SAO〜異界の仮面騎士〜   作:蒼龍ミヤイ

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前回の続きです
どうぞ!


第14話 必死の救出劇!

 サイクロン号がある程度の加速をしながら毒ガスエリアから逃げるキリトとサチ。途中、物凄い勢いで減った体力をポーションより強力な回復結晶を使い何とか一命を取り留めているが盛られた毒の持続時間がやけに長い。途中解毒結晶なども使用したが、猛毒のガスが蔓延してる空間では、直ぐに猛毒のデバフが付与されてしまうからダンジョンを出てから使おうと決めたのだ。ベータテストの頃に各毒の継続時間を大体把握していたキリトだが、こんな毒は知らなかった。そこで、噂で聞いていたプレイヤーメイドの猛毒である可能性を高いと判断した。

 

「──まずいな」

 

 アイテムストレージを見ながらそう呟くキリト。

 用意してた結晶の残り数がそんなに多くないのだ。このままでは、ジリ貧によりお互い死んでしまう。それだけは、何としても阻止しなければならない。

 これ以上隠し通すことは出来ない。

 月夜の黒猫団のみんなには、嘘をついていたと嫌われるかもしれない。でも誰かを死なせるのはもっと嫌だ。

 そう決断したキリトは、フレンドリストを開き急ぎ助けを求めるメッセージを何人かに送った。

 あとは、間に合うかだが、これはもう神に祈るしかない。そう思いながらキリトは、自身とサチに回復結晶を使いながらサイクロン号に身を預けるのだった。

 

「──おーい、キー坊!」

「キリト君!」

「キリトさん!」

 

 しばらくしてダンジョンの出口に差し掛かった頃、3人の人影があるのを見たキリトは、助かったと胸を撫で下ろす。そこには、血盟騎士団のアスナやコハル、それに情報屋のアルゴの姿があった。丁度、最後の結晶を使い残っているのは、ポーションのみ。

 未だに気絶しているサチは、ポーションを飲めないからこのまま行くとサチが先に死ぬところだった。

 サイクロン号が出口近くで停車するとキリトは、サチを抱えサイクロン号から降りてアルゴ達の所へ向かうキリト。

 

「アルゴ、頼む!」

「お姉さんに任せナ!」

 

 そう言うとアルゴは、手に持っている特殊な結晶を使うと無事に猛毒が消えると減り続けていた体力が止まったのだ。

 毒に効果を消すための解毒結晶だ。

 キリトもサチも助かった。流石に死を覚悟したキリトは、サチや自分も無事に戻って来れたことに安堵する。

 

「──キリト君!」

 

 彼の無事を見て真っ先に彼の所へ飛び込んだのは、アスナだ。彼女はキリトの胸に顔を埋めながらひたすら良かったと呟きながら泣き出す。余程、心配させてしまったのだと反省するキリト。

 コハルは今も心配な顔をしながらサイクロン号をじっと見る。

 

「──これ、タカシのサイクロン号ですよね」

 

 助かったね、良かったねという雰囲気から再び凍りつく。

 タカシは、俺たちを逃がすためにまだダンジョンの中にいる。大丈夫だと言われてたせいか自分やサチの安心だけで良かったと思ってしまったことに対して自身が情けなくなるキリト。

 まだ、戦っている奴がいるのに、これじゃ見捨てたも同然だ。

 

「そうだ、タカシのやつ俺らを助ける為にこれを使ってくれたんだ」

「嘘──じゃあ、タカシは……」

「今もダンジョンの奥深くに居る」

 

 そう言って4人は、ダンジョンの方を見る。プレイヤーメイドの効果時間の長い猛毒が充満しているダンジョンだ。

 誰もが真っ先に行くとは行かないだろう。

 こうなったらもう一度行くしかない。

 そう思ったキリトだが、彼よりも早く残された彼の救出に真っ先に言い出したのは、コハルだ。

 

「──私がサイクロン号に乗って彼を助けに行きます!」

「いや、俺が……」

「いえ、副団長として命じます! 二人とも行っては行けません」

 

 真っ先に反対したのは、アスナだ。

 補佐でもあり友人でもあるコハル、それにキリトを死なせたくない。

 その思いから突入しようとする二人に反対したのだ。

 普段であれば、納得するコハルだが、今回は違った。

 

「アスナ、邪魔しないで!」

 

 腰に装備してる短剣を抜き、構えるコハル。上司であるアスナの命令に違反したのだ。アスナは、コハルを睨みながら腰携えていたレイピアに手を添える。

 空気は更に凍てつく。一触即発の空気だ。

 

「あなた、自分が何してるか分かってるの?」

「分かってる、後で処分はいくらでも受けるから……今回だけは、あの人を助けに行かせて!」

「コハル──」

 

 はじまりの街で助けられた彼を助けたい、彼を死なせたくない。そんな強い意志がコハルの発する言葉から感じ取ったアスナは、辛い表情になる。

 アスナも行かせてあげたいのは本当だが、中で蔓延している猛毒によって大事な友達を犠牲にするのはもっと嫌だ。

 アスナにも友達を守るという意地がある。

 しかし、そんな意地と意地の張り合いの仲裁に入ったのは情報屋のアルゴだ。

 

「まぁ、落ち着きなよアーちゃん」

「アルゴさん……」

「アイツを──ター坊を助ける方法ならあるヨ」

「本当ですか!?」

「コハルっちの覚悟を見捨てる訳にはいかないしナ」

 

 それを聞きコハルは、短剣を鞘へ戻した。それを見てアスナは、レイピアの柄に添えていた手を離す。それを見てアルゴは、説明を始めた。

 

 

 

 ◇◇◇

「──残してた回復結晶は、最後か」

 

 ダンジョン内でそう呟く俺。あれからだいぶ時間が経ちなんとかダンジョンの奥から逃げようと重い足を動かしながら逃げていた。途中追いかけてくる戦闘員達を蹴り飛ばして無力化しながら隙間を見て回復結晶を使う。

 

「──くそ、厄介な毒だ」

「言ったろ、俺様の猛毒は特別製だってな」

 

 そう言って俺を捕まえたさそり男は、俺を持ち上げてその硬いハサミのような形をした腕の先端で俺の腹部を何度も突き続ける。こいつの作った猛毒は、特殊で通常より多くHPを削られることだ。恐らく効果の継続時間も通常のゲームの毒とは比べ物にならないくらい長いのだ。

 確かに改造人間を殺すには相応しい効果と威力のある毒だ。

 

「もう貴様に回復アイテムは残っていない! 猛毒とこのハサミによって苦しみながら死ね!」

 

 高らかに笑いながら攻撃を続けるさそり男。回復した体力も猛毒によって常時削られている中、ハサミでの追い討ちによりみるみる減る俺のHP。

 死を覚悟した時、関わった人々の顔が走馬灯のように思い浮かんでいた。

 

 

 キリトとサチは、無事に出口まで逃げれただろうか。

 

 アルゴとアスナには、色々迷惑かけていたと反省してる。

 

 コハルには……、もう一度会いたい。

 

 

 そんな時だ、聞き慣れたエンジン音が聞こえてきた。

 サイクロン号がこちらへ来ていた。

 それを聞いてキリトとコハルは、助かったんだと理解する。彼らが無事なら良かった。これで俺も安心してあの世へ行ける。ゲームクリアできなかったのは、残念だが面白い世界で冒険が出来て良かったと思えた。

 

「──なんだ!?」

 

 ものすごい勢いで迫り来るサイクロン号を見て驚いたさそり男は、俺をその場へ落として離れる。しかしサイクロン号は、勢いよくさそり男の方へと向かうとそのまま体当たりした。衝撃で吹き飛ばされるさそり男。

 

「──タカシ!」

 

 突然の出現に驚いている俺、するとサイクロン号から降りて俺の方へ駆け寄るコハルの姿があった。

 

「コハル、どうして!?」

「今回復結晶で治すから」

 

 そう言ってコハルは、アイテムストレージにある回復結晶を取りだして俺に回復をかけてくれた。

 

「なんでここに……?」

「今のうちに早く逃げよう!」

 

 コハルに促されながら俺は、彼女を前にして俺たちはサイクロン号へ跨る。すると、サイクロン号は自動走行をしてその場から立ち去る。初めて誰かの後ろに乗る俺は、サイクロン号の加速に驚くと思わず彼女の腰へ腕を回してしっかり掴まる。

 

「おのれ────!!」

 

 怒り狂ったさそり男の声を無視しながら俺は、コハルと共にダンジョンの出口へと逃げるのだった。

 

 

 

 ◇◇◇

 しばらくサイクロン号を走らせて毒ガスから抜け出した俺たちは、気まずい雰囲気の時間のみが流れていた。

 こういう時は、何を話したらいいんだろうか。元気にしてましたなんて言えないし思い出を語るのも場違いだ。

 

「──ありがとうな、助けに来てくれて」

 

 熟考の末出た結論がこの言葉だ。恐らく誰もが来れる状態じゃない中、俺を助けに来てくれた。それだけで俺はすごい嬉しかったのだ。けど、一番巻き込みたくない人を巻き込んでしまった。

 

「どうして、一人で行っちゃったの?」

 

 前に乗っているコハルは、俺に顔を向けずに聞いてきた。あの日、コハルを置いて行った事について彼女が恐らく一番聞きたいであろう質問だと理解した上で俺は答える。

 

「──ごめん」

「どうして、教えてくれないの?」

「教えたらコハルを巻き込む事になる、アイツらは秘密を知ってる人間に関しては、徹底的に攻撃する。逃げ場のないこの世界でそれは危険すぎる」

「──私は、そんなに足手まとい?」

「いや、そういう事じゃ……」

 

 しくしくと鼻をすする音が聞こえる。恐らく目の前に座っているコハルは、泣いているのだ。

 こういう時、俺は彼女になんて声をかけていいか分からない。ただ泣かせたくないばかりに柄にもなくアタフタしてしまう。

 

「──私は、貴方のパートナーだから」

 

 少し間を開けてコハルがそう口にするがサイクロン号の空気を切り裂く音に阻まれてあまり上手く聞こえない。すかさず聞き返すと先より大きな声でコハルが話してくれた。

 

「パートナーだから、離れ離れは嫌だよ……」

 

 パートナー、俺が昔にコハルに言った言葉だ。

 その言葉から昔のことを思い出す。あの日、宿屋の部屋で仮面ライダーの秘密を打ち明けた時点でコハルも既に巻き込まれていたのだ。

 俺は、自分の手で顔を思いっきり叩く。パチンという乾いた音が響き渡る。

 

「タカシ?」

「──ごめん、今度はちゃんと話すよ」

「約束──だからね」

「分かった、コハル」

 

 すると、後ろからさそり男の部下であろう三人ほどの戦闘員たちがバイクに乗りながらこちらを追いかけていた。このまま自動走行では、追いつかれてしまう。

 

「変身──していいよ」

 

 少し困った顔をしているとコハルがそんなことを口にした。俺は、それに答えるように彼女の後ろから手を伸ばしてサイクロン号の自動走行を取り消してブレーキをかける。その場に停るサイクロン号を通り過ぎた戦闘員たちは、こちらへ車体を向けながら停車するとアクセルを吹かしながら威嚇する。

 

「コハルは後ろに」

「──うん」

 

 一度降りて前後を入れ替え再びサイクロン号に跨る。

 

「しっかり掴まれよ」

「うん!」

 

 コハルは、そう返答すると俺の腰に腕を回してしっかり掴む。

 俺は、アクセルを捻りサイクロン号を急加速させると戦闘員たちの間を抜いて再び距離を取る。彼らは、慌てて追いかけるが自動制御ではなくなったサイクロン号のスペックでは追いつかれることは無い。

 俺は、ちらりと後ろを見てから左ハンドルにあるスイッチを操作してハンドルを押し込みサイクロン号をオフロードからフルカウル状態へと変形させたるとタイフーンを出現させてサイクロン号の加速によって生じた風圧を受けて俺は、ようやく仮面ライダーへと変身することが出来た。

 




タカシのためにアスナの命令を破ってしまうコハル……
彼女の強い一面が描かれたのではないでしょうか?
心が強くなったコハル。
成長とともに渦中へと巻き込まれていくコハル。

次回もお楽しみにしててください。
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