段へと向かっていき、そのまま消えるように去っていった。
なるほど、あれは相当動けるタイプの子だ。あの身体能力の高さはまだキヴォトスでの日々が浅いわたしでも上位層に食い込めるであろうことは想像に難くない。
「…………速度耐性抜けそう?」
「どうでしょうか。仮に戦うことになったとしても彼女たちの苛烈な攻撃をどうにかしてかいくぐらないと。」
「それもそっか。ところでやっぱり君今から先生やらない?絶対君の方が性に合ってるって。」
「さっきも言いましたがボクにはボクの仕事があるので謹んで辞退させていただきます。」
「ひぃん、マイムちゃんの薄情者ー!!」
「貴族として時には冷徹な判断を下す必要があるので。ですが、貴方に勉強を教えると言ったのでその間でしたら書類くらいは構いませんよ。」
そんな感じの寄り道をしてしまったが、わたしたち二人は依頼先である百夜堂へと向かった。
祭囃子の賑わいを浴びるように進んでいき、事前に調べておいた場所にまで移動する。
「ここかなー?だいぶ繁盛してるって聞いてた割にはお客さんの姿が見えないけど。」
「準備中の札が下がってますね。おそらくボクたちのためにお店を空けておいてくれたのかもしれません。」
「ありゃ、待たせたってこと?だとしたら申し訳ないことをしちゃった。」
中で待ってくれてるであろう生徒たちへの申し訳なさに困ったように帽子をいじくりながら百夜堂の扉を開ける。
カラカラと乾いた音を立てながらスライドしていく木枠で囲まれたドアの先には─────
「お頭ァ!!ようこそいらっしゃマシタァ!!わざわざシャーレ組からいらっしゃると聞いてこのフィーナ、心からお待ちしておりマシタァ!!」
ビリビリと震える空気、足を大股に開いて腰を深く落として膝に手を添えてこちらに深々と礼をするカタコト混じりの生徒に出迎えられた。
突然のことに一瞬思考が止まったが、目の前の彼女の姿勢や言葉からそれがヤクザものでよく見る挨拶だと気づいた。
「…………建物間違えた?」
「そ、そんなことは………ないはずですが。」
「ちょっとフィーナ!!先生が困っているでしょ!!」
まさかと思い、もう一度外の様子を見に行こうとしたが、建物の奥の方から慌てた様子で現れた生徒に引き止められた。
「……………ああ、君がシャーレに電話かけてきた生徒か。だったら合ってるのか。いやいや、急にそのスジのモノみたいな挨拶受けたせいで間違えたかと思ったよ。」
やってきたフリフリとした和装メイドみたいな格好をした生徒の声は百鬼夜行に来るきっかけとなった電話の声の主とおんなじだったことに気づき、踵を返しかけた足を止める。
「確か
「遅くなってしまい申し訳ありません。なにぶん初めて訪れる場所でしたので少しばかり道に迷ってしまいました。」
「そんな!まさか本当に来ていただけると思ってもいなかったのに………ゴホン!改めまして、ようこそ百夜堂へ!!私が河和シズコです!百鬼夜行連合学院所属、お祭り運営委員会の委員長であり、この百鬼夜行自慢の伝統的な喫茶店『百夜堂』のオーナーです!」
一つ咳払いをしたシズコちゃんは佇まいを直した。
そこから愛想良く繰り出される挨拶、和服とメイド服が融合した可愛らしいフリフリとした格好…………なるほど?
「コンカフェってやつかな?あまりよく知らないけど」
「確かコンセプトカフェというお店の略称ですね。和風な雰囲気のお店が多い中にメイドという様変わりな要素を融合させることで観光客の興味を惹かせる…………ええ、素晴らしいお店だと思いますよ。」
「あのー…………もしかして貴方もお店の経営を?」
「お店ではありませんが、似たようなことをしています。といっても毛色はだいぶ異なるとは思いますが。」
「そうなんですか…………もしよかったらなんですけどお話しとか聞かせてもらっても良いですか?」
「いいですよ。しばらくはシャーレに身を寄せていますので、今回の件が解決したあとにでも。」
「…………あ、そうでした!!」
「で………確か何か手伝って欲しいことがあるっていうことだったと思うけど。」
「はい…………私たちお祭り運営委員会は百鬼夜行のお祭りの企画から運営、そして全般的な管理まで、そのほとんどを担当してる部活なんです。」
「お祭りのほとんどを………ということは今開催されているこのお祭りもお二人が?」
「いえ、実はもう1人いるんですけど今回は別件でいなくて…………」
結構な規模の祭りをやっているとは思ったけどまさかそれを2人で運営していることには正直驚きの表情しか出ない。
頑丈なキヴォトスの子達とはいえ明らかに常軌を逸脱している気がしないでもないと思うのは野暮か。
そんなことを考えていたが、その心配が外から聞こえた突然の爆発音と銃声に吹き飛んだ。
「何事ー!?」
「あぁ!!もうまた!!」
「またアイツらです!!」
突然の襲撃に驚いてる私たち2人をよそに運営委員会の2人は険しい表情をしながら己の銃を手にして飛び出して行った。
「……………物騒ですねー」
「ホントにねー、物騒さだけならこっち上回ってるよ。あ、ペネトレイト忘れないでねー。君の身に何かあったら私がルイスに隔離でぶっ飛ばされる。」
そんな2人の後ろを見て、遠い目をしながら彼女らのあとを追った。
百夜堂の暖簾をくぐり、見えてきたのは祭りの時に着るような法被を纏ったお面の集団だった。
うーん、色物集団だぁ。というかヘルメット団とおんなじ感じの集団だなぁ。
投稿ペースがダメすぎて我白目