天与の暴君(偽)、王女のヒモになる   作:ツーカーさん

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突然、この小説を書いてる時に閃いたんですよ。

『ブルアカ世界でヘイローが八握剣異戒神将魔虚羅の法陣になっている生徒がいる話』

本当にパッと思いついたんで、詳しい構想なんて練ってないんですけどね。

誰か描いてくれないかな…。本当にネタは好きに使っていいから誰か描いてくれないかな。超気になる。

私はこの作品で手一杯なんでね。いや、本当に切実に。

※既にその様な作品があることを教えてもらいました。教えてくれた方々ありがとうございます!!

日間ランキングに載るって凄まじい効果なんですね…UAがすごい山になってる。

あと、投稿遅れてすみませんでした。書いてる途中に寝落ちしました。

1月16日21:04 うわっ。初めて評価バー満タンになった!嬉しい!オレンジバーは逆になんか安心する。評価してくれた皆様ありがとうございます!


茶番

 

 この城のメイドに応接室らしき場所へと案内された後、待機が言い渡された。素直に菓子でも食いながら待つこと30分。

 扉が開き、クレア(ロリコン)とさっき助けた嬢ちゃん(アイリス)。そして、アイリスの付き人兼教育係のレインと会談する運びとなった。

 

 「先程は失礼した」

 

 キリッとした顔で真正面からそう謝られても、つい先程晒した醜態(ロリコンぶり)は消えない。今でも『どけっ!離さんか貴様ら!私はお姉ちゃんだぞっ!!』とお付きの騎士に抑え込まれながら暴れる姿は記憶に新しい。

 確認を取ってみると、お姉ちゃんでは無かった。

 

 「まさかアイリス様の命を救った方だとは思っていなかったのだ。すまない」

 

 「俺の目的がアイツだっただけで、ここの嬢ちゃんを救ったのはついでだ。ついで」

 

 「ムッ…。幾らアイリス様をお救いになられた恩人とはいえ、平民如きが『嬢ちゃん』などと口にして良い様な存在ではないのですが?」

 

 「よしなさいクレア!この方は私の命を救ってくれた恩人です!どう私を呼ぼうと構いません」

 

 一瞬、不穏な空気が迸るが、アイリスが潤滑剤となり話は正規の方向へと戻る。

 隣で事を見守っているレインは気が気でない。

 

 「コホン…失礼。貴殿の活躍は我々が保有する騎士団の団長殿からも聞いている。何でも、今回の魔王軍襲撃の迎撃は貴殿が殆どやったんだとか」

 

 「あぁ、魔王軍の連中は俺が殺した」

 

 返答しながら淘悉は思い出していた。あのハイになっていた瞬間の事を。

 当時は何と呼称していいか分からず、異形の存在として『異形』と読んでいたが、魔王軍の所有する軍勢だと分かり、『魔物』と称する事にした。

 

 「だが、俄かには信じ難い。我々の信頼を置く騎士団長のお言葉と言っても、今回の貴殿が仕出かした所業は荒唐無稽過ぎる。視界を埋め尽くす程の魔物の軍勢をものの20分で全滅させ、短時間の内にこの城へとたどり着き、推定上位悪魔のオグリッドという軍の指揮官まで殺している。…はっきり言って異常だ」

 

 「で?言いたいことは何だよ」

 

 「恩人に対して言うことではないが、我々は疑っている。貴殿が人なのかどうか」

 

 クレアとしては真剣に聞いたつもりだったのだが、目の前の男はそれを短く笑って一蹴した。

 

 「ハッ。魔力を持たない奴が人間じゃないとすりゃ、俺は人間じゃねぇな」

 

 「…どういう事だ?」

 

 「そっちのレインって言ったか?お前は気づいてんだろ」

 

 「……はい。そう…ですね。なんと言いましょうか、クレア様、アイリス様。この方には…魔力がありません。たった一雫も」

 

 「なに?」

 

 「それは本当ですか?」

 

 「はい。本来であれば、大なり小なり人には魔力というものが備え付けられています。…しかし、この方には全くそれが感じられません。……正直に言うと、不気味です」

 

 嘘は言っていない…。

 クレアは懐に隠してある嘘をつくと音が出る魔道具に触れながら、目の前の男を凝視する。

 魔力が全くないとは、また不気味な要素が出てきた。

 

 そのお陰で、魔力の塊の様な存在である悪魔や精霊、アンデットの様な存在でない事が分かった。一先ず人外ではない。だが、人としては逸脱し過ぎている。…これは慎重に決めなければならない。この男の処遇を。

 

 少しばかしの沈黙が流れ、クレアから問う。

 

 「そういえば、貴殿の名を聞いていなかったな」

 

 「お前のせいで大分ゴタゴタしたからな」

 

 クレアは自身の額に青筋が浮かんでくるのを感じながら、男の言葉を飲み込み…少し不器用な笑顔を作りながら回答を待った。

 

 「俺の名前は……」

 

 (今世の俺は伏黒甚爾に成り切る事に決めた。…だがそれは名前を偽ってもいい程か?正直、俺の様な存在が伏黒甚爾を名乗るには烏滸がましい気持ちの方が大きい。だが、だからと言って、この姿で祁答院淘悉を名乗るのは憚られる……。いや、答えは決まっているか。…今は祁答院じゃねぇ)

 

 「伏黒だ」

 

 「フシグロ?それはファミリーネームか?出来ればファーストネームも教えてほしいが…」

 

 「伏黒甚爾。どうだ満足したか?」

 

 ニヒルな笑みを浮かべて、伏黒甚爾は己の存在を再確認した。

 

 「フシグロトウジ殿…か」

 

 (名前に嘘はないな…。それに、この名前の系列は極東から訪れるニホンジンで間違いない)

 

 クレアはレインへと目を向けると、彼女はそれに黙って頷いた。

 彼女もこの男の出生場所は判別ついたらしい。

 

 クレアの知らぬところであるが、嘘を見抜く魔道具は嘘をついた際に発生する対象の体内の魔力の波長のズレを読み取り音を鳴らしている。魔力の全くない伏黒甚爾には全く意味のない代物になるのである。

 

 「トウジ殿は魔王軍襲撃時、突如として戦場に現れたと聞き及んでいる。一体どうしてそんな場所へ?」

 

 「無理やり放り出されてな。気づけばあそこだった」

 

 「無理やり?何故その様な事態になったんだ?」

 

 「…俺の家にゃクソみたいな家訓があってな。魔法の扱えない人間は人として扱われねぇ。そんな家で生まれた俺は、まさにゴミ同然の扱いを受ける訳だ。飯は碌に食えねぇ、そこに居るだけで邪魔だとぶん殴られる。魔力がねぇ人間なんて不気味だったからな。早めに死ぬよう、よく魔物の巣窟へ投げ捨てられた。ま、そんな親の苦労虚しくむざむざと生き残っているわけだがな。今も」

 

 魔道具は鳴らない。

 

 3人は絶句する。この男の壮絶な経歴について。そして、この男の底知れない強さの一端を垣間見たような気がした。

 

 だが悲しきかな。実際に男はそんな目に遭っていない。あくまで伏黒甚爾を再現する為に、似たような設定を言い、整合性を取っているだけである。…魔道具は悪くない。女神に魔力0を発注した淘悉が悪い。

 

 

 「今回の参戦も…ただの偶然だったというわけか…」

 

 「おそらくランダムテレポートか、ミミックテレポートを使われたのでしょう…フシグロですか…聞いたこともない家名ですが…なんて非道な…」

 

 (伏黒じゃなくて禪院なんだが…まあ、この説明はいいか。修正するのもめんどそうだ)

 

 「その…おとう……トウジ様は辛くなかったのですか?」

 

 「あ?…辛かったか…ねぇ。どうでも良かったな」

 

 「ど、どうでもいいですか?」

 

 「居心地は最悪だったが、そんだけだな」

 

 「その…強いんですね。おとうさ……トウジ様は」

 

 「あの、アイリス様?先程から何を言いかけていらっしゃるんですか?」

 

 「あ、いえ。な、なんでもありません!」

 

 顔を紅潮させてパタパタと慌てるアイリス。

 その姿を可愛いと思い、クレアは『アイリス様の可愛い瞬間脳内保存フォルダ』にしまっておく。

 

 「ふむ…分かった。其方も苦労した事だろう」

 

 「別に苦労なんて程じゃねぇよ」

 

 「素直に受け取っておけ。それで…魔王軍との戦いに参戦してくれたのは良いのだが、何故わざわざ殲滅まで持っていったのだ?突然その様な状況になった場合、逃げるのも手だと思うが…」

 

 「………」

 

 淘悉は確かに……と、己の行動を恥じていた。

 先程自分でも思ったばかりではないか、『伏黒甚爾は利益にならないことなら逃げる』と。

 五条悟と戦ったのは、己を曲げてしまったからだ。基本的に彼は自分よりも強い相手だと思う者には躊躇なく逃げる…まして、訳もわからず敵陣に放り込まれれば、いの一番にその場から離れる事だろう。

 

 ……いくらハイになったとはいえ、情けない。成り切ると誓ったばかりでこの体たらく…。

 

 「トウジ殿?」

 

 「あぁ…」

 

 「急に歯切れが悪くなったのだが…どうしたんだ?」

 

 「いや、何でもねぇ。……ただ、今回はムカついてただけだ」

 

 「まあ…突然その様な場所に放り出されれば苛立ちもするだろうな…貴殿なら。…普通は恐怖する場なんだが」

 

 幼い頃からの虐待に育児放棄か…この様な感性になるのも頷ける。

 この様な態度になるのも無理はないか…。

 今回の件でこの男は完全に家から捨てられたと見える。魔王軍が襲撃している真っ只中に武器も何も持っていない者が転移させられるなど…他殺行為以外の何ものでもないからな。

 

 だが、ムカついてやったならば、疑惑が出る。

 

 「今回の貴殿の行動には我等としても大変感謝はしている。感謝はしているのだが…何故城にまで来てオグリッドを討伐しに?」

 

 ムカついてやったのならば、その場にいた魔物どもを全滅させたところで収まるものだろう。態々、王城まで出向いて、オグリッドを殺した意味が…この男にあるのだろうか?…我々への恩を売りに?確かに、多大な恩情を抱いているが…打算込みだとしても、当然の褒賞は与えるべきだろうとは考えている。

 

 私の疑問をまたも一蹴し、男は告げる。

 

 「気まぐれだ」

 

 「…気まぐれ?」

 

 「俺が殺し損ねた奴が2体いた。ただの気まぐれで、こっちの方に行った奴を殺しに来た」

 

 「それで、私を助けて下さったのですね!」

 

 「そういうこった。出会い頭に女の生首を見る趣味は無かったんでな」

 

 「そうか…」

 

 魔道具は鳴らない。

 

 本当に、この男は気まぐれで国を救ったのだ。

 口調は粗雑で、貴族に対する礼儀もなってないが、それも今回は特別に不問にしてやろう。

 なにせ、この男が居なければ、この国の王女が暗殺されるという一大事件が起こったのだから。

 もし、事件が発生していればアイリス様の父上の心労も計り知れなく、最前線の戦況がどういった風になるかなど目に見えていた。

 

 頭が上がらんな。

 

 最後に至極当然な質問へと収束する。

 

 「貴殿のその並外れた身体能力はアイリス様からも騎士団長からもお伺いしている。…何故その様な力を持ったのか聞いても?」

 

 「俺の身体についてか?まあ、別に隠すことでもねぇからな。要は、こりゃ『呪い』だ」

 

 「の、呪い?」

 

 てっきり、天から与えられた祝福かと思っていたクレアは鳩が豆鉄砲を食ったような顔になる。

 

 「俺は魔力を完全に失う代わりに、超人的な身体能力と五感を得ている。天から与えられた呪いと、その代価だ。名付けるなら『天与呪縛(フィジカルギフテッド)』って所か?」

 

 ……女神エリスよ。この男に…少しだけの幸運を恵んでやってはくれませんか…。

 クレアはそう思わざるをえなかった。

 

 望んでもいない魔力の完全喪失…生まれた家系もその代価も全くもって噛み合っていない。

 もしこの男の運命を神が操っているのなら、それは邪神に違いない。

 

 この場にいる甚爾以外の心理は概ね同じであった。

 

 

 

 

 

 

 唯一、報われない点があるとすれば、この男は自ら魔力を0にしたし、そんな壮絶な過去を歩んでいない。

 この男は、伏黒甚爾という人間をこの世界に刻み込もうと、じっくりとバックストーリーを作り上げているだけだ。

 

 因みに、内心では。

 

 (伏黒甚爾という男がどんな男なのか、皆に知ってもらいたい…)

 

 という、憧れの存在の布教に近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「すまない。我々は貴殿の事を疑っていた」

 

 懐から嘘を見抜く魔道具を取り出し、彼の前に置く。

 

 「この魔道具で貴殿の供述の真偽を図っていたのだ。恩人に対し、無礼を働いた。本当にすまなかった」

 

 シンフォニア家の令嬢が平民に対し、頭を下げる。

 この行為がどれ程重大か、目の前の男には分からないだろう。そもそも身分も知らなそうだ。

 だが、これ程の誠意を向けるだけの偉業を成し遂げたのだ。この男は。

 

 「クレア様!そこまでしなくとも…」

 

 「いいんだ。我々はこの国を救って下さった英雄に無礼を働いた。それは紛れもない事実だ」

 

 「英雄なんてガラじゃねぇよ」

 

 「貴殿がそう言っても英雄は英雄。今宵は魔王軍襲撃を凌いだ祝勝会があるのだ。是非、参加して貰いたい」

 

 「…タダ飯食えるなら遠慮なく貰うぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 驚異的な身体能力を誇っている伏黒甚爾だが、どこぞの戦闘民族らしく大食いという訳ではない。

 

 寧ろ、最も常人らしい機能といえば胃袋の大きさではなかろうか。

 

 魔王軍襲撃を凌いだ勇気ある者たちへの激励の為の祝勝会。そこで振舞われる食材は、どれも強力なモンスターからしか取れない高級品ばかり、ここが魔王軍との戦争の最前線ならではの恩恵だ。

 

 ゆっくりと一人で食事を楽しみたい趣味を持ちながら、少し雑音が聞こえるくらいが丁度いいとも考えている淘悉は、こういったパーティが苦手である。だが、まだ一文無しというのも事実なので、今日はタダ飯を食おうと参加したわけ…だが……。

 

 「貴殿が噂の伏黒甚爾殿ですか!いやはや、噂に違わぬ偉丈夫ですな!」

 

 「魔王軍の奴らも形無しですな!たった一人の男に軍が負けるなど!ハッハッハ!」

 

 「これで我らがベルゼルグも安泰でしょう!」

 

 (……厄介だな)

 

 貴族の対応に手を焼いていた。

 最初はまあ適当に流して返事を行なっていたのだが…途中から面倒になって頭を振って軽く反応するだけだ、ほとんど無視と言ってもいい。だが無視を決め込んでいるというのに、この貴族達は全く意に返さない。反応を悪くして早く散ってもらおうとしているのだが、全くこの貴族達は己を褒めるのをやめない。

 少し経つと周りが貴族だらけになり、行く先が無くなってしまう。正直言ってストレスである。

 

 「おおっと!申し訳ない。邪魔をしていた様ですな」

 

 せめてもの救いはこうやって道を開けてくれる事だろうか。

 肉を取れば聞いてもいないのに、どこの肉のどの部位で…と肉の解説をし出し、野菜を取れば、どこ産の高級なもので…だとか自分のことの様に自慢する。

 果たして貴族とは、何処の馬の骨とも知らない根無し草の男にこんな媚びへつらう様なものだったか。

 お目が高い!と口々に賞賛してくる姿は、俗っぽく見えた。

 

 

 

 

 漸く撒いて、会場の端に腰を下ろした。

 

 「何処のお偉いさんも全員馬鹿しかいねぇのか…」

 

 「そんな事ないと思いますよ?」

 

 自身のつぶやきに反応を示してくるのは聞き慣れた声の人物だった。

 

 「レインか…アイリス嬢の護衛はしなくていいのか?」

 

 「それはクレア様が担ってくださいましたから」

 

 「…それで?また貴族様が俺に何の用だよ。また食ってる肉の解説でもしてくれるのか?」

 

 「そんな事しません。ただ、ちょっと貴方に興味が湧いたので」

 

 「俺に興味ねぇ…話す事は全部話したと思うが?」

 

 「貴方の実家について、聞かせてくれませんか?」

 

 「俺の実家?」

 

 「話したくないならそれでもいいです。思い出すのは辛いでしょうし…」

 

 「話したくねぇな。彼奴らのことを喋ってたら舌が腐る」

 

 「そう…ですか。…じゃあ、代わりに、私とお話ししてくれませんか?」

 

 「喋ることあったか?」

 

 「ありますよ。お互いの趣味とか、好きな食べ物とか」

 

 「ギャンブル、肉とモツ」

 

 「トウジ様、さてはあまり会話を長引かせるの得意じゃありませんね?」

 

 「じゃあどういう風に言えば良いんだよ。それ以上に必要な情報あるか?」

 

 「それでは試しに私に聞いてみてください」

 

 「……お前の趣味は?」

 

 「私の趣味は魔法の研究と魔道書を読む事です。最近では、新たな光魔法の体現に理論を詰めておりまして、漸く形になりつつある所なんです。これがもし形になれば、冒険者協会と魔法使い協会の2つに働きかけて正式な新魔法として採用してもらおうと思っているんです。因みに、効果はどの様なものかというと……」

 

 「分かった。分かったよ」

 

 「まだ半分も話していないのですが…」

 

 「十分にお前がお喋りが得意なのは分かった」

 

 「それでは、トウジ様に聞く番ですね。貴方のご趣味は?」

 

 「…またかよ。……俺の趣味はギャンブルだ。競馬とか競艇とかのな。勝敗は聞くなよ?…なんだよその目は」

 

 「先程もどうかと思ったんですが…ギャンブルはダメですよ。『ケイバ』も『キョウテイ』も知らないですが…」

 

 「要は、どの馬が一番早く走れるのか競うんだよ。競艇はそれを乗り物に変えた感じだ。…つうか、誰がどんな趣味を持ったって関係ねぇだろ」

 

 「それはそうですが…身を壊しますよ」

 

 「ほー。出会ったばかりの得体の知れない男に随分と献身的だな。貴族の娘ってのはそんなもんなのか?」

 

 「全てが全てそうとはとても言い切れませんが…私の家は他の貴族よりもとても小さいもので、そこまでお高く止まっているつもりはありません。貴方に献身的というのは……まあ、否定しません。事情を知らなかったとは言え、あけすけと貴方を否定したので…」

 

 (あぁ、魔力が0なのを不気味と言った件か)

 

 「別に気にしてねぇよ。今更」

 

 「貴方は本当に強いですね…」

 

 「強さ関係あるか?」

 

 「ありますよ。心の」

 

 ここで一旦、会話が途切れる。

 よく続いた方だなとは思っていた。

 口もそろそろ寂しく思ったので、肉に齧り付き咀嚼する。

 異世界の肉もそんなに悪くない。化学調味料を使っていた現代の力も凄まじいと感じるが、こちらは元々の素材がいいのか、肉本来の味が出ている。一体なんの肉だったかは忘れたが、また今度似たような物を見かけたらまた食おうと思った。

 不意にレインの方からまた話しかける。

 

 「トウジ様、実は折り入ってお話があるのですが…」

 

 「一体なんだよ」

 

 「これはアイリス様からのご提案で、クレア様も了承した事項なのですが…アイリス様専属の『近衛騎士』になって頂けませんか?」

 

 「近衛騎士だぁ?」

 

 「はい。騎士団長からの推薦もあり、貴方の様な特出した能力のある者が冒険者であるのは勿体無いらしく、王都防衛の際の力添えをしてもらいたいとの事です。貴方にはこの国きっての一大事を治めた実績も実力もあります」

 

 「俺がねぇ…」

 

 「どうでしょうか。勿論、待遇も最上級のものですし、有事の際の特別褒賞も用意しています」

 

 「俺がお行儀よく隊列組んで剣を振るう様に見えるか?」

 

 「……とてもではないですが、見えないですね」

 

 「なら…」

 

 「はい。なので、貴方は『近衛騎士』の中でも更に()()()()として『アイリス様専属の近衛騎士兼自立遊撃騎士』となりました」

 

 「つまりそれはどういった立場だ?」

 

 「基本的にアイリス様の側にいる事は前提条件ですが、それも絶対ではありません。代わりの騎士を護衛に付けてくだされば問題ないですし。自由に城を出歩いて構いません。ただし、宝物庫や食料庫など、重要な部分には入室禁止です。それに、魔王軍襲撃の際には必ず参加してもらいます。本当に、本当に特別な処置なんですよ?貴方という逸脱した力を持つ者にとっての処遇です」

 

 「またこの城に魔王軍が入ったらどうするつもりだ?アイリス嬢は命を狙われてる身だろ?」

 

 「貴方は匂いで相手を追跡できる程嗅覚が優れているのでしょう?あの戦乱の中、正確に生き残り2人の行方を掴めたんですから」

 

 「俺頼みかよ」

 

 「まあ、王城の結界が破られたのは今現在貴方の所持している神器のせいでもありますから…早々にないと思いますよ?」

 

 「楽観的だな。お前ら」

 

 「それ程構える事柄も多くないという事です」

 

 「……まあ、いいぜ。受けてやるよその依頼」

 

 「ありがとうございます。それでは私はアイリス様に貴方の返事をお伝えしてきますので…」

 

 一礼をしてレインは去った。

 その背中を見ながら考える。

 

 

 (だけど、これって実質王女(幼女)から給金を貰う形になるよな……まぁいいか、その(ヒモ)ムーブもバッチリだぜ)

 

 





嘘を見抜く魔道具を取り出された時の淘悉の心情。

(……なんで鳴らなかったんだ?思いっきり嘘ついてたぞ…。まさか、この体の情報が伏黒甚爾だからか?…いや、俺はただ皮と身体能力、戦闘センスを貰っただけの筈だ…。魔力が0に関しても後付けもいい所だ。確実に祁答院淘悉についての話をしなければ鳴る筈なのに……本当に…どうしてだ?…しかし、そんな魔道具があるとは知らなかったとはいえ、王族に対し嘘を貫き通したからな…この設定は一生続けていこう…そういう縛りを結ぼう)(結べない)

とかなり困惑してる。


これで一応完結一歩手前()です。ヒモになれたので。

あとはヒモとして生活する日々とカズマ一行が王女様に会うことで始まる動乱を書くことに余生を費やします。

ここまで見てって下さった方々、ありがとうございました。ここからは不定期更新に入ります。


いいネタとして思いついたのは。

クレア「トウジの大馬鹿者は何処へ行ったぁぁぁ!!?」

レイン「あ、アクセルの街で気になった少年の稽古をしに行くと……」

アイリス「お父様…相変わらずですね…」

なんていう、こち亀のオチを思いつきました。こんな情景が早く見れると…いいな。


あと、カズマとアイリスが入れ替わった時

甚爾くん「確かに俺の目と鼻はアイリスの身体だと言っている。だが俺の魂がそれを否定してんだよ。さっさと答えろ。テメェ誰だよ。ウチの娘に何をした!!」

カズマ(アイリスの身体)「キッショ…なんで分かるんだよ…」

(まだ存在しない記憶)
というパロもできるわけですか。

今後、伏黒甚爾に持たせたい神器(特級呪具)

  • 游雲
  • 万里の鎖
  • アイテムボックス的なの(格納呪霊)
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