>HACKNET - LABYRINTH_ [TYPE: SS]   作:峰霧 澪

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お久しぶりです、伯林 澪です。
今回はPCゲーム「HACKNET」のDLC「LABYRINTH(迷宮)」を題材にした二次創作小説です。
多分にネタバレを含むため、ご注意ください。


プロローグ

──高度二万三千フィート・パシフィック航空二二〇便──

『Pacific 220, you’re flying the wrong flight level. Pull up and climb to flight level 330 immediately(パシフィック航空220便、貴機は誤った高度を飛行している。ただちにフライト・レベル330まで上昇せよ)』

「I know that! Shut up(わかってる!黙れ)!!」

ピー、ピー、ピーという警告音や無機質に高度低下を報せる機械音声、そして混乱した管制官の警告に交じって、機長の怒号が響く。彼の操縦するパシフィック航空二二〇便・羽田空港行は、本来航行すべき高度より一万フィートほど下の高度を飛行していた──機首をまっすぐ下に向けながら。

このボウイング747-400型ジャンボ・ジェット機を操縦する機長は一万時間以上の操縦経験のあるベテランで、副機長も七千時間以上の経験をもつ中堅操縦士だった。だが、そんな彼らも操縦桿なしでは何もできない。

昇降舵(エレベーター)方向舵(ラダー)補助翼(エルロン)高揚力装置(フラップ)空力制動器(エア・ブレーキ)、すべて反応しません!」

「エンジンは!?」

「駄目です、逆噴射(リバース)位置まで戻しても反応しません!」

「システム再起動を試せ!」

だが、システムを再起動しても状況は変わらなかった。電源が切れていた間は静かだった操縦室(コクピット)が、ふたたびアラーム音の喧騒に包まれる。

「クソッ!!──Mayday, Mayday, Mayday, this is Pacific 220, we’re unable to control this plane! Repeat: unable to control(メーデー!こちらパシフィック航空220便、操縦不能)!」

九〇年代の旅客機とは打ってかわってすっきりとした操縦席に据えられたHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)には『ALT ALERT』、MFDの画面には『FATAL ERROR - CAN’T FIND '747FlightOps.dll'』の赤文字が明滅する。──今やこの操縦席の指示に従う機器はなにもなかった。自動操縦(オート・パイロット)の強制解除機能が働かないまま、操縦桿はパイロットの意志に反して狂ったように機体を急降下させる。

(クソ、なんて日だ……自動操縦が利かなくなった上に手動操作もできないだと!? 方向舵(ラダー)を固定されたまま着陸した*1ほうがまだマシだ!)

機長は心の中でわめいたが、操縦桿がただの棒と化したいま、彼らにできることは何もなかった。このままいけば、あと数分後には海面に激突する運命だったとしても……

*1
2002年に発生したノースウエスト航空85便事故。方向舵が左方向に固定されたまま緊急着陸を行った。

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