血みどろの月    作:サイ野人

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第1話

あの夜を忘れられるはずがない

 

忘れられるほどバカで無情な奴なんかいない

 

俺は沢山の屍の上に立っている

 

みんな俺なんかのために死んでしまった

 

みんなが優しく暖かかった

 

この悲劇を忘れちゃいけない俺がやらなきゃ

 

みんなの生きた意味を死んだ意味を見つけなくては

 

いけない

 

俺は水辺 郎太 みなべ ろうた

 

普通に生きて普通に死にたい男だ

 

俺は親がいない 居たには居たが親と呼べるような人間ではなかった

母はいなかった 父はいたが俺をよく殴る こんな父だから母は逃げたんだろう

 

家の周りには何も無い 生きてるのか死んでるのか分からないような人間が物乞いをして生きていた

みんな息をしてるだけの屍にしか見えなかった なんの未来も見れない状況だからだ

 

そんなある日 父の暴力に耐えきれず 家を飛び出した

こんな荒地みたいなとこでクソみたいな人間といたら俺という人間が腐る

そう思ったから逃げ出した

 

何日歩いたか分からないほど歩いた

気づいたら元々居た場所に似たところに着いた

そこも息をしてるだけの屍しかいなかった

こんなとこいるだけ無駄と思いすぐ抜けようと小走りで

移動しているとある少女が家から追い出されていた

 

「…………」

 

その少女は何も言わない 泣かない

俺はそれを見ていて気分が悪くなった あの姿は俺があの家を抜け出さずにいた場合の姿だと容易に想像できた

というかできてしまった

産まれた環境が悪ければ地獄 良ければ天国

目に見えてわかる理不尽 子は親を選べない なら逃げるしかない俺のように

 

「なあ…」

 

俺は少女に声をかけてしまった見るに堪えないこの少女を俺は助けたいと思ってしまった 変なとこで偽善ぶるのは嫌いだがこいつの心は壊れかけてる そう見えた

 

「…………?」

 

案の定俺の顔を見るだけで声を出さない 自分の意思がないみたいに 周りの人間がこいつの心を壊そうとしてる

 

「ちょっと来い!」

 

荒っぽいがこいつの手を掴み 俺はこの場所を去ろうとした

ちょうど良かった ひとりじゃつまらないと思ってた

という言い訳を心の中でして

 

それから無理やりこいつを引き連れ歩いていた

なぜこいつ呼びかと言えば名前が無いからだ

別に俺が名付ければいい話だがいい名前が思いつかなかった

まぁ後回しで良いか!こいつの壊れかけた心は癒す

だから俺はなるべく話しかけた 花が綺麗だとか 星がキレイだとか 笑顔で 話していた そしたら少しだか こいつの表情もほんの少し柔らかくなった気がした 気がしただけかもしらんが

 

そしてある日街が見えて俺とこいつは走った みんな身なりが整っていた やはりか 産まれた環境でここまで変わるのかと俺は少しガッカリした

 

 

 

 

 

 

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