デート・ア・サバイブ   作:亜独流斧

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更新遅くなってすみません。今回は解説やらなんやらで、文字数増えた割に進みませんでした。
本当にごめんなさい


龍騎の願い

『精霊の少女』が『十香』となってから暫くの間、三人は会話を楽しんでいた。人間である士道や真司からすれば当たり前のことにも、十香は驚き、いくつも質問を投げかけてくる。一方で十香のその無邪気な反応が、話をしていて楽しいと士道たちに感じさせる。士道は、この時間がずっと続けばいいのにと感じていた。

だが、そう思う時に限って招かれざる客はやって来る。十香が彼らの今いる教室について質問をしていた時、真司はモンスターの出現を知らせるあの音を聞いた。

そしてそれとほぼ同じタイミングで窓側から爆発音が響いたかと思うと、教室の壁が破壊され、空中を飛行するASTの姿が現れた。

 

『真司!士道!』

 

二人の耳に琴里が呼びかける声が響く。

 

「ああ、分かってる。真司、どうする?十香を連れて別の部屋に逃げるか?」

 

士道が確認するように尋ねるが、真司は首を横に振った。

 

「ダメだ。あれじゃどこに逃げても追ってくる。…それに今はオレの近くにいてくれ。ミラーモンスターが近くにいる」

 

そう言いながら真司はポケットから小さな機械を取り出し、確認する。それは、ここへ来る前に令音から渡された物だった。

それ(・・)が正常に起動していることを確認した真司は、今度はミラーモンスターを探す。その姿は、普段の頭の悪さなど感じさせない『歴戦の猛者』の雰囲気を醸し出していた。

しかし、そこへASTが放ったと思われる攻撃が向かったことにより、真司はやむなくモンスター探しを中断する。幸い、その攻撃は十香によって防がれ、二人にダメージは無かった。

 

「おい!なんで攻撃してくんだよ!ふざけんな!」

 

真司の怒気をはらんだ呼びかけによって、ASTは彼らの存在に気付く。

 

「あなたたち、そこで何しているの!危険よ!…って、あなたたちはこの前の……」

 

避難するように呼びかけようとした燎子は、彼らが以前も精霊の出現場所にいたことを思い出した。

 

「あなたは確か……仮面ライダー…だったわよね。そこをどきなさい」

 

「…なんでだよ」

 

警戒しながら真司は燎子に問いかける。しかし、それに答えたのは別の人物だった。

 

「私たちは精霊を倒さなければならない。そこにいたら、あなたも士道も巻き込まれることになる」

 

「鳶一さん…やっぱりあんたも来たのか」

 

「鳶一…なんで…」

 

真司や士道の言葉には答えず、折紙は続ける。

 

「精霊は災害。そこにいるだけで世界を壊す怪物。私たちの狙いはあくまでも精霊であって、あなたたちを巻き込むのは不本意な事。それにミラーモンスターに対抗する手段が現時点で無い以上、五河真司に死なれては困る」

 

折紙は真司たちに淡々とそう告げる。そしてそれが真司の怒りを爆発させた。

 

「ふざけんな!そりゃ空間震とかで被害が出てるのはホントかもしれないけど、ちょっと人と違うってだけで化け物扱いするなんて間違ってる!そんなこと言ったら、オレやあんたたちの力だって化け物扱いされるには充分だろ!」

 

「真司…」

 

それは、普段ニコニコしている事の多い真司が見せた本気の怒りだった。あまりの迫力に士道や十香、ASTまでもが思わず口を閉じるが、唯一折紙だけはひるむ事無く真司に反論する。

 

「あなたの言っている事は詭弁でしかない。実際に精霊によって被害が出ている以上、それを倒すのが私たちの務め」

 

「あんたなぁ……」

 

真司は反論しようと口を開きかけるが、口論はそこで一度中断された。入口側の窓ガラスから、モンスターが出現したのである。切れ味の鋭い角状の武器を腕に装着したシマウマ型モンスター・ゼブラスカルアイアンだった。

ゼブラスカルアイアンは他の人間には目もくれず、一直線に十香へ斬りかかる。しかし、その攻撃が当たる直前に真司突き飛ばしたため、その攻撃は当たらなかった。

 

「ごめん十香ちゃん!大丈夫か!?」

 

「う、うむ。シンジのおかげで無傷だ。それよりシンジとシドーは大丈夫か?」

 

「ああ、オレは大丈夫だ。真司は…」

 

「オレも無傷だ。心配してくれてありがとな」

 

真司はそう言ってデッキを取り出した。そんな真司に折紙は問いかける。

 

「…精霊の戦闘能力を考えれば、わざわざあなたが危険な目に遭わなくてもよかったはず。そもそも今といい、この前といい、何故あなたは精霊を庇うの?」

 

その問いかけに真司は先程とは違って静かに答えた。

 

「…十香ちゃんはずっと敵意を向けられながら生きてきた。士道が気付くまでずっと、誰も護ってくれなかったんだ。だからこれからは…オレが護る。十香ちゃんも、士道も、琴里やみんなも…。人を護る為にライダーになったんだから、精霊を護ったっていい!」

 

そう言って真司はデッキを構える。すると本来、鏡の前やミラーワールドでしか現れないはずのVバックルが出現する。

 

「!?真司…それって…」

 

「…ああ。ここに来る前に、令音さんにもらった機械のおかげだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遡ること1時間前。

真司は令音に小さな機械を渡されていた。

 

「令音さん…これは?」

 

「…顕現装置(リアライザ)の一種だ。これは君たち仮面ライダーにしか使えない」

 

顕現装置(リアライザ)。それは30年前に人類が手にした禁断の技術。コンピューター上での演算結果を物理法則を歪めて現実に再現するという、いわば科学の力で魔法を再現するという装置であった。

 

「…以前、ライダーのことを知っているのは私と神無月のほかに、数人の技術スタッフだけだと言っただろう。彼らにはこれを作る為に知ってもらったんだ」

 

そう言って令音はその機械について説明する。

 

「…これは精霊自身の体や、霊装、天使などから発せられる霊力を使って、現実の世界に一時的に擬似的なミラーワールドを作り出すという物だ。つまり、精霊の現れているときはライダーの能力をフルで発揮できる。…ちなみにこれで作り出されるのはあくまで『ミラーワールドもどき』。モンスターも生息できるが、中で人が消滅するということは無い。…君たちライダーは現実でも変身出来るらしいが、アドベントカードの力を現実でも引き出すために作ったんだ。」

 

「そっか…現実の世界にモンスターは長いこといられないし、カードの能力も…」

 

「…そういうことだ。それと、これは必ずしもメリットというわけでは無いが…モンスターも現実に出て活動できるようになる。つまりASTとモンスターが同時に現れた時も、どちらか一方を放っておかなくても済む。…ただし君の負担も大きくなってしまうのも事実だ」

 

令音はそう言って不安そうな表情を浮かべる。それはまるで、本当に渡してもいいか迷っているようだった。

だが…

 

「ありがとう令音さん。…オレさ、思ったんだ………」

 

「…?何をだい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人と精霊の戦いなんて止めたい。精霊を助けたい。それがオレがこの世界で見つけた答えなんだ。…この世界のライダーとして、叶えたい願いなんだ。だから…変身!」

 

龍騎となった真司は、ゼブラスカルアイアンへと突進しながら叫ぶ。

 

「士道!お前は十香ちゃんとの話を続けろ!こっちはまかせとけ!」

 

「あ、ああ。分かった。…十香、続けよう」

 

「う、うむ…しかし、シンジは大丈夫なのか?それにシドー、お前も同胞たちから攻撃されてしまう。」

 

「大丈夫だ。真司を信頼してるからな」

 

 

 

一方、ASTたちもこの事態に混乱していた。精霊のそばには民間人、しかも能力の不明なミラーモンスターや仮面ライダーまで現れた。このような状態はイレギュラー中のイレギュラーであった。

 

「あの怪物は…ミラーモンスターってやつよね…この前や今の様子を見るに人を襲うみたいだし、仮面ライダーってのも未知の存在…。どうするべきかしら」

 

燎子は隊長として、自分や部下たちがどう動くべきか決めかねていた。他のAST隊員たちも同様に、自分が誰を倒せばいいのか分からずにいる。

しかしその中で唯一、折紙だけが燎子の指示を待たずに校舎へと向かっていく。

 

「ちょっと折紙!待ちなさい!」

 

燎子は制止をかけるも、折紙はその動きを止めない。

 

「誰を攻撃するかなんて考えるまでも無い。ASTの使命は精霊を倒すこと。どのみち五河真司の性格なら、モンスターを放ってまでこちらには来ないはず。邪魔の入らない今が好機」

 

折紙はそのまま教室に向かってミサイルを撃ち込む。だが、真司がそれを許すはずも無かった。

 

「そんなことさせるか!来いドラグレッダー!」

 

そう言ってゼブラスカルアイアンの攻撃を躱しながら、契約のカードをドラグバイザーに挿入する。

 

『ADVENT』

 

呼び出されたドラグレッダーは、真司たちのいた教室の隣の部屋の窓から現れた。口から放った火球で、折紙の撃ったミサイルを爆破させる。

 

「なっ…」

 

これにはさすがの折紙も動揺を隠せない。折紙だけでなく、人間サイズのモンスターしか見た事の無かったAST部隊は、突然現れた巨体を前にどう行動すべきか分からずにいた。

 

「ドラグレッダー!その人たちや攻撃をこっちに入れないようにしてくれ!殺すなよ!…念のためもっかい言うけど、殺すなよ?」

 

ドラグレッダーは分かったとばかりに雄叫びをあげると、ASTの方へと向かって行った。そして龍騎もまた、ゼブラスカルアイアンを入口の方へと蹴り飛ばすと、士道と十香に声をかける。

 

「ここでドンパチしてたら落ち着かないだろ。ちょっと出てくるよ」

 

「シンジ…大丈夫か?」

 

「大丈夫だって。それより士道との会話は楽しい?」

 

「うむ!シドーの話はとっても面白い。それに一緒にいてすごく楽しいぞ!」

 

「と、十香…」

 

十香の素直な反応に士道は思わず赤面する。そんな二人の様子を見て安心した龍騎は、二人に背を向ける。

 

「そっか…よかった。ならもっと話してなよ。あいつらはオレがなんとかする」

 

「真司…気を付けろよ」

 

「分かってる。……士道、ちゃんとデートに誘えよ?」

 

龍騎は最後に士道にしか聞こえないように小声で呟くと、ゼブラスカルアイアンを追って廊下へ飛び出した。




おまけ
浅倉「殴れ!オレを殴れッ!」
神無月「ああん!どうかその拳を私に!」

十香「シドー、何故二人とも自分を殴れと言っているのだ?」
士道「見ちゃいけません」


お読みいただいてありがとうございました。
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