天与の暴君(偽)、王女のヒモになる   作:ツーカーさん

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今作が何故天与の暴君(偽)なのかというと、本物の天与の暴君はちょっと動かし辛いと思ったからです。
タイトル詐欺にもなり兼ねないので、動かしやすい(偽)という事にしました。

例で言うと、最初の魔王軍戦では利益にならないと考え普通に逃げそうなのと。
女神アクアと出会って転生するよう言われても、もうどうでもいいんだ…して天国でも地獄でも好きにしてくれって言いそうだったんで。

どうか、今作のオリ主には王女のヒモっていうおもしれー立場になって頂きたい。

あと、オリ主は何気に思考速度と状況理解速度が速い、彼が今まで出会ってきた女難が関係してます。脳内スーパーコンピュータ完備って事ですね。



騒動

 

 

 「貴様!どうしてここが分かった!?」

 

 (争っていた形跡がある…扉前の騎士がやったんじゃないだろうな。位置的におかしい。この嬢ちゃんが相当なやり手ってこった。もう燃え滓ぐらいしかねぇが、部屋の内装を見るに相当高い身分。単騎で突入してまで殺害する価値があるっつう事は…王族で間違いねぇ)

 

 「俺は鼻が効く。テメェの匂いはあの戦闘中でも濃かったからな。分かりやすかったよ」

 

 「ちぃっ!憶えられていたかっ!」

 

 「それで、やるんだろ?」

 

 「貴様に構っている暇などないわ!こうなれば、王女だけは必ず!!」

 

 「おいおい、焦んなよ」

 

 未だ腕を掴まれたままもがく人間に近い異形の敵。

 既に火達磨の状態だが、構わず炎の中へと投げつける。

 

 「ふおっ!?」

 

 ドゴォッ!

 

 だが、勢い余ったのか壁に激突しその壁が破壊された。

 新しく空気が入ったせいか炎がより激しくなる。

 

 「グフッ!ゲボッ!…くっ、ハァ…ハァ…」

 

 壁の向こう側より這い出てくる異形。炎により体力を奪われていってるのか、既に死に体だ。

 

 (来るのが遅すぎたな…まあいい)

 

 奴を投げ飛ばした拍子に落ちた短剣…こりゃ『天逆鉾』じゃねぇか。

 この世界にもあったのか。

 

 (ただ形が似てる訳じゃないだろう。じゃなけりゃコイツが持っていた『釈魂刀』の説明がつかねぇ。……効果はあると見ていい。何しろ、コイツの周辺にだけ炎が寄ってねぇ。…原作準拠でこの世界に存在するなら……『あらゆる魔法的現象の強制解除』が能力としてある筈だ。つまり、周りの炎は全て魔法によって発生した炎。そして、釈魂刀に関しても、扉の前にあったぱっくりと分けられた綺麗な死体2つ、凄まじい斬れ味から察するに、アレも『硬度を無視した魂への斬撃』…の筈なんだが。アレは魂を知覚してこそ真価を発揮する。彼奴は真価をちゃんと発揮してる様だが…そこのメカニズムがわからねぇ。何故彼奴は魂を知覚できる?……まあ)

 

 「丁度いい。火がうざってぇ」

 

 天逆鉾を掴み、振り回す。

 

 あれ程荒れ狂っていた炎が忽ち鎮火する。

 まるで、親に叱りつけられた子の様に静まり返った。

 先程までの地獄絵図が嘘の様だ。

 

 床から天井に至るまで黒い煤が付着し、煙のみが未だに黙々と上がっている。

 それを目撃した異形は小さく呟いた。

 

 「化け物め…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイリスは泣き出しそうだった。

 

 正に今、本当に死にかけていたのだから。

 ギリギリ止まったが…本気の殺意のこもった刃が首筋に入り込むのを感じた。触れてみれば線状に滲んだ血が手に付く。

 今はただ、安堵の感情が大きく出ているが、思い出せば恐怖により動けなくなってしまうかもしれない。

 

 護衛の騎士2人が殺された瞬間だって、本当ならば叫びたかった。

 だが、泣けなかった。自分はこの国の王族であり、皆を牽引する立場の身。敵を前にして泣き喚くのは、一族にとって恥であると分かっていたから。

 

 その後の戦闘だって初めての経験だった。本気で自分を殺しに来る相手と剣を交わす事なんて…。

 昨年の魔王軍襲撃の際、クレアに我儘を言って前線へと駆り出た時に知ったつもりだった。あの時はただ皆様の役に立ちたいと考えて、無鉄砲ながら参戦していた。 ……これが本物の戦闘だと知ったつもりだった。

 でも今考えれば、まだまだ私は箱入り娘だったという事だろう。自慢の技であるエクステリオンを連発しているうちに魔王軍の軍勢が殆ど壊滅していて、命のやり取りをしているという実感は薄かった。それが今回の油断に繋がってしまった。

 

 (でももう、油断しません…ベルゼルグ・スタイリッシュ・ソード・アイリスの名に懸けて)

 

 そう己に誓いを立てて、前を見据える。

 

 見えるのは大きな背中だった。

 自分がまだ幼いというのもあるだろうが、それでも大きな背中だった。

 

 ((わたくし)を救ってくれた人…何故でしょうか。凄く、安心します…。まるで……)

 

 「丁度いい。火がうざってぇ」

 

 そう言い。彼が短剣を拾い上げる。

 アレは敵が隠し持っていた武器…私のエクステリオンを両断する程強力な効能を持っている…おそらく神器。

 目の前の彼が短剣を…振り回した?んだろうか、あまりに早すぎて肩から先の腕の動きが見えなかった。

 彼から発せられたであろう風圧を感じ、瞬きをする。…その一瞬で、あれほど勢い良く燃えていた炎が全て消えていた。

 

 (すごい!)

 

 私はそれしか感想を出す事が出来なくて、目の前の彼に惹かれていた。

 そして、同時に気づく。

 何故、敵が自傷してまで急ぎ、私を殺そうとしたのか……彼の存在があったからだ。

 

 『私はいずれ死ぬ。お主を殺そうが殺さまいが、確実にな。……自爆した方が最良という訳だ』

 

 背後からこの様な方が来ているとなれば、あの焦り具合にも納得いく。

 私が今まで聞いた冒険譚の中でもこの様な圧倒的な個というのは居なかった…。最低でも皆パーティを組み、知略を持って相手を圧倒していた。この方にはそれが無い。完成された…『個』。

 

 酷く、安心する。

 

 彼なら絶対に守ってくれる。その確信があった。

 出会ったばかりなのに、話してもいないのに、盲目的に信じてしまう。

 

 まるで……

 

 (まるで、お父様みたい)

 

 アイリスは、父と兄とまともに話したことがない。故に求める。甘えられる存在を。

 今、目の前の男は窮地から救ってくれる英雄にも見えるが、それよりも父という存在を幻視した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「化け物め…」

 

 私の最上級の炎を…たったあれだけで…神叛刃ありきとは言えやはりこの男、おかしい。

 

 「お前の炎も消してやったんだ。立てよ。…勝負はこれからだろ?」

 

 「『クリムゾンレーザー』!」

 

 「ッハ!」

 

 不意打ち気味に放った悪魔の光線。

 奴はたった一言、嘲笑ってその熱線を切り裂いた。

 器用にも王女アイリスに当たらぬよう逸らしている。

 

 奴が手を戻す前に…最速で近づき、がら空きとなっている脇腹を刺そうと魂穿刀を握り直す。

 

 「オセェよ。気張れ」

 

 「ぶがぎょっ!?」

 

 最速で奴に近づいた筈なのに、当然のように反応し、蹴りを入れてくる。

 こちらの出せる限りの最高初速だぞ!?何故反応出来る!?

 それに、なんという重さ…!王女の蹴りとは比較にならない!

 

 「ぅごっ!?ぎゃ!?ぶっ!?」

 

 3枚ほどの壁を突き破りながら考える。

 

 (全く!!奴に勝てるビジョンが浮かばない!!どうすればいいというのだ!!)

 

 勢いも弱まり、姿勢を自由に動かせる状態となった瞬間、吹き飛ばされた姿勢から反転し、壁に足をつける。

 煙の舞っている今ならば、奴の不意をつけるやもしれん。

 

 「『フレイム……」

 

 「気づかねぇ訳ねぇだろ」

 

 「いつのま…グゥ!?」

 

 バキッ!と鳴ってはならない音が頬から響く。

 

 地面に激突した際、身体中のあちこちから鳴ってはならない音がする。

 

 「匂いでお前を追ってきたんだ。この程度の目くらましで騙せると思ったか?」

 

 「ぬっ…ぅ…『フラッシュ』!」

 

 諸に食らったな!?今ならばっっ…!

 魂穿刀に全霊の力を込めて男の首へと振るう。

 

 「ッ!!!!」

 

 すかっ

 

 「!?!?」

 

 男は目を瞑り視界に何も映らずにいる筈なのに、当然のように躱す。

 あり得ない。一体なんだと言うんだ貴様は!!

 匂いで私の位置を把握しても、切る位置までは特定できない筈だろう!?

 

 「っご!?」

 

 困惑で硬直しているうちに、奴の蹴りが腹に入り込み、また吹き飛ばされる。

 吹き飛ばされる最中、胃の中が空っぽになる程異物を吐き散らした。

 またもや、石材の壁を3枚も割り尋常でない痛みが私の身体を襲う。

 どうやら元の王女の部屋へと戻った様だ。

 

 

 「ぅぐぅ…ごぅぅ…」

 

 痛みにより、蹲る。まともに立てない。立ち上がろうとすると、勝手に体がふらつく。

 

 「ゴボェ……グォエ…」

 

 ビチャベチャ

 

 胃から血が迫り、吐き出される。あれ程の威力の蹴りを二度も食らったのだ。当然の被害だった。

 

 コツ…コツ…コツ…

 

 その様な状態だろうと、相手は無慈悲に迫り寄る。

 処刑人の足音だと錯覚してしまうのは無理ないだろう。

 

 あの音が近づいてくると知ると、体が驚く程俊敏に動く…恐怖しているのだ。体が…あの男のことを。

 距離を取るが無理をしたのが災いして、また血を吐く。

 

 「ごぼぇ…おぇ…!」

 

 汚らしい水音が辺りに響き、視界が紫に染まる。

 足音も止まっている事から、奴はもう既に目の前にいるのだろう。

 

 「ハァッ…!ハァッ…!ハァッ…!」

 

 (たった3発でこれかっ!!この男の驚異的な身体能力は言わずもがな…!!!視界を潰したとしても正確に此方を捉える異常な感知能力!全く気取られぬ様動く歩法!拾った武器でさえすぐに己が手の様に扱う技量!それらを十全に扱う判断能力!!…貴様は…!)

 

 「貴様は逆に、何を持ち得ないのだ!!」

 

 「全てだろ」

 

 「!?」

 

 こちらに一歩…踏み出したと思ったら既に目の前にいた男に驚愕し…すぐに反撃の魔法を繰り出そうと…腕を前に構え……な!?

 

 突き出した腕は視認が出来ないほど、いつのまにか細切れにされていた。

 

 それを認識した瞬間、世界が遅くなった様に感じる。

 

 男の顔を見上げると獰猛な笑みを浮かべて、神叛刃を振りかぶ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 細切れになった異形は血を弾けさせこの世から消えた。

 

 (遊びすぎたな。少し耐久度のあるサンドバッグにしかならなかった。…ん?)

 

 横を見れば未だ此方を窺うような視線を向ける少女。

 

 (伏黒甚爾ならどうする?)

 

 それを考えた結果、すぐに思い浮かぶ。

 厄介事からは逃げる人だ。己の信条を曲げない限りは。

 

 (王族絡みの面倒ごと…まあ、関わるのは御免だね)

 

 そのまま背を向け、立ち去ろうとする。勿論、釈魂刀は回収済みだ。

 頭の中での伏黒甚爾がハイお疲れ。退散退散。とリズム良く言っている姿が想像つく。

 

 (シンデレラみたいに探されるのも面倒だ。さっさと他の街にでも行くか)

 

 すたすたと足を動かす中、少女の方から驚きの発言をしてきた。

 

 「ま、待ってください!…お父様!!

 

 「………は?

 

 突然、お父様と呼ばれ、腰に抱きつかれる。淘悉は頭の中が?でいっぱいになった。

 流石の淘悉としてもこの展開は読めなかった。

 

 

 

 

 そのまま数秒程停止した後だろうか。

 

 慌ただしい足音と共に金髪の身なりの整えた女が部屋に入ってきた。

 

 

 「アイリス様ッ!!!ご無事で………なんだ貴様ァァァァァァァァ!!!」

 

 「あっ!違うの!待ってクレア!!」

 

 

 マジかっ。

 




ヤッタネカズマさん!(未来の)家族が増えるよ!
お兄様!とカズマを慕うアイリス、2人を見ながら微笑むパパ黒……いいですね。多分、ウチの娘に何かしたら分かってるんだろうな?っていう意味の視線を向けてるんですよ。それに、カズマは冷や汗垂らしながらアイリスと付き合うんです。(存在しない記憶)

絵面的に、娘から金借りてギャンブルするお父さんになっちゃうねここのパパ黒。
…でも、ワンチャンやりそうなラインだなぁ〜って思うんですよ。なんせ、パパ黒ですから。

一応、このすば作品中においてもアイリスって味方陣営に於いて最強枠なんですよね。
スキル縛りをしていたとはいえ、オグリッドさんは頑張った方やで。……本当に漏湖みたいだな。(不憫な強キャラ枠)

というか、このすばってギャグ風味の世界観に紛れて、魔王側の設定って結構ガチですよね。

ベルディア

単純に強い。本物の女神の破魔魔法を連続で食らっても戦闘が継続可能。チート殺しの異名通り、理不尽な相手には理不尽をぶつける如く『1週間後の確定死』、女神級じゃないと解呪不可能。

バニル

魔王よりも実力が上と自称(本当の可能性の方が高い)。未来視やら思考を読むことができるので、基本的に敵う存在が居ない。人間側で実力上位である筈のミツルギなんたらさんも飄々と煽られ遊ばれていた。神々と戦争していた実績がある。人間だと即死するバニル式殺人光線があるが、本人が人間を絶対に殺さない信条をしているので、ムカつく以外無害。(同じ様な公爵級大悪魔はあと7体いる模様)

ウィズ

このすば世界において、ウォルバクやキールくらいしか同等の魔法使いは居ないんじゃないかなって(見てる限り)。魔法のエキスパートであり、爆裂魔法も扱える。成長途中とはいえ、爆裂魔法に極振りしていためぐみんの火力を上回る性能。魔力も相手からドレインタッチすれば回復できるし、見るだけで相手を石にすることも可能。触れるだけで様々なデバフを付与したり、アンデッドに変えることも可能。リッチーの身体故に物理無効を持っていて、あらゆる属性耐性が高い。女神とギャグが無ければ勝てないと思ってる。

ウォルバク

半分の力で人類側を追い込むことの出来る邪神。爆裂魔法とテレポートを併用して扱い、作戦能力も長けてる。完全な神スペックだとすれば…信仰心の量にもよるけど、アクアでさえ作中最強クラスのスペック()()は誇るので、強いに違いない。というか、普通に爆裂魔法扱えてる事から、魔法に精通してる事は確定。

ハンス

触れるだけで死ぬ。物理と魔法防御性能もスライム故に高い。本人の体積量がとてつもなくデカイので爆裂魔法所持者と高度な氷魔法使いが居なければ勝てる可能性は限りなく低い。…カズマさん達本当にすげー。

シルビア

相手が悪いだけで、魔法にとって高い耐性を持っている。物理耐性は勿論、本人の戦闘能力もキメラ故にか高い。魔術師殺しと融合した場合更に性能が上がる。というか、魔法では爆裂魔法ですら軽傷しか与えられない耐久力になる。
レールガン擬き様様な件。

セレスディナ

ダメージがそのまま返ってくるという搦め手重視。しかも殺すと大厄災が町単位で起こるという厄介者。借りを作る事で相手の支配が可能、本人の人間への理解が深いため、擬態能力も高く、長い時間はかかるが町の支配は容易。強くはないが、ただただ厄介。自己回復も僧侶職なので可能。本当に厄介。…が、その更に上を行く厄介さがカズマさんにあった模様。



しかも、この魔王軍幹部を倒して終わりではなく、ウィズすら上回る『世界最強の魔法使い』が魔王城の門番で居るわけですし、アイリスと張り合ってた魔王の娘も居ますし……ハード過ぎませんかねこの世界。

まあその分、紅魔族だったり、アクシズ教だったり、王族だったり、世界のバグが生まれているから調和を保っているんでしょうけど。

いやー、チート転生させたくもなりますよね神様も。


あと、個人的に気になったのでアンケートをば…いや本編には全然関係ないんですよ?本当に関係ないんですけどね。()

あ、因みに私の好きな魔王軍幹部はウォルバクですね。はい。アルカンレティアの影響が大きいですね。いや何処がとは言わずとも大きいですね。

貴方の好きな魔王軍幹部を教えてください

  • ベルディア
  • バニル
  • ウィズ
  • ウォルバク
  • ハンス
  • シルビア
  • セレスディナ
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