SAO〜異界の仮面騎士〜   作:蒼龍ミヤイ

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第8話 仮面ライダー

 扉を開け大きな部屋に入る俺たち。部屋の奥には、このフロアのボス──イルファング・ザ・コボルドロードの姿が映る。

 

「──全員突撃!」

 

 雄叫びをあげながらそれぞれのパーティがボスへ突っ込んでいく。通常のモンスターよりも強く設定されているからか、人丈よりも数倍あるボスは、両手に盾と斧を持ちながら小バエを払うように斧を振る。

 メイン部隊がボスと戦っている中、俺達のパーティは、ボスの取り巻きであるセンチネル・コボルドの対処を行うことになっていた。

 

「──俺達も行くぞ!」

 

 片手剣を鞘から抜いたキリトが俺たちに号令をかける。コハルやアスナも細剣を抜き構える。俺も拳を構えると敵の攻撃をかわしながら拳を叩き込む。

 

「スイッチ!」

 

 そう叫びながら攻撃をしたのちにコハルと前後入替える様にするとコハルも細剣のソードスキルを叩き込む。俺たちの戦法は、常に複数人でモンスターを攻撃すると言うことだ。俺とコハル、キリトとアスナでペアを組みそれぞれ取り巻きのモンスターへ攻撃を仕掛ける。

 

「──セイッ!」

 

 拳を突き出してモンスターを倒す。残りは、ボスのみとなる。本陣の攻撃が幸をなしたのか、イルファング・ザ・コボルドロードのHPは、だいぶ減っていた。そろそろ、武器の持ち替えをする所だろうか。

 

「全員、下がれ! 俺が出る」

 

 そう言ってディアベルが、攻撃を畳みかけようと前へ出る。計画通りでこのまま行けば、ボスを倒してこの層をクリア出来る。

 誰もがそう思っていた。

 

「──ダメだ、避けろ!」

 

 ボスの様子を見ながらキリトが叫ぶ。俺も彼の驚きを隠せない表情を見てからボスを見る。すると、曲刀と予想してたが、違う武器を持っているではないか。キリトは、誰かにディアベルの静止を依頼するもここにいる多くのプレイヤーは、奴が何の武器を持っているかなんて知らない。誰も身動きができない中、1人突っ込んだディアベルは、ボスが振り下ろした一撃を受け吹き飛んでしまう。

 

「ディアベル!」

 

 俺は、彼の名を呼びながらサイクロン号を出現させる。情報統制が出来なくなった中心部隊は、足がくすんで動けなくなる。

 イルファング・ザ・コボルドロードは、ディアベルへとどめを刺すべく彼へ近づこうとした。

 

「──コハル、俺がアイツを誘導するからみんなを下げて!」

「わかった!」

 

 俺は、コハルに伝えてからサイクロン号に跨りエンジン音を部屋に轟かせる。音を聞き、ボスの注意が彼から俺へと向く。

 それでいい。

 俺は、気がつくとにやりと笑みをこぼしていた。

 

「──来い、俺が相手だ!」

 

 そう言いながら何度もエンジン音を響かせる。自分のテリトリーにて何度も爆音を上げられたら人だろうがモンスターだろうがいい気はしないはず。イルファング・ザ・コボルドロードは、黙れと言わんばかりに俺に向けて吠えこちらへ近づいてきた。

 俺は、旋回してイルファング・ザ・コボルドロードから逃げるようにサイクロン号を加速させた。

 

 

 

 ◇◇◇

「──大丈夫ですか?」

 

 タカシがボスの気を引いている隙にディアベルへ近づいたコハルやキリト達は、彼を担ぎ後ろへ後退した。後方には、多くのプレイヤーが困惑しながら立ち止まっていた。

 

「早く回復してください」

「──すまない、ありがとう」

 

 コハルは、手に持っていた回復用のポーションを使いディアベルを回復させた。その一方でキリトは、陣営の立て直しを測ろうとするが、事前情報にない武器に恐れてしまい動けないプレイヤーが多くいた。

 

「──誰でもいい! 動ける奴は、タカシが引き付けてるうちに回復してくれ!」

 

 キリトは、そう言いながらストレージからポーションを取りだして飲み込み体力を回復させてボスの方を見る。それ見てアスナも彼の横に立つ。

 

「──ディアベルさんは、ここにいてください」

「駄目だ、今の君の実力では……」

「ご忠告ありがとうございます──でも、私は彼の横に立つって誓ったんです!」

 

 コハルも彼らに並んで戦闘に行こうとした途端、ディアベルに腕を掴まれて静止させられる。しかし、その静止を振り切ってコハルは、前へ向かって走り出す。

 

「──キリトさん、私も行きます!」

「コハル……」

 

 三人……、僅かな数だがこれも仕方がないと思い前線へ出ようとした途端、エギルがタンク隊をまとめて来た。

 

「──タンクは、俺らに任せてくれ」

「頼む、みんな行こう!」

 

 数人の臨時パーティが編成したキリト達は、激戦を繰り広げているサイクロン号を操作してるタカシの方へと走り出すのだった。

 

 

 ◇◇◇

 俺は、プレイヤー達からボスを離れさせた所でしばらく敵の攻撃をサイクロン号のタイヤを使い受け流すだけの耐久戦を強いられていた。

 集中が切れた時が敗北。

 そう自分に言い聞かせながら俺は、必死にサイクロン号を操作して奴の攻撃をいなしていた。

 

「──まだか」

 

 もう何分か耐久してから俺は、そう呟きチラとプレイヤーの方を見てしまう。何かキリト達が指揮しているみたいだ。何を話しているかは、最前線にいる俺には聞こえない。だが、いつまでも攻撃を受け流すことは出来なかった。不利な体勢で攻撃を受けた俺は、サイクロン号から落車してしまう。

 

「──くそ、ここまでか」

 

 勝ったと言わんばかりの笑みを見せるイルファング・ザ・コボルドロードは、その一撃で確実に俺を殺す為に大きく刀を振り上げる。

 

「──タカシ、スイッチ行くぞ!」

 

 もうダメだ。

 俺は、そう思った。

 しかし、聞こえてきたのは、聞きなれた声だ。振り向くとそこには駆け込むキリトとアスナ、それにコハルの姿があった。少し遅れてエギル達盾を持つプレイヤー数人が来てくれた。

 ここまで頼り甲斐のある援護が来ては、負けられない。俺は、急ぎサイクロン号に跨り、間一髪で奴の一撃を躱した。その隙にキリトが単発ソードスキル《バーチカル》を叩き込む。

 

「うぉぉぉぉぉぉ、スイッチ!」

 

 彼の声を聞き、サイクロン号を加速させてから前輪をぶつけてダメージを与える。

 

「──キリト、コハル! 少し時間を稼いでくれ」

「わかった!」

「任せて!」

 

 俺は、彼らにそう告げてイルファング・ザ・コボルドロードから少し距離を置いた位置で周囲を走り出す。次第にスピードに乗ったサイクロン号が加速していく。

 俺は、左ハンドルにあるスイッチをひねりハンドルを押し込んだ。次々とオフロードからフルカウルへと変化するサイクロン号。

 それによる超加速によって生まれた風圧がベルトの風車をベルトに当たると俺の体は、仮面ライダーへと変身した。

 

「──キリト、スイッチ!」

「わかった!」

 

 そう言って下がるキリトと入れ替わるように加速したサイクロン号で跳躍してイルファング・ザ・コボルドロードの顔面へ体当たりすると衝撃により怯んだ。俺は、今だと思い戦っているプレイヤー達へ声をかける。

 

「今だ、叩き込め!」

 

 すると、キリトを先頭にみんな次々とソードスキルを叩き込む。

 

「──タカシ、ラストお願い!」

「わかった、行くぞ!」

 

 コハルにそう言われ俺は、自分へ気合を入れてからサイクロン号からボスの背丈以上を目掛けて跳躍する。しかし、それを妨げようとイルファング・ザ・コボルドロードは、刀を振りかぶって反撃しようとする。

 

「アスナ、俺達も行くぞ!」

「うん!」

 

 ボスの動きを見てキリトとアスナがそれぞれ交互に攻撃をして行く。その剣幕は、他のプレイヤーを凌駕するくらい凄まじい勢いだった。彼らのおかげで俺は、叩き落とされずに済んだ。

 

「今よ!」

「決めろ、タカシ!」

 

 彼らから合図を受け、俺は魂込めて技名を叫んだ。

 

「ライダーキック!」

 

 俺の渾身の一撃は、イルファング・ザ・コボルド・ロードの顔面に見事直撃するとそのまま勢いよく地面へ押し倒してから反転するように後方へと宙返りして着地して奴のHPを睨む。残存しているHPがみるみる減っていき全損となったボスは、消滅した。

 俺の目の前には、「Congratulation」と言う運営からのクリア画面が出現した。この様子を見るとやっと第一層のボスを倒した。 と言う事実が人々を歓喜の渦へと巻き込む。

 

「Congratulation! この勝利はアンタらの物だ」

「やったね、タカシ」

 

 俺の元へエギルやコハルがやってきては声をかけてくれた。俺も無我夢中だったとはいえ、生意気に指示を出したりしてしまって少し恥ずかしさを感じながら表示されている画面をスクロールすると獲得アイテムが表示されていた。

 

「ラストアタックおめでとう!」

「その仮面は、あの時の!?」

 

 少し遅れてキリトが声をかけてくれた。アスナも彼の横にいるが、攻略前と違いフードがなくなっていた。どうやら戦闘時にフードが破損したみたいで素顔が見えていた。よく見るとはじまりの街近くのフィールドにてモンスターに襲われていた女の子だった。

 

「なんでや!」

 

 クリアして大団円と言いたい中、一人の大声が響く。みんな彼の方を見ると膝をつきながらキバオウが怒りの表情でこちらを睨み続けていた。彼の一言により歓喜が一瞬にして静まり返る。

 

「なんで、ディアベルはんを見殺しにしたんや!」

「見殺し?」

「せやろ、ボスの武器が違うの知っとったやないか! それを最初から教えといてくれたらディアベルはんが危なくならずにすんだやないか!」

 

 キバオウの台詞は、明らかに八つ当たりだ。実際にボスが手に持つまでは、誰も刀であるなど知らなかったのだから。それに、キリトや他のプレイヤーと違いそこで事が終わるまで動けなかった人間が偉そうにキリトを問い詰めるその姿に次第と怒りの沸点を超えてしまう。

 

「きっとアイツらも元ベータテスターなんだ、それでラストアタックを独り占めしようと、他にもいるんだろ?」

 

 誰かが煽るように言う。その時、何かプツンと切れる音がした。俺は、その場から跳躍してキバオウたちの目の前の地面を思いっきり殴る。それ驚いたのか、キバオウは尻もちつく様に座り込んでしまう。

 

「な、何すんや」

 

 キバオウの叫び声とともに周囲がざわつく。少し間違えれば、人を傷つけてたのかもしれない。けど、俺の怒りは留まることを知らなかった。

 

「ふざけるなよ、自分たちはそこで見てただけで偉そうに……こっちは、お前らを守りながらボスと最後まで戦ったんだぞ」

 

 彼の胸ぐらをつかみながら俺は、キバオウに語りかける。両腕が震えるぐらい力が入っている手は、加減をひとつ間違えると彼にダメージ判定が出そうなくらい強く握りしめる。

 

「そ、それがなんや! それにアンタにも言わなあかんことがある──なんやその姿は! この力は、まるで化け物やないか!」

 

 彼に化け物と言われた時、沸騰していた怒りが鎮まりふと我に返った。俺は、彼を話して少し距離を取る。

 

「違う! 俺は──ライダー、仮面ライダーだ」

「仮面ライダー……やと!?」

「俺は、ここにいる全てのプレイヤーの自由と平和の為に難攻不落の浮遊城を攻略してやる! だから、アンタらもいつまでもいがみ合いをしないで手を取り合って攻略するべきだ! 俺は、先へ行くから」

 

 俺は、キバオウにそう言うと彼らから背を向けて次の階層へ続く道を歩み出すのだった。仮面越しでも分かるくらい睨みつけたその気迫にやられてしまったプレイヤー達は、腰が抜けて次々に座り込むのだった。

 

 

 

 ◇◇◇

「──ここが第二層か」

 

 階段をのぼり第二層へやってきた。草原がフィールドだった第一層とは、がらりと変わって辺り一面が砂漠のフィールドとなっている。

 

「──困るんですよ、貴方のような贋作者(フェイカー)がいい顔されると」

 

 俺が初めて来たはずだった。コハルやキリト達とも話さずにここまで来た。なのに、後ろから声が聞こえた。振り向こうとした時、足が顔の近くを通り抜ける。俺は、慌ててその場から距離をとる。すると、蜘蛛のような仮面を被った男性がそこに居た。

 

「──いい反応ですね」

「お前は、何者だ?」

「私の名前は、蜘蛛男──偉大なるショッカーにより生まれた最初の改造人間です」

 




いかがでしょうか。
ボスを倒したもつかの間。次の刺客がタカシを襲う。
戦闘続きますがよろしくお願いします!
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