―異質― 日本国の有事防衛組織、その異世界を掻き回す重金奏《激突の編》   作:えぴっくにごつ

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超悪ふざけしまくり。


4-11:「力こそパワー」

「――俺様を、俺様の船団をここまでコケにしやがってぇ……生きて帰れると思うなぁ、虫けらぁッ!!」

 

 己に屈辱を与えた相手を屠るべく、デュオウはその犬歯を剥き出しにして唸り上げ。そして宙空を飛ぶ異質な船に向けて、振るい上げた巨大剣を振り下ろした。

 薙ぎ降ろされた巨大剣は、その動きで比類なき衝撃を生み出し、それは空を飛ぶ船を真っ二つに裂いて墜とすであろう。デュオウはそれを信じて疑わなかった。

 

「――っ゛ぅ!?」

 

 しかし――それは幻想へと終わった。

 振り下ろされた巨大剣は、しかし薙がれ切って衝撃を生み出すよりも前に。主であるデュオウの意思に反して動きをと突然に止めたのだ。それは、まるで何かに引っ掛かり阻害されたかのような感覚。

 

「な、なん……――っ!!?」

 

 一転して困惑の感情に巻かれながら、デュオウは以上の原因を求め、視線を甲板上に降ろし――

 

 ――そして、衝撃的な光景を見た。

 

 デュオウのすぐ目の前に在り、映ったのは一人の人影。

 姿格好はそれまでデュオウを囲っていた者等と同様の、濃い青色を基調とした異質な服装。しかし、筋肉をふんだんに宿すその巨大な体躯が、その服装の上からでもありありと分かる。

 いや、今はそんな事はどうでも良かった。問題は、そのデュオウの前の人物の見せる行動。

 

 

 ――その存在は、翳した片手のそれも指先。人差し指と中指のみで、巨大剣を受け止め阻害していたのだ。

 まるで紙でも摘まみ支えるように。

 

 

「――ゴゴゴ、させん」

 

 何か怪しく、自身の口で効果音を表現すると同時に。そんな阻止の意思を露わにする一言を紡ぐその存在。

 最早言わずもがな。その正体は、先任兵長の存所だ。

 

 存所は笹植等の向かった後甲板で発生した異常事態に気付き、前甲板からの船内進入を中断。この場に駆け付け、そして見事に危機一髪の所でデュオウの一撃を阻止して見せたのだ。

 

 そして、何tあるかも知れぬデュオウの巨大剣を受け止めたその姿には――何のトリックも無い。

 それは存所がその身に備える、超常的なまでの〝筋肉〟が成して見せたパワーの御業。

 筋肉は、全てを解決するのだ。

 

「なん、で……動かねぇ……ッ!?」

 

 その一方。デュオウはまるで予測していなかった事態に狼狽を見せながらも、止められた愛用の巨大剣を引き戻すべく、懸命にその腕を捻り動かしていた。

 しかし、存所が受け止め捕まえる巨大剣はビクともしない。

 巨大剣を操るデュオウの、その勇者の力を源とする腕力もまた人間離れしたものであるのだが。しかしそれを持ってしても、存所の筋肉の力を崩す事は到底叶わぬ域であったのだ。

 

「舐め……やがってぇッ!」

 

 痺れを切らしたのか、デュオウは巨大剣の柄を捨てるように放す。そして甲板を踏み切り、目の前の存所に向かって飛び出した。さらに腰に下げていたカトラスのような剣を抜剣、それをもって存所を襲撃する腹積もりであろう。

 そして直後には存所の懐へと肉薄し。振りかぶっていたその剣を、存所目掛けて振り下ろした――

 

 ――しかし。

 

 デュオウの振り下ろした剣は、虚しく空を切った。

 

「――はっ?」

 

 目を剥き思わず声を漏らすデュオウ。それも無理はない、つい今まで目の前にいたはずの、巨体の敵を見失っていたのだ。

 では、どこに行った。その答えは、横を見ればあった。

 

「ゴゴ――」

 

 存所の姿がデュオウの真横に在り、空を切り姿勢を崩したデュオウを見降ろしている。

 存所は自身の身を半歩捻り引き、紙一重のそれでデュオウの太刀を回避して見せたのだ。

 

「愚か者さんが――そこは筋肉の間合いだ――!!」

 

 その存所から、そんな一言が発せられる。

 そして片腕には、デュオウの放棄した巨大剣が持ち構えられている。そして――

 

「――ギョォっ!?」

 

 杭のように叩き下ろされた巨大剣の、その柄の先が。がら空きであったデュオウの背中へと綺麗なまでに墜ちた。

 そのまま巨大剣の柄はデュオウを押し潰し、甲板へと叩きつける。

 だが、そこでまだ止まらなかった。

 存所の筋肉を持っての一撃はあまりに巨大であり、デュオウが叩きつけられた一点で――

 ドォッ――と。

 凄まじい衝撃が発生。

 その一点を起点に、後甲板の四方八方へ巨大な亀裂が産まれ走り、さらには船尾楼設備を中心に戦列艦全体に破損損傷が広がっていく。

 

「ッゥ――先任兵長ッ!」

 

 光景を端から見守っていた笹植は、彼等の元まで伝わり来た衝撃派を凌ぎつつ、存所を呼ぶ。

 しかしその存所は、巻き上がり巻き散った大小の船の破片に巻かれ。

 そして拡大した甲板の損壊亀裂に割り入り、戦列艦の下層へと消えて行った――

 

 

 

 時系列は数分遡り、場所は戦列艦の船内下層へ。

 

「――クリア」

「クリア」

 

 上層より降りる階段を駆け下り、その付近の一角をクリアリングしたのは、御堂院率いる3名1チーム。

 御堂院のチームは予定通り、戦列艦内のクリアリングを進め。そして下層に至るここまでに、接敵等は無かった。

 

「――ここは?」

 

 一角の安全を確認した後、チーム内の一名。明宇井が言葉を零す。

 その降りて来た下層エリアにあったのは、隔壁を隔てる大きめの両扉であった。その場は位置関係的に戦列艦の船尾下層。それから推測するに、その先の空間は操舵施設の機械室か、もしくは倉庫の類であろう。

 しかしその区画を隔てる両扉は、仰々しい閂と錠で閉ざされていた。

 

「あからさまですわね」

 

 明宇井同様、それを見止めた御堂院がつまらなそうに呟く。

 

「機械室――にしてもここまでしませんよね。貴重品の類の倉庫でしょうか?」

「そうね。あるいは……」

 

 推察の言葉を交わしながら、確かめる方向は一つしかないと。御堂院筆頭の3名は分かれて両扉の両サイドに取りつき配置。

 閂を外し。御堂院と岬江は突入に備え、明宇井は錠を破壊するためにマスターキー――ベネリM3T散弾銃のポンプをスライドさせる。

 

「岬江君、オッケー?」

「いつでも」

 

 先陣を担う岬江三曹に確認を取り。そして明宇井はベネリM3Tの銃口を錠にあてがい――引き金を引いた。

 発砲音と、錠の損壊する音が甲高く響き。そして間髪入れずに明宇井は扉を後ろ蹴りで抉じ開ける。そして明宇井は身を引き道を開け、入れ替わりに岬江が93式5.56mm小銃を構え、扉の向こうへと踏み込んだ。御堂院が二番手として9㎜けん銃を手に続き、殿で明宇井が突入。

 三名は突入した向こうで展開布陣を組み。身に着けたライトでその先を照らし、そして銃口と視線を走らせる。

 

「――クリア」

 

 荒々しくも素早く的確な突入行動から、しかしその直後には岬江の口から、何か力の抜けた呆れたような声でのクリアを知らせる言葉が上がった。

 

「これは」

 

 続け、殿で突入した明宇井が、少しの驚きの色を含む声を零す。

 三名が突入した先は、船尾下層空間を利用した、やはり倉庫のような広めの空間。

 しかし問題はそこにあったもの――いや、居た人々だ。

 

「っぅ……!」

「な……なに……?」

 

 薄暗い空間に響く、か細い声。

 3名各員がそれぞれ走らせるライトの光が照らす物。それは怯えた人々の顔、姿。その船尾下層空間には、多数の人々の姿が在ったのだ。

 数にして20程。若い、何人かは子供の弱いの男女達。さらにその身なりはいずれも、執事や侍女、身分の高い人間に使える従者のような格好。そして言えば、その男女子供はいずれも〝顔が良い〟、整い麗しい容姿をした者ばかりであった。

 しかし何よ目を引くは、彼等彼女等の手元足元。それぞれは漏れなく木製の手枷足枷を嵌められ、そして鎖をもって壁に繋がれていた。

 

「これは、商品価値のある子達ということかしらね」

 

 そんな男女子供達を一周見渡し、9㎜拳銃を降ろし控えながら、そんな言葉を紡ぐは御堂院。

 その言葉が示す通り。この場で捕らわれている男女子供達が、商品価値を見出されたもの達――言ってしまえば人身売買の類の商品である事は、想像に難くなかった。

 

「マジで……」

「落ち着いて、皆さん。我々は、危害を加える者ではありません」

 

 それを察し、明宇井は倦怠感交じりの驚きの声を零し。岬江はこういった場合のセオリーである、相手を少しでも安心させるための言葉を発し上げる。

 

「――……あ、貴方がた……何者ですの……?」

 

 そんな所へ、空間の奥側より何か透る声での尋ねる聞こえ来た。

 

「あら」

 

 御堂院等の視線がそれを辿り、空間の奥にその主を見た。

 そこにあったのは、床に座る一人の少女だ。齢にして16~17歳程。暗がりでもその整った顔立ちと、紫掛かった銀髪の麗しい容姿が褪せる事無く主張している。

 格好は、埃汚れで侵されてしまっているが、他の男女子供とは違った質の良さそうなドレス姿。そしてしかし、その腕には他の男女子供と違わぬ手枷が嵌められている。

 それらの情報から、その少女が従者らしき男女子供の主であろう事。そして同じく捕らわれの身であろうことは、想像に易かった。

 

「失礼、驚かせてしまいましたわね。お嬢さん」

 

 そんな少女を見止めた御堂院は。また負けずの妖艶ながらも透る声で言葉を返し紡ぎ、そしてその戦闘装備に反した優雅なまでの歩みで少女へと近づく。

 

(わたくし)たちは日本国海隊、私は御堂院と申しますわ」

 

 そして少女の前に立つと、ヘルメットを脱いでその美麗な黒髪を露にし。小さくしかし優雅な礼を少女へとしながら、自らの身分を名乗る。

 

「麗しい海を犯す悪しき賊を討ち、あなた方を救いに参じた者――どうか、ご安心くださいな」

 

 そしてそんな妙に芝居掛かった台詞回しで伝える言葉を述べ。最後にその顔に、また妖しい魅惑するかのような笑みを浮かべて見せた。

 

(普通に言えばいいのに)

 

 その御堂院の言動に、背後では明宇井が呆れた感想を内心で浮かべ。岬江にあっては興味無さそうに周囲に警戒の意識を向けていた。

 

「ニホン……?」

「海隊……?」

 

 一方、空間の男女子供達からは。訝しみ未だ微かに怯える色で、今聞こえた言葉を復唱する声が上がっている。

 

「私達を、救いに……?」

 

 そして少女も、御堂院に向けてそんな言葉を紡ぐ。

 

「えぇ、どうかお手を取って」

 

 それを肯定するように。そして姫の手でも引くかのように、御堂院は己の片手を差し出して促した。

 

「……申し訳ありませんが――容易く鵜呑みにはできませんわ」

 

 しかし。

 直後に少女から返されたのは。毅然とした表情と言葉での、そんな言葉であった。

 

「ぇ?」

 

 想定していなかった少女の反応を前に、御堂院は思わず小さく呆ける声を漏らしてしまう。

 

「今の段階では、保証はどこにもありませんわ。見るにただでさえ異様な装束、その身元出所も不明――あなた方が、また異なる賊で無いと言う証拠はどこにおありで?」

 

 そんな御堂院をよそに、少女は言葉を続ける。

 

「私を世間知らずの小娘と見ていただいては困りますわ――このリュレディナ領リュレディナ侯爵の娘、リーディット=アリナ=リュレディナ。従者達の身を預かる責を持つものとして、目先の甘言に容易く飛びつくことは許されませんの」

 

 少女改めリーディットは、毅然とした態度で名乗り、そして己が追う立場役割を言葉にして見せる。

 

「そして、失礼ですが。侯爵家貴族の娘として、素性の知れぬ異なる者に、縋り寄り救いを乞う事はしませんわっ」

 

 そしてリーディットは、御堂院の顔を見上げ見据えて。透る声ではっきりと言い切って見せた。

 

「ッ」

 

 その叩きつけられた言葉に、御堂院はまた顔を鋭くする。

 リーディットが御堂院の差し伸べた手を拒絶したのは、確かに御堂院等海隊の存在が、彼女達からすれば得体の知れぬ、信用に足るか皆目不明な存在であるからと言うところが大きかったが。

 しかし明かせば。そこにはまた別に、もう一つの理由が存在した。

 侯爵家貴族の娘であるリーディットは、その立場から同じく侯爵令嬢同士の〝争い〟を経験して来た。

 そして今。リーディットは御堂院にそのライバルと同じ匂いを、気配を感じ取り。その御堂院の慈悲を受け取り、甘んじる事をそのプライドが阻害したのであった。

 

(この子……ッ)

 

 そしてそれは、御堂院も同じであった。

 元世界の日本では良家の生まれであり、またそれに関係する権謀に無関係では無かった御堂院は。リーディットから向けられたライバル心とも言える感情に、すぐさま気付いた。そして経験からの反射で。自身も妖しい笑みから一転、相手をライバルと見て牽制する視線を送ってしまっていた。

 両者は、バチバチと火花が飛ぶまでの美麗ながらも鋭い視線で、互いを睨み合う。

 

「え、ちょっと?何、めんどくさい空気になってるんですか?」

 

 その気配空気に気付き、明宇井が背後から声を割り入れる。

 

「黙っていていただける?」

「邪魔をしないでくださいます?」

 

 しかしそれに対して。御堂院とリーディットからはそれぞれ、刺すような一言が飛んできた。

 

(うっへ、この状況で勘弁してよ……)

 

 それを受け、しかし明宇井は内心でゲンナリした言葉を紡ぐ。

 それをよそに、御堂院とリーディットは火花を飛ばし合っている。

 

 ――ビキキ、と。

 

 何かが軋み、亀裂が入るような音が。真上より響いたのはその時。

 

「ん?」

 

 それに真っ先に明宇井と岬江が気付き。続け御堂院やリーディットもそれを聞き留め、その視線を上げようとした。

 

 

 ――その船尾下層空間の天井が、その向こうより崩壊したのはその瞬間であった。

 

 

「ふびゃッ!?」

「きゃぁッ!?」

 

 突然の衝撃音と合わせて、空間の天井を突き破り何かが砲弾の弾着の如きそれで出現。

 空間が埃煙で巻かれ破片が飛び散り、ちょうどその直下に居た御堂院やリーディットの悲鳴がその中から。

そして周囲からは明宇井や岬江に。捕らわれていた男女子供達の驚き、あるいは狼狽える声が上がる。

 程なくして埃煙が撒けて晴れ、さらには光の届かぬ空間であるはずのそこに、光が差し込み照らされている様子が露になる。

 見れば天井には大穴が開いて、それまでの曇天から徐々に回復しつつある大空が開け覗いていた。

 

「えぇ……な、何……?」

 

 突然の事態と状況環境変化に。明宇井は訝しみつつ、その現象が巻き起こった一点へと目を凝らす。

 まず見えたのは、衝撃で吹っ飛ばされたのであろう床に転がって伸びている御堂院の体。そして背後の壁に縋り寄り、目をまん丸にしているリーディット。

 続け視認できたのは、天井の大穴から突き込まれ伸びている、何か長大な金属製の物体。よくよく見ればそれには剣のような柄があり、そしてその元、柄の先と床の間には何者かの体が挟まれ潰されている。まるで動く様子の無い事から、事切れているのは明らかであった。

 そして極めつけに――

 

「ゴゴ――ふむ、うまく入った」

 

 周囲の者が一様に驚愕する中、一人その中心で悠然と構える、存所の巨大な姿がそこにあった。

 

「……存所ちゃん、なにしてんの?」

 

 視認できたその姿が、よく知る者のそれである事を確認し。明宇井は少し呆れと戸惑い半々といった色の声で、そんな尋ねる言葉を掛ける。

 

「うむ。ちょうど脅威を無力化した所です」

 

 そんな明宇井の尋ねる言葉に、存所は当たり前の流れと言ったようにそう回答の言葉を紡ぐ。

 最早想像理解は容易いであろうが。存所は先に上甲板でデュオウに一撃を叩き込み、その衝撃破撃の流れで船内階層を突き破り、ここに現れたのであった。

 そして存所は明宇井等にも、自らの言葉でそれを説明。

 

「……」

 

 明宇井等は存所の超常的身体については元より知ってはいたが。改めてのその超常っぷりを目の当たりに、最早呆れるしかなかった。

 

「むッ。所でここは?」

 

 一方の存在所は。そこで始めてその空間に捕らわれた様子の人々が居る事に気付き、明宇井に尋ねる言葉を返す。

 

「あたし等も今見つけたばかりだけど、どうにも不当に捉えられた人達っぽいよ」

 

 それに補足を添えつつ、そんな回答を伝える明宇井。

 

「成程」

 

 その回答を受けて呟きつつ、存所は一番近場に居たリーディットの姿を見降ろす。

 

「ひっ」

 

 突然現れたとてつもない存在に見降ろされ、それまで目を丸くしていたリーディットは、小さく悲鳴を漏らす。

 しかし存所はまるで構わぬ様子で、リーディットの身にその腕先、指先を伸ばし。

そして――パキリと。

 彼女の腕を拘束していた手枷を、まるで菓子細工でも崩すかのように。いとも容易く壊して、リーディットの腕を解放してみせたのだ。

 

「……え……?……え、え……?」

 

 思いもよらぬ事態展開に。リーディットは自由になった自身の両手と、目の前の存所を交互に見比べながらも、困惑極まった様子の声を漏らす。

 

「これにて自由の身ぞ」

 

 そんな彼女の様子をよそに、存所はそう伝える一言を紡ぐ。

 

「!……お、お待ちになって!リュレディナ侯爵令嬢たるこのリーディット、安易な無償の救いを受け取る訳には……」

 

 しかし先に御堂院に訴え伝えたのと同じく。得体の知れぬものからの施しを受けることをプライドが許さないのだろう、彼女はそれに異を唱える言葉を発そうとする。

 

 

「――素直に救われておけば良いのだ~~~~~~!!」

 

 

「ぴぃっ!?」

 

 しかし。存所の凄まじい圧を込めた説く?一言に。それは一蹴されリーディットはまた目を丸くして悲鳴を上げた。

 

「ゴゴ――救われた身を大事にすべし」

 

 そしてその凄まじい顔面を引き、そんな説得?の一言を紡ぎ降ろす存所。

 

「――おい、先任兵長ッ!無事か!?」

 

 そんな所で、頭上より別の声が届く。

 存所がそれを辿り頭上を仰げば、天井に空いた亀裂大穴の向こうに。上甲板よりこちらを見降ろす笹植等の姿が見えた。

 

「無事です、脅威も無力化――これにて完!」

 

 それに対して存所は回答と報告の声を頭上に上げ。そして決めポーズなのか腕を組み仁王立ちで構え、そんな状況を締めくくる言葉を紡いだ。

 

「砲雷長が伸びましたので、そっちに持って行きます。それと保護が必要な人々がいくらか、応援願いたい」

 

 そして続く行動を発し上げ伝えつつ。足元で伸びていた御堂院の体を摘まみ上げて小脇に抱えると。

 存所は身を翻して、ズシンズシンと音でも聞こえてきそうなまでの歩みで、扉を潜りその空間を後にする。

 

「……な、なんなんですの……?」

 

 それをポカンとしたまでの様子で見送ったリーディットは。置いてけぼりにされたような姿で、ただ呆けた色の言葉を漏らした。

 

 

 

 紆余曲折あったがともかく。立入検査隊により、移乗対象の各船の制圧確保は完了。

 第二フェーズは完了され。そしてさらにはこの海域における海隊戦闘群による作戦行動は、無事完了となった。

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