SAO〜異界の仮面騎士〜   作:蒼龍ミヤイ

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今回は、少し長めになってしまいましたが、気軽に読んでください!
いつも読んで頂きありがとうございます!
これからも精進しますので応援よろしくお願いします!


第3話 正式サービス開始

「──プレイヤー諸君、ようこそ私の世界へ」

 

 空が赤く染まり、そこから突如現れた赤いローブに包まれた巨人が俺たちへ話しかけてきた。彼の声でザワついていた会場は静まり返る。すると、赤ローブは語り始めた。

 

「私の名前は、茅場晶彦──今やこの世界をコントロール出来る唯一の人間だ」

「茅場晶彦?」

 

 茅場晶彦の声に反応する。すると、近くにいたキリトが教えてくれた。

 

「茅場晶彦は、ソードアートオンラインとナーヴギアを作った人物だよ」

「つまり、この技術を作った人であり、この世界のゲームマスターってことか」

 

 俺が茅場晶彦の話をキリトから聞き、彼について自分なりにまとめている中、茅場は淡々とした口調で話を続けた。

 

「プレイヤー諸君は、既にメインメニューからログアウトボタンがない事に気づいていると思うしかし、これはゲームの不具合では無い──繰り返す、これはソードアート・オンライン本来の仕様である」

「──仕様?」

 

 彼の言葉にクラインが戸惑いながら口ずさむ。誰もが驚かずにはいられないだろう、現実世界から隔離され閉ざされた世界に居続ける事になるのだから。

 

「諸君は、自発的ログアウトすることは出来ないまた、外部の人間の手によるナーヴギアの停止、あるいは解除もありえない──もしそれが試みられた場合、ナーヴギアの信号素子が発生する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し生命活動を停止させる」

 

 茅場晶彦の一言毎に広場がザワつく。ゲームを盛り上げるための演出だろうと言う人もいれば、現状に理解できない人も多く見受けられる。クラインやコハルも後者の方だ。しかし、キリトは腕を組みながら茅場晶彦の言葉に対して熟考する。

 

「信号素子のマイクロウェーブは、確かに電子レンジと同じだ──リミッターさえ外せば脳を焼くことも」

「じゃあよ、電源を切れば」

「いや、ナーヴギアには内蔵バッテリーがある」

 

 キリトとクラインの会話から推測するに茅場晶彦の言っていることは、嘘のない真実であるということ中に内蔵バッテリーがあるせいでどう頑張っても取り外す際に高出力マイクロウェーブを浴びることになる。

 その真実にクラインやコハルは、何も言うことが出来なくなるが、茅場晶彦は、こちらの心理状態など気にかけずさらに真実を述べ続ける。

 

「残念ながら現時点でプレイヤーの家族、友人が警告を無視しナーヴギアを強制的に解除しようと試みた例が少なからずありその結果、213名のプレイヤーがアインクラッド及び現実世界からの永久退場している」

 

 その言葉に流石のキリトも驚きを隠せなくなる。このゲームにログインできるのは、俺を含めて1万人。つまりそのうちの213人のプレイヤーが死んでいるというのだ。

 現実を受け入れたくない人からの野次が飛び交うが、茅場晶彦は証拠と言わんばかり各メディアが、報じている映像を次々と出現させた。

 

「ご覧の通り、多数の死者が出たことを含めこの状況をあらゆるメディアが繰り返し報道しているよって、既にナーヴギアが強制的に解除される危険は低くなっていると言っていいだろう諸君らは、安心してゲーム攻略に励んで欲しい──しかし、十分に留意してもらいたい今後、ゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能しない、ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君らのアバターは、永久に消滅し同時に諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される」

 

 茅場晶彦の説明に誰もが固唾をのんで聞いていた。現実世界から切り離されたこの世界に閉じ込められた彼らプレイヤーは、ヒットポイントがゼロになると本当の死が待っているというのだ。俺と同じ状態に近いが、この事態に陥れて茅場晶彦に何の意味があるのか、俺には理解できない。

 しかし、周囲を見ると死と隣り合わせの危険な世界と言う認識が顔を青ざめさせていた。コハルもその一人だ。

 

「──コハル、大丈夫?」

「タカシ、怖い」

 

 か細く震えながら発するコハルの声。それを聞くだけで俺は胸を締め付けられる様な痛みが襲ってくる。コハルは、震えながらひたすら俺の腕をギュッと掴むことしか出来なかった。

 

「諸君らが解放させる条件はただ一つ、このゲームをクリアすれば良い──現在君たちがいるのは、アインクラッドの最下層第1層である、各フロアの迷宮区を攻略しフロアボスを倒せば上の階へ進める、第100層の最終ボスを倒せばクリアとなる」

 

 再び発せられた茅場の言葉に対して野次が飛び交う。どうやら正式サービス開始する前のベータテストでは、ろくに上へ上がることができなかったらしい。

 だが、俺たちプレイヤーの声なんて気にせずに茅場晶彦は、話を続けた。

 

「それでは最後に、諸君のアイテムストレージに私からのプレゼントを用意してある確認してくれたまえ」

 

 茅場晶彦の声を聞き、俺たちは皆メニューを開きアイテムストレージの中にあるプレゼントを手に取る。内容は、手鏡というものだった。すると、手にしたプレイヤー達が次々と光に包まれる。

 

「キャッ!」

「コハル!」

 

 悲鳴をあげるコハル。しかし、次の瞬間俺も数秒青白い光に包まれる。しばらくして視界が開けると困惑したキリトとクラインらしき人と、隣には変わっていないコハルの姿があった。

 

「──コハル?」

「あれ、タカシは見た目変わってない」

「コハルも変わってないね」

「うん、ちょうどVR試着用のアバターをコンバートしたんだよ」

「お前たちが変わってないのはわかったけど、そんな簡単に自分の姿を再現できるのか!?」

 

 コハルは、元々自分をアバターにしていたらしい。恐らく俺の方は、神様が勝手に設定したのだろう。そもそも鏡なんて見てなかったから特に驚くことはないが疑問に思うのは、そう簡単に自分の容姿を細部まで再現できるのかだ。クラインは、コハルに疑問を投げかけるとコハルが答える。

 

「えっと、高密度の信号素子? っていうもので顔をスキャンして肉体の方は、初期設定の時にあちこち触ったので……タカシもそうだよね?」

「あ、うん、そうだね」

 

 ここで違うと言ったら厄介になるから、一応話を合わせておこう。しかし、仮想世界で自分と同じ肉体を再現できるなんて未知の技術にもほどがある。

 しかし、何のためにこんなことをするのか全く理解できないと思っていると茅場晶彦が話し始めた。

 

「──この世界を作り出し鑑賞するためにのみ私はナーヴギアをSAOを作った、そして今全ては達成せしめられた──以上でソードアート・オンライン正式サービス開始のチュートリアルを終了する」

 

 そう言いながら巨大なローブを羽織ったアバターは、空の方へと消えていく。別れ際に茅場晶彦の声が聞こえる。

 

「──プレイヤーの諸君、健闘を祈る」

 

 赤く染っていた空は、ローブアバターが消えると同時に元通りの空へと戻る。すると、思考が停止していたプレイヤー達が次々と怒号、悲鳴、懇願、罵声あらゆる叫び声が飛び交い、まるで混沌のようだった。

 俺もふと気がついた時、既にキリトの姿は居なかった。

 

「──あぁ、そっか……私たち……帰れないんだ……閉じ込められたんだ……」

 

 隣にずっと居たコハルは、絶望感に浸り膝から崩れ落ち座り込む。全てを理解し、気力を失ってしまっていた。

 

「タカシ、コハルを連れて広場から離れようぜ」

 

 そう言って、クラインが広場から少し抜けた所へ案内してくれる。俺は、座り込んだコハルを抱き上げて広場を後にした。

 

 

 

 ◇◇◇

 混沌と化していた広場から離れて少しした頃、コハルも何とか落ち着く事が出来た。

 

「──どうだ、ちったァ落ち着けたか?」

「はい……そういえば、キリトさんは?」

「奴はもう行ったよ、成すべきことをする為にな」

 

 キリトは、次のエリアへ向けて既に出発したという。これだけ困惑してる人がいる中、冷静に自身がするべきことが見えているのは、流石だと思う。しかし、そんな彼についていけなかったことに対して自分を責めるコハル。ひたすら俺やクラインに謝り続けてきた。

 

「しっかりしなきゃいけないのは分かってるのにごめんなさい」

「今は、コハルの方が大事だから気にするなよ」

「ありがとう、もう現実世界に戻れないと思うと気が抜けちゃって……」

 

 その言葉を聞いてクラインもしかめっ面になる。まだ、この現状を理解し難いものとして捉えているのだろう。だが、キリトのように前だけ見て進むプレイヤーもこれから出るだろう。俺の目標の為にも前へ進まないといけない。そんな事を考えていると不意に声をかけられた。

 

「──無理もないヨ、こんなことになるなんて誰も想像もしてなかったんだろうサ」

 

 そう言って物陰から出てきたら茶色のローブを被った金髪少女。彼女の出現に俺たちは驚いてしまう。

 

「おいおい、そんなに驚くなヨ──そっちがあとから来たんだからサ」

「俺はクラインって言うんだ──で、そっちがタカシとコハル、あんたは?」

 

 クラインが俺たちの代わりに自己紹介をしてくれる。こういう咄嗟の行動ができるのは、年上の経験値と言ったところだろうか。咄嗟のコミュ力少しは、彼を見習おうと思った瞬間だった。

 

「アルゴだヨ、よろしくナ! しかし、大変なことになっちまったナ」

「お前さんも落ち着いてるんだな、俺もさっきお前さんのように覚悟決め進んでいく少年を先程見たよ……」

「そう──ちょっと話があるんだけどサ、聞いていかないカ?」

 

 アルゴが俺たちに話を持ちかけてきた。こういった密偵のような性格の人が話を持ちかけてくること自体が稀である。俺もコハルも悩んでいる中、すぐに決断を下したのは年長者のクラインだ。

 

「──悪いな、広場にダチをら待たせてんだ俺は、ダチ達と攻略するよ」

「え、行っちゃうんですか?」

「そう心配すんな、こう見えて他のゲームじゃギルドの頭張ってたんだフレンド登録しとくからいつでもメールしていいからな」

 

 そう言いながらクラインは、俺たちへフレンド申請を送ってくれた。勿論、ここまで面倒を見てくれた人を無下にすることない。俺もコハルもフレンド許可をするとクラインは、「じゃあ」と言って広場の方へと向かっていった。

 俺とコハル、アルゴの3人となるとアルゴが話しかけてくれた。

 

「──で、2人はこれからどうするんだ?」

「コハルさえ良ければ、脱出のために前へ進みたい」

「──え!?」

 

 ヤバい、つい思ってたことを口に出してしまった。突然の事でコハルも耳まで真っ赤にしながら困惑する。俺は、慌てて弁明する。

 

「ほら、実際に死ぬなら一人より二人の方が生存確率高いだろ? だから、二人で行動した方がいいかと思ってさ、勿論無理強いはさせないけど」

「ありがとう、タカシ──私ならもう大丈夫だから、アルゴさん生き抜くコツを教えてください!」

 

 俺の言葉に答えるようにコハルの中で決心がついた。二人の言葉を聞きアルゴが口角を上げて笑みをこぼしてから話し始めた。

 

「決まりだナ! オレっちがこの世界の生き方を教えてやるヨ」




いかがでしょうか。
今回は、茅場晶彦の登場やグラインドの別れアルゴとの出会いなど序盤の重要な部分でした。
次回から戦闘などが徐々に増え第1層攻略が始まるかも。
是非、お楽しみください
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