続きとなります!
では、どうぞ!
次の日、俺とキリトとサチの三人でダンジョンへと来ていた。理由は、槍使いとして戦えるように訓練するためだ。
あの後、ギルドメンバーで話し合った結果サチを槍使いとしての転向を決定した。その育成に俺たちが抜擢されたという訳だ。
「──サチ、スイッチ!」
「行っけぇぇぇ!」
キリトの声に答えるように叫びながら槍を勢いよく突き刺すサチ。ラストアタックを決めてモンスターがパリンという音ともに消える。腕を上げたサチは、俺たちとの連携をあっさりこなすぐらいまでに力をつけてきた。
「グッジョブ、サチ」
「ありがとう、キリト!」
「腕を上げたな」
「タカシだってあの身のこなしありえないよ!」
サチに賞賛のことばを浴びせるもサチは、頬を膨らましながら俺のことを言う。流石に知らない人の前では仮面ライダーになれないので俺は、生身で体術を使いながらモンスターと対峙していた。途中、モンスターの攻撃をかわす為に仮面ライダーの時にしてた跳躍が癖で出てたのをサチはしっかり見ていたのだろう。
変身した時よりは、飛べていないが常人からしたら異常なくらい高く飛んでいたのだろう。
「──スキルのおかげだよ」
そう平気で嘘をつく。俺が背負っている物をキリトやサチに打ち明ける訳にはいかないからだ。共有すれば確実にショッカーに巻き込まれる。
ただ最近、キリトたちとショッカーに立ち向かっていけるのではと思える事が増えてきた。
しかし、これは決して誰かに打ち明けたりはしない。仲間を欲しがっている招いているのではないかと疑った時もあるからだ。
「良し、このままじゃんじゃん狩るか!」
そう言うとサチは、うんと答え先を急ぐ。
自分の成長を感じれて嬉しいのだろうか、呑気に鼻歌を歌いながらモンスターをなぎ倒していくのだった。
◇◇◇
少し時間が経った頃、あたりに居たモンスターを一掃した際にキリトが少し休憩しようと誘ってきた。20体を倒した後からはもう何体倒したのか分からないくらい狩り尽くしたせいか、サチも息を上げながら疲れている様子だ。何時間も狩り続けることに慣れている俺とキリトは、相変わらずケロッとしているが、メインのサチがこの状態では、いざと言う時に困る。
俺たちは、近くにあるモンスターの居ない部屋へと入る。
「こ、ここは?」
サチがそう言いながら部屋を見渡す。何も無い無機質な部屋に困惑している様だ。
「ここは、何故かモンスターが出ない部屋なんだけど、トラップがあるかもだから無闇に触らないで」
サチにそう説明するキリト。
以前に最前線で来た時に見つけた部屋なのだろう。床にあるかもしれないトラップに引っかからないように注意しながら腰を下ろすキリト。それを見て、俺もサチも気をつけながら床へ腰を下ろす。
「サチの体力が戻ってからまたモンスターを狩りに行こう」
そう言ってキリトは、静かに目を閉じて休もうとする。そんな中、俺はサチへ質問をした。
「そうだな、サチはこの世界に慣れた?」
「槍はだいぶ慣れたよ、けど──まだ怖い」
そう言って震えるサチ。
元々、大人しい性格である彼女は、前線へ出て好戦的に戦うタイプの人間では無い。ましては、死と隣り合わせの世界で強くあろうとするなんて通常はできないのだ。
恐怖と闘う彼女の姿は、どこか出会った頃のコハルに似ていた。
「──昔、この世界が始まった頃にサチと同じように苦しんでいる子を知ってるんだけど、どうなったか聞きたい?」
俺の質問に彼女は、何も言わずに首を縦に振る。それを見て俺は、昔のことを語り始めた。
「正式サービス当日に出会ったんだけど、急に現実世界に帰れない事を知って顔を青ざめて震えていたよ、今のサチみたいに」
「その人は、どうやって克服したんですか?」
「それは──」
トラップ発動の機械音が俺の言葉をかき消す。それを聞いてキリトがなんだと叫びながら起き上がる。
俺もキリトに続き立ち上がるも何もスイッチを押していないはずだ。しかし、サチが手元を見て青ざめる。
「──ごめんなさい私、スイッチ押しちゃった」
次の瞬間、俺たちの足元にあったはずの床が消え俺たちは、遥か下へと落とされてしまう。
「まさか、落とし穴だったとは……サチ、武器を壁に刺して! 早く!」
そう叫びながらキリトは片手剣を壁に突き刺して落下から逃れる。対してサチは、迫り来る死に対しての恐怖に怯えてしまい身を固めてしまいキリトのように武器を壁に突き刺せずに居た。
「サチ!!」
「キリト!」
彼女の名を叫びながらキリトは、壁に突き刺した剣から手を離してサチの方へと飛び込む。怯える彼女を抱きしめながら落下に対する衝撃に備え目を瞑る。
いくらキリトが受身をとってもこの高さからの落下では、無事では済まないだろう。
全員が助かる方法は、一つしかない。
腰にタイフーンを出現させ落下による風圧を受けて風車が回り出すと俺は、仮面ライダーへと変身した。
「──キリト、サチ、手を!」
変身完了後、俺は彼らに手を差し伸べる。それに気づいたキリトは、左腕でサチを強く抱き締めながら右手を俺に向けて差し出す。それを掴み俺は、彼らを抱き寄せる。
──踏ん張ってくれ、俺の足!
そう強く念じながら俺は、足から着地を試みる。ドンという激しい音と共に着地した俺は、あまりの衝撃にキリトたちを手放してしまうとエネルギーを使い果たしたのか、変身が解けてしまう。
「──二人とも大丈夫か?」
「何とか……ありがとう、タカシ」
「サチは?」
俺は、キリトと安否を確認後、サチの方へと顔を向ける。すると、横たわっていたサチの姿が視界に入る。
「サチ!」
彼女の名を呼びながらキリトがサチの方へ向かい抱き寄せながら起こす。あまりの恐怖により気絶してしまったサチの顔をみて不安になるキリト。しかし、パーティを組んでいるからか左上に表示されているそれぞれの体力を確認するとサチの方は、それほどHPが減っていないことを目視にて確認する。
「──気絶してるみたいだ」
「それは、良かった」
サチの安否を確認して安堵する。
問題があるとすれば、俺の体力だろうか。まさか、変身した状態でも最大跳躍以上の高さから落下すると体力をごっそり持っていかれていた。
7割減といったところだろうか。
俺は、アイテムから回復用のポーションを取りだしてそれを飲み体力を回復させる。
「──それにしてもここはどこだ?」
「あのマークは……!?」
少し呼吸を整えてから立ち上がると俺は、キリトの所へ近づき辺りを見回した。そこは、洞窟様な部屋にワシの様なマークが彫られていた。そのマークに見覚えがある。
「ショッカーのマーク!?」
その時、紫色のガスが次々と部屋へと入り込んでくる。
──この不気味な色は……まさか!?
それを吸い込んでしまったキリトは、その場に倒れ込んでしまう。俺も少し吸ったからは気分が悪い。体力が徐々に減っているのが確認出来た。想像した通りこれは毒ガスだ。
「──キリト、サチを連れて逃げれるか?」
「どうだろうな。出口が分からないとなんとも……」
出口まで自動で移動できるものか、俺が知っているのは一つしかない。俺は、アイテムからサイクロン号を出現させる。自動走行のスイッチを起動させる。
目的地は、ダンジョンの出口。
「サイクロン号に出口まで自動走行するように設定した、キリト彼女を連れて早く!」
「お前はどうするんだ!?」
「俺は、人とは違うから多少ならこの空間でも生きて逃げることは出来る──早くしろ! 全滅したいのか!?」
俺の必死の声に分かったと頷いたキリトは、サチを抱えながらサイクロン号へ跨ると片手でハンドルを掴みサイクロン号は、自動走行しながらその場から逃げていく。それを見送りながら俺は、右手で口を塞ぎながら身を低くして煙の少ない方へ逃げ出す。
「──かなりの重症の様だな、ライダー!」
次の瞬間、俺は顔面を思いっきり蹴られて吹き飛ばされてしまう。塞いでいた手が口から離れてしまい再び、猛毒ガスを吸い込んでしまう。
しまったと思った途端、猛毒によるデバフが付与されてしまう。
「やはり、ショッカーの改造人間だったか」
「──その通り俺の名前は、さそり男 この世界で改造人間を殺す猛毒の開発をしている者だ」
名乗るが姿を見せないさそり男。俺は、ゆっくりと立ち上がりどこかに隠れているであろうさそり男に気をつけながら会話を続ける。
「改造人間をも殺す猛毒だと!?」
言葉からするにゲームバランスを遥かに逸脱した毒ということは、通常よりも何十倍もの威力があるということだ。それを聞いた途端、キリトやサチのことが心配になる。
脱出までの間、解毒や回復アイテムなどでHPを繋いでくれればいいのだが、俺も早く追わないといけない。
「早く彼らを追いかけないと」
さそり男の猛毒による影響か、人の状態では体を早く動かすことが出来ない。やむおえず仮面ライダーになろうとした途端、俺はある失態に気づいてしまった。
「──しまった、サイクロン号が無い!?」
そう、俺の最大の失態はサイクロン号をキリトに預けてしまったということだ。
通常であれば、変身する際サイクロン号の加速によって生じる風圧をベルトに受けて仮面ライダーへと変身するのだが、肝心のサイクロン号は、キリトたちを逃がすために使ってしまった。
慌てて上を見上げると落下の時に空いていた大きな穴は、既に閉まっていて天井となっていた。これでは、落下の時に使った方法での変身も出来ない。更にダンジョンの奥だからか隙間風もない空間において俺は、解毒などのアイテムを使っても直ぐに同じデバフが付与されてしまう猛毒の空間となっているのだ。
助かるには、サイクロンが早く戻ってくることを祈るしかない。
「──貴様は、ここで死ぬのだ! ライダー!」
完全勝利を宣言するかのように姿を現したさそり男は、時間が進むにつれ猛毒が俺を蝕み始める。
それ見て滑稽だと言わんばかりに大きな声で笑い続けるさそり男。
彼の笑い声がダンジョン内に響くのだった。
タカシピンチ!!!
このまま死んでしまうのか、それとも……
次回にご期待ください